実用性と芸術性を兼ね備えたペルシャ絨毯は、世界中にコレクターがいるほど人気の織物製品です。その人気の高さゆえに、本物のペルシャ絨毯に似せたコピー品を本物と偽って販売されることも。品質のよい本物のペルシャ絨毯を購入するためには、良し悪しの判断方法を知っておくことが大切です。
目次
ペルシャ絨毯にも良し悪しがある
高級絨毯として知られているペルシャ絨毯にも、品質がよいものとよくないものがあります。また、人気の高さから品質の悪い偽物も多く出回っています。ペルシャ絨毯の良し悪しを決めるのは、ノットの密度やラインの正確さ、使われている素材、染着度合い、織り方、目の細かさ、産地などです。ペルシャ絨毯をチェックするときは、これらの項目に着目しましょう。
ノットの密度・目の細かさ
ノット密度とは1㎡あたりのノット数を示す指標です。ノット数が多いほど織りの密度が高く編み目が細かいため、繊細な文様を描くことが可能です。また仕上がりも、薄くしなやかになります。ノット数はおよそ110万個/㎡~169万個/㎡あると、高級なペルシャ絨毯の部類に入るといわれています。
ラインが正確にでているデザイン
ラインが正確にでていてはっきりしているデザインは、先述したノット数が多く、繊細に織りこまれている製品です。そのため、ラインが正確なデザインは繊細かつ正確に織られたペルシャ絨毯とわかります。
天然の素材使い
ペルシャ絨毯に使われる主な素材はシルク、ウール、コットンです。シルクは高級素材として知られていますが、シルクで織られたペルシャ絨毯が必ずしもウールより優れているわけではありません。ウールでも高級なペルシャ絨毯はあります。素材の違いにより適した用途や使用場所が違うため、適材適所で絨毯を選ぶことで良し悪しが変わるでしょう。たとえば、シルク絨毯は引っ張る力には強いですが、摩擦には弱い特徴があります。そのため、椅子の出し入れが頻繁にあるダイニングセットの下にはシルクよりもウールの絨毯が適しています。
天然素材の染着
ペルシャ絨毯に使われる染料には、大きく分けると天然染料と合成染料の2種類があります。天然染料は貴重な素材も多いうえに、織物製品を染め上げるのに高い技術を要します。そのため、天然染料で染められたペルシャ絨毯は高級品として有名です。
細やかで強固な織り
ペルシャ絨毯はすべて手織りで作られています。そのため、職人の技術によっても良し悪しが左右されるでしょう。細い糸を用いて繊細かつ結びをしっかりと織っているほど耐久性がアップします。また、繊細な文様の表現が可能です。上質な素材を利用することは大切ですが、実用性や芸術性の部分では織りの技術も大切な要素の一つです。
産地
ペルシャ絨毯には、5大産地と呼ばれる地域があります。「クム」「カシャーン」「ナイン」「イスファハン」「タブリーズ」の5つの地域で作られたペルシャ絨毯は、高級織物として広く知られています。この産地で作られたペルシャ絨毯に似せて、別の地域ではコピー品も多く作られているのです。たとえば、ザンジャン、マラゲ、シャーレザ、アルデカン、ヤズド、タバス、カシュマール、ナジャファバド、ホイなどです。コピー品といえど、品質は本物に劣ります。コピー品が産地を偽って販売されていることもあるため注意が必要です。
中古のペルシャ絨毯も良いとされる理由
踏めば踏むほど美しさに深い味わいがでるといわれるペルシャ絨毯。耐久性も高いことから、古いペルシャ絨毯も中古市場で多く出回っています。なかには新品のペルシャ絨毯よりも高値がつく中古のペルシャ絨毯もあります。
アンティークペルシャ絨毯の定義
ペルシャ絨毯は、作られてから経過した年数により3つのグループに分類されます。製作から100年以上経っているものを「アンティーク」、80年以上経っているものを「セミアンティーク」、50年以上経っているものを「オールド」と呼びます。
中古のペルシャ絨毯に高い価格がつくのは、その希少性に由来するものです。何十年と経っているにもかかわらず品質のよい状態で現存していれば、希少価値が高まるといえるでしょう。
骨董品・美術品として価値の高いアンティークペルシャ絨毯
中古のペルシャ絨毯は、骨董品や美術品としての価値も高い織物製品です。品質のよい状態で現存していることはもちろん、その時代に描かれた文様が歴史的価値や芸術的価値を高めています。そのため、アンティークペルシャ絨毯にはコレクターも多くいます。
保存状態が悪いと価値が下がることも
耐久性が高く、長く使い続けられるペルシャ絨毯ですが、管理を怠れば劣化が進んでしまいます。ご自宅でペルシャ絨毯を使用している方は、保存状態が悪いと価値が下がってしまうおそれもあるため、適切な保管方法を心がけましょう。日焼けによる色あせは価値を下げる原因です。また、汚れもなるべくついていないキレイな状態が好まれます。ペルシャ絨毯は薄くてお手入れがしやすいため、日常的に掃除を行うようにしましょう。
ペルシャ絨毯の良し悪しを見極めよう
ペルシャ絨毯の良し悪しを決めるのは、素材や産地だけではなく織りの技術も関係性が深い傾向です。よい素材を使用していても、織る職人の技術がなければ耐久性が高く繊細な文様のペルシャ絨毯は作れません。また、ペルシャ絨毯は長く使い続けられることから、中古市場でも人気を集めている製品です。100年以上前に作られたアンティーク絨毯には想像もできない価値がつけられることも。
ペルシャ絨毯は大切に扱えば、子どもや孫にも引き継いでいける製品といえます。良し悪しの判断方法を知って、品質のよさを見極めてお気に入りの1枚を見つけてみてください。