江戸時代から民衆の間で高い人気を誇っていた浮世絵作品。
版画の技法を取り入れたことで大量生産が可能となり、多くの町民が楽しめた芸術作品でした。
浮世絵版画は、現代でも高い人気を誇っており、人気浮世絵師の作品は高値でやり取りされています。
目次
浮世絵の「オリジナル版」「復刻版」とは
浮世絵版画とは、浮世絵師が描いたデザインを木版に彫って、紙に摺り上げた作品を指します。木版を完成させてしまえば、何度も摺れるため大量生産を可能にした制作方法です。
なお、浮世絵師が自ら筆をとって紙に描き上げた作品は、肉筆画といい、これは1点ものです。
浮世絵版画には、オリジナル版と復刻版と呼ばれる2つの種類があります。
どちらであるかによって、作品の価値が大きく異なるため、浮世絵版画の買取や購入を検討している方は、違いについて詳しく知っておきましょう。
オリジナル版と復刻版の違い
浮世絵版画のオリジナル版とは、江戸時代から明治のはじめごろにかけて制作されていた木版画の作品を指します。
浮世絵版画は、浮世絵師自らがデザインし、彫師によって木版に彫られ、摺師によって紙に摺り上げていく工程を経て完成するのです。
オリジナル版の中でも、初期に摺られた浮世絵を初刷り、重版として摺られたものを後摺りと呼びます。
一方、復刻版とは、人気作家の作品を現代に復活させるべく制作されたもののことです。人気浮世絵師の絵をもとに、現代の彫師が新たに木版を彫り、摺師によって摺り上げられた作品が復刻版に該当します。
復刻版の骨董品価値
浮世絵は、日本のみならず海外からも人気の高い芸術作品であり、現代においても多くのファンやコレクターが存在します。しかし、浮世絵版画のオリジナル版は、何枚も刷り上げられたとはいえ、現代まで現存している作品は、数に限りがあるでしょう。
復刻版は、オリジナルのデザインをもとにプロの彫師が木版を制作しているため、オリジナル版と遜色ないクオリティといえます。
しかし、骨董品としてみたときには、オリジナル版と比較すると歴史的価値や希少価値が劣るため、価格も低くなると考えられるでしょう。
復刻版は、高価買取を狙うものではなく、自宅で観賞用として楽しむものであるといえます。
復刻版とコピー品(印刷)は違うのか
印刷機でコピーされた作品は、復刻版とは呼びません。
復刻版は、オリジナルデザインを用紙に印刷したものではなく、一度木版に彫られ、一枚一枚摺り上げられています。
復刻版と聞くと、印刷されたポスターのようなものを想像する人もいるでしょう。
しかし、復刻版は、単なる印刷ではなく、彫師や摺師が手間をかけて制作しており、オリジナル版と同様に紙に摺る工程を行っているため、木版画ならではの特徴を楽しめるのも魅力の一つです。
版画作品は、作品を裏から見てみると色のにじみが見受けられます。
このにじみが木版画の証拠であるとともに、味わいの一つともいえるでしょう。
また、復刻版は贋作でもありません。
贋作は、現代において印刷や版画で刷られた作品を、当時のオリジナルと偽って販売、転売したものです。
復刻版は、復刻版として販売がされており、オリジナル版を尊重して扱われています。
圧倒的に価値の高い「初版(初摺り)」の浮世絵版画
オリジナル版の浮世絵版画には、初摺りと後摺りがあると紹介しました。
初刷りは、オリジナル版の中でも価値の高い作品です。
初刷りでは、絵を描いた浮世絵師が、自ら彫師や摺師が摺り上げる場面に立ち会い、色や表現の指示などを行っている場合があります。
自分が想像している完成図を表現できるよう、こだわりを持って刷られている可能性が高いのです。
そのため、オリジナル版の中でも初摺りは、浮世絵師が自らかかわったとする希少価値がつくといえるでしょう。
復刻版のある浮世絵は人気の証拠
人気の高い浮世絵は、明治期以降も復刻版が多く刷られていました。
その作品の人気の高さ故でもありますが、骨董品としての価値が高いのは、やはり当時の浮世絵師や版元たちがかかわったオリジナルだといえるでしょう。