迫力のあるシルエットと四季折々の変化によってさまざまな表情を魅せてくれる富士山。
日本の誇りともいうべき富士山は、古くから多くの人々を魅了し続けています。
富士山の山頂を目指す人もいれば、一瞬の絶景をカメラに収めようとする人、掛軸に描かれた美しい富士山を鑑賞して楽しむ人もいます。
富士山はさまざまな方法でいつも私たちを感動させてくれているのです。
言わずと知れた縁起物、富士山
古くから現代まで多くの人を魅了し続ける富士山は、縁起物としても知られています。
「一富士二鷹三茄子」でもおなじみで、初夢に見ると縁起がいいのが富士山です。
富士山が昔から縁起がいいといわれるのには、主に4つの理由があります。
1つ目はその末広がりの形。
富士山の姿は、山頂からふもとにかけて漢字の八を描くようにゆったりと末広がりになっています。末広がりの形は、古くから子孫繁栄や、商売繁盛など明るい将来を思わせる縁起物として扱われてきました。
また、富士山は語呂合わせで「不死」「無事」に似た発音をすることから、健康長寿や無病息災、家内安全などを願う対象とされています。
また、日本には神道における八百万の神という考え方があります。
物や自然などあらゆるものに神様が宿るとし、日本で最も標高の高い富士山は霊峰として信仰の対象となっているのです。
富士山のふもとと山頂には、木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)を祀る神社があります。
木花咲耶姫命には、火難除け、縁結び、子授け、安産などの御利益があるとされ、この準者に参拝に訪れる人も多くいます。
富士山は、季節や時間、方角、気象条件によって違った姿を現してくれるのも魅力の一つです。
特定の条件がそろわないと見られない富士山の絶景は、「〇〇富士」と呼び縁起物として知られています。
富士山の絶景は、多くの作家が描いていることでも有名です。特に有名な、赤富士や紅富士、逆さ富士、影富士などは、写真や絵画、掛軸などで一度は目にしたことがあるという人も多いでしょう。
赤富士は、いつもは青いさわやかな色をしている富士山が、朝日に照らされて赤く染まった様子を表しています。
赤富士が見られる条件は、山頂に雪が積もっていない夏から秋にかけての時期かつ空気が澄んでいる晴天の日の早朝です。昔から赤は厄除けに効くとされており、赤富士は厄除けや商売繁盛、願望成就、悪縁を切るなどの効果がある縁起物として知られています。
紅富士は、山頂付近に雪が積もっている冬から初春にかけて見られる風景です。
雪で白くなっている斜面が真っ赤に染まる様子は、とても幻想的です。赤富士と同じように赤い富士山であるため、縁起物としての意味合いが同様と考えてよいでしょう。
逆さ富士は、湖や水辺の水面に上下逆さまになった富士山がはっきりと写り込んだ様子をいいます。
きれいな逆さ富士を楽しめるのは良く晴れて空気が澄み、風がなく水面に波が立っていない状態のときです。逆さ富士は開運の御利益がある縁起物として知られています。
影富士は、富士山麓の地表や雲海に富士山の巨大なシルエットが映し出されている様子を指します。
影富士は、主に山頂から西側の5合目以上の高さで観察可能です。影富士はほかの特別な富士山とは異なり、自分の足で富士山に登らないと見られない貴重な景色です。
影富士が見られるのは時間帯や方角、気象条件などがすべてそろったときのみ。
その他にも縁起のいい富士山としてはダイヤモンド富士などがあげられます。
富士山信仰はいつからはじまった?
富士山は、その雄大な姿や幻想的な美しさから日本一の山として、国内だけではなく海外の人々をも魅了しています。
富士山は名山でもありますが、霊山の一つとして古くから信仰の対象にもなっているのです。
霊山とは、神仏を祀っている神聖な山のこと。
繰り返される噴火を鎮めるために浅間大神を祀ったのが、富士山の山岳信仰の始まりとされています。
平安時代末期に噴火活動が鎮静化されると、仏教の僧侶が富士山に入り修業を始めるように。
この頃には、日本古来の神々と仏教の仏は一体である、とする神仏習合の考えが誕生しました。これを機に、富士山の本当の姿とされる大日如来をはじめとした多くの仏像が奉納されるようになっていきます。
この信仰の形が、ふもとから富士山を拝む遙拝から、山中で修行を行い富士山の護神徳を拝しながら登山する形へと変化していきました。
富士山の掛軸はいつ掛ける?
富士山の掛軸は、年中掛けも可能な画題です。
また、縁起が良い絵柄のため、お正月にもよく飾られています。
新年の始まりには縁起の良いものを鑑賞したいものです。
富士山は初夢に見ると縁起が良い縁起物として知られているため、正月に飾ってその年1年をより良いものにしたいと考えるでしょう。
また、掛軸作品は、描かれている富士山の様子から、それぞれの絵に込められた意味が少し違うこともあります。
たとえば、真っ赤に染まった幻想的な姿に多くの人が心を奪われた赤富士や紅富士は、厄除けや商売繁盛、願望成就、悪縁を切るなどの効果が期待されています。
また、富士山単体で描かれた掛軸だけではなく、鶴亀などの縁起物と一緒に描かれた掛軸も大変人気の高い作品です。
富士山が描かれた掛軸を掛ける際は、細かく季節を問われることはありません。
しかし、縁起物としての意味合いが強いため、お正月やお祝い事の席で飾るのも良いでしょう。
富士山の掛軸は誰もが知る縁起物
富士山は、日本はもちろん、海外からも人気が高く、世界中の人々を虜にしている日本一の山です。
直接拝むこともあれば、掛軸に描かれた富士山の絵を鑑賞したり、拝んだりすることもあります。
富士山と一口にいっても、さまざまなシチュエーションの富士山掛軸が存在します。
たとえば、静かで澄み渡った水面に映る壮大な逆さ富士や、朝日に照らされた赤富士など、富士山は私たちにさまざまな表情を魅せてくれる、日本自慢の山。
このような美しい富士山の姿は、掛軸で鑑賞して楽しむのも一つの手段です。
さまざまな作家が自分の思い浮かべた富士山掛軸を制作しており、富士山の豊かな表情はもちろん作家の個性も楽しむことができるでしょう。
「一富士二鷹三茄子」といわれるほど縁起の良い富士山の掛軸を自宅に飾り、その年1年を幸せに過ごせるよう願掛けを行うのもお勧めです。
富士山は人気の画題のため数多くの掛軸作品が存在します。
自分の気に入った富士山の掛軸を自宅に飾り、美しい富士山の風景を楽しみましょう。