日本人形は、民芸品や工芸品として昔から愛されてきました。
自宅に古い日本人形がある方は、多いのではないでしょうか。
日本人形の中には、芸術的・歴史的価値を持つものがあります。
そのような日本人形は、骨董品として買取できる可能性があるため、骨董品買取業者に相談するのがお勧めです。
目次
昔からある日本人形は買取してもらえる?
日本人形は、昔からある工芸品の一つです。
骨董品としての価値があるものは、買取が可能です。
日本人形とは
日本人形とは、髪を結い、和服を着た日本の伝統的な人形です。
一般的に日本人形という場合、市松人形や衣装人形を指すことが多いものの、ほかにもさまざまな種類があります。
日本では、平安時代に健康に育つことを祈って生まれた子どもの枕元に人形を置く風習がありました。このとき置かれた人形には、子どもの身代わりとなって厄災を引き受ける役割がありました。
この人形が日本人形の起源だと考えられています。
また、江戸時代には嫁入り道具の一つとして人形を持たせることが広まりました。日本人形に姫君や町娘、舞妓などの女性をかたどったものが多いのは、花嫁の厄除けの意味があったからだといえます。日本人形を婚礼道具とする風習は、1980年代ごろまで続きました。
日本人形は骨董品買取してもらえる?
最近は、日本人形を婚礼道具としたり行事の際に飾ったりする家庭が少なくなっています。
需要減少のため、日本人形を買取していない業者もあるため注意が必要です。
一方で、日本人形の中には、骨董品として高い価値を持つものもあり、積極的に買取している業者もいます。
例えば、以下のような人形は、高く売れる可能性があります。
・有名作家や人間国宝の作品
・江戸時代以前に作られた日本人形
・鑑定書つきの人形
・保存状態のよい人形
日本人形の買取価格を決めるポイントの一つが、作家です。
有名な作家や、人間国宝に指定された作家が手がけた日本人形は、高額買取されやすいでしょう。
また、有名作家の作品といわれるものの中には、贋作もあります。
本物だと証明する鑑定書がついていることも、買取価格が高くなりやすい人形の特徴です。
江戸時代以前の日本人形は、希少価値が高いため高額買取が期待できます。
また、どのような人形であっても保存状態がよければ、買取価格アップにつながる可能性があります。
日本人形の種類
日本人形は、特徴や産地などによっていくつかの種類に分けられます。
市松人形
市松人形とは、江戸時代に広まった代表的な日本人形の種類です。
短い黒髪の少女の人形で、着物を着ているのが特徴です。
ただし、当初は着せ替え人形として裸の状態で販売されていたといわれています。
人間国宝の平田郷陽のほか、大木平蔵、山川永徳斎などが、市松人形の主な有名作家です。また、目にガラスを使ったものや、上質な布で作られた衣装をまとったものなどが高額買取されやすい傾向にあります。
御所人形
御所人形は、江戸時代に主に宮中で愛好された日本人形です。
体型や表情などは幼児をモデルとしており、一般的な座り姿や立ち姿のほかにハイハイしている姿など、さまざまなポーズのものがあります。
また、着衣のものと裸のものと2種類あることも御所人形の特徴です。
京都で作られる御所人形の有名作家としては、伊東久重や島田耕園などがいます。
伊藤久重の作品は、御所人形の中では特に買取価格が高く、20万円程度で取引されることもあります。
ひな人形
ひな祭りの定番であるひな人形も、日本人形の一種です。
多くの方にとって最も身近な日本人形といえるでしょう。
本来は、各種の人形のほか、ぼんぼりや屏風といった小道具がそろった七段飾りが正式とされています。しかし、最近の住宅事情から三段や五段のコンパクトなひな人形も人気があります。
ひな人形のうち、骨董品として特に価値があるのは、江戸時代に作られた享保雛や次郎左衛門雛です。
