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ペルシャ絨毯は売れない?!その理由と解決策とは
ペルシャ絨毯は人気のある高級絨毯です。耐久性の高さと文様の美しさから、インテリアとして実用的に使うのもよし、芸術品として鑑賞を楽しむのもよしと、多様な用途で利用できます。お手持ちのペルシャ絨毯を買取に出したいとお考えの方は、買取の判断基準をあらかじめチェックしておきましょう。 ペルシャ絨毯が売れない、って本当? ペルシャ絨毯は、条件がそろえば高値での買取も目指せる織物製品です。ペルシャ絨毯の買取で重要なポイントは産地やサイズ、年代に加えて、絨毯の状態などです。ペルシャ絨毯の5大産地といえば「カシャーン」「イスファハン」「クム」「ナイン」「タブリーズ」。これらの産地で製作されたペルシャ絨毯は価値が高く、さらに年代によっても価値が変動します。ただし、名産地のペルシャ絨毯は偽物も多く出回っています。別の産地で製作されたコピー品であれば、価値が下がってしまうでしょう。また、絨毯の状態も買取価格を決めるための重要なポイントです。買取を依頼する予定がある場合は、日ごろのお手入れや保存状態にも気を配りましょう。 汚れや日焼けがひどいと売れないかも… ペルシャ絨毯の買取時には、傷や汚れなどの状態も査定に影響を与えます。傷や汚れ、傷みが少なく製作されたときの状態を維持できているペルシャ絨毯ほど買取価格は高くなります。汚れや傷が多く劣化が進んでいるペルシャ絨毯は買取価格が下がり、状態によっては買取してもらえないことも。 ただし、製作されてから50年以上経っているオールドや、50年以上経っているセミアンティーク、100年以上経っているアンティークのペルシャ絨毯は、骨董品としての価値が高くなるため、状態が悪くても買取可能な場合があります。 そのため、ペルシャ絨毯の買取を検討中の方は、状態がよくないからとすぐに処分せず、一度査定に出して価値を確かめてみるのもよいでしょう。 ペルシャ絨毯の偽物が出回っている ペルシャ絨毯はその価値と人気の高さから、偽物も多く出回っています。多くの地域でコピー品が製作されていますが、模倣されたものでも産地を製作した地域のまま販売していれば問題ありません。問題なのは別の地域で作られたペルシャ絨毯を、5大産地などの高級ペルシャ絨毯と偽って販売することです。 ペルシャ絨毯はすべて手織りで製作されていますが、機械織りで作られた絨毯をペルシャ絨毯と称して販売されているケースもあります。機械の技術が進歩し、精巧に作られていますが、手織りとは異なる特徴があります。本物のペルシャ絨毯は手織りで作られているため、歪みが生じますが、機械織りの絨毯には形にまったく歪みが生じません。また、フリンジ部分にも違いがあり、本物は本体の縦糸がそのままフリンジになっていますが、機械織りではフリンジを別途本体に縫い付けています。 このように手織りのペルシャ絨毯と機械織りの絨毯では微妙な違いがあるため、購入時にはチェックしておきたいポイントです。 また、同じ手織りの絨毯でも無名産地のペルシャ絨毯を有名産地の工房サインを偽装して、高級ペルシャ絨毯と偽って販売するケースもあります。工房サイン部分を後から結び変えるため、若干色に違いがありますが、素人目で判断するのは難しいでしょう。 ペルシャ絨毯が本物か偽物かを見分けるためには、長年の経験や技術が必要です。所有しているペルシャ絨毯の真贋を知りたい方は、一度査定に出して査定してもらうのも一つの手段です。 高く売れるペルシャ絨毯がある? 高く売れやすいペルシャ絨毯の特徴としては、状態がよいもの、アンティークで骨董品としての付加価値がつくことなどがあります。絨毯を日常使いしていると、家具の重みや摩擦により少しずつペルシャ絨毯は劣化していきます。耐久性が高いため長く使い続けられますが、年月が経てば多少の劣化は避けられません。タペストリーとして壁に飾っていたペルシャ絨毯はへたりが少なく状態がよいケースも多々あります。 また、100年以上前に作られたアンティークのペルシャ絨毯には、骨董品としての付加価値がつきます。そのため、多少状態がよくなくとも高値がつくケースも。代々受け継がれてきた古いペルシャ絨毯をお持ちの方は、ぜひ一度査定に出してみましょう。 ペルシャ絨毯が売れないときは… ペルシャ絨毯の状態が悪く買い取ってもらえなかったり、無名産地で価値がつかなかったりした場合は、買取以外の売却方法を検討しましょう。たとえば、個人でオークションやフリマにかけるなどして売ってみるのはいかがでしょうか。どうしても売れない場合は、処分も視野に入れておくことも一つの手です。 もし一度査定に出して、本物だけど状態がよくないために買取ができないと判断された場合は、専門の修理業者に持ち込み、修理してまた自宅で愛用するのもよいでしょう。 ペルシャ絨毯を売るなら、価値の分かる査定士へ ペルシャ絨毯の買取を検討している方は、経験豊富な価値の分かる査定士へ査定を依頼しましょう。ペルシャ絨毯はさまざまな形で偽物が出回っています。そのため、価値を正しく判断するためには、経験や知識が豊富でなければなりません。偽物の精度も上がってきている昨今、自分で本物かどうか判断するのは難しいでしょう。ペルシャ絨毯の価値を知りたい、買取を依頼したいと考えている方は、まずは査定士への査定依頼をお勧めします。
2024.09.12
- ペルシャ絨毯買取
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ペルシャ絨毯の値段相場を知り、購入や売却の参考にしよう
イラン国内で製作された絨毯のうち、手織りのものをペルシャ絨毯と呼びます。伝統的な手法で職人が一つひとつ手作りするペルシャ絨毯は、手間や時間がかかる分、繊細な文様や深い味わいがでる芸術性の高い織物製品です。手織りで時間がかかるゆえに価格が高くなる傾向があります。しかし、機械織りにはない温かみを感じられる唯一無二の作品ともいえます。購入を考えている方は、新品や中古の相場を確認しておきましょう。 ペルシャ絨毯は高い?安い?値段の相場は… ペルシャ絨毯と聞くと高級品で手が届かないというイメージを持っている方も多いでしょう。新品では実際にどのくらいの価格で販売されているか気になる方も多くいます。また、新品と中古のどちらかによっても価格が大きく変わります。新品の相場と中古の相場をチェックして、どちらが入手しやすいか確認しましょう。 新品のペルシャ絨毯の相場 高級品のイメージがあるペルシャ絨毯ですが、価格帯は幅広いのが特徴です。数万から数百万まで、種類によって価格の差も大きい傾向があります。製品の種類やサイズによっては数万円で手に入ることから、これまでのイメージよりも手が届きやすいと感じた方も多いでしょう。もちろん、有名な産地や工房で作られた高級品もありますが、挑戦しやすい価格帯のペルシャ絨毯があることも知っておいてください。 中古のペルシャ絨毯の相場 中古のペルシャ絨毯は状態の良し悪しはもちろん、製作年でも価格が大きく変動します。価格があまりつかないものから数百万円のもの、なかには数億円を超える価格で取引されるものも。 中古のペルシャ絨毯は製作されてからの年数で「アンティーク」「セミアンティーク」「オールド」の3つのグループに分けられます。アンティークは製作から100年以上経ったペルシャ絨毯のことです。セミアンティークは製作から80年以上、オールドは製作から50年以上のものを指します。 ウールで作られたペルシャ絨毯は耐久性に優れているため、古いものでもよい状態のまま現存しているケースも。また、ウール絨毯は踏めば踏むほど文様に風合いがでて魅力が増すといわれています。そのため、古くて保存状態がよいペルシャ絨毯は、価値が高い傾向です。オールドでも1,000万円を超える価格で取引される場合もあり、アンティークの絨毯には想像できない価値がつけられることもあります。 アンティーク絨毯の名品を取り扱うオークションハウス「サザビーズ」では2013年に、17世紀中ごろケルマンで製作されたといわれるクラーク・サイクル・リーフ絨毯が、絨毯としては史上最高額となる3,370万ドル(約32億円)で落札されました。 このように中古のペルシャ絨毯は価格の差が大きい製品です。古くてよいものは骨董品としての付加価値がつくため価格が大幅に上昇します。 ペルシャ絨毯の値段はなぜこんなに差がある? 新品・中古問わず、価格はピンからキリまで大きな差があります。ペルシャ絨毯を製作する産地は数多く存在します。そして、地域によって特徴が異なり特有の文様や織り方があるのです。産地による製作過程の違いから価格差が生まれると考えられます。価値を決める、素材や産地、ノット数などの特徴を把握して、ペルシャ絨毯を選ぶ際の参考にしてください。 素材の違い ペルシャ絨毯に使われる主な素材はシルク・ウール・コットンの3種類です。パイル糸にはシルクもしくはウールが多く使われています。一般的にシルクは高級素材として知られていますが、ペルシャ絨毯においては、シルクで製作されたものよりウールで製作された絨毯の方が価値が高くなるケースもあります。