日本では、聖徳太子の時代から伝わり、時代を経て貴族や武士、町人など多くの人々に親しまれてきた香木。現代でも自宅でリラックスするために、手軽に利用できるお香もあります。香木の産地情報を知り、より香木の魅力を堪能しましょう。
香木の産地はどこ?
香木は、かぎられた地域でしか採取できない希少価値の高さがあります。香木の産地を知り、香りの特徴や違いに対する知識を深めましょう。
主な香木の産地
世の中には香りを持っている木が多くあります。香木は主に、白檀・沈香・伽羅の3種類です。種類ごとの主な産地は以下のとおりです。
白檀
インド・インドネシア・オーストラリア・ミャンマー・台湾・アフリカ・ハワイ・トンガ・チモール
沈香
ベトナム・インド・インドネシア・カンボジア・ミャンマー・マレーシア・中国・タイ・ラオス・西イリアン
伽羅
ベトナムのかぎられた地域のみ
香木と一口にいっても、種類によって多少産地が異なります。しかし、産地であってもその多くが山奥にしか生育していないため、大変希少な香りものなのです。特に伽羅は、産地自体がベトナムにかぎられています。そのうえ、狭い範囲の地域でしか採取できないため、希少かつ高価な香木なのです。
香木は日本でも採取できる?
香木は、熱帯や亜熱帯地域を中心に自生しており、日本では採取できません。香木の原木となる木が日本では自生できないためです。そのため、香木を楽しみたい場合は海外から輸入する必要があります。ただし、例外として小石川植物園では白檀が育てられています。生きている香木の原木を見てみたい方は、ぜひ小石川植物園を訪れてみてください。
産地ごとに香木の違いはある?
香木にはさまざまな産地がありますが、地域によって香木の種類や香りに違いがあるのか気になる人も多いでしょう。香木の香りは、産地によって違いがあります。香木の香りは、甘い・酸っぱい・辛い・苦い・塩辛いなどで表現されます。香木の香りは非常に複雑で、さまざまな味が絡み合って深みを出している点が魅力です。
白檀
白檀は、芯材部分から香りを放ちます。数ある産地の中でも、インド・マイソール産の白檀は特に品質が高く最高級品といわれており、老山白檀とも呼ばれています。扇子や数珠、仏像などの工芸品の素材としても活用されているのが特徴です。日本にもなじみ深い製品に使われています。香りは、爽やかであっさりとした甘みを感じられる、落ち着きのある香りが特徴です。
沈香
沈香は、日本に初めて伝わった香木とされています。長い年月をかけて形成された樹脂は、熟成され品質の高い香材となるのです。鎮静効果があるため、戦国時代では戦前に興奮した精神を落ち着けるためにも利用されていたといわれています。産地によって違いのある香木の香り。たとえば、インドネシア産の沈香は、辛みの中に酸っぱさが含まれた香りがあります。
また、沈香は苦みのある香りが特徴のタニ沈香、甘い香りが特徴のシャム沈香の2種類に分類されているのも特徴です。
伽羅
伽羅は、希少価値の高い沈香の中でもさらに貴重で、沈香の最高級品といわれています。沈香との違いは香りと樹脂の成分です。伽羅の香りは、五味に通じる香りと表現されており、複雑で深く濃厚な香りが楽しめます。その高貴な香りと希少価値の高さから、まぼろしの香木ともいわれています。
産地と気候と長い年月が育てる、香木
香木は、熱帯や亜熱帯の気候と産地の自然が長い年月をかけて育て上げる希少価値の高い香りものです。産地は複数ありますが、実際に生育している場所はごくかぎられた場所のみ。香木は産地によっても香りが異なるため、自分の好みの香りがする産地を探す楽しみもあります。産地による違いを感じながら、複雑で香り高い香木をぜひ堪能してみてください。