掛軸は、日本国内のみならず世界からも高い評価を受けている美術作品です。
日本には古来中国から伝わり、古くから親しまれています。同じ掛軸でも中国と日本では画のタッチや文字と画の組み合わせなどにより違いがあります。日本ならではの繊細な筆感や美しい色彩を楽しめる日本画掛軸は、骨董品・美術品市場でも人気の作品です。
東京出身や東京にゆかりのある掛軸も多く存在し、歴史に名を残している著名作家の作品は、今でも高額で買取されています。中には自分の出身地とゆかりのある掛軸を飾りたいと考える人もいるのではないでしょうか。有名な作家の生い立ちや代表作品などを知り、より掛軸への興味を深めましょう。
東京には価値の高い掛軸がたくさんあります
掛軸とはそもそも、書や絵を床の間に飾り鑑賞を楽しめるよう仕立てた美術作品です。
西洋絵画とは異なり、飾らないときは巻物にして箱の中にしまっておける特徴があります。掛軸は画や書が描かれている本紙と額縁に当たる表層の組み合わせによっても楽しめるのが魅力の一つです。
買取において、一見価値がなさそうな古びた掛軸も、ふたを開けてみると実は名作だったということもあります。掛軸の価値はなかなか自分では判断できません。東京で掛軸の処分をお考えの方は、掛軸査定の専門家に一度お見せすることをお勧めします。作者がわからない、表装がされていない、しわやシミなどの汚れがあるなどの場合でも価値がつくこともあります。
東京にゆかりのある、掛軸作家と代表作
多くの掛軸作家が多彩な作品を残し、一般家庭においても床の間へ掛軸を飾り楽しむ時代。中には自分の出身地とゆかりのある掛軸を飾りたいと考える人もいるのではないでしょうか。長い日本掛軸の歴史において、東京にゆかりのある掛軸作家も多く存在します。
葛飾北斎
作家名:葛飾北斎(かつしかほくさい)
代表作:『正宗娘おれん 瀬川菊之丞』『富嶽三十六景』『酔余美人図』
葛飾北斎(1760年-1849年)は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師です。現在の東京都墨田区に生まれ、小さなころから絵を描くことに夢中でした。10代の終わりには、当時人気浮世絵師だった勝川春章に入門し、絵師となりました。代表作である「富嶽三十六景」は、46図におよぶシリーズものの浮世絵版画です。高い画力と思いもよらぬアイディアで、各地のさまざまな角度から眺めた富士山の姿を描いています。
富嶽三十六景に描かれている富士山はそれぞれ違った表情や魅力があり、たとえば陽の光に山肌を赤く染めた優美な姿や橋げたの奥に遠く望む富士山などさまざまなアイディアで富士山が描かれています。中でも多くの人を虜にしたのが、「波間の富士」の俗称を持つ「神奈川沖浪裏」です。船を飲み込む勢いの迫力ある大きな波の下に小さく富士を描いたその作品は、自然の脅威と人間の営み、それらを超越する霊峰の姿が見事に表されている魅力的な一枚です。
葛飾北斎は、およそ70年にもわたって絵を描き続け、多彩な作品を残しました。没後もますます高い評価を受け、現代においても世界の偉大な芸術家として国内外で人気を集めています。
片岡鶴太郎
作家名:片岡鶴太郎(かたおかつるたろう)
代表作:『東京夜景』『一富士二鷹三茄子』『彩雲不二』
片岡鶴太郎は日本のお笑い芸人、役者、画家とマルチに活躍するタレントです。
1954年に生まれ東京の下町で育ちました。画家としては、1995年に初の絵画展「とんぼのように」を東京で開催します。その後2001年にはフランス・パリで初の海外個展を開催。2011年には本格的な仏画を出店するなど、画家としても精力的に活動しています。2014年~2017年にかけては還暦と画業20周年を記念した個展「還暦紅」を全国20カ所で開催し、34万人を動員する大盛況を収めました。現在も群馬県草津、石川県山中、佐賀県伊万里、福島県飯坂に個人美術館を設立するなど、東京だけではなく全国で継続的に活動しています。
伊東明生
作家名:伊東明生(いとうめいせい)
代表作:『百事諧 ひゃくじ/ととのう』『南無阿彌佗佛』『龍虎二行書』
伊東明生は、1941年生まれ東京出身の画家です。日本水墨画協会に所属しており、市展、県展で入選を果たしています。現在は静岡に在住。
衣笠玉関
作家名:衣笠玉関(きぬがさぎょっかん)
代表作:『旭光照波』『お雛様』
衣笠玉関は、1950年生まれ東京在住の画家です。県展や市展に積極的に作品を出品し、個展も3回開催しています。得意な画は花鳥画と山水画です。
東京の掛軸買取は実績ある査定士へ相談を
東京にゆかりのある掛軸作家が描いた作品の中にも高価買取の対象となっている作品があります。
自宅や倉庫の大掃除を行っていて掛軸がでてきたときには、すぐに処分してしまわずに、まずは実績のある査定士に相談してみるのがお勧めです。
長い間ほこりをかぶって放置されていた掛軸は、汚れやシミが目立つ場合もあるでしょう。しかし、状態がきれいでなくとも価値のつく作品もあります。また、補修によって価値が変動することもあるため自己判断での修復は注意が必要です。自宅の倉庫から出てきた掛軸の価値を知っておきたいと考えている方は、実績や経験が豊富な専門の査定士へ査定をお願いしましょう。掛軸は、箱、落款、署名などがあればさらに価値が上がる可能性もあるため、査定前にチェックしてみてください。