それは、ペルシャ絨毯の耐久性に優れ実用的な部分も、価値の一つであるためです。ウール素材は耐久性が高く、踏めば踏むほど風合いや文様の深みが増すといわれています。そのため、ウールで作られた製品も実用的かつ芸術的な価値がある高級ペルシャ絨毯として扱われているのです。 シルク絨毯は高級素材ですが、ウールよりかは耐久性が劣ります。しかし、引っ張る力には強いため、タペストリーとして壁にかけて鑑賞用として楽しむ方法が多い傾向です。一般的にはウールよりシルクの方が高級素材ですが、ペルシャ絨毯の材料として使われた場合の最終的な価値は、シルクの方が高いとは言い切れないことを理解しましょう。 産地の違い イランにはペルシャ絨毯の5大産地と呼ばれる地域があります。「クム」「カシャーン」「ナイン」「イスファハン」「タブリーズ」の5つの地域で製作されたペルシャ絨毯は、高級品として扱われています。このようにペルシャ絨毯の価値には産地も関係しているのです。 クムで製作されるペルシャ絨毯は、1980年代ごろからシルクが主流になりました。日本のバブルをきっかけに需要が増し、人気を集めた産地です。 カシャーンのペルシャ絨毯は、豪華な花柄と色鮮やかな染色が特徴です。高級絨毯の産地として高い評価を受けていましたが、現在は実用品に近い製品も多く手掛けています。 ナインのペルシャ絨毯は、「チャハール(4)ラー」「シシ(6)ラー」「ノー(9)ラー」の3つのランクで品質を分類しています。数字が小さいほど使う糸が細く、繊細な文様が表現可能です。 イスファハンで作られるペルシャ絨毯は、幾何学的なデザインと美しい花の文様が特徴です。品質・芸術性ともに高く、高級絨毯の製作で人気のある産地として知られています。 タブリーズのペルシャ絨毯は、代表的な文様の一つ「メダリオン文様」の絨毯と、多彩なデザインが特徴です。ピクチャー文様の絨毯も多く製作しており、芸術性の高さから国内外問わず人気の高い産地です。 ノット数の違い 細な文様の表現が可能です。ただし、ノット数が多いほど織りが細かくなるため、製作に要する時間も増えます。そのため、ノット数が多いと芸術的な価値は高まりますが、同時に人件費も上昇してしまいます。ノット数が多いほど価値の高いペルシャ絨毯といえるでしょう。およそ110万個/㎡~169万個/㎡あると、高級なペルシャ絨毯の部類に入るとされています。 アンティークとしての価値 中古品のペルシャ絨毯には、骨董品や美術品としての付加価値がつきます。そのため、年代が古いペルシャ絨毯で保存状態がよいものであれば高値がつきやすい傾向です。とくにアンティークのペルシャ絨毯は、歴史的価値や芸術的価値が大変高いため、想像もつかない金額で取引が行われます。 また、ペルシャ絨毯の芸術性に心惹かれたコレクターも多く存在します。職人が手織りで製作したこと、時代背景が想像できる文様が描かれていることなどが多くの人の心を魅了し、中古品市場でのペルシャ絨毯人気を高めているといえるでしょう。 古くなると相場が上がることもあるのが、ペルシャ絨毯 高級絨毯として有名なペルシャ絨毯は、新品でも中古でも価格の差が大きくあります。ペルシャ絨毯は高くて手が出せないと感じている方でも、実は手ごろな価格で販売されているペルシャ絨毯もあるのです。新品でも数万円から購入できる製品もあるため、ペルシャ絨毯で自宅のお部屋をランクアップさせたいと考えている方は、ぜひ手ごろな価格のペルシャ絨毯を探してみてください。 また、ペルシャ絨毯は古くなればなるほど価値が高まるケースもあります。有名な産地や工房で製作された絨毯で、100年以上前に作られたものでは数億円の価値がつくことも。ペルシャ絨毯を所有している方は、日々お手入れを行い大切に扱うことで、将来大きな価値がつくかもしれません。
2024.09.12
- ペルシャ絨毯とは
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あなたにぴったりのペルシャ絨毯の選び方
ペルシャ絨毯は、イラン国内で作られた手織りの絨毯の総称です。すべて手織りで同じものが存在しないペルシャ絨毯は高級織物製品としても広く知られています。丈夫で長持ちすることから中古市場でも多く販売されています。また文様や色合いの芸術性の高さからコレクターも多く存在しており、希少価値がつきやすい絨毯です。ペルシャ絨毯の購入を考えたとき、決して安い買い物ではないため、自分にあった絨毯を慎重に選ぶことが大切です。 自分にあったペルシャ絨毯の選び方 奮発してペルシャ絨毯を購入したい、ペルシャ絨毯を買って自宅をランクアップさせたいなど、さまざまな理由でペルシャ絨毯の購入を検討している人がいます。しかし、初めて購入するペルシャ絨毯をどのように選べばよいか悩んでいる人も多いでしょう。自分にあったお気に入りの1枚を見つけるためには、まず購入の目的を決めましょう。そのうえで、素材や文様などをチェックすることが大切です。 ウールとシルク、どちらがいい? ペルシャ絨毯の素材には、主に「シルク(絹)」「ウール(羊毛)」「コットン(綿)」の3つが使われます。また、ペルシャ絨毯は縦糸と横糸、パイル糸を使ったパイル織と呼ばれる手法で作られます。 一般的に、ウール絨毯・シルク絨毯の呼び分けは、パイル糸に使用されている素材で決まり、ウールならウール絨毯、シルクならシルク絨毯です。なお、シルク絨毯と呼ばれる製品であっても、横糸には基本的にコットンが利用されています。 ウールのペルシャ絨毯の大きな特徴は、耐久性や保温性、通気性に優れている点です。用いられる羊の毛は地域によって品質が異なります。平地や谷間などの温暖な地域で育った羊よりも、山岳地帯の厳しい寒さに耐えながら育った羊の毛の方が良質といわれています。また、部位によっても違いがあり、お腹や足よりも、わき腹や肩から刈り取った毛の方が品質が高い傾向です。イランの乾燥した気候で育った羊の毛は、頑丈で弾力性があることから踏まれても傷みにくく、長い間使い続けられる製品が出来上がります。 また、ウール絨毯はパイル糸にウールが用いられていますが、縦糸にはコットン、ウール、シルクの3種類が製品によって使い分けられています。たとえば、タブリーズやイスファハンで作られるペルシャ絨毯は、細かい結びが特徴のため使われるのはシルク糸です。シルクの糸は細く、ウールと結ぶことでウール絨毯であっても繊細な表現力が可能となるためです。 シルクのペルシャ絨毯の大きな特徴は、美しい光沢となめらかな手触りです。また、シルク糸は光をよく反射し、見る角度によって文様が明るくなったり、色が濃く見えたりとさまざまな表情を映し出してくれます。ウールと比較すると強度が少し落ちますが、日本では自宅で靴を脱いで過ごす習慣があるため摩擦も少なく、シルク絨毯も長く使い続けられるでしょう。 また、シルクはパイル生地としてだけではなく、縦糸や横糸としても使われます。シルクの産地でとくに有名なのがクムです。クムシルクは高級ペルシャ絨毯の代名詞といえるほど人気の高い産地です。そのため、クムの絨毯は100%シルクで作られており、高級感のある肌触りと光沢が人々を魅了しています。シルク絨毯は軽くてしなやかさがある製品かつ、ウールよりかはデリケートなため、床に敷いて利用するだけではなく、タペストリーとして壁に飾って観賞する楽しみ方もあります。 インテリアとして?それとも観賞用? ペルシャ絨毯を選ぶ際は、何に使う予定であるかを明確にしましょう。玄関マットとして敷いたり、ダイニングセットの下に敷いたりなど実用的に使う場合もあれば、タペストリーとして部屋の壁に飾り、観賞用として楽しむ場合などもあります。また、イスラム教徒においては、祈祷時の敷物としても用いられています。ペルシャ絨毯とひと口にいっても、さまざまな特徴があるため、使用目的にあわせた選択が大切です。 たとえば、実用性を重視するのであればシルクよりもウールが適しています。ウールは耐久性が高くお手入れが簡単な特徴があります。そのため、イスやテーブルの下に敷いても摩擦による傷みがシルクよりも少ないでしょう。 一方、観賞用として楽しみたい場合は、より薄くて軽いシルクがお勧めです。光沢があり見る角度で表情が変わる点も、シルク絨毯の醍醐味です。また、観賞用であれば文様に注目してみましょう。代表的な文様には「メダリオン文様」「メヘラーブ文様」「オールオーバー文様」「ピクチャー文様」などがあります。なかでもピクチャー文様は、タペストリーとして飾ったときに映える文様の一つです。織りによって風景や人物、動物などの絵画を文様で再現したものをピクチャー文様と呼びます。絵画風の文様が繊細に描かれており芸術性の高いペルシャ絨毯です。 ペルシャ絨毯の種類は膨大なため、自分が何に使いたいのかを決めておくと、おのずとこだわりたい部分が見えてくるでしょう。 柄や色に込められた意味を知ろう ペルシャ絨毯を選ぶ際は品質も大切ですが、せっかくであればその美しい文様や鮮やかな色合いに込められた意味を考えてみるのもお勧めです。ペルシャ絨毯の文様は、地域や時代によってさまざまあります。