五月人形
5月5日の子どもの日に合わせて飾られる五月人形も、日本人形です。
女の子のためとされるひな人形に対し、五月人形では、男の子の健やかな成長を願い、兜や甲冑を飾ります。
五月人形の有名作家には、兜や甲冑の制作や修復も手がける平安住一水、鈴甲子雄山などがいます。
木目込人形(きめこみにんぎょう)
木目込人形とは、おが屑と糊で作ったボディに溝をつけ、その溝に沿ってちりめんや友禅などの布を入れ込んで作る日本人形のことです。
京都が発祥で、のちに江戸(東京)でも作られるようになりました。
木目込人形の作家としては、人間国宝の野口園生や、師弟関係にあたる田中秀代が有名です。
また、木目込人形の原型と言われる加茂人形も、骨董品として高い価格で取引される傾向にあります。
御台人形(おだいにんぎょう)
御台人形とは、御所人形を桐の台に乗せ、周囲を動植物の模型で飾ったものです。
御台人形は、身の丈1尺(約30cm)で頭が大きく作られており、白い肌に幼児の姿をしています。
健康を願い、天皇皇后両陛下から皇室の子どもたちへ下賜されます。
初節句などのお祝いごとにふさわしい、明るい雰囲気のものが多いことも特徴です。
こけし人形
主に、宮城県を中心とする東北地方で作られてきたこけし人形も、日本人形の一つです。
1300年ほど前の奈良時代から、こけしに似た木工玩具が作られていたという記録があります。
ただし、現在のような彩色された人形が作られるようになったのは、江戸時代のことです。
昭和前期にこけしの芸術品としての価値が認識されると、ブームとなり生産量が増えました。そのため、戦前に作られたもののほうが、骨董品としての価値が高いといえます。
こけしの作家としては、版画家としても名高い棟方志功や佐藤正廣が有名です。
博多人形
博多人形は、江戸時代初期から福岡県で作られている素焼きの人形です。
1600年に、黒田長政の筑前入国に伴って多くの職人たちが集められました。
集まった職人たちが素焼き人形を制作し、現在の伝統的な博多人形の礎が築かれたといわれています。
江戸時代後半から、特に活発に生産されるようになり、明治時代には海外へ輸出されることもありました。
博多人形と名付けられたのは、1925年のパリ万博出品がきっかけだったといわれています。
博多人形の有名作家には、人間国宝の中村信喬や宗田源造がいます。
奈良人形
奈良人形は、奈良県の代表的な木工芸です。
荒々しいともいえる大胆なタッチが、まるで一刀で彫ったように見えることから、奈良一刀彫とも呼ばれます。
奈良人形のルーツは、神事で使われる人形。
のちに、江戸時代に岡野松壽 と名乗った彫師が、一般向けに神事用に似せた人形を作り始めました。この人形が、やがて奈良人形と呼ばれるようになったのです。
奈良人形の有名作家といえば、江戸時代末期に活躍した森川杜園です。
鹿を中心とする動物の人形を得意とし、1893年のシカゴ万博に出品された『牝牡鹿』は、文化遺産に指定されています。
大切にしてきた日本人形だからこそ、価値の分かる骨董品買取業者へ
日本人形の歴史は、平安時代に始まったといわれています。
江戸時代から1980年代ごろまでは、婚礼道具の一つとして使われることもありました。
伝統的な技術で作られた日本人形には、骨董品としての価値があります。
大切に受け継がれてきた人形を、納得いく形で処分するには買取がお勧めです。
有名作家や人間国宝が作った人形や、江戸時代以前に作られた古い日本人形、保存状態のよいものなどは、特に高額買取が期待できます。
日本人形を手放すのであれば、価値の分かる骨董品買取業者へ相談しましょう。骨董品を専門としない業者に買取を依頼する場合、相場より安い価格で売ることになるかもしれません。そのため、信頼できる骨董品買取業者を選ぶことが大切です