ペルシャ絨毯を高額買取してもらう方法やポイントとは
自宅の倉庫にあるペルシャ絨毯や家族がコレクションしてきたペルシャ絨毯の買取依頼をお考えですか?さまざまな構図と文様で人々を魅了するペルシャ絨毯は、日常的に使える絨毯でもあり、高い美術的価値がある西洋骨董品でもあります。ペルシャ絨毯の歴史は古く、その長さと人気から偽物も多く出回っています。
もし買取を希望するなら、ペルシャ絨毯の目利き経験が豊富な査定士に依頼しましょう。査定の際にある程度知識をつけておくと価値を実感しやすいため、ペルシャ絨毯をあまり知らない方は産地や素材、歴史などに触れてみるとよいでしょう。
目次
ペルシャ絨毯を高価買取してもらうには
構図と文様が豊富で魅力的な製品が多いペルシャ絨毯。自分のお気に入りの文様を探して、タペストリーとして飾っておくのもよいでしょう。家具としてだけではなく芸術品としての価値も高いペルシャ絨毯は、中古市場でも人気・価値ともに高く、コレクターが多い特徴があります。アンティークのペルシャ絨毯は非常に人気が高く、高価買取例も多く存在します。買取価格は状態にもよりますが、数万~数十万、非常に珍しいものだと100万を超えることも。
高く買い取ってもらえるペルシャ絨毯の特徴は、サイズが大きい、状態がよい、高価な素材で作られている、産地や工房の証明書があるなどです。ペルシャ絨毯は製作するのに手間がかかるため、大きいほど職人の手が多くかかっているため価値が高まります。また状態がよいことはもちろん、産地や工房の証明書があれば本物であると証明できるため高価買取が期待できるでしょう。ペルシャ絨毯の主な素材はシルクとウールです。このうち、シルクの方が高値で買取されやすい傾向があります。
ペルシャ絨毯とは
ペルシャ絨毯はイランが誇る伝統的な織物製品です。昔から人々の生活品として役立ちながらも、構図や文様の高い芸術性が評価され、西洋骨董品としても高い価値をもっています。利用されて踏まれることで味わいが増すペルシャ絨毯は、唯一無二の美術作品ともいえるでしょう。ペルシャ絨毯の歴史をさかのぼっていくと、よりペルシャ絨毯の魅力に気が付かせてもらえます。産地や素材とともに歴史の流れを知り、ペルシャ絨毯の資産価値や美術品価値を把握しましょう。
ペルシャ絨毯の産地
ペルシャ絨毯の産地は小さな村や集落まで細かく分けると数百にもおよびます。しかし、文様や構図は似ている地域もあるため、それらをまとめ大きな地域の範囲で産地を見てみましょう。
ペルシャ絨毯の5大産地といわれているのが「クム」「イスファハン」「カシャーン」「ナイン」「タブリーズ」です。日本で人気を集めているのはナイン産のペルシャ絨毯。ナインのペルシャ絨毯にはベージュが多く用いられており、日本のシンプルな住宅の雰囲気にぴったりなのです。また、経年劣化によって徐々に飴色に変化していく様子が、木工家具のようだとして日本人に親しまれています。一方、イスファハンやタブリーズのペルシャ絨毯は色鮮やかで豪華な文様が多い特徴があり、ヨーロッパで人気があります。
クム
クムはイラン中央部、クム州にある産地です。クムでは1930年代半ばごろに絨毯製作が始まり、当時はほかの産地の文様を真似たものが多く製作されていました。1960年代に入るとシルク絨毯が製作され始め、1980年代にはシルク絨毯が主流となり、ウール絨毯はほとんど製作されなくなっています。日本のバブルをきっかけに需要が急激に増加し、人気を集めました。
イスファハン
