骨董品と美術品は、同じジャンルのものとして語られることもありますが、定義や年代、価値といったさまざまな観点から、違いが定められています。
骨董品や美術品に興味がある人の中でも、自分で楽しみたい人、投資や資産として所有したい人など、目的はさまざまです。
それぞれ求めるものは異なるため、骨董品と美術品の「違い」について理解し、楽しみ方の幅を広げましょう。
骨董品と美術品の定義
骨董品と美術品の定義は、それぞれ異なります。
違いを知るためにまずは定義を理解することが大切です。
骨董品とは
骨董品とは「希少品のある工芸品や美術品」を指す言葉です。
1934年にアメリカで制定された通商関税法においては、「製造してから100年経過した手工芸品・工芸品・美術品」が骨董品と定められています。
通商関税法では、経過年数がひとつのポイントになっているのです。
一方、日本では製造してから数十年経過すると骨董品と呼ばれることがしばしばあります。国や文化によって骨董品に該当するか否かは変わるといえるでしょう。
骨董品に該当する具体的な品物は、次のとおりです。
・絵画、掛け軸
・茶道具
・焼き物、陶磁器
・刀剣、甲冑類
・象牙、珊瑚、翡翠製品
美術品とは
美術品は、骨董品と比べると、美術的価値に重きをおいた表現の言葉です。
そのため、骨董品を定義するポイントである年代については重要視されていません。
骨董品と美術品の違いは、美的価値をどれだけ重要視するかの違いといえます。
骨董品に該当するような古い年代の美術品は、古美術品と名称分けされている点が特徴です。
なお、古美術品は、古い時代に制作された絵画や彫刻、陶磁器などを総称した言葉です。
骨董品と美術品にはどのような違いがある?
骨董品と美術品の大きな違いは、美的価値に重きをおいているか否かです。
それ以外には、どのような違いがあるのでしょうか。
目的と用途については、骨董品は作品の用途が多岐に渡ることがほとんどです。
コレクションやディスプレイに用いられることが多いイメージですが、アンティーク家具であれば、現役として日常使いするケースもあります。
一方、美術品は主に美的鑑賞が目的とされています。そのため、鑑賞としてディスプレイすることに限定された使い方になるでしょう。
また、国や文化によって骨董品や美術品の定義は変わります。
日本では、骨董品の中でも古い陶磁器や工芸品、茶道具などは、鑑賞の対象として古美術品にあたりますが、これは日本の文化的背景があるためです。
ほかの国では、それぞれの文化に基づいた美的意識のもと、さまざまな捉え方に分かれています。
このように、骨董品と美術品は、美術的価値に重きをおいているかを重要視しますが、明確な線引きは難しいでしょう。
歴史的価値や美術的価値には、主観的な要素が多分に含まれており、明確に分けることが難しいといえます。
市場価値の高い骨董品や美術品とは
市場価値の高い骨董品や美術品には、どのようなものがあるのか見ていきましょう。
骨董品としての市場価値の高さを構成する要素として、次の項目が挙げられます。
・年代
・作家
・素材
・希少性
・保存状況
加工技術が今ほど優れていなかった時代では、金銀や翡翠など高級な素材が用いられていると価値が高くなる傾向がありました。
骨董品の市場価値の高さは、有名作家が制作している、高級素材が用いられた希少性の高い作品である、などの条件によって決定づけられます。
美術品に関しても、骨董品と同じ項目が市場価値の高さを構成する項目として挙げられます。しかし、近年では市場価値が大きく変化する可能性が秘められているため、投資目的で美術品を収集している方が少なくありません。
ゴッホは、生涯で1枚しか絵が売れていないのに、現代においては価値が高騰しています。また、バンクシーは、作品の価値が4年で4倍まで膨れるほど、未知数な投資価値を秘めていました。
目的によって骨董品・美術品への目線は違う
美術的価値や投資的価値など、何に注目しているかによって骨董品や美術品の楽しみ方は異なってくるでしょう。
そのため、鑑賞用として所有したい場合と、投資や資産として所有したい場合とでは、見極めるポイントが変わるといえます。
それぞれの目的に合わせて、骨董品や美術品を楽しんだり、価値を見定めてみたりしてはいかがでしょうか。