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幼少期から最晩年までの作品を公開した「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」レポ

皆さんは、田中一村(1908年-1977年)という画家を知っていますか?
幼いころから卓越した画才を発揮していた人物で、神童とも称されていました。
しかし、東京美術学校に入学しながらも、わずか2か月で退学し、公募展も落選続きと、現役時代に才能を見出されていたわけではなかったのです。

東京都美術館(建物)(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)
東京都美術館(建物)(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)

今回は、東京都美術館で開催される「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」に行ってきました!
一村がまだ10歳にも満たない子ども時代に描いた作品から、奄美で過ごした最晩年の作品までを一堂に集めた大規模な回顧展。
神童と称された幼いころの才能あふれる作品から、終焉の地・奄美大島で描かれた生命力に満ちた絵画まで、一村の人生と芸術を追体験できる内容の企画展です!

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は東京都美術館にて開催中

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」チラシ
「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」チラシ

東京都美術館では、2024/9/19~2024/12/1まで「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」が開催されています。
企画展示室のLBF・1F・2Fと3つのフロアを使った大規模な企画展です!

東京都美術館内ロッカー前(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)
東京都美術館内ロッカー前(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)

作品をじっくり・ゆっくり見て回りたいと考えている方は、チケットを購入後にロッカーに荷物を預けておきましょう。
300点以上の作品が3フロアにわたって展示されていて、ボリューム満点のため身軽な格好で鑑賞するのがお勧めです!

また、「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は展示室内の写真撮影が禁止されています。
展示室を抜けた後にフォトスポットがあり、そちらのみ撮影が可能となっていました!

音声ガイドの案内(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)
音声ガイドの案内(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」の入口では、音声ガイド機器の貸し出しが行われています。
俳優の小泉孝太郎さんがアンバサダー・音声ガイドナビゲーターに就任、声優・中村悠一さんも一村の言葉を力強い声で表現しています。
一村が描いた作品と、一村という人物を深く知りながら鑑賞を楽しみたいと考えている方は、音声ガイドを利用してみましょう!
企画展入口での貸出価格は650円(税込)です。

アプリ版の配信もあり、こちらは一度購入すれば展覧会開催期間中は、何度でも視聴が可能です。

展示について

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は、一村の幼少期から最晩年までの作品を一堂に集め、その芸術的な軌跡をたどる大回顧展です。
会場は、「第1章 若き南画家の活躍 東京時代」「第2章 千葉時代」「第3章 己の道 奄美へ」という3つのテーマに分かれており、それぞれの時代における一村の進化と、彼が生きた風景や思想が豊かに表現されています。

第1章の東京時代では、神童と称された彼の幼きころからの作品が展示され、南画の伝統的な技法に基づきながらも、独自の視点で自然を描き出した若き一村の姿が浮かび上がります。
その筆使いは繊細で、南画の技法に洗練された感性を加え、すでに一村ならではの感覚がうかがえるものばかりです。

第2章の千葉時代は、一村が27歳で父を亡くし、30歳のときに親戚を頼り千葉に移住した後の作品を追うセクションです。
この時期は、千葉の風景を描いた丁寧な絵画や、季節を感じさせる掛け軸、デザイン的な仕事が多く、一村の誠実な芸術への姿勢が伝わってきます。

そして、展示の最終章である「己の道 奄美へ」では、奄美大島に渡り見つけた新たな芸術の可能性が展開されています。
奄美の光や自然、生き物たちが一村の筆によって生き生きと描かれ、その明るく鮮烈な色彩は彼の集大成と呼ぶにふさわしいものでした。

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は、一村が「己の道」を見つけ、芸術にすべてを捧げたその魂の深さに触れることができる、感動的な展示です!
また、真っ白な壁に一村の掛軸や絵画作品が飾ってあるというシンプルな造りの展示会場で、一村の作品そのものの魅力を存分に味わえます。

第1章:若き南画家の活躍 東京時代

第1章では、7~8歳の幼いころから20代にかけての制作活動が紹介されています。
10歳にも満たない年齢で描いた作品からも、力強い筆使いや卓越した色彩感覚がにじみ出ていました。
このころに描かれた作品をじっくり鑑賞していると、一村が神童と称されていた理由にすぐ納得がいきます。

『池亭聞蛙』紙本墨画淡彩/掛軸(仮巻)/1幅(1922年7月/個人蔵)
中学校に入学した翌年、14歳のころに描いた作品で、今回の展覧会が初公開です。
中国製の紙を用いて描かれたこの作品には、柳が枝垂れる池の情景や人々の営みが描かれています。
このころの一村は、南画や漢詩だけではなく山水画もしっかりと学んでいたことが、作品からうかがえます。

鑑賞する中で印象に残ったのが、葉や枝の細かい描写です。
木の枝先は葉が少ないため、墨の色も薄く表現されていますが、枝の中心にいくにつれて葉が密集し、濃い墨で力強く描かれています。
濃淡のコントラストが、木々に生命力を宿らせ、作品全体に深みを与えているように感じられました。

