ペルシャ絨毯の本物の見分け方を学び、信頼性を確認しよう
イラン伝統の美を感じられるペルシャ絨毯。手織りで作られた味わい深い文様と耐久性に優れ実用性をもっている絨毯です。多くの人が、一度は購入して自宅のインテリアをワンランクアップさせたいと考えているでしょう。高級絨毯として広く知られているペルシャ絨毯に手を出すのは、少し勇気がいるものです。
また、芸術的な価値と人気の高さゆえに偽物も多く市場に出回っており、初めての購入を考えている人のハードルを上げる原因にもなっています。ペルシャ絨毯に関する知識を身につけて、少しでも本物と偽物を見分ける目を養うことで、納得のいく買い物ができるようになるでしょう。
目次
ペルシャ絨毯には本物と偽物がある?
ペルシャ絨毯は、耐久性もさることながら上質な存在感で足元を彩る芸術性の高いインテリアです。高級品としても広く知られていますが、その価値を利用して偽物を高値で販売する悪徳な業者が後を絶たない現状があります。せっかくペルシャ絨毯を自宅に飾るなら、奥深い魅力をもった本物を購入したいものです。
決して安い買い物ではないため、偽物を高値で購入しないよう、まずはペルシャ絨毯の定義を理解するとともに、その特徴を知ることが大切です。そのうえで、偽物として出回っている製品の特徴を学び、比較をできるようにしましょう。
ペルシャ絨毯の定義
大前提として、ペルシャ絨毯はイラン国内で製作された手織りの絨毯のみを指した言葉です。そのため、イラン以外の国で作られた絨毯は、手織りであっても決してペルシャ絨毯とは呼びません。また、イランで作られていても、手織りではなく機械織りによって生産された絨毯はペルシャ絨毯ではないのです。
近年、実際にイランでペルシャ絨毯の製作に携わっていた人が別の国で直接指導を行い、技術を受け継いで作られている絨毯があります。伝統的な技術を引き継いでいるため、特徴やクオリティの面ではペルシャ絨毯と呼べるかもしれません。しかし、イランで製作されたわけではないため、現在はペルシャ絨毯ではないとする見方が一般的です。
特徴やクオリティについては、産地によって大きな差があります。そのため、ペルシャ絨毯であるかを決めるうえで重要なのは、どこでどのように作られているかであることを理解しておきましょう。
イランにはペルシャ絨毯の5大産地と呼ばれる地域があります。それが「クム」「イスファハン」「カシャーン」「ナイン」「タブリーズ」の5つです。高品質かつ高級品としてのペルシャ絨毯を多く製作しており、日本でも高値で販売されています。しかし、有名産地には偽物がつきものです。有名産地を謳っていても、実は別の地域で作られたペルシャ絨毯だったというトラブルも後をつきません。購入する際は信頼できるお店探しが大切です。
ペルシャ絨毯のパイル糸に使われる主な素材は、シルクとウールです。縦糸にはシルクとウールに加えてコットンもよく使用されます。一般的に絨毯の素材をパイル糸である横糸の種類で判断します。パイル糸がシルクであれば縦糸にどの種類が使われていようとシルク絨毯、パイル糸がウールであればウール絨毯と呼ぶのです。
伝統的なペルシャ絨毯はウール素材で作られたものが多く、耐久性に優れており、踏めば踏むほど風合いが出るといわれています。一方、シルク絨毯はウールよりも耐久性は劣るもののなめらかな肌触りとツヤが特徴で、タペストリーとして利用されるなど芸術性の高い製品が多く作られています。
ペルシャ絨毯の偽物もいろいろある
ペルシャ絨毯の偽物といっても、その種類はさまざまです。そもそも国内で作られていないものはもちろん、イランでも機械織りで作られている偽物もあります。また、手織りで作られているものでも、無名産地のものを有名産地のものと偽っているケースも。人気の高いペルシャ絨毯の偽物は、あらゆる手法で出回っています。
産地の違い