たとえば、代表的なメダリオン文様は、中央のメダリオンが太陽や宇宙の核、世界の中心などを表しています。メヘラーブ文様は、モスクの尖塔をイメージしたデザインで、イスラム教徒の人々にとっては祈祷に利用する神聖な道具の一つです。 また、時代によって流行りを見せた文様を選び、その歴史的背景を想像しながら観賞する楽しみ方もあります。 糸杉文様はサファヴィー朝の時代から製作されている文様です。糸杉は清廉潔白や容姿端麗の象徴として用いられており、戴冠式絨毯として利用されてきました。 花瓶文様もサファヴィー朝の時代にはすでに製作されていたといわれており、長い歴史を持つ文様の一つです。 雲のリボン文様は15世紀に中国から伝わってきたとされている文様です。古くからさまざまなバリエーションで描かれています。 ペルシャ絨毯に用いられる色にもさまざまな意味が込められています。ペルシャ絨毯に用いられる主な色は以下のとおりです。 ・赤:赤は太陽の色とされており「健康と喜び」や「勇気」を表します。 ・青:青は空や海、天国の色とされており「真実」や「平和」を表します。 ・緑:緑は再生や希望を意味する神聖な色とされており「不滅」や「不死」を表します。 ・黄:黄も太陽の色とされており「輝き」や「人生の喜び」を表します。 ・白:白は慈しみの色とされており「平穏」や「悲しみ」を表します。 ・ピンク:ピンクは知恵や知性の色とされており「神の英知」を表します。 このように、ペルシャ絨毯の文様や色にはさまざまな思いや意味が込められているため、その意味を理解し、気に入ったものを選ぶのもよいでしょう。 ペルシャ絨毯の個性を知って、楽しく選ぼう ペルシャ絨毯とひと口いっても、産地や素材、文様、色合いなど違いが多くあり、個性豊かな点も魅力の一つです。また、ペルシャ絨毯はすべて手織りで作られており、世界に一つしかない希少価値の高い絨毯といえます。そのため、購入する際にはお気に入りの1枚を見つけたいものです。今回紹介した素材や用途、文様、色などの違いを参考に、長く愛用できる1枚を見つけてみてください。
2024.09.12
- ペルシャ絨毯とは
- ペルシャ絨毯の種類
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ペルシャ絨毯の良し悪しを知るポイントと選び方のコツ
実用性と芸術性を兼ね備えたペルシャ絨毯は、世界中にコレクターがいるほど人気の織物製品です。その人気の高さゆえに、本物のペルシャ絨毯に似せたコピー品を本物と偽って販売されることも。品質のよい本物のペルシャ絨毯を購入するためには、良し悪しの判断方法を知っておくことが大切です。 ペルシャ絨毯にも良し悪しがある 高級絨毯として知られているペルシャ絨毯にも、品質がよいものとよくないものがあります。また、人気の高さから品質の悪い偽物も多く出回っています。ペルシャ絨毯の良し悪しを決めるのは、ノットの密度やラインの正確さ、使われている素材、染着度合い、織り方、目の細かさ、産地などです。ペルシャ絨毯をチェックするときは、これらの項目に着目しましょう。 ノットの密度・目の細かさ ノット密度とは1㎡あたりのノット数を示す指標です。ノット数が多いほど織りの密度が高く編み目が細かいため、繊細な文様を描くことが可能です。また仕上がりも、薄くしなやかになります。ノット数はおよそ110万個/㎡~169万個/㎡あると、高級なペルシャ絨毯の部類に入るといわれています。 ラインが正確にでているデザイン ラインが正確にでていてはっきりしているデザインは、先述したノット数が多く、繊細に織りこまれている製品です。そのため、ラインが正確なデザインは繊細かつ正確に織られたペルシャ絨毯とわかります。 天然の素材使い ペルシャ絨毯に使われる主な素材はシルク、ウール、コットンです。シルクは高級素材として知られていますが、シルクで織られたペルシャ絨毯が必ずしもウールより優れているわけではありません。ウールでも高級なペルシャ絨毯はあります。素材の違いにより適した用途や使用場所が違うため、適材適所で絨毯を選ぶことで良し悪しが変わるでしょう。たとえば、シルク絨毯は引っ張る力には強いですが、摩擦には弱い特徴があります。そのため、椅子の出し入れが頻繁にあるダイニングセットの下にはシルクよりもウールの絨毯が適しています。 天然素材の染着 ペルシャ絨毯に使われる染料には、大きく分けると天然染料と合成染料の2種類があります。天然染料は貴重な素材も多いうえに、織物製品を染め上げるのに高い技術を要します。そのため、天然染料で染められたペルシャ絨毯は高級品として有名です。 細やかで強固な織り ペルシャ絨毯はすべて手織りで作られています。そのため、職人の技術によっても良し悪しが左右されるでしょう。細い糸を用いて繊細かつ結びをしっかりと織っているほど耐久性がアップします。また、繊細な文様の表現が可能です。上質な素材を利用することは大切ですが、実用性や芸術性の部分では織りの技術も大切な要素の一つです。 産地 ペルシャ絨毯には、5大産地と呼ばれる地域があります。「クム」「カシャーン」「ナイン」「イスファハン」「タブリーズ」の5つの地域で作られたペルシャ絨毯は、高級織物として広く知られています。この産地で作られたペルシャ絨毯に似せて、別の地域ではコピー品も多く作られているのです。たとえば、ザンジャン、マラゲ、シャーレザ、アルデカン、ヤズド、タバス、カシュマール、ナジャファバド、ホイなどです。コピー品といえど、品質は本物に劣ります。コピー品が産地を偽って販売されていることもあるため注意が必要です。 中古のペルシャ絨毯も良いとされる理由 踏めば踏むほど美しさに深い味わいがでるといわれるペルシャ絨毯。耐久性も高いことから、古いペルシャ絨毯も中古市場で多く出回っています。なかには新品のペルシャ絨毯よりも高値がつく中古のペルシャ絨毯もあります。 アンティークペルシャ絨毯の定義 ペルシャ絨毯は、作られてから経過した年数により3つのグループに分類されます。製作から100年以上経っているものを「アンティーク」、80年以上経っているものを「セミアンティーク」、50年以上経っているものを「オールド」と呼びます。 中古のペルシャ絨毯に高い価格がつくのは、その希少性に由来するものです。何十年と経っているにもかかわらず品質のよい状態で現存していれば、希少価値が高まるといえるでしょう。 骨董品・美術品として価値の高いアンティークペルシャ絨毯 中古のペルシャ絨毯は、骨董品や美術品としての価値も高い織物製品です。品質のよい状態で現存していることはもちろん、その時代に描かれた文様が歴史的価値や芸術的価値を高めています。そのため、アンティークペルシャ絨毯にはコレクターも多くいます。 保存状態が悪いと価値が下がることも 耐久性が高く、長く使い続けられるペルシャ絨毯ですが、管理を怠れば劣化が進んでしまいます。ご自宅でペルシャ絨毯を使用している方は、保存状態が悪いと価値が下がってしまうおそれもあるため、適切な保管方法を心がけましょう。日焼けによる色あせは価値を下げる原因です。また、汚れもなるべくついていないキレイな状態が好まれます。ペルシャ絨毯は薄くてお手入れがしやすいため、日常的に掃除を行うようにしましょう。 ペルシャ絨毯の良し悪しを見極めよう ペルシャ絨毯の良し悪しを決めるのは、素材や産地だけではなく織りの技術も関係性が深い傾向です。よい素材を使用していても、織る職人の技術がなければ耐久性が高く繊細な文様のペルシャ絨毯は作れません。また、ペルシャ絨毯は長く使い続けられることから、中古市場でも人気を集めている製品です。100年以上前に作られたアンティーク絨毯には想像もできない価値がつけられることも。 ペルシャ絨毯は大切に扱えば、子どもや孫にも引き継いでいける製品といえます。良し悪しの判断方法を知って、品質のよさを見極めてお気に入りの1枚を見つけてみてください。
2024.09.12
- ペルシャ絨毯とは
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ペルシャ絨毯の本物の見分け方を学び、信頼性を確認しよう
