骨董品の多くは、作品を保護するための箱と一緒に保管されていることがほとんどです。
保護が目的であるため軽視されることが多く、破損を理由に廃棄されてしまうケースも多く見受けられます。
しかし、実際には箱によって骨董品の価値が箱によって大きく左右されることが多い傾向です。
目次
極め箱とは
極め箱とは、作者本人ではなく、その親族や後継者などが、作品が本物であるかを判断し、それを証明するために書かれた箱書きがついた箱のことです。
骨董品には箱がついていることが多くありますが、特に古い品物の場合、箱が存在しないケースがあります。
また、箱が破損したり焼失したりした場合には、所有者が新たに箱を作る場合もあります。
新たに作られた箱には作者名が記載されていません。
そのため、所有者は作者の親族などに確認を依頼し、その証明を書き添えてもらう必要があります。
作品を見極めて書き示してもらうことで、共箱と同じような価値を持つ「極め箱」となるのです。
共箱との違い
共箱とは、極め箱とは異なり、作家本人が作品に関する情報を記した「箱書き」が施された箱のことを指します。
箱書きは、共箱の蓋の表面や裏面に作品名や作家名が記されており、書き方にはいくつかのパターンがあります。
たとえば、蓋の甲に「作品名」と「作家名」が併記されているものや、蓋の甲に作品名が、蓋の裏に作家名が記されているものなどです。
共箱は、作品の価値を大きく高める要素であり、共箱がない場合、その作品の価値が半分以下になるともいわれています。
そのため、箱書きがしっかりと記された共箱は、骨董品や美術品の取引において重要な意味を持ち、作品の真贋や歴史的価値を証明するものとして高く評価されるのです。
書付箱との違い
書付箱とは、家元や宗匠、高僧、大名など、社会的に権威のある人物がその品の価値を認め、証明したことを示す書付が記された箱のことを指します。
共箱が作品の真作であることを証明するのに対して、書付箱はそれに加えて「権威ある人物に認められた価値ある品である」という特別な意味が加わります。
そのため、書付箱は共箱に比べて高い価値をつけられるのが一般的です。
書付箱に収められている品は、箱書きを行った人物がその所持品であった可能性が高いため、箱書きをした人物の名前やその人物の背景がわかると、品物に対してさらなる歴史的価値が認められるケースがあります。
書付箱は単に品物を包むための箱に留まらず、その品物の価値を高める重要な役割を担う存在であり、芸術品や骨董品の取引において高い評価を受けやすい箱といえるでしょう。
合箱との違い
合箱は共箱や極め箱とは異なり、作品の品質や出自を保証する力を持ちません。
共箱や極め箱は、いずれも作品が本物であることを証明する重要な役割を果たす箱です。
しかし、合箱は作品が本来収納されていたオリジナルの箱ではなく、類似した別の箱に収納された状態のため、その作品が本物であるという証明ができません。
極め箱からわかること
極め箱は作品を保護する役割があるのはもちろんですが、その他にもさまざまな情報を教えてくれます。
箱には作品に関する詳細な情報が記されていることが多く、これを正確に読み取ることによって作品の真贋を見極め、適切な評価を行うことが可能です。
そのため、作品自体の知識だけでなく、箱に関する知識も重要といえます。
に記された情報を正しく理解することで、作品の価値を保証するための手がかりとなり、査定や取引において有益な判断材料を提供してくれるでしょう。
制作された年代
箱の素材は桐が一般的となっていますが、これが主流となったのは江戸時代の中期ごろです。
江戸時代前期までは、杉を用いることが一般的でした。
そのため、箱の素材を確認することで、大まかな年代を特定することが可能です。
また、江戸時代前期に活躍した作家の作品が桐製の箱に入っていると矛盾があると判断でき、その逆もまた然りです。
由緒ある作品か
一般的に、骨董品と共箱は一緒に存在し、分離することは少ないため、箱書きを確認することで中身の真偽を判断できる場合があります。
作者本人やその親族、あるいは専門の鑑定人が記した由緒ある箱書きが付いていることは、その品物が希少であることや真贋を証明する役割を果たし、その価値を裏付ける重要な証拠となるのです。
価値ある極め箱の見分け方
作品が極め箱に入っているからといって作品がオリジナルであるとは限りません。
中身が〇〇で作者は△△である、と明記されていても書いてることと中身とが実際には全く違うこともあるでしょう。
そうなってしまっては極め箱の価値も作品の価値も正しく判断できなくなります。
そういった事態を防ぐためにも箱が由緒ある、正しい物なのかを見極め、見分けることが大切です。
箱と中の骨董品のサイズがあっているか
箱がもともとその作品に付属していたものであるかを確認するためには、まずサイズを比較することが大切です。
もし箱と作品のサイズに大きな差がある場合、箱は元々のものではなく、後から別に作られたか、他の作品用に用意された可能性が高く、オリジナルの箱である確率は低くなります。
箱の素材が制作時代とあっているか
箱に使用されている木材も、その真贋を判断する際に重要な要素です。
箱の素材は桐か杉で作成されていることが多い傾向ですが、年代によって使用する素材が異なります。
たとえば、桐製の箱は江戸時代中期以降で、杉製の箱はそれ以前に使用されていたケースが多い傾向です。
つまり、江戸時代中期以前の作品が桐製の箱に入っていたり江戸時代中期以降の作品が杉製の箱に入っていたりすれば、箱と作品の関係性がないとして価値が保証されません。
作者が判明している場合、活躍した時期を調べて箱の素材が主流だった時代と相違がないか確認してみましょう。