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伝統ある日本人形は骨董品として高額買取が期待できる
日本人形は、民芸品や工芸品として昔から愛されてきました。 自宅に古い日本人形がある方は、多いのではないでしょうか。 日本人形の中には、芸術的・歴史的価値を持つものがあります。 そのような日本人形は、骨董品として買取できる可能性があるため、骨董品買取業者に相談するのがお勧めです。 昔からある日本人形は買取してもらえる? 日本人形は、昔からある工芸品の一つです。 骨董品としての価値があるものは、買取が可能です。 日本人形とは 日本人形とは、髪を結い、和服を着た日本の伝統的な人形です。 一般的に日本人形という場合、市松人形や衣装人形を指すことが多いものの、ほかにもさまざまな種類があります。 日本では、平安時代に健康に育つことを祈って生まれた子どもの枕元に人形を置く風習がありました。このとき置かれた人形には、子どもの身代わりとなって厄災を引き受ける役割がありました。 この人形が日本人形の起源だと考えられています。 また、江戸時代には嫁入り道具の一つとして人形を持たせることが広まりました。日本人形に姫君や町娘、舞妓などの女性をかたどったものが多いのは、花嫁の厄除けの意味があったからだといえます。日本人形を婚礼道具とする風習は、1980年代ごろまで続きました。 日本人形は骨董品買取してもらえる? 最近は、日本人形を婚礼道具としたり行事の際に飾ったりする家庭が少なくなっています。 需要減少のため、日本人形を買取していない業者もあるため注意が必要です。 一方で、日本人形の中には、骨董品として高い価値を持つものもあり、積極的に買取している業者もいます。 例えば、以下のような人形は、高く売れる可能性があります。 ・有名作家や人間国宝の作品 ・江戸時代以前に作られた日本人形 ・鑑定書つきの人形 ・保存状態のよい人形 日本人形の買取価格を決めるポイントの一つが、作家です。 有名な作家や、人間国宝に指定された作家が手がけた日本人形は、高額買取されやすいでしょう。 また、有名作家の作品といわれるものの中には、贋作もあります。 本物だと証明する鑑定書がついていることも、買取価格が高くなりやすい人形の特徴です。 江戸時代以前の日本人形は、希少価値が高いため高額買取が期待できます。 また、どのような人形であっても保存状態がよければ、買取価格アップにつながる可能性があります。 日本人形の種類 日本人形は、特徴や産地などによっていくつかの種類に分けられます。 市松人形 市松人形とは、江戸時代に広まった代表的な日本人形の種類です。 短い黒髪の少女の人形で、着物を着ているのが特徴です。 ただし、当初は着せ替え人形として裸の状態で販売されていたといわれています。 人間国宝の平田郷陽のほか、大木平蔵、山川永徳斎などが、市松人形の主な有名作家です。また、目にガラスを使ったものや、上質な布で作られた衣装をまとったものなどが高額買取されやすい傾向にあります。 御所人形 御所人形は、江戸時代に主に宮中で愛好された日本人形です。 体型や表情などは幼児をモデルとしており、一般的な座り姿や立ち姿のほかにハイハイしている姿など、さまざまなポーズのものがあります。 また、着衣のものと裸のものと2種類あることも御所人形の特徴です。 京都で作られる御所人形の有名作家としては、伊東久重や島田耕園などがいます。 伊藤久重の作品は、御所人形の中では特に買取価格が高く、20万円程度で取引されることもあります。 ひな人形 ひな祭りの定番であるひな人形も、日本人形の一種です。 多くの方にとって最も身近な日本人形といえるでしょう。 本来は、各種の人形のほか、ぼんぼりや屏風といった小道具がそろった七段飾りが正式とされています。しかし、最近の住宅事情から三段や五段のコンパクトなひな人形も人気があります。 ひな人形のうち、骨董品として特に価値があるのは、江戸時代に作られた享保雛や次郎左衛門雛です。 五月人形 5月5日の子どもの日に合わせて飾られる五月人形も、日本人形です。 女の子のためとされるひな人形に対し、五月人形では、男の子の健やかな成長を願い、兜や甲冑を飾ります。 五月人形の有名作家には、兜や甲冑の制作や修復も手がける平安住一水、鈴甲子雄山などがいます。 木目込人形(きめこみにんぎょう) 木目込人形とは、おが屑と糊で作ったボディに溝をつけ、その溝に沿ってちりめんや友禅などの布を入れ込んで作る日本人形のことです。 京都が発祥で、のちに江戸(東京)でも作られるようになりました。 木目込人形の作家としては、人間国宝の野口園生や、師弟関係にあたる田中秀代が有名です。 また、木目込人形の原型と言われる加茂人形も、骨董品として高い価格で取引される傾向にあります。 御台人形(おだいにんぎょう) 御台人形とは、御所人形を桐の台に乗せ、周囲を動植物の模型で飾ったものです。 御台人形は、身の丈1尺(約30cm)で頭が大きく作られており、白い肌に幼児の姿をしています。 健康を願い、天皇皇后両陛下から皇室の子どもたちへ下賜されます。 初節句などのお祝いごとにふさわしい、明るい雰囲気のものが多いことも特徴です。 こけし人形 主に、宮城県を中心とする東北地方で作られてきたこけし人形も、日本人形の一つです。 1300年ほど前の奈良時代から、こけしに似た木工玩具が作られていたという記録があります。 