かつて江戸と呼ばれていた東京には、今も浮世絵を扱う業者が多くいます。
作品の中には高い価値が付けられるものもあります。
買取を行う業者も少なくないため、浮世絵を処分したい方は相談してみてはいかがでしょうか。
東京で浮世絵を買取してもらいたいと考えている方は、高価買取のポイントなどをチェックしましょう。
目次
東京で浮世絵買取を相談しよう
浮世絵は、経済や文化の中心地だった江戸で花開いた芸術です。
そのため、東京には今も多くの浮世絵作品が残されていると考えられます。また、浮世絵の買取ができる業者も少なくありません。
もともと大衆文化として生まれた浮世絵ですが、作品によっては高い価値を持つ可能性があります。
自宅の整理や相続などで入手した浮世絵の処分を考えている方は、買取を相談してみてはいかがでしょうか。
浮世絵とは
浮世絵とは、主に江戸時代から昭和初期にかけて描かれた風俗画です。
とくに、江戸時代に木版画の手法が生まれ、大量生産が可能になってから大衆文化として大きく発展しました。
技術の進歩により多色摺りができるようになると、鮮やかな色彩を生かした作品が多数発表されて、浮世絵の人気はさらに高まりました。
葛飾北斎(かつしかほくさい)、歌川広重(うたがわひろしげ)、喜多川歌麿(きたがわうたまろ)、東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)などが主な浮世絵師です。
浮世絵の色使いや大胆な構図は、海外にも影響を与えました。
ゴッホやゴーギャンといった有名画家も浮世絵を模写したり、自分の作品の中に取り入れたりしたといわれています。
19世紀後半にヨーロッパで日本の美術工芸品を愛好するジャポニズムが流行した際、その中心となったのも浮世絵でした。
風俗画である浮世絵は、さまざまなものをテーマとしたことも特徴です。
人物画や風景画、当時話題になった事件などを描いた浮世絵は、現代でいう新聞や雑誌のような役割も持っていました。
ただし、明治時代中期に写真が普及すると浮世絵は徐々に衰退してしまいます。
その後、大正から昭和にかけて浮世絵の復興を目指す動きが広がりました。人気作品の復刻版が作られたり、新版画と呼ばれる新作が発表されたりしています。
浮世絵は高く売れる?
浮世絵は作品によって価値が異なるため、高く売れるものもあればそうでないものもあるのが実情です。
とくに浮世絵版画の多くは、庶民向けに作られているため、芸術的価値が高くないものが少なくありません。
そのため作品によっては、低い価格でしか売れなかったり、買取を断られたりすることもあります。
一方で、芸術的・歴史的価値が高い作品であれば高価買取してもらえる可能性もあるのが浮世絵です。
たとえば、日本国内だけでなく海外でも高い知名度を持つ作家の作品には、高い価値がつくと期待できます。
一般の方には知られていなくても、コレクターの間では人気の高い作品もあるでしょう。
浮世絵の処分を考えている方は、専門知識を持つ査定士に査定してもらうことをお勧めします。
国内外から人気の浮世絵、実は復刻版も多い?