また、水面には点描のように小さなきらめきが巧みに描かれているのが特徴です。
まるで人々の営みの中で静かにゆっくりと広がる音の波のように感じられ、幻想的な雰囲気も体験できます。

『蘭竹図/富貴図 衝立』絹本金地墨画/絹本金地着色/衝立(両面)/1基(表裏)(1929年2月・3月/個人蔵)
一村が20歳のころに依頼を受けて描いた作品で、その圧倒的な存在感と技術の高さが際立っています。
衝立は両面に異なる画風で描かれており、表裏で対照的な世界を楽しめるのが魅力です。

墨画で描かれた『蘭竹図』は、幽玄さを感じられる作品でした。
金箔を貼り、薄墨を重ねた地に、竹の葉や蘭の花が生い茂る様子が力強い筆のタッチで描かれ、墨の濃淡が作り出す空気感に引き込まれます。

一方、裏面に描かれた『富貴図』は、鮮やかな色彩が目を引きます。
金の地に青い太湖石や赤、白、黄色の牡丹が咲き誇り、蝶や蜂が軽やかに飛ぶ様子が描かれていました。
蝶や蜂の模様が細かく表現されており、明るくカラフルで大胆さがあるように見えて、繊細な筆使いも感じられる素敵な作品です。

『椿図屏風』絹本金地着色/屏風/2曲1双(1931年/千葉市美術館蔵)
この作品は、一村の創作活動における空白期とされていた20代半ばの時期に描かれた作品で、2013年に新たに発見されました。
また、この時期の彼のイメージを一新させる作品でもあります。
絢爛たる金屏風に広がる紅白の椿は、まるで生き生きとした生命力を宿しているかのようです。
濃密な絵具が幾重にも重ねられ、その厚みと質感が枝葉にリアルな存在感を与えています。
枝の重なりや葉の一枚一枚が細部まで緻密に描かれており、一村の自然への深い敬愛が感じられますね。
屏風の左側には白梅の枝が描かれ、屏風の右下に目をやると、梅と椿の幹が異なる質感で入念に描き分けられており、自然観察の鋭さと表現力の高さが感じられます。

第2章:千葉時代

第2章では、掛軸だけではなく小さな色紙に描かれた作品が多く展示されているのが印象的でした。
色紙だけではなく、色紙大に切り取られた画用紙に描かれている作品もあります。
発表の場が限られていた一村にとって、色紙という小さなキャンバスは、気軽に描ける大切な表現の場だったのでしょう。
また、千葉時代の一村は、江戸時代の文人画や古典的な山水画を学び、作品に昇華していきました。

このころの一村は、羅漢像や観音像など宗教的なテーマをモチーフにした作品も多く描いています。
作品によってさまざまなタッチで描かれており、筆を走らせるように大胆に描かれた絵から、観音像の装飾品を繊細に表現した作品まで、幅広い表現技法が印象に残っています。

また、公募展で唯一入選を果たした作品も展示されていました。
『白い花』紙本金砂子地着色/屏風/2曲1双(1947年9月/田中一村記念美術館蔵)
第19回青龍展で初入選を果たしており、画号を柳一村にあらためて挑戦した際の作品です。
ヤマボウシの白い花とその緑の葉で画面が覆いつくされており、花々の間に伸びる竹の枝には、ひときわ目を引くトラツグミがとまっています。
この作品は、多くの下書き線が残されているのが特徴です。
村が自らの構図の癖を少し整理し、新たな画面構成と描写に挑戦した姿勢がうかがえます。

『黄昏』紙本着色/額装/1面(1948年/株式会社ジャパンヘルスサミット蔵)
画面に夕陽は描かれていませんが、モチーフの後方に沈みゆく太陽があることを予感させるように、モチーフの縁が薄く輝いているのが印象的でした。
淡い色合いのグラデーションにより描かれた空は、黄昏時の儚さや静けさを繊細に表現しているように感じられます。
夕日の光を受けたモチーフの繊細な輝きが、画面に流れる時間の儚さと、瞬間の美を見事に捉えており、彼の芸術的な深さと感受性が感じられる作品でした。

ほかにも、鶏を描いた作品も多く見受けられました。
一村は、繊細な表現を実現するために、死んだ鳥を横たわらせ、その姿をさまざまな方向からスケッチしたとも伝えられています。
特に驚いたのが、鶏の足の表現です!
固い皮膚の模様が非常に細かく描かれており、そのディテールはまるで鶏が古代の恐竜から進化してきたことを思い起こさせてくれるほどでした。

第3章:己の道 奄美へ

第3章では、一村が50歳で単身奄美大島へと移住し、自然を題材にして独自の絵画世界を築き上げた時期の作品が展示されています。
奄美の自然に魅了され、生涯奄美の風景を描き続けたこの時代の作品は、彼の芸術の頂点ともいえるでしょう。

