創画展は、日本画の新しい表現を追求する場として知られる公募展で、創画会が主催する芸術展です。
伝統的な日本画の技法を重んじながらも、現代的な感覚や自由な発想を取り入れた作品が毎年展示され、多くの作家や芸術愛好家から注目を集めています。
春秋にわたる展覧会の開催を通じて、日本画の多様な魅力を発信し続ける創画展。
その歩みや特徴を深掘りすることで、この展覧会が現代日本画において果たしてきた役割とその意義がより鮮明に見えてくるでしょう。
目次
創画展とはどのような展覧会?
創画展は、日本画を中心とした芸術表現を広く発信するために設けられた公募展で、創画会が主催する展覧会です。
そのルーツは1948年(昭和23年)に設立された「創造美術」にさかのぼります。
その後、新制作派協会との統合を経て、1974年に「創画会」として独立を果たし、創画展の開催が本格化しました。
創画展は、日本画の可能性を追求する作家たちの表現の場として、毎年多彩な作品が展示されます。
さらに、春季創画展も開催されており、季節を通じて日本画の多様な魅力を発信しています。
伝統を受け継ぎつつも、自由な発想と創造性を重視しているため、幅広い世代の作家が集い、現代的な視点を取り入れた新たな表現に挑戦しているのが特徴です。
創画展
創画展は、創画会の正会員全員が審査と企画運営に携わることで実現する公募展です。
作品の選考から展覧会の構成まで、作家たちが主体的に関与することで、展覧会全体に一体感と独自性が生まれています。
この展覧会は毎年秋に開催され、メイン会場として東京都美術館が使用されるほか、選抜展示として京都市京セラ美術館でも開催されています。
秋の創画展は、伝統と革新が調和する創画会の理念を象徴する場となっており、多くの芸術愛好家や関係者にとって見逃せないイベントの一つです。
作品を通じて日本画の現在地と未来への可能性が提示され、創画会が掲げる「自由と創造」の精神が鮮やかに表現されています。
春季創画展(東京春季創画展、京都春季創画展)
春季創画展は、創画会が毎年春に開催する展覧会で、東京と京都の2つの会場に分かれて実施されます。
正会員が審査や企画運営を担い、各地の美術愛好家に日本画の新しい表現を届ける重要な機会です。
この展覧会は、東京春季創画展と京都春季創画展の両方に出品することも可能ですが、それぞれ独立した審査基準と運営体制が設けられています。
会期や会場、そして募集要項も異なるため、出品者にとっては選択肢が広がるとともに、挑戦の場も増える展覧会です。
東京と京都という異なる地域で行われることで、多様な観客層に触れる機会を提供し、創画会の活動をより広範囲にアピールする役割も果たしています。
創画展の歴史
創画展は、日本画の新たな表現を追求する場として長い歴史を歩んできました。
その始まりは昭和23年(1948年)に結成された「創造美術」にまでさかのぼります。
時代の変遷とともにその活動内容や組織体制を変えながらも、「自由と創造の精神」を軸に多くの作家を育成し、現代日本画の発展に寄与してきました。
1948年(昭和23年)に創造美術が結成される
1948年(昭和23年)、日本絵画の新たな地平を切り開くことを目指し、「創造美術」が結成されました。
結成時に掲げられた理念は、「我等は世界性に立脚する日本絵画の創造を期す」という力強い宣言。
この団体は、在野精神を重んじ、既存の枠にとらわれない自由と独立の美学を基盤に、真に普遍的な価値を持つ日本画の創造を目指しました。
創立メンバーは秋野不矩、上村松篁、奥村厚一、加藤栄三など、後に日本画の発展に大きく貢献する13名の画家たちで構成されました。
同年9月、東京都美術館で第1回創造展を開催。
その後も京都や大阪で展覧会を行い、日本美術界に鮮烈な印象を与えるスタートを切りました。
創造美術の結成は、現代日本画の自由な表現を追求する歴史の礎となりました。
1949年(昭和24年)に春季展を新たに始める
1949年(昭和24年)、創造美術は新たな取り組みとして、春季展を東京と京都で開催することを決定。
春季展は、会員および前年度の受賞者による作品を中心に展示され、創造美術の活動を広く一般に公開する貴重な機会となりました。
これにより、創造美術の活動の幅がさらに広がり、全国的な注目を集めることとなります。
同年には第2回創造美術展が、東京・京都・大阪・名古屋の主要都市で開催され、さらに創造美術の認知度が高まりました。
また、春季展と並行して、毎月東京および京都で創造美術研究会を開催することが決まり、会員同士の意見交換や研鑽の場として、より一層の発展を目指しました。
創画展に出展(受賞)した有名作家・作品
創画展は、その長い歴史の中で、多くの有名な日本画家が出展し、またその才能を広く世に示す場となってきました。
創画会の創立時から関わった作家たちをはじめ、その後も新たな才能が次々と登場し、現代日本画の可能性を切り開いています。
秋野不矩は、日本の著名な女流日本画家であり、創画会の創立会員の一人です。
彼女は、伝統的な日本画の技法をもとにしながらも、現代的な表現を追求し、新しい日本画の創造を目指しました。
秋野の作品は、特に人物画や自然をテーマにしたものが多く、伝統的な日本画の枠を超えた力強い表現が評価され、現代日本画の発展に大きく寄与しました。
上村松篁は、日本の著名な日本画家であり、創画会の創立会員の一人です。
彼は、母である上村松園から受け継いだ美術の伝統をもとに、独自の花鳥画を追求し、現代日本画の発展に寄与しました。
自然の美しさを捉え、古典的な技法を用いながらも現代的な感覚を取り入れるとともに独自の色彩感覚を持つ作品を数多く残しています。
奥村厚一は、日本の著名な日本画家であり、創画会の創立会員の一人です。
彼は主に風景画を得意とし、特に京都の自然や風景を題材にした作品で知られています。
1949年からは京都市立美術専門学校、後の京都市立芸術大学で教員を務め、1970年に退任するまで多くの学生を指導しました。
菊池隆志は、日本画家の菊池契月を父に持ち、芸術的な環境で育ちました。
創画会の創立会員の一人であり、花鳥画や風景画を得意とし、独自のスタイルで知られています。
彼の作品は、写実的な描写と独自の色彩感覚が特徴です。
自然の美しさを繊細に表現し、みるものに深い感動を与える作品を数多く残しました。
山本丘人は、創画会の創立会員の一人であり、自然や風景をテーマにした作品を多く残しています。
自然の厳しさや美しさをテーマにしたものが多く、力強い造形やロマン性、象徴性にあふれています。
彼の作品は、伝統的な日本画の技法を用いながらも、現代的な感覚を取り入れたものが特徴です。