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浮世絵に描かれた犬たち…おかげ犬から南総里見八犬伝まで

江戸時代に描かれた浮世絵には、犬を題材にした作品も多くあります。
昔から人々の生活に馴染み、生活を共にしてきた犬にかかわる作品を知り、当時の人々の生活に触れていきましょう。

『南総里見八犬伝』と柳川重信

江戸時代に書かれた『南総里見八犬伝』と浮世絵師の柳川重信には、深いつながりがあります。
『南総里見八犬伝』は、現代でも歌舞伎の演目として披露されたり、ドラマになったりと根強い人気を誇っています。作品自体の面白さはもちろんありますが、当時、浮世絵師・柳川重信が描いた『南総里見八犬伝』の表紙の挿絵も、大きなインパクトを残し、人々の目を惹きつけたといえるでしょう。

『南総里見八犬伝』とは

曲亭馬琴(1767~1848)による長編小説『南総里見八犬伝』は、安房の里見家の興亡を描いた物語です。
仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の8つの徳の玉を持つ八犬士を中心に、里見家の危機を救うために奮闘する姿が描かれています。

歌舞伎の人気演目の1つで、浮世絵にも多くの作品が残されています。

表紙や挿絵を描いた浮世絵師、柳川重信

作家名:柳川重信(やながわしげのぶ)
代表作:『絵を描く花魁図 』『三都名所之花 』

柳川重信は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師です。
葛飾北斎(かつしかほくさい)の弟子となり、のちに北斎の長女・美与と結婚しました。柳川重信は、曲亭馬琴が書いた長編小説『南総里見八犬伝』の表紙や挿絵を描いたことでも有名です。
挿絵は、養子の重山(後の二代目重信)とともに担当しました。

柳川重信の描いた表紙は犬だらけ

柳川重信が描いた『南総里見八犬伝』の挿絵のほとんどに犬が登場します。
もちろん『南総里見八犬伝』の中でも犬が登場しますが、決して犬ばかりのストーリーではありません。
しかし、シリーズごとに異なるデザインの表紙には、毎回たくさんの犬たちが描かれています。
かわいらしい見た目から、現在でも注目されているデザインです。

『南総里見八犬伝 9輯98巻 第八輯巻五』(表紙)
『南総里見八犬伝 9輯98巻 第八輯巻五』(表紙)[出典:国立国会図書館デジタルコレクション]

犬のタッチは表紙によって異なり、丸くデフォルメされた愛らしい姿で描かれているものから、擬人化された凛々しい姿のものまでさまざまあります。
小さな子犬が表紙にぎゅうぎゅう詰めで描かれたものもあり、犬好きにはたまりません。
柳川重信の描いた犬の表紙により、以後の『南総里見八犬伝』にちなんだ作品の表紙でも、犬をメインにしたデザインが多く採用されています。

 

江戸時代の犬と人の関係

現在、さまざまな動物と共に暮らす日本ですが、江戸時代でも多くの動物がペットとして可愛がられていたようです。
なかでも代表的なのは、犬や猫で、武家や町人、長屋の人々にとっても身近な動物でした。
江戸時代初期は、西洋から大型犬が伝わってきていたこともあり、武家が威厳を示すために大型犬をよく飼っていたといわれています。
その後、日本犬が主流となり江戸の町のあちらこちらで、犬が放し飼いになっていました。

ペットとしてかわいがられた狆(ちん)

江戸時代では、狆と呼ばれる犬が武家など上流階級で飼育されていました。
狆は、日本で初めて改良された愛がん犬で、江戸時代では猫のような犬、犬と猫の間の動物などといわれていた歴史を持っています。
「ちいさいいぬ」が省略されていき、「狆(ちん)」になったともいわれています。

性格は温和で物静か。
体臭が少なく、犬は屋外で飼うものと認識されていた江戸時代においても、狆は屋内で飼育されていました。
当初は、大奥、大名家、遊郭などで人気を集めており、その後、上流階級のステータスとして、一般庶民にも広まっていきました。

『狆のくるひ』楊洲周延(豊原周延)
『狆のくるひ』楊洲周延(豊原周延)[出典:メトロポリタン美術館]

伊勢屋、稲荷に、犬の糞

江戸時代は、犬の数自体が多く、当時は放し飼いが当たり前になっていました。
そのため、江戸のあちこちで犬を見かけ、「伊勢屋、稲荷に、犬の糞(いせや、いなりに、いぬのくそ)」といわれるほど、江戸の町には伊勢屋の屋号を持つ店と、お稲荷さんと犬が多かったのです。

長屋のある地域では、住人全体が飼い主の位置づけで、各住人がそれぞれに餌をやったり、遊んだりして飼っていました。
犬は番犬としても役立ちますが、子どものよい遊び相手になっていたともいえます。

お伊勢参りに行った犬たち

江戸時代には、お伊勢参りをする「おかげ犬」が相次いで現れました。
飼い主とともに伊勢に参るのではなく、病気や用事で参詣できない飼い主に代わって、犬が単身伊勢参りを行うものです。
犬が1匹で伊勢まで行き、お参りを行うとはにわかに信じがたい話ですが、飼い主の代わりにお参りを果たした犬の像や記録が各地で残されています。

当時、犬がお伊勢参りをする様子は、歌川広重の描いた『東海道五十三次 四日市 日永村追分参宮道』にも登場していたのです。
鳥居の前に木札や風呂敷を結びつけた犬が描かれており、お参りに来た人々と交流を交わす様子が描かれています。

 

また、福島県須賀川市の十念寺には、シロと呼ばれる犬の像が祀られています。
江戸時代後半、シロは病気で寝込んでお伊勢参りに行けない飼い主に代わり、2か月かけてお伊勢参りを行い、伊勢神宮のお札をもらって飼い主のもとに帰ってきたというお話です。

 

浮世絵にも残された、犬と人間の変わらぬ関係

現代では多くの犬が、人々の生活の中で一緒に暮らしています。
江戸時代でも、犬は人のそばで暮らし、時には主人の代わりに旅に出るなど、その関係と信頼の深さがわかるエピソードも多いことがわかります。
古くから愛され続けた犬がモチーフになっている浮世絵作品も多く残されているため、当時の人々と犬の暮らしが垣間見える作品の観賞を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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