イスファハンはイラン中央部、イスファハン州にある産地です。縦糸に絹を用いた緻密な織りの絨毯が特徴で、20世紀半ばにはケルマンやカシャーンに変わり、最高級品のペルシャ絨毯を製作する産地として有名になりました。しかし、需要の高まりとともに品質の低下が起こり、一部ではジュフティと呼ばれる誤魔化しの技術が使われるようになってしまいます。現在においても、イスファハンはペルシャ絨毯の最高級品を生産する産地として知られていますが、その品質にはばらつきがあることも理解しておきましょう。
カシャーン
カシャーンはイラン中央部、イスファハン州にある産地です。20世紀初めに、それまで最高級絨毯の産地として知られていたケルマンに代わり、カシャーンのペルシャ絨毯が高い評価を受けるようになりました。第二次世界大戦で欧州が戦場と化し、輸出が低迷した影響を受けて品質が低下していき、最高級絨毯の産地の座をイスファハンに取って代わられてしまいました。1970年代には原油価格の高騰による富裕層の増加で、国内の需要が上昇しています。その後、カシャーンのペルシャ絨毯は実用品に近い製品が多く作られるようになりました。
ナイン
ナインはイラン中央部、イスファハン州にある産地です。ナインのペルシャ絨毯は品質を「チャハール(4)ラー」「シシ(6)ラー」「ノー(9)ラー」の3つのランクに分けています。数字が小さいほど使う糸が細くなり、織りは細かくなっていきます。ノーラーの生産は1990年代にほとんど終了していて、現在多く出回っているノーラーは、イラン中東部のタバスやカシュマールで製作されたコピー品。使用されている染料は合成で、パイルの一部も木綿であるなど、本物のナイン産ペルシャ絨毯と比較すると品質が大きく劣っているため、注意が必要です。
タブリーズ
タブリーズはイラン北西部、東アゼルバイジャン州にある産地です。タブリーズのペルシャ絨毯は、その文様の多様さが魅力の一つ。とくにリズ・マヒと呼ばれるヘラティ文様は大変人気のあるデザインです。1990年ごろからはナグシェと呼ばれるヨーロッパ風の豪華かつエレガントな文様の製品や、鑑賞用として楽しむために絵画・写真を忠実に再現したタブローと呼ばれる絨毯も製作されています。
ペルシャ絨毯の素材
ペルシャ絨毯の主な素材はシルク(絹)、ウール(羊毛)、コットン(木綿)の3つです。また、ペルシャ絨毯はすべて手織りであり、手織りでないものには「ペルシャ」の名がつきません。
シルクは高級素材であり、軽くてしなやかな特徴があります。ペルシャ絨毯においてもシルクを用いた製品の中には、100万円以上の価値がつく高級品も。
ウールはシワになりにくく、ほかの繊維と比べると燃えにくい特徴があります。ウールの中で最高級品とされているのが、ホラサン地方のウールです。弾力性や起毛性に優れている特徴があります。ウールの価格帯は、シルクとコットンの中間くらいのものが多い傾向です。
コットンは生産されている地域や生産量が多く、安価で取り引きされています。コットンの縦糸は歪みにくく床に馴染みやすいことが特徴です。
近年ではペルシャ風絨毯も多く販売されていますが、素材や手織りならではの美しさはまったく異なります。ペルシャ絨毯の魅力を十分に楽しむためには、素材からこだわって選んでみましょう。
ペルシャ絨毯の歴史
ペルシャ絨毯の明確な起源は判明していませんが、今からおよそ3000~4000年前に誕生したといわれています。絨毯は日常使いする実用品のため、石のような硬い素材でできた製品とは異なり、古くに作られたものがあまり残っていません。なお、当初のペルシャ絨毯は、現在のパイル織りの製品ではなく、獣毛を固めたような製品であったとされています。現在、鑑賞できる最古のペルシャ絨毯は、ロシアのエルミタージュ美術館に所蔵されているパジリク絨毯です。
