仏像は仏の姿をかたどった像で、仏教の信仰の対象です。
仏像の姿形や材質には、多くのバリエーションがあります。もしも、自宅や実家に処分したい仏像がある場合はどうすれば良いのでしょうか。
仏像を捨てることに抵抗があるのならば、買取業者に査定してもらうのが良いでしょう。
目次
自宅にある仏像は買取してもらえる?
仏教の信仰対象として作られた、美しい芸術品でもある仏像。
転居や遺品整理の際に処分しなければならない状況になるかもしれません。
自宅にある仏像を処分する場合、仏像は専門の買取業者で買い取ってもらったり、仏具店で引き取ってもらったりする方法があります。買取を希望するのであれば、もちろん高額で買い取ってほしいところですが、仏像の買取価格相場はどのように決まっているのかわからない人も多いでしょう。
仏像の買取価格は、仏像の種類(如来・菩薩・明王など)や保管状態、素材、作者、作られた時代など、さまざまな要素によって変動します。
買取価格には幅があり、数千円〜数百万円ほどです。作家物や珍しい素材のもの、古い時代のものなどは高く、無名で新しく一般的な仏像ほど安くなるのが一般的です。
しかし、残念ながら、買取価格がつかない仏像もあります。
仏像の一部が欠けていたり、汚れやカビにより状態が悪かったりすると、買取価格が著しく下がるか、買取不可になる可能性があるのです。買い取ってもらえない仏像は、修復やクリーニングを施した後に再び査定に出すか、ほかに処分の方法を考えなくてはなりません。
買取不可の仏像を処分する方法としてすぐに実行できるやり方は、粗大ゴミとして処分することです。ただし、仏像には魂が宿っていると考えられているため、そのままゴミに出すのは避けましょう。宗派による多少の違いはありますが、「開眼供養」や「お性根抜き」などと呼ばれる、仏像の魂を抜く儀式をしてから捨てなければなりません。魂を抜いていれば、捨てることに問題はありませんが、仏像を捨てることに抵抗があるならば、寺院で焼却処分(「お焚き上げ」と呼ばれる)してもらいましょう。
仏像に骨董品価値はある?
仏像は、仏教の歴史や文化を色濃く反映した芸術作品です。
宗教的な意味だけでなく美術品として評価されるケースも多く、高い骨董品価値があります。
仏像の骨董品価値を見極めるには、専門的な知識が必要ですが、どのような要素によって骨董品価値が決定されるのかを知っておくことが大切です。
仏像買取の査定ポイント
売却したい仏像がある場合、その仏像にどの程度の価値があるのか、事前に少しでも把握しておくことが大切です。
仏像買取には、主に以下4つの査定ポイントがあります。
作家物かどうか
「作家物」とは、有名な作家や師匠によって制作された仏像のことです。
仏像は、芸術作品としての側面が大きいため、誰によって作られたかが、作品の価値を大きく左右します。古い仏像の場合は、作者不明の作品も数多くありますが、比較的新しい仏像の場合は作者のサインが入ったものも珍しくありません。
現代の有名な仏像作家による作品であれば、人気があり買取価格も相応の高値がつくでしょう。
いつ頃作られたのか
仏像の価値は、その仏像がいつ作られたのかが、大きく影響します。
仏像が作られた年代や歴史的背景が希少性に関係するため、古い仏像ほど高値がつきやすいのが一般的です。
仏像が作られた年代を特定するには、専門的な知識が不可欠であり、プロの目利きに任せるのが良いでしょう。
素材、技法は何か
仏像に用いられる素材は主に金属や木材ですが、漆を塗り固めて作ったものや、粘土で作った塑像などもあります。
金属製のものは買取価格が高く、その次に漆や石、木製、粘土と考えて良いでしょう。
日本で作られた仏像のほとんどが木製で、「一木造り(一つの木から削り出して作る)」の技法と「寄木造り(いくつかの種類の木材を用いる)」の技法で作られています。
状態は良いか
仏像の保存状態の良し悪しは、買取価格に大きな影響を与えます。
古い仏像であるほど価値が高くつく傾向がありますが、素材の劣化や腐食、表面の剥離、細部の傷や破損など、仏像の状態も考慮しなくてはなりません。古い仏像は、長い年月が経っている分、劣化が進んでいる場合も多く、状態が悪ければ買取価格は下がってしまいます。
仏像の種類にはどんなものがある?
