「ベル・エポック」と呼ばれる時代を知っていますか?
今回の企画展では、19世紀末から1914年の「ベル・エポック」と呼ばれる華やかな時代をテーマに、当時の美術、工芸、舞台、音楽、文学、モード、科学技術など多岐にわたる文化が紹介されています。
今回は、パナソニック汐留美術館で開催されている「ベル・エポック 美しき時代パリに集った芸術家たち」展に行ってきました!
西暦1900年前後、パリが世界で最も輝いていた「ベル・エポック」時代の空気を、ロートレックやキャバレーのポスターなどで味わいましょう。
目次
「ベル・エポック 美しき時代パリに集った芸術家たち」展はパナソニック汐留美術館にて開催
「ベル・エポック―美しき時代 パリに集った芸術家たち」展は、19世紀末から20世紀初頭にかけてのパリの華やかな文化を存分に味わえる企画展です。
フランスのワイズマン&マイケルコレクションから初来日した絵画やグラフィック作品。
当時のパリの賑やかな情景や人々の暮らしを鮮明に描いたこれらの作品が、華やかな時代の空気感を伝えます。
美術、ファッション、日用品など、多彩な展示内容が見どころとなっています。
展示について
展示会場では、油彩画だけでなく、クレヨンやパステル、コラージュ、リトグラフ、水彩、鉛筆といったさまざまな技法を用いた作品が展示されており、芸術の幅広さを感じさせてくれます。
さらに、小説や当時のドレス、子ども服、ガラス製品、アクセサリー、帽子など、当時のパリの日常や華やかさを象徴する品々もそろっているのが見どころの一つです!
企画展を鑑賞していると、まるでベル・エポック時代のパリにタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。
また、会場そのものも特別な演出が。
暖色を基調とした壁紙やレースカーテン、舞踏会を彷彿とさせる壁紙の模様など、当時のパリの雰囲気を感じさせる工夫が随所に見られます。
また、会場全体に広がる柔らかな照明や展示空間の演出が、100年前のパリの文化空間へと来場者を誘います。
細やかな配慮が、展示品の魅力をさらに引き立てていますね。
第1章:古き良き時代のパリ – 街と人々
第1章「古き良き時代のパリ – 街と人々」では、当時の暮らしや社会を感じさせる作品が多数展示されています。
特に目を引くのが、ブルジョワ階級の女性や子どもの服飾作品です。
華やかなドレスやアクセサリーはアール・ヌーヴォーの影響を強く受けており、花や植物をモチーフにした装飾が印象的です。
展示されている帽子にはたくさんの羽が使われており、まるで鳥そのものが帽子の上にとまっているかのような大胆なデザインに驚きました。
19世紀末から20世紀初頭にかけてのファッションは、体のラインを強調するようなデザインのドレスが多いように感じられます。
また、子ども服も大人の衣装のミニチュア版のようなデザインが多く見られますが、やがて「締め付けのある服は健康に悪影響を及ぼす」という考えが広まり、現在のようなゆったりとしたデザインの洋服へと進化していったそうです。
絵画は、当時のブルジョワ女性を描いた作品が並びます。
画家によって女性の表情が異なり、堂々とした気品ある姿や、少し意地悪そうに見える顔つきなど、社会的地位や個性が垣間見える作品群を比較しながら楽しめます。
当時のファッション誌も展示されており、緻密に描かれた服装の図版から当時の流行を読み取ることができるのも魅力的です。
当時の流行を今に伝える貴重な資料ともいえますね。
また、工芸品としてマイセン磁器の展示もあり、花や植物をふんだんに表現した燭台の装飾は目を見張るものがあり、翼の生えたプットー(天使)の存在が豪華さを一層引き立てています。
このような装飾美術からも、当時の豊かな社会を感じることができます。
第2章:総合芸術が開花するパリ
第2章「総合芸術が開花するパリ」では、当時の芸術家たちがどのように互いに影響し合い、新しい文化を創造していったかを感じられる展示が行われています。
ベルエポック時代の夜のパリが持つ華やかさがテーマとなり、舞踏会や演劇鑑賞、ブルジョワ階級の集いなど、賑やかで洗練された社会の一端を垣間見ることができます。
特に印象的だったのが、当時のパリの部屋を再現したであろう展示スペースです。
ルイ・マジョレルによる木製の椅子と小さなテーブルが手前に配置され、エミール・ガレのランプが部屋全体に温かみを与えていました。
家具や装飾品が、アール・ヌーヴォーのデザイン美学を体現しており、芸術がどのように日常生活に浸透していたかを実感できます。
背景の壁にはクロード・モネが印象派として活躍する直前の作品が展示され、時代の移り変わりを象徴しています。
また、水瓶やペン軸、ペーパーナイフといった小物の展示も充実しており、日用品が持つ芸術性が、当時の生活そのものがアートであるというような気分になりました。
絵画や家具、装飾品が融合する様子が当時の文化的豊かさを鮮やかに物語っており、芸術と生活が一体となった空間を体験できます。
第3章:華麗なるエンターテイメント 劇場の誘惑
第3章、「華麗なるエンターテイメント 劇場の誘惑」は、当時のパリの劇場文化や芸術家たちのコラボレーションの魅力に迫ります。
キャバレーや劇場が織りなすエンターテインメントの世界を、絵画やポスター作品を通じて楽しめます。
特に注目したいのは、キャバレー「ル・シャ・ノワール」に実際に飾られていたジュール・シェレのリトグラフ作品『パントマイム』『コメディー』『ダンス』『音楽』の4枚です。