イラン伝統の美を感じられるペルシャ絨毯。手織りで作られた味わい深い文様と耐久性に優れ実用性をもっている絨毯です。多くの人が、一度は購入して自宅のインテリアをワンランクアップさせたいと考えているでしょう。高級絨毯として広く知られているペルシャ絨毯に手を出すのは、少し勇気がいるものです。 また、芸術的な価値と人気の高さゆえに偽物も多く市場に出回っており、初めての購入を考えている人のハードルを上げる原因にもなっています。ペルシャ絨毯に関する知識を身につけて、少しでも本物と偽物を見分ける目を養うことで、納得のいく買い物ができるようになるでしょう。 ペルシャ絨毯には本物と偽物がある? ペルシャ絨毯は、耐久性もさることながら上質な存在感で足元を彩る芸術性の高いインテリアです。高級品としても広く知られていますが、その価値を利用して偽物を高値で販売する悪徳な業者が後を絶たない現状があります。せっかくペルシャ絨毯を自宅に飾るなら、奥深い魅力をもった本物を購入したいものです。 決して安い買い物ではないため、偽物を高値で購入しないよう、まずはペルシャ絨毯の定義を理解するとともに、その特徴を知ることが大切です。そのうえで、偽物として出回っている製品の特徴を学び、比較をできるようにしましょう。 ペルシャ絨毯の定義 大前提として、ペルシャ絨毯はイラン国内で製作された手織りの絨毯のみを指した言葉です。そのため、イラン以外の国で作られた絨毯は、手織りであっても決してペルシャ絨毯とは呼びません。また、イランで作られていても、手織りではなく機械織りによって生産された絨毯はペルシャ絨毯ではないのです。 近年、実際にイランでペルシャ絨毯の製作に携わっていた人が別の国で直接指導を行い、技術を受け継いで作られている絨毯があります。伝統的な技術を引き継いでいるため、特徴やクオリティの面ではペルシャ絨毯と呼べるかもしれません。しかし、イランで製作されたわけではないため、現在はペルシャ絨毯ではないとする見方が一般的です。 特徴やクオリティについては、産地によって大きな差があります。そのため、ペルシャ絨毯であるかを決めるうえで重要なのは、どこでどのように作られているかであることを理解しておきましょう。 イランにはペルシャ絨毯の5大産地と呼ばれる地域があります。それが「クム」「イスファハン」「カシャーン」「ナイン」「タブリーズ」の5つです。高品質かつ高級品としてのペルシャ絨毯を多く製作しており、日本でも高値で販売されています。しかし、有名産地には偽物がつきものです。有名産地を謳っていても、実は別の地域で作られたペルシャ絨毯だったというトラブルも後をつきません。購入する際は信頼できるお店探しが大切です。 ペルシャ絨毯のパイル糸に使われる主な素材は、シルクとウールです。縦糸にはシルクとウールに加えてコットンもよく使用されます。一般的に絨毯の素材をパイル糸である横糸の種類で判断します。パイル糸がシルクであれば縦糸にどの種類が使われていようとシルク絨毯、パイル糸がウールであればウール絨毯と呼ぶのです。 伝統的なペルシャ絨毯はウール素材で作られたものが多く、耐久性に優れており、踏めば踏むほど風合いが出るといわれています。一方、シルク絨毯はウールよりも耐久性は劣るもののなめらかな肌触りとツヤが特徴で、タペストリーとして利用されるなど芸術性の高い製品が多く作られています。 ペルシャ絨毯の偽物もいろいろある ペルシャ絨毯の偽物といっても、その種類はさまざまです。そもそも国内で作られていないものはもちろん、イランでも機械織りで作られている偽物もあります。また、手織りで作られているものでも、無名産地のものを有名産地のものと偽っているケースも。人気の高いペルシャ絨毯の偽物は、あらゆる手法で出回っています。 産地の違い 別の産地で製作されたものを有名産地のものと偽って販売されているケースがあります。正真正銘ペルシャ絨毯ではあるものの、産地を偽装して販売されているため、偽物といえるでしょう。 とくに5大産地の製品は高級絨毯として広く知られているため、別の地域で作られたペルシャ絨毯を低価格で買い取り、5大産地のペルシャ絨毯と偽って高値で販売する業者がいるのです。産地を偽装する際は、工房サイン部分の糸を結び替えて販売される方法が多いようです。 手織りか、機械織りか ペルシャ絨毯であるかを判別する大きな違いは、手織りと機械織りどちらであるかです。しかし、機械織りの製品であっても手織りの絨毯であると偽って販売されているケースがあります。現在では、機械織りの技術が進歩しており、精巧に作られた絨毯が大量生産されています。もちろん、機械織りの絨毯として販売されているものは問題ありませんが、安く作られた機械織りを手織りのペルシャ絨毯と偽って高値で売られている場合もあるため、注意が必要です。 悪質なコピー品であることも 近年、技術の発展とともに、ペルシャ絨毯のデザインをコピーして製作されたものが、本物として販売されていることも。本物のペルシャ絨毯の文様をスキャナーで読み込み製作されるため、どのようなデザインでもコピーが可能です。 また、ペルシャ絨毯を模倣して製作されている手織りの絨毯も多くあります。世界各国でコピー品が製作されており、トルコやパキスタン、インド、エジプト、ルーマニア、中国絨毯などがあります。とくに日本では1980年代ごろ、ペルシャ絨毯を模倣して作られた中国の高段数と呼ばれる絨毯が大量に輸入されました。文様だけではなく、工房サインも模して精巧に作られていますが、ペルシャ文字に似せているだけで実際には読めないものも多くありました。 ペルシャ絨毯の本物は見分けられる? 本物のペルシャ絨毯を見分ける主なポイントは4つです。 ・機械織りか手織りか ・素材 ・産地 ・サイン 手織りの絨毯は、一つひとつ手作業で織っていくため製品によって誤差はあるものの歪みが生じます。一方、機械織りは精密な機械を利用しているため生地に歪みが生じません。線が定規で引いたように真っすぐなのが特徴です。また、手織りでは縦糸がそのままフリンジになりますが、機械織りではフリンジを後から縫いつけています。 偽物のペルシャ絨毯にはシルクやウール以外の素材が使われているケースもあります。シルクの代替品として利用されているのがバンブーレーヨンです。原材料は竹ですが、化学合成されているため紛れもない化学繊維です。シルクは繊維が長いため無駄毛があまり生じませんが、バンブーレーヨンは繊維が短いため無駄毛が生じやすい特徴があります。 産地や工房の偽装は、絨毯に描かれている工房サインから判断可能です。サインを偽装する際に既存のパイルを抜き取り、新しいパイルで結び変えるため、微妙に色合いが異なります。 ペルシャ絨毯と間違われやすい絨毯 高級絨毯はペルシャ絨毯だけではありません。トルコ絨毯や中国段通、パキスタン絨毯も高級絨毯の部類に入ります。どれも手織りで製作されており品質も高いことから、ペルシャ絨毯と間違って販売されていても見分けが難しいといえます。プロでも見分けが難しいほど高クオリティのものもあるため、素人目で判断するのは困難でしょう。 本物のペルシャ絨毯を見分けよう ペルシャ絨毯は高級品として人気がありますが、それゆえ偽物も多く出回っています。また、近年では精巧に作られた偽物も多く、素人目では判断が難しいことも。そのため、購入や売却を検討している方は、信頼できるプロへ依頼することが大切です。また、パソコンやスマホの画面越しでは質感や肌触りが確認できないため、画像だけで本物かどうかの判断をしてしまうのは危険です。ペルシャ絨毯を購入するときは、実際に手に取って文様や質感を確かめるようにしましょう。実物に触れる機会がある方はぜひ自分の目でチェックしてみてください。
2024.09.12
- ペルシャ絨毯とは
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かわいいギャッベもペルシャ絨毯の一種?生活に取り入れやすい人気の絨毯
イラン国内で作られた手織りの絨毯をペルシャ絨毯と呼びますが、その産地は数多く、それぞれの地域で異なる特徴を持ったペルシャ絨毯が作られています。なかでも、日本の住宅にもなじみやすいのがギャッベです。ペルシャ絨毯を自宅で利用してみたいと考えている方は、ギャッベの特徴や魅力、ほかのペルシャ絨毯との違いを知り、好みの絨毯を選ぶための参考にしてください。 ギャッベはペルシャ絨毯? ギャッベと呼ばれる絨毯は、ペルシャ絨毯の一種です。もともとは、イラン南西部のザグロス山脈に住む遊牧民であるカシュガイ族がルーツといわれています。カシュガイ族が暑さや寒さをしのいで快適に生活するために、テントの下に敷く絨毯として作られました。砂利や土の上に敷くため、地面の凹凸や石でお尻が痛くならないよう、厚みのある作りをしています。遊牧民女性が植物や風景などの自然を題材にして、感性で文様を描いていきます。すべて手織りで作られるため、どれもが世界に一つだけのギャッベです。 ペルシャ絨毯の一種であるギャッベには、ザグロス山脈に生息する羊の毛が利用されます。標高2,500mの高地で、朝晩の寒暖差が30度以上もある過酷な地域で育った羊の毛には、油分がたっぷりと含まれています。繊維が温かい空気を閉じ込め、湿気は外に放出する機能に優れているため、冬は温かく、夏は涼しくと、1年中ギャッベを敷きっぱなししても快適に過ごせるでしょう。また、通気性がよいため床暖房やホットカーペットなどの暖房器具とも相性がよく、自宅の快適性をあげてくれる絨毯です。 ギャッベを織るのに使われる糸は、すべて人の手により紡がれています。原始的な回転工具を回し、手元から少しずつ毛を押し出しながら紡いで糸にしていきます。手作業で糸を紡ぐのには繊細な手先の感覚が必要です。そのため、熟練の職人でも1日に約500gの糸を紡ぐのがようやくというくらい根気のいる作業です。 また、ギャッベは下絵を使用せず、感性で糸を織りこんでいくことで独創的な文様が生まれます。ギャッベの伝統的な手法は、数千年前から変わることなく受け継がれており、2012年にはユネスコの無形世界遺産にも登録されました。 