日本の伝統的な技術を用いて作られる工芸品は、お土産物として購入する人もいれば、日常的に利用している人もいます。
全国各地でさまざまな種類の工芸品を購入でき、日用品としての使い道もあることから、手放す際に買取に出す人は少ないでしょう。
しかし、工芸品の種類や作品によっては、価値が高いものもあるため、そのまま処分してしまうのはもったいありません。
処分を検討している方は、一度査定に出して、作品の価値を確認しましょう。
目次
工芸品買取を相談しよう
芸術的要素を備えながらも日常使いできる工芸品は、古くから日本で親しまれてきた伝統的な道具です。
日用品として捉えている人も多く、骨董品として買い取ってもらおうと考える人は少ないかもしれません。
しかし、ものによっては高額買取が期待できるため、価値や売却方法を事前に知っておくことが大切です。
工芸品/伝統的工芸品とは
工芸品とは、一般的に日常使いしている道具類の中でも、材料や技巧、意匠によって美術的な効果も兼ね備えた物品を指します。
生活用具として実用性のある道具のため、彫刻や絵画とは異なり、建築と同様に応用芸術の一つとして捉えられています。
工芸品に該当するものは、陶磁やガラス、金工、漆工、木工、竹工、人形、染織などです。
工芸品の中でも、伝統的工芸品と呼ばれるジャンルは、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)」によって定められています。
日常的に使われているもので、伝統的な原材料を使用して、伝統的な技術や技法を用いて、主要部分を手作りしている工芸品を、伝統的工芸品と呼んでいます。
現在、指定されている伝統的工芸品は、237品目あり、そのどれもが長年の技術を継承して制作されてきた日本が誇る文化といえるでしょう。
自宅にあるコレクションや相続品を整理したい
日常的に使われる工芸品や伝統的工芸品に、どのような価値があるか知らない方も多いでしょう。
日用品のため、骨董品としての価値はないと判断し、処分してしまっていないでしょうか。
自宅にあるコレクションや相続した工芸品を整理したいと考えている方は、一度骨董品買取業者に査定を依頼しましょう。
自分では価値がないと考えていても、思いもよらない価値をつけてもらえるかもしれません。
工芸品・伝統的工芸品であるか分からない、誰が制作した作品か分からないというものであっても処分する前に、価値を知っておくのもよいでしょう。
そもそも工芸品には価値がある?
日常使いのできる工芸品には、骨董品としての価値がないと考える人も多いのではないでしょうか。
身近な存在である工芸品ですが、ものによっては高価買取が期待できるため、まずはどのようなジャンルの工芸品があり、日本でどのように発展してきたのかを知って、工芸品の価値を再認識しましょう。
工芸品の歴史
工芸品のような、日常的に利用する道具は、旧石器時代や縄文時代から存在したとされていますが、商品としての工芸品はまだ登場していません。
その後、奈良時代に入ると、木工や金工の最高技術を用いて制作された東大寺大仏が登場するなど、職人による工芸品づくりが徐々に広まっていきました。
江戸時代になると、工芸とそれらの造形が多彩になり、工芸品制作の技術は江戸時代に完成したとまでいわれるように。
本格的な研究と産業育成が開始されたのは、昭和に入ってからで、現在の経済産業省である商工省が、国立工芸指導所を設立したことに始まるといわれています。
工芸産業の育成は、世界恐慌で悪化した地方の経済対策として打ち出されました。
その後、建築家として有名なブルーノ・タウトなどを指導者として日本に招き、工芸に関連する技術者の育成に励みました。
現在、工芸品や伝統的工芸品の出荷額は、1983年をピークに減少傾向にあり、この状況を危惧し、2017年には一般社団法人日本工芸産地協会が設立。
日本各地の工芸産地の自立や100年後も続くものづくりを目指して活動を続けています。
身近なところにもある、工芸品
現在、伝統的工芸品には237品目が指定されており、工芸品や伝統工芸品はさらに多くの種類があります。
宮城県のこけしや鳴子漆器、東京都の村山大島紬、江戸切子、神奈川県の箱根寄木細工、石川県の輪島塗、三重県の伊賀焼、滋賀県の信楽焼など、全国各地に工芸品が存在します。
種類が多いため、実物を見たことがあるものや、名前も知らなかったものなど、さまざまあるでしょう。
例えば、村山大島紬とは東京都武蔵村山市周辺で制作されている織物を指しており、正藍染めを特徴とする村山紺絣と、玉繭から作る絹織物の砂川太織が融合して発展した工芸品です。
奄美大島で制作されている大島紬に似ているため「大島」の名がついたといわれています。
箱根寄木細工とは、さまざまな色合いの木々を組み合わせて幾何学模様を表現した工芸品です。
工芸品は、全国各地で制作されておりジャンルも豊富であるため、知らず知らずのうちに見かけていたり、利用していたりするかもしれません。
どんな工芸品が価値が高い?
