絨毯美術館の秘宝:美術館で楽しむ絨毯の奥深さ
高級絨毯として知られる、イランのペルシャ絨毯。実用性が高く実際にインテリアとして使用する人もいれば、鮮やかな色使いや独特な文様に芸術的価値を見出し鑑賞物として楽しむ人もいます。また、オールドやアンティークのペルシャ絨毯は歴史的価値があるとして、美術館や博物館に展示されています。美術館で楽しむ絨毯の奥深さを知って、さらにペルシャ絨毯に対する興味を深めていきましょう。
目次
日本国内の絨毯美術館
日本では高級品として広く知られているペルシャ絨毯ですが、歴史的価値や芸術性の高い絨毯も多く存在しています。とくにオールドやアンティークのペルシャ絨毯は価値が高く、博物館や美術館の展示物になっていることも。日本の美術館や博物館でも、貴重なペルシャ絨毯の鑑賞をお楽しみいただけます。
シルクロード絨毯ミュージアム
シルクロード絨毯ミュージアムでは、シルクロードで生まれた手織りの絨毯を展示しています。西はトルコ、イランから、東は中国、日本まで。18世紀から現代に至るまでの手織り絨毯を展示しており、歴史の流れとともにお楽しみいただけます。また、直接手に触れながら間近でご鑑賞可能です。伝統や由緒ある絨毯、オールドやアンティークの絨毯など貴重な絨毯コレクションとともに、絨毯作りに欠かせない材料や道具も展示しています。
シルクロード絨毯ミュージアム
兵庫県神戸市東灘区向洋町中6-9 神戸ファッションマート3階
https://www.carpetandrug.net/aboutus/museum/
白鶴美術館
白鶴美術館では、19世紀後半から20世紀初頭にかけて織られた絨毯を中心に展示。ペルシャ絨毯を代表する豪華絢爛なメダリオン絨毯をはじめとして、イスラム文化圏を象徴するミフラーブ文様、生命樹を描いた絨毯、そして物語の一場面を切り取った絨毯などさまざまな文様と意味が込められた絨毯を展示しています。白鶴美術館では絨毯だけではなく、青銅器や陶磁器、装身具、経巻、絵画などの歴史的価値のあるコレクションもあわせてお楽しみいただけます。
白鶴美術館
兵庫県神戸市東灘区住吉山手6丁目1-1
https://www.hakutsuru-museum.org/
京都国立博物館
京都国立博物館では、豊臣秀吉がペルシャ絨毯を気に入り作らせたとされる『鳥獣文様陣羽織』をご鑑賞いただけます。陣羽織には、連続して描かれたひし形模様の中に2頭の動物が組み合う様子が綴織で表現されています。シルク糸に銀の薄板を巻き付けた特殊な金属糸を利用していることから、サファヴィー朝時代のペルシアの宮廷工房で製作された生地と考えられているようです。京都国立博物館では、さまざまな特別展を開催していますのであわせてご鑑賞ください。
京都国立博物館
京都府京都市東山区茶屋町527
https://www.kyohaku.go.jp/jp/
世界の絨毯美術館
世界の博物館や美術館でも多くの貴重なペルシャ絨毯が展示されています。世界最古のペルシャ絨毯も鑑賞できるため、歴史的価値に興味のある方は、どの美術館にどのようなペルシャ絨毯が所蔵されているかチェックしましょう。
イラン絨毯博物館(カーペット美術館)
ペルシャ絨毯の本場イランに建てられているイラン絨毯博物館では、歴史的価値のある貴重な絨毯が多く展示されています。イラン各地で生産されたさまざまな絨毯が展示されていますが、とくにオールドやアンティークと呼ばれる古い名品絨毯が多い傾向です。展示方法にも工夫があり、絨毯を壁に飾るだけではなく、地面に敷いた状態で展示されているものも。さまざまな角度から絨毯をお楽しみいただけます。イラン絨毯博物館に収蔵されている絨毯は、最後の国王パフラヴィー2世の皇后ファラ王妃がコレクションしていたものが基本です。その後、カージャール朝ペルシア帝国の子孫から寄付された絨毯も多く展示しています。
イラン絨毯博物館(カーペット美術館)
Tehran Province, Tehran, Dr Fatemi St, イラン
https://g.co/kgs/UoNAkcU
エルミタージュ美術館
エルミタージュ美術館では、世界最古のペルシャ絨毯と称される『パジリク絨毯』が展示されています。シベリアのアルタイ山脈パジリク渓谷の永久凍土で発見された『パジリク絨毯』は、およそ2500年前に作られたペルシャ絨毯と考えられています。織り方は、2本の縦糸に一つひとつ糸を絡ませて織っていく現在のペルシャ絨毯と同じものでした。保存状態がよく、5列のボーダー文様が配置され、中央に鹿、馬を引く人、馬にまたがる兵士などが描かれているのがはっきりとわかります。エルミタージュ美術館はロシアにある世界最大級の国立美術館で、絨毯をはじめとして歴史的価値のあるコレクションが300万点以上展示されています。
エルミタージュ美術館
Palace Square, 2, St Petersburg, ロシア 190000
https://g.co/kgs/u9WHB1E」
ヴィクトリア&アルバート博物館
ヴィクトリア&アルバート博物館では、年代が判別できる世界最古の絨毯である『アルデビル絨毯』が展示されています。絨毯の表面にイスラム歴946年に作られたことを示す文字が織り込まれており、西暦になおすと1539~1540年に製作されたと考えられます。生地には上質なウールとシルクがふんだんに使用されており、当時としては大変高級なペルシャ絨毯であったといえるでしょう。ヴィクトリア&アルバート博物館はイギリスにある世界最大級の国立美術館で、絨毯をはじめとして歴史的価値のあるコレクションが400万点以上展示されています。
ヴィクトリア&アルバート博物館
Cromwell Rd, London SW7 2RL イギリス
https://www.vam.ac.uk/
絨毯の奥深さを美術館で堪能しよう
実用性と芸術性どちらも高いペルシャ絨毯は購入して楽しむだけではなく、美術館や博物館でも鑑賞できます。購入するペルシャ絨毯とはまた違い、歴史的背景を想像しながら楽しめるのも醍醐味の一つです。ペルシャ絨毯の文様や産地など基本的な情報を知り興味を持ち始めた方は、ぜひ美術館で歴史的価値の高いペルシャ絨毯の鑑賞も楽しんでみてください。