浮世絵には、大きく分けて木版画の浮世絵版画と作家が直接描いた肉筆浮世絵があります。
このうち流通量が多いのが浮世絵版画で、浮世絵といえば木版画を指すのが一般的です。
なお、木版画の浮世絵の中には、江戸時代から明治時代にかけて作られた復刻版があることに注意しましょう。
葛飾北斎や歌川広重のような有名作家の作品をもとに木版を作り、それを擦って作られたのが復刻版で、図柄を印刷したポスターとは異なります。
復刻版の制作には、木版を作って擦るという手間がかかるだけでなく、高い技術が必要です。そのため、クオリティはオリジナルのものとほぼ変わらないといわれています。ただし、芸術的価値という観点では、オリジナルと復刻版は比較になりません。
オリジナルの作品は、今から200年近く前に作家本人が直接携わって作られたことに価値があります。有名作家の作品で状態がよければ高価買取されることも珍しくありません。
一方、復刻版はあくまでもオリジナル作品を真似て後世の人が作ったものであるため、買取不可としている業者もあります。
なお、オリジナルと復刻版を見分けるポイントはサインです。
復刻版は図柄の周囲の余白部分に、鉛筆で摺師と彫師の名前が書かれている傾向があります。
高額査定が期待できる、浮世絵とは
浮世絵の中でも初摺り、肉筆浮世絵、有名作家の作品の3つに当てはまるものは、査定価格が高くなる傾向にあります。
初擦り
初擦りとは、最初に擦られた浮世絵版画のことです。
浮世絵版画の場合、まずは絵師が描いた下絵を再現するように彫師が原板を作ります。続いて擦師が色を入れて擦ることで完成します。
作品を初めて擦る際には、絵師が立ち合い、色合いや濃淡などを調整するのが一般的でした。そのため絵師の意向が反映されている初擦りは、価値が高いと考えられているのです。なお、人気作品は増版されることもありますが、絵師の立ち合いはありません。そのため、後擦りと呼ばれる増版による作品は、初擦りと雰囲気が異なってしまうことがあったのです。
肉筆浮世絵
肉筆浮世絵とは、紙や絹に直接描かれた浮世絵のことです。
浮世絵版画が一般的となった後も、多くの作家が肉筆浮世絵を手掛けました。肉筆浮世絵は、一点物で希少価値があるため、買取額は高くなりやすいと考えられます。
作家(浮世絵師)
最後に、浮世絵の査定では作家名が重要です。
葛飾北斎や歌川広重のような誰もが知る有名作家の作品は、中古市場でも人気があるため査定価格が上がりやすいでしょう。
とくに有名作家かつ初刷りもしくは、肉筆浮世絵であれば高額査定が期待できます。
東京(江戸)が舞台の浮世絵
江戸時代後期は、浮世絵の中でも風景画と呼ばれる名所や町の様子を描いたものが人気を博しました。
庶民の暮らしが豊かになり、余裕のある人々の間では、伊勢神宮のような神社仏閣への巡礼や観光を目的とした旅行がブームになったためです。
日本各地の風景を描いた浮世絵は、絵葉書や旅行ガイドのような役割を果たしていたのでしょう。また、旅行に行けない人も名所の様子を知ろうとこぞって浮世絵を買い求めていたといわれています。
風景画を得意とした浮世絵師には、葛飾北斎や歌川広重、歌川国芳(うたがわくによし)がいます。
彼らは日本全国の名所に加えて、江戸の風景を描いた作品も多く残しました。風景画は、当時の街並みや人々の暮らしを現代に伝えるものです。
現代の東京の様子と比べながら鑑賞するとより楽しめるでしょう。
東京・浅草
東京都台東区の浅草、とくに浅草寺周辺は、たびたび浮世絵のテーマに選ばれてきました。
歌川広重は『江戸高名会亭尽 浅草雷門前』という作品で、浅草寺周辺のにぎわいを描いています。
都内最古の寺院とされる浅草寺は、江戸時代の人々から篤く信仰されていました。また、周辺は仲見世と呼ばれる商店街だったこともあり、当時から多くの人が集まる人気スポットだったのです。
ほかに浅草の風景を描いた作品として、葛飾北斎の『富嶽三十六景 東都浅草本願寺』が挙げられます。
『富嶽三十六景』は、日本各地から富士山が見える風景を題材とした作品集です。
タイトルには36と入っていますが、当時から非常に人気があったため作品が追加され、実際は46の風景画が収められています。
とくに力強い波と富士山を対比した『神奈川県沖波裏』が有名です。
『東都浅草本願寺』では、1657(明暦3)年に起きた明暦の大火を機に浅草へ移転した東本願寺の大屋根と、遠くに見える富士山を描いています。