ギャッベはほかのペルシャ絨毯と何が違う? ペルシャ絨毯とは、イラン国内で作られた手織りの絨毯全体を指しています。そのため、イランの山岳地域で作られてきたギャッベも、ペルシャ絨毯の一種です。ペルシャ絨毯とひと口にいっても、産地や工房によって特徴の違いがあります。ギャッベとほかのペルシャ絨毯の違いを知ることで、よりギャッベへの興味を深めていきましょう。 まずは作り方の違いです。ペルシャ絨毯全般はペルシャ結び(一重結び)と呼ばれる方法で織られていきますが、ギャッベはペルシャ結びとトルコ結び(二重結び)の2種類の方法で織られています。ギャッベを作るカシュガイ族は、トルコ系民族のためトルコ結びを採用しているケースがあります。 またペルシャ絨毯の文様は、作られる産地や工房で大きな違いがみられるのも特徴の一つです。それぞれの地域の伝統の柄を引き継いで、アレンジしながら製作が進められていくため、さまざまな文様が楽しめます。ギャッベは素朴で親しみやすいデザインが特徴です。遊牧民生活をおくる女性が中心となって織りあげられているギャッベは、下絵を使用せず織られていくため、カジュアルで味わい深い特徴を持ちます。 ペルシャ絨毯といえば、高級で芸術的価値が高く、鑑賞用として用いられるなど、格式の高い織物製品のイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。しかし、ギャッベは実用性のある普段使い用の絨毯として作られています。テントの下に敷いて寒暖差から身を守るために作り始められたもののため、厚みがありふかふかな質感の特徴があります。 ペルシャ絨毯は豪華で高級なイメージが強い傾向ですが、ギャッベはカジュアルで素朴な文様も多いため、日本の住宅にも合わせやすいペルシャ絨毯です。 ペルシャ絨毯には、ザグロス山脈地域で作られたギャッベ以外にも、さまざまな地域で作られているものがあります。たとえば、イスファハン、タブリーズ、クム、ナイン、カシャーンなどの地域です。 歴史ある産地として知られているイスファハンのペルシャ絨毯は、縦糸にシルクを利用し、赤系のウールを使用する特徴があります。 紀元前にさかのぼるほど歴史のあるタブリーズは、イラン最大のペルシャ絨毯産地です。シルクも使用されますがウールの割合が最も多く、赤や白、茶色、黒などの色味が多い特徴を持ちます。 日本への輸出量が最も多いクム。古くからウール中心の生産でしたが、60年前にシルクを使用し始めてからは、シルク中心のペルシャ絨毯に変わっていきました。比較的歴史が浅いため、アンティークのペルシャ絨毯はあまり見かけません。 ナインのペルシャ絨毯には、品質を表す3つのランクが割り振られています。品質のよいものから「チャハール(4)ラー」「シシ(6)ラー」「ノー(9)ラー」とつけられており、数字は縦糸の撚りの数です。 カシャーンはサファヴィー朝時代から織物業が盛んだったとされています。20世紀初頭には高級絨毯の産地として広く知られるようになりました。当時はメリノ・ウールを使用した絨毯や、シルクと金銀糸による絨毯など、多彩な製品が多く作られていました。しかし、現在では実用品に近いペルシャ絨毯を中心に作られています。 日本でもギャッベは人気 ギャッベはその素朴で親しみのある文様が日本の住宅にもなじみやすいとして、日本でもよく見かけるようになりました。しかし、日本で販売されているギャッベの中には、本物のギャッベではない絨毯もあります。ギャッベは、イランの南西部のカシュガイ族という遊牧民族が手織りで作ってきたペルシャ絨毯を指していますが、近年イラン以外の国で作られたり、機械織りで作られたりした絨毯もギャッベとして販売されているのです。 よくギャッベとして販売されているのを見かけるのが、インドで作られたギャッベです。インドでは手織りと機械織りのどちらの手法も取り入れられています。インドギャッベはイランの影響を受けて作られていると考えられますが、本物のギャッベと比較すると糸が太く、デザインもシンプルなものが多いのが特徴です。 また、インドギャッベには、はた織り機で作られた製品もあります。手織りインドギャッベと比べると、さらに見た目の違いを感じられるでしょう。手織りの場合は、縦糸に1本1本糸を結んでは切る作業を繰り返していくため、細かな文様の表情を織りこめる特徴があります。また、毛が一定方向を向いていることも関係し、見る角度によって異なる表情を楽しめる魅力もあります。しかし、はた織り機で作られたギャッベは毛が真っすぐに立っており、手織りほど繊細な表現はできない構造です。そのため、手織りのギャッベと比較するとはっきりとした表情が印象的です。 生活に根付いたペルシャ絨毯、ギャッベ 遊牧民の暮らしから生まれたギャッベは質もよく、実用性の高いペルシャ絨毯です。素朴で温かみのあるデザインは、日本の暮らしにもなじむため、人気のペルシャ絨毯の一種であるといえます。ほかの地域で作られる豪華で華やかな印象のペルシャ絨毯とは異なる印象を持つギャッベ。遊牧民が完成で織る文様は、自由度が高く親しみやすい印象を受けます。 ギャッベもペルシャ絨毯同様に耐久性が高い特徴もあるため、自宅で活用しながらも親から子へ、子から孫へと代々受け継いでいける絨毯といえます。人々の生活に根付いたペルシャ絨毯ギャッベを一度手に取ってじっくり眺めてみてください。
2024.09.12
- ペルシャ絨毯とは
- ペルシャ絨毯の種類
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高級絨毯比較!ペルシャ絨毯と段通(中国)の違いは?
ペルシャ絨毯とは、イラン国内で作られた手織りの絨毯のことです。一方、中国にも手織りで作られた段通と呼ばれる絨毯があります。この2つはどちらも手織りで作られており、似た特徴を持っているため、間違えられることもしばしばあります。ペルシャ絨毯や段通といったお目当ての製品を購入しようとしたときに、誤って別の絨毯を購入しないようにするためにも、それぞれの特徴を押さえておくことが大切です。 ペルシャ絨毯と段通の違いは? ペルシャ絨毯と段通は、どちらも手織りで作られた絨毯で似た特徴を持っていますが、さまざまな面で違いがみられます。中国段通はあまり聞きなれない言葉のため、どのような絨毯なのか知らない方も多いでしょう。ペルシャ絨毯同様に高級感ある絨毯のため、特徴を知って気に入る部分があれば、購入を検討してみるのもお勧めです。 産地の違い ペルシャ絨毯は、イラン国内で作られています。一方、段通は中国で生産されています。この2つの絨毯はそもそも、作られている国が異なるのです。近年、日本で中国製の絨毯をイートペルシャと称して、ペルシャ絨毯として販売する業者もいますが、本物のペルシャ絨毯ではないため注意が必要です。あくまでも、イラン国内で作られた絨毯のみがペルシャ絨毯であり、それ以外の国でペルシャ絨毯に似せて作られた絨毯は、ペルシャ風絨毯というイメージを持つとよいでしょう。 織り方の違い どちらも手織りのため、似ている印象を持つペルシャ絨毯と段通ですが、根本的な作り方は異なっています。ペルシャ絨毯は縦糸と横糸を完全に結んで織っていきます。そのため、結びが頑丈で耐久力に優れているのが特徴です。ペルシャ絨毯が使えば使うほどよいといわれるのはこの結び方が関係しています。一方、中国段通は、横糸を縦糸に通すだけで結ばない作り方です。そのため、使っているうちに結びがほどけていき、時間が経てば絨毯に穴が開いたような状態になり長持ちしにくいといえます。 素材の違い ペルシャ絨毯と段通にはどちらもシルクやウールが使われます。しかし、厚みに違いがあります。ペルシャ絨毯は、薄く織っていくためとても軽く、使用しないときでも簡単に畳んで保管が可能です。一方、段通は厚みがありボリュームがあるのが特徴です。分厚く重いため、畳んで収納するのは難しいでしょう。 絨毯が薄いと、掃除が簡単になるメリットがあります。ペルシャ絨毯のパイルは数ミリほどのため掃除の際に、掃除機をかけるだけで簡単にきれいになり、ダニや虫がつきにくいのがメリットです。一方、段通はパイルが3~4cmほどあるため、奥まで入り込んだゴミや汚れを取り除きにくく、ダニや虫がつきやすい注意点があります。素材が同じでも、パイルの厚みによって使用感が変わるといえるでしょう。 デザイン、色の違い ペルシャ絨毯は、色彩が豊かではっきりとした色合いが特徴です。また、産地や工房により文様が異なり、バリエーションに富んだデザインが魅力といえます。 段通は、大きな花柄や淡い色彩が好まれ、優しい印象の色味の文様が多い特徴があります。また、同じ調子で糸を結んでカットする作業を繰り返し、きめの細かい絵柄を作り上げたり、パイル糸を絵柄に沿って削って絵を立体的に浮かび上がらせたりする作り方が主流です。 ペルシャ絨毯の主な特徴 イラン国内で作られた手織りの絨毯であるペルシャ絨毯の産地は数多くあります。なかでも5大産地と呼ばれるのが「クム」「イスファハン」「カシャーン」「ナイン」「タブリーズ」です。