鮮やかで軽やかな色彩が特徴で、見る人の心をときめかせるようなデザインが魅力的でした。
ベルエポック時代の劇場やキャバレーの華やかな雰囲気を感じさせるこれらのポスターは、当時のエンターテイメント文化の象徴ともいえるでしょう。
また、ベルエポック時代の劇場やキャバレーが、どれほど多くの芸術家にとってインスピレーションの源となり、互いに影響し合う場であったかを感じられます。
また、第3章は唯一写真撮影が許可されている展示スペースです。
特別な空間で、当時のパリの活気あふれる夜の世界をカメラに収め、鑑賞後もお気に入りの作品を眺め余韻に浸りましょう。
第4章:ベル・エポック―美しき時代 パリに集った芸術家たち
第4章「女性たちが活躍する時代へ」では、時代の中で自らの才能を発揮し、道を切り開いた女性たちに焦点を当てた作品群が展示されています。
この章では、アール・ヌーヴォーの巨匠アルフォンス・ミュシャによる華やかなポスターが一際目を引きます。
当時の人気舞台女優サラ・ベルナールを描いたもので、彼女が身につけていた冠や招待客用の記念メダルも併せて展示されていました。
その豪華な装飾品は、ベルエポックの華麗さを象徴しているといえるでしょう。
一方、注目すべきもう一人の女性、シュザンヌ・ヴァラドン。
彼女は洗濯婦として働きながら画家たちのモデルとして活動していましたが、自身でも絵を描き始め、画家ロートレックやドガによってその才能を評価されました。
彼女の描いた作品は、彼女の生活と芸術的な視点を反映し、観る者に力強い印象を与えます。
また、20世紀に入ってからのファッションも印象的です。
展示されているドレスや子ども服は、第1章で紹介されたものとは対照的に、シンプルでエレガントなデザインが特徴。
体の線を強調しないスタイルでありながら、アールデコの影響を受けた上品さが際立っています。
当時の服飾が、社会の変化や女性たちの新しい役割に適応していく過程を感じられる展示といえます。
芸術や文化の中で輝いた女性たちの物語が描き出され、ベルエポックの華やかさと変革の時代を象徴する展示を楽しめました。
美術館外の映像作品
「ベル・エポック―美しき時代 パリに集った芸術家たち」展は、館内の展示だけでなく、美術館の外でも楽しみが広がっていました!
美術館入口前のスペースでは、当時のパリの様子を伝える映像作品が放映されており、こちらはなんと無料で観ることができます。
企画展に入場しなくても気軽に立ち寄れるため、ベルエポック時代の華やかな文化を少しだけ体験したい方にもおすすめです。
映像では、当時のパリの雰囲気や、舞台で活躍した歌手や舞台女優たちと画家との関係性が紹介されています。
特に感動的だったのは、歌手アリスティード・ブリュアンの肉声や、画家ロートレックの作品で有名なジャンヌ・ギルベールの動く姿を見れたことです!
絵画の中でおなじみとなっている彼らが動き、声を発することで、まるで当時のパリにタイムスリップしたかのような気分になりました。
さらに、第3章の展示室で鑑賞できるジュール・シェレの4枚の作品『パントマイム』『コメディー』『ダンス』『音楽』がキャバレー「ル・シャ・ノワール」に飾られている様子の写真も映像で紹介されています。
実際にカフェに飾られていた様子を知ると、展示室での鑑賞がより特別なものに感じられますね。
美術館外での映像上映は、展覧会をより深く楽しむためのプレリュードのような役割を果たしており、訪問者に新しい発見をもたらしてくれます。
ベルエポック時代の文化にどっぷり浸りたい方にとって、映像コーナーも見逃せないポイントです!
グッズ
企画展を堪能した後は、グッズショップにも立ち寄りたいところです。
企画展会場から出たすぐの場所がグッズショップになっています。
ショップでは、展示されている作品を取り入れた多彩なアイテムが販売されており、訪れた記念として手に入れたいアイテムがそろっています。
展示作品のデザインを再現したポストカードやクリアファイル、しおり、マグネット、そしてリングノートなどが販売されていました。
ベル・エポック時代の華やかな芸術と文化を日常に取り入れられるアイテムで、観覧後の余韻に浸りながらその魅力を持ち帰ることができます。
また、ベル・エポックに関する知識を深めることができる書籍も豊富に取り揃えられています。
ベル・エポックの時代背景や芸術家たちの活動についてさらに学びたい方におすすめです。
展示の内容をより深く理解し、パリの「美しき時代」を心から感じられるようになること間違いなしでしょう。
まとめ
華やかな時代の美術や文化が集結したこの企画展は、ベル・エポック時代のパリを楽しむ絶好の機会です。
パリの優雅さや活気を感じたい方には特におすすめです。
ぜひ足を運んで、タイムスリップ気分を味わってみてはいかがでしょうか。
パナソニック汐留美術館では、2024年10月5日から12月15日まで、「ベル・エポック―美しき時代 パリに集った芸術家たち」展が開催されています。
開催情報
『ベル・エポック 美しき時代パリに集った芸術家たち展』
場所:〒105-8301 東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
期間:2024/10/05~2024/12/15
公式ページ:https://panasonic.co.jp/ew/museum/
チケット:一般:1,200円、65歳以上:1,100円、大学生・高校生:700円、中学生以下:無料
※詳細情報や最新情報は公式ページよりご確認ください