骨董品とは、ただ古いだけのものではなく、古い工芸品や美術品の中でも、特に価値が高いものを指しています。
大切にしている骨董品の価値を保つためには、骨董品全般に共通する管理方法を理解するとともに、骨董品の種類ごとの注意点を守らなければなりません。
骨董品をよりよい状態で持ち続けるために、適切な管理方法を知っておくとよいでしょう。
骨董品の管理方法はどうすれば安心?
骨董品を良好な状態で保管するためには、温度と湿度の維持が非常に重要です。
高い湿度は、金属や木材の腐食、カビ発生の原因となるため、骨董品全般で、避けるべき環境といえます。
また、極端に高温や低温の環境も、骨董品の状態を悪化させる要因となるため注意が必要です。
温度が高いと、骨董品の素材が変形や劣化し、温度が低すぎると繊細な素材が脆くなってしまいます。
湿度・温度を適切に管理することは、骨董品をよりよい状態で保管し、長きにわたってその価値を維持するために欠かせません。
湿度は50%前後、温度は20度前後が最適な環境とされているため、直射日光のあたらない通気性のよい場所に保管するのが望ましいでしょう。
湿気をコントロールするために、加湿器や除湿機が必要であれば使用し、エアコンや暖房器具を活用して、温度をなるべく一定に保つことが大切です。
骨董品によって最適な管理方法とは
骨董品を適切に管理することは、価値を高く保つために必要なことであり、大切な骨董品を長く愛好するためにも重要です。
骨董品の種類は多岐にわたり、それぞれに適した管理方法があります。
骨董品を適切に管理するには、種類ごとの特徴を理解し、最適な環境を整えることが大切です。
絵画・掛軸
骨董品の中でも、特に絵画や掛軸は、湿気に対して非常に敏感であるため、湿度を慎重に管理する必要があります。
過度な湿気は、紙やインク(墨)を変質させたり、表面の剥離を引き起こしたりしてしまうのです。
また、湿気だけでなく、直射日光や極端な温度変化も、骨董品の劣化を早めてしまうため、適切な管理を心がけましょう。
絵画や掛軸にとって理想的な環境を維持するためには、定期的な換気と温度調節が必要です。
室温は20度前後、湿度は50%前後が保管に理想的な環境とされているため、その範囲内に温度・湿度を調節できる環境を作りましょう。
掛軸に関しては、和紙と糊が湿気を非常に嫌うため、通気性と吸湿性に優れた桐箱で保管することが推奨されます。
直射日光や蛍光灯などの紫外線を避けるために、UVカット機能のある額に入れるのも一つの手です。
また、カビやシミを防ぐために、定期的な虫干しも大切です。
陶器
絵画や掛軸とは異なり、陶器は湿気に強いと考えられがちですが、実はそうではありません。
骨董品の陶器は、長い年月の中で表面に微細なひび割れや傷が生じる場合があります。
そのため、湿気の多い場所では表面の細かな傷などから水分が入り込み、割れや欠けの原因となってしまうのです。
また、直射日光は退色や変色の原因となるため、なるべく日光のあたらない場所での管理が望ましいでしょう。
陶器同士が触れ合わないように保管し、子どもやペットが近づかない環境にしておくことも大切。地震の揺れにも備え、多少の衝撃では落下しないような場所に保管する必要もあります。
陶器は割れやすいため、衝撃対策をしっかり行いましょう。
茶道具
茶道具は、使用するとき水に触れるものですが、保管する際には湿気を防がなくてはなりません。
茶道具の中でも木製の道具は、湿気により変形してしまうおそれがあるためです。
また、金属製の道具の場合は、湿気がサビの原因を作ります。
直射日光による退色や変色にも気を配り、布や紙に包んで保管するのがよいでしょう。
また、茶道具の中には小さな道具も多いものですが、すべての道具をまとめて布で包んだり、一つの箱に入れてしまうことはお勧めできません。
道具同士が触れ合って、割れたり欠けたりする可能性があるためです。
小さな道具は個別に包み、箱に入れて保管すると、破損のリスクを軽減できるでしょう。
日本刀
日本刀を保管する場合も、まずは湿気と温度管理に細心の注意を払う必要があります。
床の間や壁などに飾るとき以外は、装飾のない白鞘に収めて保管するのがよいでしょう。白鞘は、湿気と乾燥を適度にコントロールしてくれるため、日本刀を保管する際に適した外装です。
湿気を防ぐことで刀身をサビから守れますが、それに加えて定期的な手入れを行うことで、日本刀をさらに良好な状態に維持できます。日本刀は、鑑賞のたびに手入れをすることが理想とされているため、鑑賞の頻度が高い場合は、それだけ手入れの頻度も高くなるでしょう。しばらく鑑賞しない場合でも、数か月に1度は手入れをし、湿度・温度が管理された保管場所に収納してください。
骨董品は管理方法次第で価値が変わることも
骨董品は古くから残っているものであるため、適切な管理方法で常に良好な状態を保つ必要があります。
管理方法が不適切であった場合、骨董品の価値が大きく損なわれるおそれがあります。
価値の低下を防ぐためにも、骨董品の種類にあった管理方法を理解し、常日頃から実践することが大切です。
骨董品は古い時代に制作されたものであるため、適切に管理していても、傷や汚れがついてしまう場合があります。
骨董品買取業者を利用した骨董品の売却時、傷や汚れが気になっても無理に取り除かないほうがよいでしょう。
修理によってかえって状況を悪化させてしまったり、骨董品の価値より修理費用が高くついてしまったりする可能性があるためです。
骨董品を売却する場合は、専門家への査定依頼がお勧めです。