それぞれ異なる特徴を持つペルシャ絨毯を製作しており、産地や工房によって違った表情を見せてくれる点も魅力の一つです。 ペルシャ絨毯の主な素材は3つあります。「シルク(絹)」「ウール(羊毛)」「コットン(綿)」で、縦糸と横糸、パイル糸の3つの糸で織っていきます。パイル糸に使用した素材によって、シルク絨毯、ウール絨毯など呼び方が変わるのも特徴です。 また、ペルシャ絨毯は作られた時期から経過した年数により呼び方に変化があります。製作から50年以上経ったものをオールド、80年以上経ったものをセミアンティーク、100年以上経ったものをアンティークと呼びます。ペルシャ絨毯は耐久性が高いため、このように長い年月が経ったものも現存しているのです。オールド以上のペルシャ絨毯の希少価値は非常に高く、なかには1,000万円以上の価値がつくものもあります。 段通の主な特徴 段通は、中国で作られる高級敷物で、手織りで作られている特徴を持ちます。また、厚手で光沢をもった織物です。ペルシャ絨毯同様に手織りで作られており、縦糸と横糸にパイル糸を結び付けていく工程を繰り返すため、手間と時間がかかります。そのため、段通も高級敷物として知られています。 中国の段通にあるボリュームやケミカルウォッシュによる光沢加工、カービングによる浮き彫り加工は、中国段通だけの特殊な技術です。段通にも主にウールやシルクが素材として使われています。 中国段通も骨董品としての価値は高い ペルシャ絨毯は高級かつ芸術性の高い織物製品として知られていますが、中国段通も同様に、骨董品として高い価値があるといわれています。絨毯の状態にもよりますが、数十万円ほどで買取されるケースもあります。ペルシャ絨毯と中国段通に共通しているのは、どちらも歴史が長く、美術品・工芸品としての価値の高さが認められていることです。特徴を知り違いを理解することで、購入を考えたときにどちらが自分の好みに合っているかを判断しやすくなるでしょう。 歴史ある絨毯とその違いを楽しもう 絨毯とひと口にいっても、国や地域が違えば異なる特徴を持った製品が数多く存在します。ペルシャ絨毯はイラン国内で手織りされた絨毯のことですが、さらに産地や地域によって違った表情を見せてくれるでしょう。同じく手織りの絨毯でも、中国で作られた製品は段通といいます。同じ手織りでも、ペルシャ絨毯よりも厚みのある特徴を持っています。 ペルシャ絨毯と段通はどちらも手織りの絨毯で、高級品としても知られる織物製品ですが、違った特徴を持っているため、好みも分かれるでしょう。自分がどのような絨毯が欲しいのか、好みの文様の雰囲気は何かを知り、お気に入りの一枚を選ぶためにも、絨毯の種類による違いを理解しておくことをお勧めします。
2024.09.12
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ペルシャ絨毯とパキスタン絨毯を比較!どんな違いや共通点がある?
上質で高級な絨毯といえばペルシャ絨毯を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、価格帯が高いため、なかなか手が出しにくいと感じている人も多くいます。イランで作られたペルシャ絨毯以外にも、上質でさまざまな特徴を持った絨毯が作られています。たとえば、パキスタン絨毯です。ペルシャ絨毯をルーツとしていることもあり、似たような雰囲気を持ち合わせています。価格帯はペルシャ絨毯よりも抑えめのため、特徴を知るとともに、ペルシャ絨毯との違いを理解し、自宅に合う絨毯探しに役立てましょう。 ペルシャ絨毯とパキスタン絨毯の違いを比較 パキスタンで作られた絨毯をパキスタン絨毯と呼んでおり、そのルーツはペルシャ絨毯にあるとされています。ルーツは、およそ500年前のムガール帝国時代にまでさかのぼります。ムガール帝国を治めていたアクバル大帝は、イランのイスファハンから織物の職人を招待しました。そして、王宮用の敷物を作らせたのが始まりとされています。そのため、パキスタン絨毯はペルシャ絨毯のデザインや特徴を受け継いでいる特徴があります。 また、パキスタンはインドから分離独立した歴史を持っているため、インドの製法に近いものも感じられるでしょう。インドの織物工場で働いていたパキスタン人の織物職人が、インドからの分離独立をきっかけにパキスタンへ戻り、インド織物の技術を持ち帰ったことで、インドカーペットの製造方法も導入されました。そのため、インドで生産されているシルク絨毯に似た特徴を持つ製品も存在しています。 ペルシャ絨毯は高級織物として知られています。高価なため欲しくてもなかなか手が出せない人も多いでしょう。ペルシャ絨毯と比べるとパキスタン絨毯は、安いものであれば数万円単位で購入が可能です。基本的にサイズが大きくなるほど価格は高くなるため、自分が購入したいサイズで、予算内に収まる絨毯があるか確認するとよいでしょう。 産地の違い パキスタン絨毯は、その名のとおりパキスタンで作られた絨毯です。有名な産地には「ラホール」「カラチ」「ラワルピンディ」「イスラマバード」「バハワルプール」「ハイデラバード」「マルチャン」などがあります。 織り方の違い パキスタン絨毯は「モリ絨毯」と「ペルシア絨毯」に分けられます。モリ絨毯は単一の縦糸で織られており、そのほかの絨毯は2本の縦糸で織られています。高ノット密度で作られているため、耐久性が高いのが特徴です。 素材の違い パキスタン絨毯には、輸入されたさまざまな品質のウールが使用されています。現在は、主にオーストラリア産の良質なウールが使われています。オーストラリア産ウールで作られた絨毯は、シルク絨毯によく似ているのが特徴です。なお、縦糸と横糸には主にコットンが使われています。 デザイン、色の違い パキスタン絨毯の代表的なデザインは、ボハラ柄とジャルダン柄の2つです。ボハラ柄には、楕円形の続き柄がところどころあしらわれています。ジャルダン柄には、ひし形の続き柄があしらわれています。赤色が多く用いられているのも特徴の一つです。別の色を使用することもありますが、メインが赤色の製品を多く見かけます。また、光沢のある質感が特徴的です。 ペルシャ絨毯は、色鮮やかで豪華な印象を受ける文様が多いですが、日本の住宅に取り入れるには、ほかのインテリアとのバランスが難しいと考える人も多いのではないでしょうか。パキスタン絨毯のデザインは、ペルシャ絨毯ほど華やかな文様ではないため、さまざまなインテリアにマッチしやすい魅力があります。モダンな家具やクラシックスタイルのインテリアとも相性がよいですし、和風の部屋に取り入れてもオリエンタルな雰囲気を醸し出してくれます。 ペルシャ絨毯の主な特徴 ペルシャ絨毯は、イランで手織りされた絨毯全般のことです。産地や工房は数多くありますが、「クム」「イスファハン」「カシャーン」「ナイン」「タブリーズ」が5大産地と呼ばれています。主な素材はシルク(絹)、ウール(羊毛)、コットン(木綿)の3つ。シルクのペルシャ絨毯は高級品としても知られています。 文様もさまざまで、産地によって個性的な文様が数多く存在します。代表的な文様は、メダリオン文様、メヘラブ文様、総柄文様(オーバーオール)などです。ペルシャ絨毯はすべて手織りで作られており、デザイン画に沿って縦糸に横糸とパイル糸を絡めて織っていきます。ノットの密度は高く、ノット数は約100万~121万ノットといわれています。文様の美しさから鑑賞用としてはもちろん、ノットの密度が高いため耐久性に優れており、長く愛用できる実用性の高さも魅力の一つです。 パキスタン絨毯の主な特徴 パキスタン絨毯は実用的な絨毯です。高ノット密度で織られているため、耐久性に優れています。そのため、ペルシャ絨毯よりも価格を抑えて、実用性が高く、長く使い続けられる絨毯を探している場合にお勧めです。 また、見た目の美しさにも定評があります。パキスタン絨毯では、オーストラリア産のウールや、ニュージーランド産のメリノウールを使用し、縦糸にコットンを使っている製品が多く作られています。適度なツヤや光沢が得られるのも特徴です。メリノウールは、スーツにも利用される素材のため、似たような質感を持っています。 パキスタン絨毯のうち、モリ絨毯の約9割はボカラ模様やトルクメニスタン模様で織られています。ペルシャ絨毯も薄く作られていて軽いことで有名ですが、パキスタン絨毯はさらに軽量に作られているのが魅力です。部屋の模様替えをしたり、敷物の配置を変更したりする際も持ち運びが簡単に行えるでしょう。 それぞれの違いを知ると、絨毯選びがもっと楽しくなる パキスタン絨毯は、耐久性に優れているうえにデザイン性の高さが魅力の絨毯です。また、ペルシャ絨毯をルーツとして作られているため、ところどころにペルシャ絨毯の雰囲気を感じられるでしょう。価格帯はペルシャ絨毯よりもお手ごろなため、少し上質な絨毯が欲しいけどペルシャ絨毯はハードルが高いとお考えの方は、パキスタン絨毯を検討してみてはいかがでしょうか。 パキスタンの伝統的なデザインは、モダンな家具やクラシックな家具にも合うのはもちろん、和風な家具とも相性がよく、エスニックな雰囲気を演出してくれます。パキスタン絨毯は、自宅の雰囲気を一新させておしゃれな空間に仕上げたいという方にもお勧めです。