工芸品は種類が多く、特徴も多種多様であるため、どのような工芸品に高い価値がつけられているのか知らない人も多いでしょう。
工芸品の中でも、やはり経済産業大臣の指定を受けている伝統的工芸品は、価値が高くなる傾向です。
例えば、鉄瓶は、お湯を沸かす鉄製の道具として活用されるもので、電気ポットやケトルで沸かしたお湯よりも、軟水化されまろやかな感触になるため、人気を集めています。
鉄瓶の中でも、岩手県の南部鉄器は伝統的工芸品に認定されており、貴重な鉄瓶の中には、約500万円の価値がつくものもあるそうです。
有名な工芸品作家や作品
有名な工芸品作家が作った作品は、高価買取が期待できます。
所有する工芸品が誰によって作られた作品か把握するためにも、代表的な工芸品作家や作品を把握しておくとよいでしょう。
今泉今右衛門
今泉今右衛門とは、江戸時代から続く肥前国の陶芸家の名跡で、鍋島焼の伝統を受け継いでいます。
色鍋島と呼ばれている色絵は、古くからの伝統と高い品格を持ち合わせており、赤絵の調合や技術は、一子相伝の秘宝として現代まで伝えられています。
江戸時代から始まり、現在制作を担っているのは14代今泉今右衛門です。
酒井田柿右衛門
酒井田柿右衛門とは、江戸時代から続く肥前国の有田焼の名跡で、現在15代まで続く伝統的な陶芸家です。
柿右衛門様式の陶芸には、やまと絵風の花鳥図をモチーフにしたデザインが施されている特徴があります。
モチーフは暖色系で描かれ、乳白色の豊かな余白がモチーフをより際立たせています。
有田焼の中でも、柔らかく暖かみのある雰囲気が魅力の一つです。
秋山 信子
生没年:1928年-2024年
秋山信子は、日本の人形作家で、1996年には重要無形文化財「衣裳人形」の保持者として、人間国宝にも認定されました。
人形作家の大林蘇乃に師事し、粘土の一種である桐塑や和紙貼、木目込などの伝統的な人形制作技法を習得します。
1960年に開催された第7回日本伝統工芸展で初入選し、大阪府教育委員会賞を受賞。
その後、1963年に日本工芸会正会員に認定されています。
工芸品を手放すにはどんな方法がある?
工芸品を手放す際の方法として、ネットオークション、フリマ、リサイクルショップ、不用品回収業者、遺品整理業者、骨董品買取業者などの利用が挙げられます。
ネットオークション、フリマでは、価格を自由に決められるメリットがありますが、価格交渉をされたり、多くの問い合わせに回答したりと、手間や負担が大きいデメリットがあります。
リサイクルショップ、不用品回収業者、遺品整理業者を利用すれば、手放したいものをまとめて買取もしくは回収してもらえますが、骨董品に関する専門知識をもっていない可能性も高く、本来の価値よりも低い値段で引き取られてしまう場合があるでしょう。
骨董品買取業者であれば、専門的な知識や査定実績もあるため、お手持ちの工芸品の適切な価値を判断してくれると期待できます。
とはいえ、業者によって実績や経験が異なるため、複数の業者で査定してもらい、条件のよい場所で買い取ってもらうことをお勧めします。
大切にしてきた工芸品を売るなら、実績ある買取業者へ相談を
工芸品は日常使いできるものも多く、一見骨董品としての価値がないと思われがちですが、作品によっては高額買取になる可能性を秘めています。
そのため、売れないだろうと処分せずに、一度査定に出して価値を確認するのがお勧めです。
骨董品買取業者では、無料査定を行っているケースも多いため、価値を知ってから手放すかを判断したい人にも適しています。