ロイヤルウースターは、約270年の歴史を持つイギリスの名窯で、その美しい陶磁器は世界中で高い評価を得ています。
長年にわたり培われた高度な技術と繊細なデザインにより、実用食器としてだけでなく芸術品としての価値も非常に高いのが特徴です。
大切にしてきたお品を手放す際の参考として、ロイヤルウースターの歴史や代表的な人気シリーズ、買取相場や高価買取のポイントをチェックしておきましょう。
1. ロイヤルウースターとは?
長い歴史と伝統を持つロイヤルウースターは、イギリスを代表する名窯の一つです。
1751年の創業以来、独自の技術と美しいデザインで多くの人々に愛されてきました。
創業の背景や人気シリーズを知り、日々の暮らしに華やかさや特別な彩りを添えるロイヤルウースターの魅力を感じてみてください。
1-1. 創業の背景と沿革
ロイヤルウースターは、1751年に創業されたイギリスの歴史ある陶磁器メーカーで、現在も続く長い伝統を誇る名窯です。
イギリスで最も古い窯の一つであり、その歴史はウェッジウッドよりも古く、ヨーロッパの陶磁器の中でも特に長いものとなっています。
この窯は、医師のジョン・ウォール博士と薬剤師のウィリアム・デイヴィスという異色のコンビが、新しい磁器製造法を発明したことから始まりました。
イングランド中西部のセヴァーン川のほとりで開業し、そこから多くの仲間とともに築き上げた歴史が今に伝わっています。
創業から間もなく、薄くて美しい軟質磁器の技術を手に入れ、当時としては画期的な高品質の陶磁器を世に送り出しました。
18世紀後半には王室からの正式な御用達の認定を受け、英国王室御用達の窯としての地位を確立しています。
その一方で、当時は中国製の安価な磁器と競合する厳しい状況もありましたが、新たなフランス風のデザインや技術を取り入れることで独自の発展を遂げました。
19世紀には複数の優れた工房を傘下に収め、伝統と革新を両立させた作品を次々と生み出していきます。
ロイヤルウースターの作品は、実用的な食器にとどまらず、芸術品としての価値も高く評価されており、その精巧なデザインと高度な技術は今も多くの人に愛されているのです。
20世紀以降は海外製品との競争も激しくなりましたが、ロイヤルウースターの名は今なお陶磁器の世界で輝き続けています。
1-2. 人気のあるシリーズ
毎日の暮らしを優雅に彩るロイヤルウースターの器たち。
なかでも長く愛され続けてきた人気シリーズは、眺めているだけで心がふっと和むような美しさを持っています。
・ペインテッド・フルーツ
ロイヤルウースターを代表する芸術作品として知られる「ペインテッド・フルーツ」。
1770年の初登場以来、200年以上もの長い年月の中で愛され続けてきた特別なシリーズです。
当時、中国風のデザインが主流だった18世紀後半、造形師や絵付師たちがヨーロッパらしさを模索しながら生み出したこのシリーズは、果物の瑞々しさを絵画のように表現し、その写実的な美しさが大きな魅力です。
職人がフリーハンドで描き、6回の焼成を経て仕上げられ、さらに22金のメッキを11時間かけて施すなど、手間と時間を惜しまず丁寧に作り上げられています。
このシリーズの製作を許されるのは、少なくとも7年以上の修業を積んだ熟練の職人のみ。まさにロイヤルウースターの英知が詰まった作品であり、一つひとつが芸術品ともいえる器なのです。
・イヴシャム・ゴールド
「イヴシャム・ゴールド」は、ロイヤルウースターの20世紀を代表する人気シリーズの一つです。
1961年に登場し、イギリス・イヴシャム渓谷で実る秋の果物をテーマに、アップル、ブラックカラント、ピーチ、ブラックベリー、洋ナシ、西洋スモモ、チェリー、プラムなどが温かみのあるタッチで描かれています。
乳白色のやわらかな白磁のボディには上品な金彩の縁取りが施され、優雅さの中にも親しみやすさを感じられるデザインです。
電子レンジ対応の機能性もあり、普段の暮らしの中で気軽に使えるのも嬉しいポイント。
