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山田宗美(1871年-1916年)鍛金家[日本]

早世の鍛金家「山田宗美」とは

生没年:1871年-1916年
山田宗美は、石川県加賀市出身の鍛金家で、本名は山田長三郎といいます。
宗美は、石川県江沼郡大聖寺町鍛治町で、加賀市の大聖寺藩に仕えていた武具鍛冶師の家系に生まれました。
1885年ごろから父の山田宗光に象嵌や打出しなど鍛金の技法を学び、ほかの兄弟が早くに亡くなってしまったことから1890年に10代目長三郎を襲名し、号として宗美を使うようになりました。

1891年、弱冠20歳とまだ若かった宗美は、新しい鉄打出の技法を編み出します。
1枚の薄い鉄板を金づちで叩いて伸ばし、立体の花瓶や置物を作り上げる独自の手法で、銅をはじめとした柔らかい金属とは異なり、鉄の打ち出しは難しく高い技術が必要なため、この技法は、画期的なものでした。
宗美は、卓越した鉄の打ち出し技術を持ち合わせており、「宗美の先に宗美なく、宗美のあとに宗美なし」といわれるほどでした。
宗美は、自身が編み出した鉄打出技法を用いて数々の名作を製作しています。

1896年には、日本美術協会展に作品を初出品し、三等賞銅牌を受賞して宮内庁御用品となりました。
さらに、1900年にフランスで開催されたパリ万国博覧会、1904年にアメリカで開催されたセントルイス万国博覧会にも立て続けに作品を出品し、一等賞金牌を受賞しています。
さらに、1910年の日英博覧会に出品した『鉄打出狛犬大置物』は、名誉大賞を受賞。
宗美の精巧な技術と作り上げられた作品は、日本のみにとどまらず、海外からも高く評価されたのでした。

華々しい活躍をおさめる宗美ですが、一心不乱に創作活動を行っていたため、健康面で不調がみられるようになっていきました。
1913年、宮内省により運営されている帝室技芸員に推薦され、1916年には内定していましたが、発表を目前にして宗美は、44歳という若さで亡くなってしまいます。
帝室技芸員とは、美術や工芸において優秀な功績を残した人物が任命されるもので、技術の保護と発展のために制定された制度です。
今後の活躍も大いに期待されていた宗美でしたが、任命発表を待たずして生涯の幕を下ろしたのでした。

山田宗美が作り出す作品の魅力

宗美が製作してきた作品は、金属でありながらも細やかな写実性を表現しているのが大きな特徴です。
宗美は、たがねを使用して金属の表面を細かく彫り、彫った溝に別の種類の金属をはめ込む彫金技法「象嵌」を得意としていました。
江戸時代においては、武士が使用する鎧や兜、刀などの装飾に象嵌の技術が活用されていました。
象嵌を使用して金属を作る技法には、鍛金・彫金・鋳金の3つがあり、鍛金とは熱した金属が伸びる特性を活かし、叩いて伸ばすことで造形していく技術です。
宗美は、造形が難しいといわれていた鉄を使用した打出技法を編み出しており、その技術を利用して精巧な置物や花瓶などを作成しています。

宗美の作品では、特にウサギをモチーフにした置物が有名で、本物のウサギのようにピンと長い耳や柔らかな毛の質感を鉄で巧みに表現しており、作品を鑑賞すると思わずうっとりしてしまうでしょう。
細部にまでこだわり写実された作品は、素人目でみても心が惹きつけられます。

山田宗美は新しい技法を生み出した

宗美が考え出した鉄打出と呼ばれる新技法は、画期的な技術で、日本のみならず世界中で高く評価されています。
素材が鉄であるにもかかわらず、作品から冷たさは感じられず、写実的で今にも動き出しそうな躍動感が魅力です。
宗美には弟子がおり、黒瀬宗世は、1枚の薄い鉄板を伸ばして立体的な作品を作り出す技術を継承した数少ない人物です。
若くして亡くなってしまった宗美ですが、生み出された匠の技術は、後世にも伝えられています。

山田宗美の代表作品

巧みな技術を用いて作られた宗美の作品は、金属でありながらもリアルで温かみがあります。

『鉄打出兎置物』

『鉄打出兎置物』は、本来は伸ばしにくい1枚の薄い鉄板を、均一の厚さを維持しながら金づちで伸ばしていき、打ち絞ることで置物や花瓶を造形していく鉄打出工芸の技法を用いて作られています。
1枚の鉄板から形作られたとは思えない、リアルで躍動感のある作品は、精緻な写実表現により見る者を圧倒します。
また、鋳造品のように重量感のある見た目をしていますが、実際に作品を手に取ってみると、思っているよりも軽いのが特徴です。
この技法が誕生した過程や技法の詳細は、記録や資料として残されておらず、現在では再現不可能な幻の技法といわれています。

両耳をピンと真っすぐに伸ばしてうずくまるウサギの置物は、今にも飛び跳ねそうな躍動感を兼ね備えています。
前足と後ろ足の緊張感のある筋肉表現や、ふわふわとした毛の質感、両頬を膨らませて何か口に含んで隠しているような愛らしさなど、ウサギ独特の表情や動きがリアルに表現されているのが魅力の一つです。
写実性の高さから、技術力はもちろん、宗美の観察眼の鋭さも作品から垣間見えます。

『大根鼠置物』

『大根鼠置物』は、横向きに置かれた大根の上で、今にもかじりつきそうな様子のネズミが表現された作品です。
口元に手を当てた表情は、写実性が高いだけではなく、ネズミの生命感や躍動感なども巧みに表現しています。
宗美は、この作品を製作するにあたって、ネズミの生態を知るために俵を被り、20日間納屋に潜んでネズミとともに住んだというエピソードが残されており、リアルな表現のために観察に力を入れていたとわかります。
大根は、実際に無造作に置いたときに広がる葉の形を巧みに表現しており、ネズミと同様に鉄の堅さを感じさせない柔らかな質感をもっているのが特徴です。

 

年表:山田宗美

西暦 満年齢 できごと
18711223 0 石川県江沼郡大聖寺町鍛治町で生まれる。
1891 19 独自の鉄打出し技術を編み出す。
1896 25 日本美術協会展で受賞。
1900 28 パリ万国博覧会で受賞。
1904 32 セントルイス万国博覧会で受賞。
1909 37 日英博覧会で『鉄打出狛犬大置物』が名誉大賞を受賞。
1916315 44 帝室技芸員に内定するも、発表前に死去。
1982 『鉄打出狛犬大置物』と『鉄打出鳩置物』が石川県指定文化財に指定。
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