さまざまな西洋美術に触れる、国立西洋美術館
1959年、国立西洋美術館は、フランス政府から寄贈返還された「松方コレクション」を保存するとともに多くの人に作品を公開するために設立されました。
松方コレクションとは、株式会社川崎造船所の初代社長である松方幸次郎が、ヨーロッパで収集した西洋美術コレクションのことです。
美術館を建設するにあたって、日本政府はフランスで有名な建築家ル・コルビュジエに設計を依頼し、建設には彼のアトリエで仕事をした経験のある日本人の3人の弟子、板倉準三・前川國男・吉阪隆生があたりました。
1959年当時に設立された建物は、現在「本館」と呼ばれており、1979年には新館、1997年には、前庭の地下に企画展示館が増築されました。
展示
国立西洋美術館では、常設展と企画展の両方の展示があります。
常設展では、中世末期から20世紀の初めにかけての西洋絵画と、ロダンをメインにフランス近代彫刻を展示しています。
また、1960年に開館1周年を記念して「松方コレクション名作選抜展」を開催して以降、さまざまな特別展や共催展などを開催してきました。
2023年には、「憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」、「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」など、7つの展覧会が開催されました。
また、国立西洋美術館の正面入り口前の広場には、彫刻作品が展示されています。美術館内に入る前から、西洋の美術を堪能できる魅力があります。
コレクション
国立西洋美術館は、370点もの松方コレクションを中心に始まり、現在では6000点もの作品を所蔵しています。
そのジャンルも多岐にわたり、絵画から彫刻、素描、版画、写本、工芸などさまざまです。
『三連祭壇画:キリスト磔刑』ヨース・ファン・クレーヴ
『シャボン玉を吹く少年と静物』ヘーラルト・ダウ
『自画像』マリー=ガブリエル・カペ
『アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)』ピエール=オーギュスト・ルノワール
『赤い鶏と青い空』フェルナン・レジェ
絵画作品では、14世紀半ばから20世紀半ばまでの作品を展示しており、時代の移り変わりとともに変化していく西洋美術を堪能できます。
特徴/ここがオススメ
国立西洋美術館は、「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」の一部として世界文化遺産に登録されています。
ル・コルビュジエが長年追求した、無限成長美術館というアイディアのもと設計された国立西洋美術館は、巻貝のような渦巻き状の平面構成をとっており、年月を経て所蔵品が増えていっても、展示室を外側に増築できる画期的な建築構造になっています。
無限成長美術館の実現例は、この国立西洋美術館とインドにある2つの美術館の合計3館しかありません。
作品を鑑賞したあと、西洋美術についてもっと知りたくなった方向けに、本館のカフェ「すいれん」前のフロアには、西洋美術に関連した本が置かれています。
国立西洋美術館を訪れた際は、鑑賞した作品に関連する図書で、さらに興味を深めてみるのもよいでしょう。
美術館情報
国立西洋美術館
住所:〒110-0007 東京都台東区上野公園7番7号
GoogleMap:https://maps.app.goo.gl/gXFmZgSp9AtSpsRv8
アクセス:JR上野駅下車(公園口出口)徒歩1分 ほか
開館時間:火~水 9:30~17:30
金・土 9:30~20:00 ※入室は閉室の30分前まで
休館日:毎週月曜日
※最新の情報は公式サイトをご覧ください
料金:常設展 一般500円(400円)、大学生250円(200円)※()内は20名以上の団体料金
※企画展は展示によって異なります