ロイヤルウースターが得意とするフルーツモチーフを現代の暮らしへとつなげてくれるシリーズであり、食卓にそっと季節の彩りを添えてくれる存在です。
・ラビニア
「ラビニア」は、白地に繊細なタッチで描かれた小さな花々と、野生のベリーがそっと彩りを添え、清楚でありながらどこか可憐な雰囲気が漂います。
カップの縁と持ち手にはさりげなく金彩が施されていますが、主張しすぎず上品な輝きで、日々のティータイムにも自然に溶け込みます。
普段使いにも特別な時間にも寄り添ってくれるラビニアは、暮らしの中で小さな幸せを感じさせてくれる器です。
1-3. 芸術家とのコラボシリーズ
ロイヤルウースターは、著名な芸術家やデザイナーとのコラボレーションによって、独自の魅力をさらに広げています。
伝統的な技術と個性的なデザインが融合したコラボシリーズは、日常に彩りと物語を添えてくれる特別な存在です。
・ストロベリー・シーフ
詩人であり作家であり、そしてモダンデザインの父とも呼ばれたウィリアム・モリス。
彼が手がけたプリントファブリックの代表作「ストロベリー・シーフ(いちご泥棒)」は、手仕事のぬくもりと物語を感じさせてくれる美しいデザインです。
1883年に生まれたこのモチーフには、小さな小鳥が赤く実ったいちごをついばもうとする可愛らしい様子が描かれています。
ロイヤルウースターとのコラボレーションによって誕生したマグは、繊細な図案が美しく表現され、モリスファンでなくとも心惹かれるアイテムです。
手に取るたびに、小鳥の軽やかな姿と自然の恵みを感じられる「ストロベリー・シーフ」。
日々のティータイムを少し特別な時間に変えてくれるやさしい器です。
・レンデル
イギリスの美しい自然に暮らす動物たちを、やわらかなタッチで描いた「レンデル」。
絵本作家ハンナ・デールとのコラボレーションで生まれたこのシリーズは、英国ナショナル・トラストのグッズでもおなじみの彼女らしい、愛らしさと繊細さが魅力です。
ケンブリッジ大学で動物学を学んだハンナだからこそ描ける、生き生きとした表情やしぐさ。
見つめていると、まるで森の中でそっと動物たちと目が合ったような気持ちになります。
ティータイムや食卓にやさしく寄り添い、日々の暮らしに自然のぬくもりを運んでくれる「レンデル」。
動物好きの方へのギフトにも喜ばれる、心和むシリーズです。
2. 買取相場と高価買取のコツ
ロイヤルウースターの器は、シリーズによって買取価格に違いがあります。
それぞれのシリーズが持つ魅力とともに、目安となる買取相場を知っておくと安心です。
2-1. 人気シリーズ別の買取価格帯
「イヴシャム」は、イギリスの果物の里・イヴシャム渓谷をテーマにしたシリーズ。
リンゴやピーチ、ブラックベリーなど秋の実りが描かれ、温かみのある雰囲気が人気です。
金彩が施された「イヴシャムゴールド」もあり、食卓を穏やかに彩る器として長く愛され続けています。
買取価格は1,000円~2,000円前後が期待でき、セットでそろっているとまとまった金額になることもあります。
「ペインテッドフルーツ」は、ロイヤルウースターの中でも特に高級なシリーズ。
まるで絵画のように生き生きと描かれたフルーツの絵付けは、6回もの焼成と22金メッキの工程を経て仕上げられます。
熟練の職人だけが手がけられる特別なシリーズのため、カップ&ソーサー1客でも2万円前後と高額での買取が期待できるのが特徴です。
「ラビニア」は、ベリーや小花が可憐に描かれたデザインで、普段使いしやすい清楚な雰囲気が魅力のシリーズです。
縦の波型シェイプが美しいフォルムを引き立て、さりげない金彩が華やかさを添えます。
買取相場はカップ&ソーサーで数百円~1,000円前後、プレートは大きさによっておよそ1,000円前後となることが多いでしょう。
どのシリーズも大切に使われてきた器だからこそ、その美しさと歴史がきちんと評価され、思わぬ高値がつくこともあります。
ご自宅に眠るロイヤルウースターがありましたら、この機会に買取を検討してみてはいかがでしょうか。
2-2. 高価買取のコツ
