日本では、掛けて拝する仏教仏画の世界から、花鳥画や山水画のような水墨画まで日本ならではの画風でさまざまな作品が現代まで描かれています。古くから、掛軸は床の間に掛けて鑑賞する美術品として多くの人に親しまれてきました。
京都で生まれ育った作家の作品や、京都の街並みや人々を描いた掛軸作品も多く存在します。歴史として記録に残っている有名な作家の作品も数多くあり、高額で買取されている作品もあるでしょう。掛軸作品や作家を調べてみて、自分の出身地である京都にゆかりのある掛軸を飾りたいと考えている方もいるのではないでしょうか。京都にちなんだ作家や作品の歴史を知り、掛軸への知見をより深めましょう。
京都には価値の高い掛軸がたくさんあります
掛軸は、仏画として中国から日本へ伝わったのちに、書画や絵画を床の間に飾り鑑賞を楽しむために巻物の形に仕立てた芸術作品です。歴史を重ねるにつれ掛軸の種類も増え、今では仏画に始まり花鳥画、山水画、水墨画、浮世絵などさまざまな書や絵が描かれています。使い道も多彩で、茶道を行うときに茶室に飾り茶道の世界観や禅の文化を表現したり、床の間に季節にちなんだ書画を飾り四季の移り変わりを味わったりと楽しみ方も人ぞれぞれです。
京都で掛軸の価値を知りたい方や買取を検討している方は、掛軸査定の経験や実績が豊富な査定士への査定依頼をお勧めします。
京都にゆかりのある、掛軸作家と代表作
日本の掛軸作品は、見るものを圧倒する迫力のある作品から、柔らかく繊細なタッチで描かれた優美な作品までさまざまです。掛軸を自宅に飾りたいと考えたとき、目的や自宅の雰囲気、好みなどで選ぶのも良いでしょう。
また、自分の思い入れのある地域出身やゆかりがある作家・作品を探してみるのもお勧めです。古くから日本の芸術として親しまれてきた掛軸には、京都にゆかりのある掛軸作家や作品も多く存在します。
池大雅
作家名:池大雅(いけのたいが)
代表作:『楼閣山水図』『十便十宜図(十便図)』
生没年:1723年-1776年
池大雅は京都の町人の子として生まれ、18世紀に活躍した文人画家です。その才能は早くから開花し、7歳のころ万福寺で書を披露し、絶賛されています。1737年、亡き父の通称である菱屋嘉左衛門を襲名し、扇屋を開きました。当時、禅僧と交流していく中で大陸の文物と触れ合う機会があり、文人趣味の扇絵を描いていました。20代のころには筆ではなく手指を用いて描く指頭画にも挑戦しています。池大雅は旅行や登山が好きであったため、自らの足で日本を旅し、実際に見た景色を数多く描いていきました。中国絵画の模倣では終わらないおおらかでのびのびとした画風を確立し、人気を集めました。
また、今日では池大雅の作品が高く評価されており、国宝や重要文化財に指定されている作品も数多く存在します。屏風や襖絵は現在でも高く評価されていますが、掛軸も多く手掛けていました。池大雅は自由を愛し清廉潔白な人物であったとされています。そして、その人柄が垣間見える作品を数多く残しています。
円山応挙
作家名:円山応挙(まるやまおうきょ)
代表作:『七難七福図』『孔雀牡丹図』
生没年:1733年-1795年
円山応挙は、丹波国桑田郡穴太村(現・京都府亀岡市)に生まれ、江戸時代後期に活躍した絵師です。10代のころには京の都に出てきて画の技術に磨きをかけ、尾張屋と呼ばれるガラス製品のびいどろ道具や人形を扱う玩具店に奉公しました。一時は狩野派の絵師のもとで画を学びましたが、中国画をも含むさまざまな流派の画風を取り入れ、写生をメインとした独自の画風を確立していきます。40代半ば以降は一門を持ち、数々の障壁画制作をこなしていきました。完成された障壁画の中には国宝として有名な『雪松図屏風』や畢生の大作となった『松に孔雀図』などがあります。
また、小さな動物が遊ぶ様子を描くのが得意だった円山応挙の狗子図は当時から人気を集めており、現代においても多くの掛軸作品が残されています。また円山応挙は、幽霊=足がないというイメージを作った人物としても有名です。
川合玉堂
作家名:川合玉堂(かわい ぎょくどう)
代表作:『春渓群猿図・秋渓群鹿図』『溪村春麓図』
生没年:1873年-1957年
川合玉堂は、愛知県一宮市で筆墨紙商の子に生まれ、四季折々の美しい日本風景を描く近代日本画壇の巨匠とも呼ばれる画家です。1881年に岐阜県に移り住み、12歳ごろから絵を描き始めたといわれています。14歳のころ、岐阜に住む画家の青木泉橋から紹介状を受け取り、京都の日本画壇である四条派の望月玉泉門下に入りました。その後、玉舟の号をもらっています。1890年には第3回内国勧業博覧会で入選を果たします。また、1896年には橋本雅邦の門下に入り画家としての制作を続けながら、私塾の主宰や文展の審査員などを務めるようになりました。
1917年には、フランス政府からレジオンドヌール勲章を授与、ドイツ政府から赤十字第一等名誉賞を授与されるなど海外でも高く評価されています。川合玉堂の作品は、日本の四季折々の自然の美しさを表現する優美な線と色彩が特徴です。また、そこに暮らす人々や動物たちの生き生きとした営みも繊細に描いており、数多くの美しい掛軸作品を世に残しています。
京都の掛軸買取は実績ある査定士へ相談を
京都にゆかりのある掛軸作家が描いた作品にも高価買取の可能性が秘められています。
掛軸集めを趣味にしていた祖父から譲り受けた掛軸、有名な作家の落款が入った掛軸など、自宅に価値のわからない掛軸をお持ちの方も多くいるのではないでしょうか。破れやシミ、カビなどの損傷があっても査定は可能です。まずは、知識や経験の豊富な査定士に依頼して適切な価値を知りましょう。