屋根の上には作業する職人たちが小さく描かれ、見る人に大屋根の大きさを伝えており、浮世絵風景画の代表作ともいわれる作品です。
東京・日本橋
日本橋は、江戸と日本各地を結ぶ五街道(東海道・中山道・日光道中・奥州道中・甲州道中)の起点です。
当時、江戸幕府により五街道が整備されたことも庶民の間で旅行が広がった理由の一つでした。
旅行ブームにしたがって、街道にある名所を描いた浮世絵も数多く制作されました。
東海道にある53の宿場の様子を描いた歌川広重の『東海道五十三次』は、とくに有名で、その中には、もちろん起点である日本橋をテーマとした作品もあります。
当時の日本橋には、朝だけ開かれる魚市場がありました。
『東海道五十三次之内 日本橋 朝之景』では、橋の上を町人や魚売りが行き交う様子を描き、江戸の街の活気を伝えています。
歌川広重は、ほかにも日本橋を描いた作品を残しています。
雪に覆われた街を表現した『江戸名所・日本橋雪晴の朝』は代表作の一つです。
遠くには、富士山や江戸城と思われる景色も見え、日本橋が日本の中心地であったことを表現しています。
東京・隅田川
川や橋のある景色、川辺で楽しむ人々の様子も浮世絵のテーマとして好まれました。
とくに東京の東部を流れ、東京湾へ注ぐ隅田川を描いた作品は、枚挙にいとまがありません。
最近「東京スカイツリーが描かれている」として話題になった、歌川国芳の『東都三ッ股之図』も隅田川を題材とする一枚です。
三ッ股とは、隅田川と旧中川を結ぶ水路である小名木川が合流する地点の地名。
『東都三ッ股之図』では、右手に見えるのが隅田川にかかる永代橋、左側の奥の橋は小名木川にかけられている万年橋だといわれています。その万年橋の右川に2つの塔のようなものが描かれており、高いほうが東京スカイツリーのようだと話題になりました。
これらの正体は明らかではありませんが、小さい塔は火の見櫓、高い塔は井戸掘りの櫓とする説が有力です。
また、歌川国芳の兄弟子に当たる歌川国貞(うたがわくにさだ)は、隅田川を背景にくつろぐ3人の女性たちの姿を描いた『両国夕涼の光景』という作品を残しています。水上にはびっしりと船がならび、当時の隅田川が交通の要衝として使われていたことがわかります。
歌川広重の『新撰江戸名所 両国納涼花火ノ図』も当時の生活がわかる作品の一つです。この作品では、橋の上で大勢の人が花火大会を見物する様子が描かれています。
東京の浮世絵買取、気を付けたいポイントとは
浮世絵を売る場合、まず査定してもらうことが大切です。
その際、査定士がチェックしているポイントを押さえておくと買取価格がアップする可能性があります。
買取で気を付けたいポイントは以下のとおりです。
・作家
・保存状態
・査定書
・付属品
・摺られた時期
・技法
など
上記のうち、作家はとくに重要です。
有名作家の作品であれば高価買取が期待できます。
ただし、サインが見つけられないなどの理由で作家名が不明なケースもあるでしょう。
その場合は、浮世絵の専門家である査定士に査定してもらうことで、有名作家の作品だとわかるケースもあるため、作家不明の作品も一度相談してみることをお勧めします。
また、保存状態も買取価格に影響を与えるポイント。
基本的にきれいなものほど高く売りやすく、反対に破れやシミ、色褪せがあると買取価格が下がりやすい傾向にあります。
ただし、シミやカビなどは、修復が可能な場合もあります。汚れがある浮世絵も査定してもらうとよいでしょう。
なお、売却までの間は、直射日光が当たらない場所に保管すると劣化を防げます。
浮世絵に鑑定書や箱、説明書などの付属品がある場合は、一緒に査定してもらいましょう。とくに本物だと証明する査定書があれば、買取価格が高くなる可能性があります。
東京で浮世絵買取を相談するなら、実績ある査定士へ
浮世絵は江戸時代に大きく発展した芸術です。
そのため、経済や文化の中心地であった江戸の風景を描いた作品も多く残されています。
東京には、今も多くの浮世絵が残っていると考えられ、買取を行う業者も少なくありません。
浮世絵は、作品によって高価買取の対象となる可能性があります。手放そうと考えている方は、実績のある査定士に相談するのがお勧めです。
正しく価値を判断してくれるため、高く買取してもらえるかもしれません。
汚れやシミがあっても買取できる場合もあります。価値のわからない浮世絵も一度相談してみてはいかがでしょうか。