『奄美の海に蘇鉄とアダン』絹本墨画着色/額装/1面(1961年/田中一村記念美術館蔵)
この作品は、一村が奄美から一度千葉に戻ったときに描いた作品です。
横長の画面に広がるのは、一村が奄美で目にした自然の光景が、まるで眼前に広がっているかのように描かれています。
奄美特有の珍しい植物が生き生きと描かれており、左上には木立朝鮮朝顔が、下には蘇鉄の雌花、右にはアダンが墨彩で描かれています。
画面に生い茂る葉の間からは、奄美の青い海と沖にそびえる立神の岩が。
立神は、遠くのネリヤカナヤから神が渡ってくるとされる神聖な島で、地元の信仰の対象となっています。
単なる奄美の自然だけではなく、神聖なモチーフを構成に盛り込んでいることから、奄美についてより深く理解しようとする一村の心が感じられます。
一村が奄美に強く惹かれていたことがうかがえますね。

ほかにも、一村が制作した晩年の作品が企画展のハイライトを飾っています。
今回の企画展のポスターにもなっている『アダンの海辺』や、代表作『不喰芋と蘇鐵』は、一村が奄美の植物や風景に寄せた深い愛情と洞察を感じさせる作品です。
一村が奄美の自然をどれほど深く見つめ、理解しようと努めたかが鮮明に表現されています。
さらに、未完の大作『白花と瑠璃懸巣』や『枇榔樹の森に赤翡翠』も展示されており、一村の芸術家としての情熱と意欲がいかに強かったかを物語っていますね。

また、企画展の締めくくりとして、約5分の映像が上映されており、一村が実際に目にした奄美の風景が映し出され、彼の作品の源となった美しい自然の姿がリアルに感じられます。

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」のグッズについて

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」を見終わったあとはオリジナルグッズもチェックしましょう!
ショップには、一村の芸術を日常に取り入れられる素敵なグッズが揃っていました。
定番のポストカードやスマホショルダー、ミニ屏風などとともに、泥染めTシャツといったグッズも販売されています。

また、奄美に移住した一村が頻繁にモチーフとして取り上げた植物「アダン」をテーマにしたオリジナル商品が豊富で、どれも個性的かつ魅力的です。
本展会場でしか手に入らないオリジナルグッズもあり、どれも一村の芸術的な世界観を身近に感じさせてくれるアイテムばかりです。
ぜひ、「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」鑑賞後は、展覧会の余韻を楽しむためにお立ち寄りください。

田中一村展のガチャガチャ(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)
田中一村展のガチャガチャ(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)

グッズショップを出てすぐ左手側には、一村の作品が印刷された缶バッジとアクリルキーホルダーのガチャガチャが設置されていました。
1回300円と手ごろな価格のため、ちょっとしたお土産が欲しい方にお勧めです!

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」のフォトスポット

企画展示室内は、すべて撮影禁止となっていますが、グッズショップを出た後の廊下に、フォトスポットが2ヶ所設置されています!

アダンの海辺のフォトスポット(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)
アダンの海辺のフォトスポット(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)

1つ目は、ポスターにもなっている『アダンの海辺』のフォトスポットです。

不喰芋と蘇鉄のフォトスポット(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)
不喰芋と蘇鉄のフォトスポット(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)

2つ目は、代表作の『不喰芋と蘇鉄』です。

展示室内は撮影ができませんが、2つもフォトスポットが用意されているため、企画展を楽しんだ後は、写真を撮って帰宅後も余韻に浸りましょう。

作品を通して田中一村の人生を辿る「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は、一村が全身全霊をかけて描き続けた作品群を通じて、彼の生涯と情熱の軌跡をたどることのできる企画展です。
彼の描いた風景や植物は、澄んだ光にあふれ、彼の内なる情熱と魂の輝きを静かに伝えているかのようです。
今回の企画展を通じて、一つひとつの作品だけではなく、幼いころから卓越した画才をもっていた一村が奄美に魅了され、晩年を奄美の豊かな自然をモチーフにした作品に全力を注ぐまでの物語を楽しめました!

東京都美術館は、上野駅から近い場所に位置しており、企画展鑑賞後は上野公園内をゆっくり散歩しながら、展示会や作品を振り返ってみるのもお勧めです。
また、上野公園内にはいくつかカフェがあります。

上野公園のスターバックス(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)
上野公園のスターバックス(「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」東京都美術館)

スターバックスにはテラス席があり、天気のよい日には外の席でコーヒーを飲みながら友人と企画展の感想を言い合うのもよいですね。

店舗情報
スターバックス 上野恩賜公園店
https://store.starbucks.co.jp/detail-1087/

開催情報

『田中一村展 奄美の光 魂の絵画』
場所:東京都美術館 東京都台東区上野公園8-36
期間:前期展示2024/9/19~2024/10/24
   後期展示2024/10/25~2024/12/1
公式ページ:https://www.tobikan.jp/
チケット:一般2,000円、大学生・専門学校生1,300円、65歳以上1,500円

※詳細情報や最新情報は公式ページよりご確認ください

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