ロイヤルウースターの食器を高く買い取ってもらうためには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。
シリーズの特定や食器の状態、付属品の有無など、査定に影響する要素を理解しておくとスムーズに取引が進みやすくなります。
・バックスタンプからシリーズを読み取る
ロイヤルウースターの食器を査定する際は、まずシリーズ名やバックスタンプ(裏印)の確認から始めます。
特に「ペインテッドフルーツ」は、22金を使った厚みのある下地に色鮮やかなフルーツを描いた、ロイヤルウースター最高峰の美術工芸作品として知られています。
2009年の倒産以降、製造されなくなったこともあり、買取価格が高額になることが多いシリーズです。
査定時にはバックスタンプを拝見し、製造年度や真贋の確認を行います。
ロイヤルウースターのバックスタンプには年代ごとの細かな違いがあり、中央付近の「51」のマークは1751年創業を示す証でもあります。
小さな裏印一つにも長い歴史が詰まっているのです。
・食器の状態をチェックする
査定の際には、食器の状態もしっかりと確認いたします。
新品未使用で状態が良いものほど高額査定がつきやすく、反対に傷や欠けが目立つ場合は人気シリーズであっても買取が難しいこともあります。
普段使いの中でついた小さな傷も、査定時に正直に伝えていただけると安心です。
・付属品や箱などをとっておく
ロイヤルウースターの買取では、箱や取扱説明書など付属品の有無も買取価格に影響します。
「ペインテッドフルーツ」のような高級シリーズの場合は食器単品でも買取可能ですが、専用の共箱や説明書などが全てそろっているほうが高額査定につながりやすくなります。
ブランドやシリーズによっては、付属品がない場合に買取できないこともありますので、お品物をお持ちの際は付属品も一緒に確認していただけると安心です。
大切に保管してきた箱や付属品も、お品物の価値を支える大事な一部です。
3. よくある質問(FAQ)
ロイヤルウースターの食器の買取について、よくいただくご質問をまとめました。
査定前に疑問を解消していただければ、安心してお取引が進められます。
気になる点があればお気軽にご相談ください。
Q1. ロイヤルウースターの食器はどんな状態でも買取できますか?
はい、多少の汚れやスレ、小傷があってもお買取可能な場合が多いです。
ただし、ひびや欠けが大きい場合は買取が難しいこともありますので、まずはお気軽にご相談ください。
Q2. 箱や付属品がなくても買取してもらえますか?
はい、箱や説明書がなくてもお買取は可能です。
ただし、専用箱や付属品がそろっていると査定額が上がることが多いため、お持ちの場合は一緒にお出しいただくことをお勧めします。
Q3. ロイヤルウースターのどのシリーズが高価買取になりますか?
「ペインテッド・フルーツ」は特に高価買取が期待できるシリーズで、状態が良ければ高額査定になる可能性があります。
そのほか「イヴシャム・ゴールド」や「ラビニア」も人気があり、シリーズによって価格は変わりますのでお気軽にお問い合わせください。
Q4. 古いロイヤルウースターの食器でも買取可能ですか?
はい、古いロイヤルウースターの食器でも買取可能です。
特に古いバックスタンプがあるものや廃盤になっているシリーズはコレクターからの需要が高く、思わぬ高値がつく場合もあります。
まとめ:大切なロイヤルウースターを高く売るために
ロイヤルウースターは、深い歴史と確かな技術を背景にした世界的に名高い陶磁器ブランドです。
特に「ペインテッド・フルーツ」や「イヴシャム・ゴールド」などの人気シリーズは高価買取が期待でき、状態や付属品の有無によって査定額が左右されます。
買取を検討される際は、まずはバックスタンプでシリーズや製造年代を確認し、状態をできるだけ良好に保つこと、箱や説明書などの付属品もそろえておくことが高額査定のコツです。
不要になったロイヤルウースターの食器がございましたら、ぜひ専門の買取店にご相談ください。
あなたの大切な器が次の持ち主に喜ばれることを願っています。

