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天才は一日にしてならず!葛飾北斎の初期作品からその進化を見る

日本だけではなく、海外からも高い評価を得ている浮世絵師・葛飾北斎(かつしかほくさい)は、生涯にわたって絵を描き、追求し続けたといわれています。
世界的に有名な『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』は、北斎が70歳を超えてから描いたとされていることに、驚きを感じる方もいるのではないでしょうか。
そこに至るまでにどのような進化があったのかを知るために、北斎の初期作品から紐解いていきましょう。

葛飾北斎の初期作品とは

葛飾北斎は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師です。
十代の終わりに人気浮世絵師・勝川春章(かつかわしゅんしょう)に入門し絵師となりました。
90歳の長寿を全うし、生涯現役を貫いています。最期まであと5年、10年生きられれば真の絵描きになれたと話していたことから、北斎は常に高みを目指して描き続けていたことがわかります。
そんな絵に情熱を注いだ北斎が描いた作品がどのように進化していったのか、初期作品から見ていきましょう。

処女作『四代目岩井半四郎 かしく』など

葛飾北斎の処女策として知られているのは、『四代目岩井半四郎 かしく』です。
1779年と、勝川春章に弟子入りした翌年に発表されています。北斎の錦絵デビュー作品の1つで、勝川春朗と号して描かれた浮世絵です。

勝川春朗時代に描いた作品には、役者似顔絵や美人風俗、名所絵、相撲絵、伝説古典、和漢武者、信仰画、動植物、金太郎、日本や中国の子どもなどがあり、ジャンルを限定せず多種多様な作品を手掛けていました。

北斎は、好奇心旺盛で絵に対する熱意も高かったことから、師の模倣だけでは飽きたりず、狩野派や唐画、洋画の画法も学んでいきました。
しかし、ほかの流派の画法を学んだことを咎められ、勝川派を破門されています。

『おしをくり はとう つうせんのづ』

『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』が描かれる30年近く前にも、葛飾北斎は同じ構図の波の絵を描いています。
それが、『おしをくり はとう つうせんのづ』。
この作品は『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』の原型ともいわれ、北斎が45歳ごろに描いたものといわれています。

 

『おしをくり はとう つうせんのづ』葛飾北斎
『おしをくり はとう つうせんのづ』葛飾北斎[出典:wikipedia]

 

当時、北斎は西洋画の技法を学んでいたとされ、その影響が随所に現れている作品です。
原型ということもあり、構成は似ていますが、波の描かれ方が大きく異なっている点が見て取れます。
『おしをくり はとう つうせんのづ』では、丸みを帯びた波が描かれていますが、『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』では、波の先が鋭く細かく表現されており、波のしぶきにより勢いのある様子が表されています。
30年の時を経て写実性が高まったといえるでしょう。

また、構図にも微妙な違いがあります。
『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』では、下から見上げる視点で描かれていますが、『おしをくり はとう つうせんのづ』では、見下ろす画角で描かれているのです。
視点を低くしている方が、大波の迫力や臨場感が伝わってくる作品といえます。

 

北斎の絵が進化し続けたのは、その向上心から

90歳で亡くなるまで生涯現役を貫いた葛飾北斎が絵にかけた情熱は、はかり知れません。
浮世絵版画以外にも、版本の挿絵や肉筆画も手掛けていました。
とくに版本は、力強く迫力のある描写や、ダイナミックな構図で読者を圧倒し、人気を集めていたそうです。
当時流行っていた作家・曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』といった作品をはじめ、さまざまな活字作品を圧倒的な表現力で絵画化していきました。

露木氏曰く、余北斎翁の門に入り、画法を学びしが、一日阿栄にむかひ、嘆息して謂て曰く、運筆自在ならず、画工とならんを欲するも、蓋し能はざるなり。

阿栄笑て曰く、我が父幼年より八十有余に至るまで、日々筆を採らざることなし。

然るに過ぐる日、猶自腕をくみて、余は実に猫一疋も画くこと能はずとて、落涙し、自ら其の画の意の如くならざるるを嘆息せり。

すべて画のみにあらず、己れ及ばずとて自棄てんとする時は、即これ其の道の上達する時なりと。

翁傍にありて、実に然り、実に然るなりといへり。

引用:飯島虚心 著、鈴木重三 編『葛飾北斎伝』岩波文庫

 

葛飾北斎が制作した作品は数多く、版画や錦絵のほかに挿絵や着物のデザインなど、浮世絵師として残した作品は約3万点を超えるといわれています。
このように情熱を燃やし生涯浮世絵を描き続けた北斎は、画狂人とも呼ばれています。

しかし、初期作品である『おしをくり はとう つうせんのづ』の画風と名作『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』の画風には大きな違いが。
このことから、世界中で高い評価を得ている『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』が完成するまでには、常に向上心と執着心を持ち続け、絵を描き続けた北斎の絶え間ない努力が垣間見えるでしょう。

『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』葛飾北斎
『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』葛飾北斎

亡くなる直前にも、まだ真の絵師にはなれていないと悔やむ姿があったとされることから、現状に満足することなく、常に進化し続けようと努力してきた北斎の姿が目に浮かびます。
葛飾北斎の作品に興味が湧いた方は、ぜひ有名作品だけではなく初期の作品も鑑賞し、その違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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