2024.09.12
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ペルシャ絨毯とトルコ絨毯にはどんな違いがある?人気のオリエンタルラグを比較
高級な絨毯といえばペルシャ絨毯を思い浮かべる人は多いでしょう。ペルシャ絨毯はイラン国内で製作された手織りの絨毯を指します。しかし、世界にはペルシャ絨毯にも劣らない品質をもつ絨毯があります。その一つがトルコ絨毯です。トルコ絨毯も手織りで製作されており、ペルシャ絨毯とは異なる織り方で製作されている特徴があります。それぞれの魅力を深めるためにも、違いをしっかりチェックしておきましょう。 ペルシャ絨毯とトルコ絨毯の違いは? ペルシャ絨毯とトルコ絨毯はどちらも手織りで製作された伝統的な絨毯です。何も知らない状態で店頭に並んでいる姿を見たら、どちらであるか判断するのは難しいでしょう。ペルシャ絨毯とトルコ絨毯はよく似た製品ですが、同じものではありません。まず作られている国と産地が異なります。絨毯を見て判断できる部分ではありませんが、産地に大きな違いがあることを理解しておきましょう。 また、織り方にも違いがあります。細かい部分ではありますが、何度もよく見てみると違いに気づける日が来るかもしれません。ペルシャ絨毯とトルコ絨毯それぞれの特徴や違いを再認識して、その奥深さを知りましょう。 産地の違い ペルシャ絨毯とトルコ絨毯ではそもそも作られている国が異なります。ペルシャ絨毯は、イラン国内で手織りで作られたものを指します。一方、トルコ絨毯はトルコ国内で作られた絨毯のことです。 イラン国内でペルシャ絨毯の5大産地と呼ばれているのが「クム」「イスファハン」「カシャーン」「ナイン」「タブリーズ」。 クムでは1930年代半ばごろからペルシャ絨毯が作られるようになりました。当時は、ほかの産地の文様を模倣して作られていましたが、1960年代ごろからシルク絨毯に力を入れるように。1980年代にはシルク絨毯がメインとなり、ウール絨毯の製作はほとんどされていません。日本のバブル期に需要が急増し、人気を集めています。 イスファハンのペルシャ絨毯は、縦糸にシルクを使った緻密な文様が特徴です。20世紀半ばごろから最高級のペルシャ絨毯を製作する産地としてその名が広まりました。一時期需要が急増したことにより、品質の低下も問題視されましたが、現在でもイスファハンは最高級ペルシャ絨毯を製作する産地として有名です。人気があり生産量が増加したことにより品質にばらつきが生じたり、コピー品が多く出回っていたりする点には注意しましょう。 カシャーンは、20世紀初めごろから最高級品のペルシャ絨毯を製作する産地として、高い評価を受けるようになりました。1970年代には原油価格の高騰による中流以上の富裕層の増加でペルシャ絨毯の国内需要が高まり、その後は実用性を重視したペルシャ絨毯も多く製作するようになりました。 ナインのペルシャ絨毯は3つのランク分けがされています。「チャハール(4)ラー」「シシ(6)ラー」「ノー(9)ラー」の3つで、数字が小さいほど細い糸を使用していることを表しています。そのため、ノーラ―よりもチャハールの織りの方が細かく繊細な文様の表現が可能です。 タブリーズのペルシャ絨毯は、豊富な文様が特徴です。ピクチャー文様も多く製作しており、絵画のような美しさは美術的価値も高く、鑑賞用としても親しまれています。また、リズ・マヒと呼ばれるヘラティ文様も人気のあるデザインです。 トルコ絨毯の主な産地はヘレケです。ヘレケシルクで名が知られています。19世紀にイスタンブールの近くにある小さな村で、オスマントルコの宮廷用絨毯を織るための工房を建設したのが始まりです。クラやラディックなど有名なトルコ絨毯の産地から高い技術をもった職人を集め、さらにはペルシャからも絨毯作りの一級技術者を招いて発展していきました。当時、熟練の職人によって織られたトルコ絨毯の何枚かは、ドルマバフチェ宮殿の優美なサロンや大広間などに華を添えています。 ヘレケの美しいフローラルデザインはこのころに製作され始めました。ヘレケのトルコ絨毯は、質の高いブルサのシルクを100%使っており、手織り絨毯の中でも最高峰といわれています。また、ヘレケはウール絨毯の評価も高い傾向です。シルク絨毯はテーブル敷き用やタペストリーとして、ウール絨毯は今や寝室、ダイニングセットの下に敷く絨毯として利用されています。 カッパドキア地方の中心都市カイセリもトルコ絨毯の産地として有名な都市です。古くからキャラバンが行き交う交易の要として栄えてきました。カイセリや周辺の町・村にとってトルコ絨毯の生産は経済的にも重要な産業です。カイセリのトルコ絨毯は、サイズの種類が豊富で、幅広い素材と技術が取り入れられている特徴があります。 カイセリもシルク絨毯の評価が高い傾向です。ヘレケ同様にブルサのシルクを利用しています。カイセリシルクはツヤがあり、明るい色を採用した装飾的美しさが特徴です。カイセリには独自のフロスシルク絨毯もあり、鮮やかな色合いが魅力の絨毯です。 そのほかの産地には、ウシャク、ベルガマ、コンヤ、ミラスなどがあります。 織り方の違い ペルシャ絨毯とトルコ絨毯の違いとして、絨毯の織り方が挙げられます。ペルシャ絨毯の多くは糸1本に色糸を結んだ一重結び(シングルノット式)が採用されています。一方、トルコ絨毯は、縦糸2本に色糸を結ぶ二重結び(ダブルノット式)で織られている違いがあるのです。一重結びでは結び目がシングルのため、繊細な文様の表現が可能です。二重結びは、踏めば踏むほど結び目が締まるため、耐久性が高く長く使い続けられる特徴があります。 ペルシャ絨毯を織るのに使う材料は、縦糸と横糸とパイル糸の3つ。道具も糸を切るためのナイフやハサミ、結んだ糸の列を整える重たい櫛状の道具だけで製作ができます。鉤針を使っては結べないため手作業で結んでいきます。そのため、指先の力が直接糸に伝わりパイルがしっかりと固定されて外れにくくなるのです。 トルコ絨毯はトルコ結びで織られます。2本の縦糸の周りを1本のパイル糸で結んでいきます。左右対称にパイルを絡める結び方のため鈎針の使用が可能です。 ペルシャ絨毯とトルコ絨毯の見分け方 ペルシャ絨毯とトルコ絨毯の見分けるのに重要なポイントは糸の結び方です。基本的に、ペルシャ絨毯はペルシャ結び、トルコ絨毯はトルコ結びと呼ばれる方法で織られています。ペルシャ結びとトルコ結びの違いは結び目の形です。絨毯のパイル面を上にして絨毯を横方向に山折りにするとパイルの根元にある結び目が確認できます。結び目同士の間からパイルが出ていればペルシャ結び、結び目同士のすき間がなく詰まって並んでいればトルコ結びと判断できます。 ペルシャ絨毯とトルコ絨毯では、文様に大きな違いはありません。しいていえば、シングルノット方式で作られた絨毯は、結び目がシングルであるため、デザインが細かく見えるのが特徴です。シングルノットは繊細な文様をはっきり表現するために適している結び方です。しかし、素人目では文様の違いを判断するのは難しいといえるでしょう。 高級トルコ絨毯「ヘレケ」 数多くあるトルコ絨毯の産地の中でも、最も高品質かつ高級品として有名なのがヘレケです。ヘレケは、マルマラ海地域のコジャエリ市にある地区を指します。オスマン帝国時代に、皇帝の勅令によりドルマバフチェ宮殿の絨毯やカーテンなどのインテリアを献上する名誉を授かったのが、ヘレケ村の絨毯工房でした。その後も皇帝の支援もあり、名品を製作する地域として広く知られたヘレケは、現在でもトルコ絨毯の最高級ブランドとしての名を保ち続けています。20世紀に入ってからは、国内だけではなく欧米からも高い評価を受け、トルコ絨毯が世界に広まっていきました。 また、トルコ絨毯の製作でよく用いられるダブルノット式は、ヘレケが始まりとされています。ダブルノット式で作られた手織りの絨毯は、耐久性に優れ長持ちするだけではなく、裏から見てもデザインが同じ特徴があるのです。 ペルシャ・トルコ…オリエンタルラグの世界は深い オリエンタルラグの代表でもあるペルシャ絨毯とトルコ絨毯は、どちらも高い人気を誇り、その歴史も非常に興味深いものです。どちらも手織りで作られている、職人が一つひとつ丁寧に織り上げた味わい深い文様が、絨毯の魅力を際立たせています。産地や織り方に違いはあれど、どちらも高級絨毯として広く知られており、人気の織物製品です。 一方、その人気や芸術的価値の高さゆえに偽物も多く市場に出回っています。しかし、本物は実際に目で見て手で触れてみると、その違いが一目瞭然です。偽物との違いをはっきりと判断できるよう、まずはペルシャ絨毯やトルコ絨毯の特徴を知ることが大切。織り方の違いや文様の特徴などを理解し、興味を深めていくことで製品を見極める力も養われていくでしょう。
2024.09.12
- ペルシャ絨毯とは
- 絨毯
- ペルシャ絨毯の種類
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ペルシャ絨毯にはどんな文様がある?