また、絨毯の起源は西アジアの砂漠や山岳地域に暮らしていた遊牧民が、羊毛を用いて敷物を作ったことと考えられています。平織りのキリムに始まり模様のある敷物が作りだされていき、その後にパイル織りの絨毯が作られていきました。
日本にペルシャ絨毯が入ってきたのは桃山時代と考えられています。当時、権力者の豊臣秀吉が絨毯の美しさを気に入り、絨毯を裁断して陣羽織として活用していました。ペルシャ絨毯の産地であるイランは、日本と同じように室内で靴を脱いで生活する習慣があったため、同じ暮らしの文化をもつ日本でペルシャ絨毯の魅力が受け入れられていったと考えられます。
なお、本格的にペルシャ絨毯が伝来したのは桃山時代ですが、実はそれより太古にペルシャ絨毯は日本へ伝わっていました。魏志倭人伝では邪馬台国の卑弥呼に、海を渡ってきたものから感謝のしるしとして絨毯のような敷物が贈られたと記されています。また、遣唐使による工芸品に花氈というフェルトが使用されており、現在も正倉院宝物として残されています。このことから、桃山時代以前にも何度かペルシャ絨毯と思われる産物が日本に渡ってきていたと考えられるでしょう。
ペルシャ絨毯の試算的価値・美術品価値
ペルシャ絨毯は実用品としても人気が高い製品ですが、その高い芸術性からコレクターも多く、中古でも価値が高いものもあります。また、ペルシャ絨毯は実用性の高い製品であり、使っていくほどに風合いが増して、製作したてのときとは異なる表情を見せてくれる点も、多くの人を魅了する特徴の一つです。
世界三大財産と言われる、ペルシャ絨毯
ペルシャ絨毯は、金や宝石と並んで世界三大財産と呼ばれています。世界中で人気を集め、多くのコレクターがいるペルシャ絨毯は、アンティークになるほどその価値が高まるのが特徴です。製作から50年以上経っているペルシャ絨毯をオールド、100年以上経つペルシャ絨毯をアンティークと呼びます。ペルシャ絨毯はシルクやウールで作られているうえに実用品として利用されてきた製品のため、なかなか品質を保つのが難しいといえるでしょう。そのため、オールドのペルシャ絨毯には1,000万円以上の価値がつけられます。アンティーク絨毯にいたっては、めったにお目にかかれる製品ではありません。
ペルシャ絨毯は中古でも買取してもらえる?
ペルシャ絨毯はその人気の高さから、偽物も多く製作され市場に出回っています。ペルシャ絨毯はすべて手織りとされていますが、偽物の中には機械織りされているものも。機械織りの絨毯は形にまったく歪みがなく、線は定規で引いたように真っすぐなのが特徴です。一方、ペルシャ絨毯は手織りのため、少なからず多少の歪みが必ず生じます。
また、工房サインを入れ替えた偽物も存在します。偽の工房サインを入れる場合、既存のパイルを抜き取って新たにパイルを結ぶ必要があるため、パイルの色が全く一緒にはなりません。そのため、サイン部分の色で偽物を判別することが可能です。
ペルシャ絨毯には産地特有の特徴もあります。有名な産地を謳っていても、特徴が異なる偽物のペルシャ絨毯が販売されていることも。産地の偽装を見抜くためには、各産地のペルシャ絨毯の特徴を知っておくことが大切です。
ペルシャ絨毯の高価買取はプロの査定士へ
自宅で長年使ってきたペルシャ絨毯、クローゼットの奥底に眠っていたペルシャ絨毯など価値がわからないまま所有している人も多くいます。「ずっと使ってきて汚れているから」「本物かどうかわからないから」と買取を諦めている方はいませんか。どのような状態でも製品によっては価値がつきます。
価値がわからなかったペルシャ絨毯の中に、高価買取が狙える製品が眠っていることもあります。ペルシャ絨毯には偽物も存在するため、買取を希望する方は、西洋骨董品の中でもペルシャ絨毯の査定経験が豊富な査定士に依頼するとよいでしょう。