別の産地で製作されたものを有名産地のものと偽って販売されているケースがあります。正真正銘ペルシャ絨毯ではあるものの、産地を偽装して販売されているため、偽物といえるでしょう。
とくに5大産地の製品は高級絨毯として広く知られているため、別の地域で作られたペルシャ絨毯を低価格で買い取り、5大産地のペルシャ絨毯と偽って高値で販売する業者がいるのです。産地を偽装する際は、工房サイン部分の糸を結び替えて販売される方法が多いようです。
手織りか、機械織りか
ペルシャ絨毯であるかを判別する大きな違いは、手織りと機械織りどちらであるかです。しかし、機械織りの製品であっても手織りの絨毯であると偽って販売されているケースがあります。現在では、機械織りの技術が進歩しており、精巧に作られた絨毯が大量生産されています。もちろん、機械織りの絨毯として販売されているものは問題ありませんが、安く作られた機械織りを手織りのペルシャ絨毯と偽って高値で売られている場合もあるため、注意が必要です。
悪質なコピー品であることも
近年、技術の発展とともに、ペルシャ絨毯のデザインをコピーして製作されたものが、本物として販売されていることも。本物のペルシャ絨毯の文様をスキャナーで読み込み製作されるため、どのようなデザインでもコピーが可能です。
また、ペルシャ絨毯を模倣して製作されている手織りの絨毯も多くあります。世界各国でコピー品が製作されており、トルコやパキスタン、インド、エジプト、ルーマニア、中国絨毯などがあります。とくに日本では1980年代ごろ、ペルシャ絨毯を模倣して作られた中国の高段数と呼ばれる絨毯が大量に輸入されました。文様だけではなく、工房サインも模して精巧に作られていますが、ペルシャ文字に似せているだけで実際には読めないものも多くありました。
ペルシャ絨毯の本物は見分けられる?
本物のペルシャ絨毯を見分ける主なポイントは4つです。
・機械織りか手織りか
・素材
・産地
・サイン
手織りの絨毯は、一つひとつ手作業で織っていくため製品によって誤差はあるものの歪みが生じます。一方、機械織りは精密な機械を利用しているため生地に歪みが生じません。線が定規で引いたように真っすぐなのが特徴です。また、手織りでは縦糸がそのままフリンジになりますが、機械織りではフリンジを後から縫いつけています。
偽物のペルシャ絨毯にはシルクやウール以外の素材が使われているケースもあります。シルクの代替品として利用されているのがバンブーレーヨンです。原材料は竹ですが、化学合成されているため紛れもない化学繊維です。シルクは繊維が長いため無駄毛があまり生じませんが、バンブーレーヨンは繊維が短いため無駄毛が生じやすい特徴があります。
産地や工房の偽装は、絨毯に描かれている工房サインから判断可能です。サインを偽装する際に既存のパイルを抜き取り、新しいパイルで結び変えるため、微妙に色合いが異なります。
ペルシャ絨毯と間違われやすい絨毯
高級絨毯はペルシャ絨毯だけではありません。トルコ絨毯や中国段通、パキスタン絨毯も高級絨毯の部類に入ります。どれも手織りで製作されており品質も高いことから、ペルシャ絨毯と間違って販売されていても見分けが難しいといえます。プロでも見分けが難しいほど高クオリティのものもあるため、素人目で判断するのは困難でしょう。
本物のペルシャ絨毯を見分けよう
ペルシャ絨毯は高級品として人気がありますが、それゆえ偽物も多く出回っています。また、近年では精巧に作られた偽物も多く、素人目では判断が難しいことも。そのため、購入や売却を検討している方は、信頼できるプロへ依頼することが大切です。また、パソコンやスマホの画面越しでは質感や肌触りが確認できないため、画像だけで本物かどうかの判断をしてしまうのは危険です。ペルシャ絨毯を購入するときは、実際に手に取って文様や質感を確かめるようにしましょう。実物に触れる機会がある方はぜひ自分の目でチェックしてみてください。