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シミ・汚れ・日焼け……劣化した掛軸でもまずは買取相談を!

2024.09.14

掛軸の買取を考える際、きれいな状態に修理して出したほうが良いのかと考える方も多いのではないでしょうか。また、損傷の大きさから買取を諦めてしまう方もいるでしょう。

しかし、掛軸は劣化が進んでいる状態でも査定で価値がつくこともあります。そのため、まずはそのままの状態で査定してもらうことが大切です。

 

掛軸が劣化してしまった…

掛軸は巻物の形になっており、鑑賞するときは開いて、保管するときは巻くことによって、必要以上に外気にさらされない作りをしています。そのため、本紙の劣化を防ぐことが可能です。しかし、時間が経てば少しずつ劣化はしてしまうものです。巻物のように巻くと折れが生じたりしわになったりもします。また、保管中に虫食い穴やカビ・シミが発生してしまうことも。大切に保管していたとしても、数十年、数百年と時間が経てば劣化は進んでしまうでしょう。

掛軸のトラブルとして多い劣化は以下のとおりです。
・しわ・折れ
・汚れ
・シミ・カビ
・破れ・虫食い
・裏打の浮き
・軸先の外れ
・日焼け

しわや折れを防ぐためには、保管するときにきつく巻きすぎないようにしましょう。保管場所の湿気が多いと、シミやカビの発生を促してしまいます。反対に、乾燥していると亀裂が入ってしまうため保管中の湿度管理が大切です。制作時の技術的な問題で、古い掛軸だと部分的に糊がはがれて本紙が浮いてしまうことがあります。

また、軸先も外れていただけの場合もあれば、軸先部分の表装が破れてしまっていることもあるでしょう。
掛軸は飾っている間も劣化が進みます。
長時間紫外線にさらされると日焼けを起こしてしまいます。直接日光にあたるのはもちろん、蛍光灯のようなライトの光にも紫外線が含まれているため、少しずつ劣化が進んでしまうでしょう。

掛軸の劣化を遅らせるためには、飾る場所や保管方法に気を遣う必要があります。

 

劣化した掛軸は修復した方がいい?

劣化を悪化させてしまう恐れがあるためあまりお勧めできませんが、掛軸を自分で修理する方法もあります。掛軸を修理する主な方法は4つあります。

1.シミ抜き

掛軸は湿気に弱いため、保管時の湿度管理ができていないとシミが生じやすくなってしまいます。また、経年劣化による変色もよくみられます。掛軸に発生したシミを落とすためには、水洗浄もしくは薬品によるシミ抜きが必要です。湿気や水分が原因で発生したシミであれば、水洗浄で落ちる可能性が高いでしょう。しかし、経年劣化による変色や茶色っぽいシミの場合は水洗浄ではきれいになりにくく、薬品によるシミ抜きが必要です。どちらの方法が適切か、どの薬品を利用すればよいかなどを判断するためには専門的な知識が必要なため、自分でシミ抜きを行うのは避けたほうがよいでしょう。

2.破れの修理

掛軸は和紙や絹でできています。そのため、時間が経つにつれ破れは発生しやすくなってしまいます。また、飾ったり保管したりするときの取り扱い方によっては、誤って破いてしまうこともあるでしょう。掛軸の破れは裏側から紙をあてて修復を行います。破れている箇所が大きい場合は、掛軸を分解する必要もでてきます。古い掛軸は素材の劣化が進んでいるため、修理中により傷みを悪化させないよう注意が必要です。

3.ひび割れの修理

掛軸には、経年劣化によるひび割れが生じます。掛軸に発生したひび割れは、漉きはめ修復とよばれる手法で修理します。漉きはめは、掛軸の素材と同じ紙質の原料液を流し込み形成を行う方法です。専門的な技術を要する修理方法であるため、自分で行うのは難しいでしょう。

4.仕立て直し

掛軸は何枚もの和紙や絹が層になって作られています。そのため、飾りっぱなしや巻きっぱなしにしていると折れやシワが発生してしまいます。折れやシワが目立つ場合は、ゆがみの仕立て直しが必要です。仕立て直しでは、掛軸を解体する必要があります。シミや破れが生じている場合は、解体時に合わせて修理を行いましょう。その後再び掛軸を組み立てなおしていきます。

掛軸は繊細な美術品です。修理には専門的な技術や知識が必要なため、知識や経験のない方が見よう見まねで行うと、かえって掛軸を傷つけてしまう恐れがあります。掛軸を修理したい場合は、専門業者への依頼がお勧めです。

 

掛軸の表装・表具などが劣化…修理してもらった方がいい?

掛軸の劣化を修理するなら自分で行うより業者へ依頼したほうがよいと紹介しましたが、買取を検討している場合は、修理をせず査定に出すことをお勧めします。
その理由としては、もしあなたが掛軸の高額買取を狙って修理をしたとしても、作品そのものの価値が低ければ掛軸の買取金額よりも修理代金の方が上回ってしまう可能性があるでためです。
また、安い価格で修理に出すとかえって掛軸の傷みや劣化を大きくしてしまうリスクもあります。
買取を考えている場合は、そのままの状態でも歴史的価値を秘めている可能性があるため、まずは修理を行わずに査定してもらうのがお勧めです。

 

劣化した掛軸もまずはプロに査定をしてもらいましょう

「倉庫から掛軸が出てきたけど傷みが激しい」「描け時幾の買取を依頼したいけど自宅で飾っていたときに破いてしまった」など、劣化した掛軸の買取を依頼する前に諦めてしまう方も多いのではないでしょうか。しかし、劣化が進んでいる掛軸でも価値がつく可能性があります。

掛軸を修理してきれいな状態で査定に出したいと考えがちですが、修理や修復は掛軸の損傷を大きくしてしまうリスクがあります。そのため、買取を検討している場合はそのままの状態でまずは依頼しましょう。また、劣化した掛軸の買取を諦めて放置せず、まずは知識や経験の豊富な査定士にご相談ください。

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