ペルシャ絨毯には美しい文様が描かれています。文様にはさまざまな種類があり、地域や時代によっても描かれてきた文様が異なります。耐久性が高く、長きにわたって使い続けられるペルシャ絨毯をせっかく購入するなら、お気に入りの文様を探したいと考えるのではないでしょうか。ペルシャ絨毯は手織りのため、同じ製品はこの世に存在しません。購入時に気に入った文様と出会えるよう、文様の種類や特徴を知っておきましょう。 代表的なペルシャ絨毯の文様 ペルシャ絨毯の魅力の一つは、バリエーション豊かな文様です。地域や時代によってさまざまな文様のペルシャ絨毯が作られてきました。その中でも多く製作されている文様には「メダリオン文様」「メヘラーブ文様」「オールオーバー文様」「ピクチャー文様」などがあります。それぞれの文様の特徴や込められた意味を知ることで、よりペルシャ絨毯の魅力に気付けるでしょう。 メダリオン文様 メダリオン文様は、フィールドの中心にメダリオンと呼ばれる模様が描かれ、周りをボーダーで囲んでいるのが特徴的なデザインです。四隅のコーナーに同じデザインを描いたタイプをメダリオン・コーナーと呼び、ペルシャ絨毯の中でも代表的な文様で、まるで万華鏡を覗いているかのような文様が魅力的です。また、フィールドが無地で花柄をメインとした文様のメダリオン・コーナー・プレーンは、アメリカ市場向けにサールークやケルマーンなどで多く製作されている文様です。 中央に描かれる柄は、太陽や宇宙の核、世界の中心などを表しており、聖なるものとして写本の装丁やモスクの天井タイルなどにも用いられている文様です。花柄や唐草のデザインと組み合わせて構成されたものが多く製作されています。中央のメダリオンを宇宙や天国への入り口、森羅万象をつかさどる神、統一などを象徴するものとして表すために、周囲を花を中心とした植物文様にしていると考えられています。 メダリオン文様は、ペルシャ絨毯の中でも定番の文様で、円形だけではなく、楕円形、八角形、ダイヤ形、花弁形、星形などバリエーションが豊かです。ペルシャ語でトランジと呼び、トランジとはレモンを指しています。そのため、楕円形のメダリオンはトランジの形ともいえるでしょう。 部屋のどの方向からでも鑑賞を楽しめる構成をしています。また、絨毯の中心に人が座っても、周りの文様が同じように見えるデザインが特徴です。 メヘラーブ文様 メヘラーブ文様は、モスクの尖塔をイメージした文様が特徴のデザインです。フィールドの中央部分にはゲンディールと呼ばれる吊りランプの文様が描かれており、周りをガードやボーダーで囲います。イスラム教徒にとってモスクは神聖なものとされており、メヘラーブ文様のペルシャ絨毯は祈祷用としても活躍しています。メヘラーブ文様に描かれているモスクのアーチの頂点がメッカへ向くようにして敷かれ、祈祷を行っているようです。メヘラーブ文様が描かれたペルシャ絨毯自体がモスクとなり、イスラム教徒の人たちにとっては持ち運びができる神聖な場として重宝されています。 メヘラーブ文様の中央の文様は、アーチ型のデザインを基本として、さまざまなパターンがあります。玉ねぎのような擬宝珠の形をしたものや、屋根型、ホームベース型などがあり、部族民の礼拝用絨毯では凸型の直線的なメヘラーブも。また、装飾性の高いメヘラーブ文様のペルシャ絨毯は、壁面を飾るタペストリーとして使われることも。モスクの下部に描かれる樹木や花などの美しい模様が魅力的な文様です。 オールオーバー文様 オールオーバー文様は、中央にメダリオンといった中心となるデザインを配置せず、絨毯一面に同じ文様の総柄を規則的に敷き詰めているデザインが特徴です。総柄文様とも呼ばれます。文様には、モハラマドやボテ、ヘンデスィー、ハシュト・ゴルなどさまざまなパターンが用いられます。アラベスクや花柄のペルシャ絨毯によく用いられる構図です。同じ柄を規則的に繰り返して描かれているため、落ち着いた印象を受ける文様です。ペルシャ絨毯の種類によっては、規則的な文様を額縁に入れた絵画のように見えるよう、フレーム部分と総柄部分で意図的に色を分けているものもあります。 オールオーバーのペルシャ絨毯は、ピクトリアルデザインを得意とするタブリーズやゴム地方、シャーレザなど進行都市での生産が活発な文様です。一方、古都イスファハンやナインなど伝統的なペルシャ絨毯を製作してきた地域では、オールオーバー文様のペルシャ絨毯はあまり見られません。 落ち着いた印象のオールオーバー文様は、家具を置いても雰囲気が変わりにくく、ダイニングテーブルやリビングテーブルの下に敷いて使用しても、馴染みやすいでしょう。 ピクチャー文様 ピクチャー文様は、人物や風景、動物、植物、建物などの絵が描かれた文様です。ピクチャー文様のペルシャ絨毯は、床に敷く使い道だけではなく、額装して絵画として壁に飾るケースも多くあります。鑑賞用のタペストリーとしても魅力的な文様です。ペルシャ絨毯の細かく繊細な織り目を活かした文様であり、その美しい絵柄は芸術品としての価値も高めてくれるでしょう。 産地や時代でさまざまな文様のあるペルシャ絨毯 ペルシャ絨毯の文様には、産地や時代によってさまざまなパターンが描かれています。先述した4つの代表的な文様以外にも、バリエーション豊かな文様が製作されているため、ほかの文様の特徴も学び、ぜひ購入時の知識としてお役立てください。 アラベスク文様 アラベスク文様とは、渦巻き状の唐草の先端に百合の花に似た花文様が特徴です。2股に分かれた花のデザインが龍の角に類似していることからドラゴンヘッドとも呼ばれています。抽象的に様式化されたデザインで、ほかのモチーフと組み合わせてさまざまな産地で扱われています。20世紀ごろからは、イスリム文様の先端を飾る装飾やボーダーやガードのデザインとして扱われるようになっていきました。 カタリナの輪文様 カタリナの輪文様は、アラク地方のペルシャ絨毯によく用いられている文様です。カタリナとは、キリスト教の聖人で殉教者のことです。カタリナはローマ皇帝のマクセンティウスにキリスト教への迫害をやめるよう説き、大きな車輪に括りつけられて転がされる拷問を受けたと伝えられています。なお、カタリナの輪文様は大きな車輪をモチーフにしたものではなく、ロゼット文様が発展したものといわれています。 花瓶文様 花瓶はペルシャ語でゴルダニと呼びます。ゴルは花や異国の花を、ダニは花瓶を意味します。ペルシャ絨毯に描かれている水を差した花瓶から湧き出る花々は、砂漠の民であるイラン人にとって、豊かさの象徴でもありました。サファヴィー朝時代には、すでに花瓶文様のペルシャ絨毯が製作されており、長い歴史を持つ文様であるとわかります。メヘラブ柄の下に描かれたり、総柄の絨毯の四隅に描かれたりするデザインです。 ヘラティー文様 ひし形と花柄で構成された文様です。イラン国境のアフガニスタン・ヘラートに由来してつけられた名称とされています。イランでは、ひし形の周りに描かれるコーカサス地方の葉模様が小魚に似ていることから、マヒ文様とも呼ばれています。 ボテ文様 糸杉や松ぼっくりをモチーフにした文様です。多くの地域でペイズリー柄という名前で呼ばれています。デザインはイランが発祥で、イギリスがインドショールを参考にボテ文様を描いた織物を作ったことで広がりを見せたデザインです。 美しい文様のペルシャ絨毯を楽しもう バリエーション豊かな美しい文様が魅力のペルシャ絨毯。日常使いだけではなく鑑賞用としても楽しめる織物製品です。また、繊細で美しい文様は職人が一つひとつ手織りで製作しているため、2つとして同じデザインはありません。そのため、本物のペルシャ絨毯では唯一無二の文様を楽しめるのです。さまざまな文様の特徴を知り、自分好みの文様やお気に入りのペルシャ絨毯を見つけましょう。
2024.09.12
- ペルシャ絨毯とは
- ペルシャ絨毯の種類