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パリ・東京でも大人気だった「TORIO」展、大阪でも開催中
大阪中之島美術館で開催中の「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」展は、パリ、東京、大阪の3都市を代表する美術館のコレクションが一堂に会する展覧会。
この展覧会の最大の魅力は、各美術館のコレクションから厳選された作品が34のテーマに基づいてユニークなトリオ形式で展示されている点です。
20世紀から現代に至るまで活躍した日本と西洋のアーティスト総勢110名による約150点の作品が展示されており、その中には初来日となる32点の作品も含まれています。
モダンアートを象徴する巨匠たちから、現代の気鋭アーティストまで、幅広い作家の作品を一度に楽しめる貴重な機会といえるでしょう。
この展覧会は、パリ、東京、大阪の学芸員が1年以上にわたって自由な発想で議論を重ねて構成したもので、アート初心者から熱心なファンまで「見る」「比べる」「語る」という楽しさを私たちに提供してくれます。
大阪中之島美術館は、構想から40年・2022年に開館したばかりの新しい美術館。大阪にある美術館のなかでも最大級の広さで、国内外の作品を数多く展示しています。また、写真には写っていませんが、美術館前の定番写真としてよく撮影されているのは、ヤノベケンジによる作品『SHIP’S CAT(シップス・キャット)』。大阪中之島美術館のシンボルともいえるアート作品ですので、ぜひ見てみてくださいね。
時間も場所も超えて…魅力的な作品たちが展示されている「TORIO」展
私たちを迎えるのは、佐伯祐三の『郵便配達夫』を含む3作品
佐伯祐三
作品名:『郵便配達夫』
制作年:1928年
中之島美術館がオープンしたときにも展示されていた『郵便配達夫』(佐伯祐三)を含む3作品がお出迎え。
大阪に住んでいる方ならお分かりかもしれませんが、中之島美術館がオープンした2022年当初、この作品はポスターにも使用されていました。それもあってか、「ついに会えた!」という感動。
意図してかせずか、このはじまりに嬉しい驚きを覚えた来場者の方も多いのでは…!と思いました。
大阪の街並みにも出会える
展示作品には、大阪にゆかりのあるものもいくつかありました。
作品名:『街景』
制作年:1925年
たとえば、小出楢重の『街景』は、大正時代の大阪・中之島周辺を描いた作品。
ビルの上から見下ろす中之島の風景には、モダンな建物と工場の煙が眼下に広がり、商業の街として発展しつつある当時の大阪の様子が伺えます。
河合新蔵
作品名:『道頓堀』
制作年:1914年
また、大阪出身の河合新蔵も大阪の街を描いています。
この『道頓堀』では、現在はネオン輝く観光地となった大阪ミナミの中心地にかつてあった懐かしい光景が広がっています。
作品の新たなストーリーに出会えるのはTORIOだからこそ
このほかにも、「TORIO」展ならではの視点で展示されたさまざまな作品を鑑賞することができます。
ダリやシャガール、ピカソ、岡本太郎などの誰もが知る有名画家の作品から、一般的には著名ではないかもしれませんが、独自の魅力が宿る作品まで、あらゆるTORIO作品を堪能できるのが、なんといってもこの美術展の魅力と言えるでしょう。
左:
マリー・ローランサン
作品名:『プリンセス達』
制作年:1928年
中:
藤田嗣治(レオナール・フジタ)
作品名:『五人の裸婦』
制作年:1923年
右:
ジャン・メッツァンジェ
作品名:『青い鳥』
制作年:1912-1913年
個人的に、特に感動したのが、マリー・ローランサンと藤田嗣治(レオナール・フジタ)を一緒に鑑賞できたこと。
美しく柔らかな曲線と陶器のような肌を持つ女性たちの絵を、こうして見ることができ、あたたかな幸福感を感じざるをえません。
ちなみに、この藤田嗣治(レオナール・フジタ)の『五人の裸婦』、実は人間の”五感”をあらわしているのだとか。
また、パリでの深い親交があったとされる岡本太郎の絵画と、ジャン・アルプの彫刻作品も、TORIO展では同じテーマの作品として楽しむこともできます。
「これはただ抽象ではないんだ。これらは生きているんだ。生活なのだ」
― ジャン・アルプの言葉 (大阪中之島美術館:音声ガイダンス内での紹介)
抽象的でありながら、有機的な何かを感じさせる二者の作品をこうして同じ場所で鑑賞することができます。
パリ・東京・大阪を巡った「TORIO」展ももうすぐフィナーレ
普段ならなかなかお目にかかることのできない作品を、しかもこんなにたくさん鑑賞できるなんて、なんと贅沢な時間!
最終日まであとわずかのタイミングで来れたのは良かったですが、正直なところ「もっと早く来ておけば良かった…」というのが本音。
前期・後期で展示替えもあり、また、学芸員の方の解説が聞ける機会も何度かあったようで、もったいないことをしたな、と思いました。
しかし!ラッキーなことに、最終日間近ということで、グッズが少しお得になっていました。
セット価格で販売されている商品もありましたし、私は3,300円以上購入でもらえるミント缶をプレゼントしてもらいました。
美術館の帰りは、近くのカフェで、目録やお気に入り作品のポストカードを眺めながらゆったりとしたひとときを過ごしました。グッズは、クリアファイルやポストカードなどの定番のものから、Tシャツやポーチ(3つの絵柄が現れる!)など実に多彩で、ついつい手に取ってしまいますね。
最終日まであとわずか!
パリ・東京・大阪の3都市と、近代から現代までの時間を旅行したような満足感のある「TORIO」展は、大阪中之島美術館で開催中です。
開催情報
場所:大阪中之島美術館
期間:2024/09/14~2024/12/08
公式ページ:https://nakka-art.jp/exhibition-post/trio-2024/
チケット:一般 2100円 高大生 1500円 中学生以下 無料
※詳細情報や最新情報は公式ページよりご確認ください