仏像は、仏をかたどった芸術作品です。
仏には種類があり、大きく「如来」「菩薩」「明王」「天部」の4つに分けられます。
仏像の種類としては「阿弥陀如来」や「弥勒菩薩」などが有名です。
如来(にょらい)
如来とは、悟りを開いて真理に到達したものを指し、仏教において最も位が高い存在です。
如来像は仏の慈悲や知恵を表すために、坐禅や半跏像などの姿勢が多く見られます。
仏教を開いた釈迦牟尼仏を意味する釈迦如来像が有名ですが、以下のように如来像にはいくつかの種類があります。
・釈迦如来
お釈迦様の姿を表した仏像で、仏教を代表する仏像と言えるでしょう。
釈迦如来像の右手は5本の指を立てており、左手には鉢を持っている姿で表されています。
この姿は、釈迦が悟りを開いたときのポーズを表しているとされ、仏教で最も尊敬される存在です。
・阿弥陀如来
迷いや苦しみから救いを求める人々を悟りへ導き、極楽浄土へと招いてくれるとされる存在です。
念仏を唱えると極楽に行けるという、阿弥陀信仰で広く知られています。
・薬師如来
人々を病苦から救う力を持つとされ、万能薬の入った薬壺を持った姿で表される仏像です。
薬壺を持っているのが大きな特徴ですが、古い薬師如来像には、薬壺を持っていないものもあるようです。
菩薩(ぼさつ)
菩薩は、衆生の救済のために尽くす存在を表しています。
元来、涅槃の境地を目指して修行する釈迦を表していましたが、次第に慈悲の心で人々を救済する存在を表すものになりました。
菩薩の仏像は、王族であった釈迦が修行している姿を表現しているため、多くの菩薩像が宝飾品や冠などを身につけています。菩薩では、観音菩薩・弥勒菩薩・地蔵菩薩などが有名です。
明王(みょうおう)
怒りの形相で目を見開いた、恐ろしげな表情が、明王の特徴です。
明王は恐ろしい見た目をしています。これは、仏教の教えに背こうとする悪を排除するための厳しい表情であり、強烈な慈悲心の現れとも伝えられています。
明王の中で、最も有名な存在は不動明王でしょう。
不動明王は、最高位の明王であり、特に密教における不動明王は大日如来の化身とされ、熱く信仰されています。
京都府の東寺にある講堂には、五大明王が安置されていることで有名です。
中央を守護する不動明王、東を守護する降三世明王、西を守護する大威徳明王、南を守護する軍荼利明王、北を守護する金剛夜叉明王は、すべて国宝に指定されています。
天部(てんぶ)
天部は、天とも呼ばれ、仏教に取り入れられたインドの神々の総称です。
サンスクリット語でデーヴァと呼ばれる天部の神々は、元々はバラモン教やヒンドゥー教の神々で、次第に仏教を守護する神として定着していきました。
天部の神々は、日本では現世利益をもたらす神として信仰されており、帝釈天や阿修羅、弁財天などが有名です。
天部の仏像で思い浮かべるものといえば、東大寺戒壇院の四天王ではないでしょうか。
持国天・増長天・広目天・多聞天の四天王像は国宝に指定されている、奈良時代の仏像です。
これまで大切にしてきた仏像だからこそ、価値ある査定を
仏像は、仏教の信仰を具現化したものであり、芸術作品としての側面も持つ貴重な文化遺産です。しかし、大切にしてきた仏像を処分・売却するときがくるかもしれません。
仏像を処分する際には、仏像の魂を抜く儀式を済ませ、専門の買取業者に査定を依頼するのがおすすめです。プロの査定士が仏像の状態や真贋・年代・素材などを見極め、適正な買取価格をつけてくれます。
仏像と同様に深い歴史を持つ仏教美術品などもあれば、専門家の査定を受けてみてはいかがでしょうか。