高い芸術性をもつペルシャ絨毯。伝統的な絨毯は全体が同じ文様で構成されることはありません。デザインによって部位の有無が変わりますが、文様の位置や形状により名称が決まっています。例えば、中央の文様の周囲を囲っている枠をボーダーやガード、枠の内部をフィールドなどと呼びます。文様の種類や部位の名称がわかると、よりペルシャ絨毯への理解や興味が深まるでしょう。
目次
ペルシャ絨毯の構図や部位の名称
繊細かつ洗練された魅力をもつペルシャ絨毯。色鮮やかな色彩の中にあるさまざまな文様が多くの人の心を惹きつけ魅了しています。ペルシャ絨毯は、模様によってその全体の構成が異なります。主な構図ごとに部位の名称を見ていきましょう。構図や部位の名称・特徴を知ることで、美術品としても評価の高いペルシャ絨毯のアート性をより楽しめます。
メダリオン文様のペルシャ絨毯
メダリオン文様のペルシャ絨毯は、代表的な文様の一つです。中央に文様のメインとなるメダリオンが配置されています。その周囲をボーダーやガードと呼ばれる枠で囲っており、枠内にはフィールドと呼ばれる文様が広がっています。中心部の大きな円形のデザインが特徴で、楕円や八角形、花弁形などバリエーションも豊富です。また、上下左右が対象となるように構成されている特徴があります。
メヘラブ文様のペルシャ絨毯
メヘラブ文様のペルシャ絨毯は、モスクの尖塔をイメージした文様の絨毯です。中央にはゲンディールと呼ばれる吊りランプの文様があり、周りはガードやボーダーで囲われています。囲いの中にはフィールドと呼ばれる文様が広がります。モスクはイスラム教徒にとって神聖なものとされており、メヘラブ文様のペルシャ絨毯は祈祷用としても用いられるのも特徴です。また、装飾性の高いメヘラブ文様のペルシャ絨毯は、壁面を飾るタペストリーとして使われることもあります。
総柄文様(オーバーオール)のペルシャ絨毯
絨毯一面に同じ文様の総柄を敷き詰めている特徴のあるオーバーオール。総柄文様とも呼ばれます。細かく分けるとアラベスクや花柄のペルシャ絨毯によく用いられる構図です。フィールドに色鮮やかな総柄の文様が敷き詰められ、その周りをガードやボーダーが囲っています。中央にメダリオンを置かず、絨毯一面をキャンバスのように使って文様が描かれているのが魅力的です。
美しいフリンジ(ふさ)もペルシャ絨毯の特徴
ペルシャ絨毯の特徴の一つでもあるフリンジ。
フリンジとは、絨毯が織りあがったあとに切り離される織物の縦糸の端を指します。フリンジはペルシャ絨毯の部位の中でも傷みやすい部位のため、普段使いする際はフリンジを織り込んだり、ペットのいないところで使用したりしましょう。また、汚れや黒ずみが目立つ部位のため定期的なメンテナンスをすることもあります。
ペルシャ絨毯のパーツ名称を知るともっと楽しい
繊細で美しい文様のペルシャ絨毯にはさまざまな構図があります。構図や文様の違いによって表情を変えるペルシャ絨毯の部位や名称を知ると、よりペルシャ絨毯の鑑賞や利用を楽しめます。販売店で好きな文様を探す際も、この構図のメダリオンが気に入ったなど、細かくチェックして楽しめるのではないでしょうか。芸術性の高いペルシャ絨毯のパーツ名称や構図を知ると、ペルシャ絨毯の味わい方も増えていくでしょう。