ただし、現在のような彩色された人形が作られるようになったのは、江戸時代のことです。 昭和前期にこけしの芸術品としての価値が認識されると、ブームとなり生産量が増えました。そのため、戦前に作られたもののほうが、骨董品としての価値が高いといえます。 こけしの作家としては、版画家としても名高い棟方志功や佐藤正廣が有名です。 博多人形 博多人形は、江戸時代初期から福岡県で作られている素焼きの人形です。 1600年に、黒田長政の筑前入国に伴って多くの職人たちが集められました。 集まった職人たちが素焼き人形を制作し、現在の伝統的な博多人形の礎が築かれたといわれています。 江戸時代後半から、特に活発に生産されるようになり、明治時代には海外へ輸出されることもありました。 博多人形と名付けられたのは、1925年のパリ万博出品がきっかけだったといわれています。 博多人形の有名作家には、人間国宝の中村信喬や宗田源造がいます。 奈良人形 奈良人形は、奈良県の代表的な木工芸です。 荒々しいともいえる大胆なタッチが、まるで一刀で彫ったように見えることから、奈良一刀彫とも呼ばれます。 奈良人形のルーツは、神事で使われる人形。 のちに、江戸時代に岡野松壽 と名乗った彫師が、一般向けに神事用に似せた人形を作り始めました。この人形が、やがて奈良人形と呼ばれるようになったのです。 奈良人形の有名作家といえば、江戸時代末期に活躍した森川杜園です。 鹿を中心とする動物の人形を得意とし、1893年のシカゴ万博に出品された『牝牡鹿』は、文化遺産に指定されています。 大切にしてきた日本人形だからこそ、価値の分かる骨董品買取業者へ 日本人形の歴史は、平安時代に始まったといわれています。 江戸時代から1980年代ごろまでは、婚礼道具の一つとして使われることもありました。 伝統的な技術で作られた日本人形には、骨董品としての価値があります。 大切に受け継がれてきた人形を、納得いく形で処分するには買取がお勧めです。 有名作家や人間国宝が作った人形や、江戸時代以前に作られた古い日本人形、保存状態のよいものなどは、特に高額買取が期待できます。 日本人形を手放すのであれば、価値の分かる骨董品買取業者へ相談しましょう。骨董品を専門としない業者に買取を依頼する場合、相場より安い価格で売ることになるかもしれません。そのため、信頼できる骨董品買取業者を選ぶことが大切です
2024.11.10
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骨董品査定は写真だけでもできる?自宅から簡単無料相談
骨董品をお持ちの方なら、自分が所有する骨董品を査定に出したらどれくらいの価値がつくのかと考えたことがあるのではないでしょうか。 最近では、近くに骨董品買取の店舗がない場合や、店頭に品物を持っていく時間がない方のために、オンラインによる写真査定が行われています。 オンラインによる写真査定は、手間と時間がかからない査定方法として人気です。ただし、写真査定だけではわからない価値もあるため、最終的には実物を見てもらうことをお勧めします。 骨董品は写真だけで査定してもらえる? 近年では、高性能なカメラを搭載したスマホの普及により、高画質の写真を簡単に送信できるようになりました。 それにともない、骨董品もメールやLINEで写真を送るだけで査定してもらえるサービスが増えています。 骨董品写真査定の際に気を付けたいポイント 骨董品の写真査定は、大変便利ですが、写真だけで査定が行われるため、いくつかの点に注意する必要があります。 依頼者が撮影した写真だけで骨董品の価値を正確に査定しなければいけないため、正面・背面・底面などさまざまなアングルから写真を撮る必要があります。 作者名や作品名などの記載があれば、それらも撮影し忘れないよう注意しましょう。 また、骨董品の細部や付属品の写真を撮ることも重要です。 品物の状態やサイズなども測定して正確に伝え、撮り逃しや伝え漏れがないようにしましょう。 骨董品写真査定のメリット 骨董品の査定を写真で行うメリットとして、手軽に依頼できることが挙げられます。 店舗に出向くためにスケジュールを調整したり、遠い場所から骨董品を査定場所まで運んだり、時間や場所による制約を受けずに査定を受けられるのは、大きなメリットです。 多くの写真査定は、24時間対応しているため、日中忙しい方でも都合の良い時間に査定を受けられます。大手の骨董品買取業者では、写真査定を実施している店舗が多く、安心して査定を受けられる点も魅力です。 骨董品写真査定のデメリット 骨董品を写真査定に出すデメリットとして、査定に出す骨董品の点数が多い場合は、相当量の写真を撮らなければならない点が挙げられます。 1点の品物でさえ、さまざまなアングルの写真を撮らなければならないため、点数が多くなると非常にたくさんの写真を撮影しなければなりません。 また、実物を直接見ずに行う写真査定では、細かい部分がチェックできないため、真贋を判断するのが難しい場合もあります。 写真査定は、簡易的なものと割り切り、本当の価値を知りたい骨董品に関しては、後日直接査定を依頼するのがよいでしょう。 最終的な価格決定や真贋判断をするためには、鑑定士が直接目で見る査定が不可欠であるといえます。 骨董品は直接査定してもらうことでより安心できる 骨董品の真贋を判定し、適正な価値を見極めるためには、専門家の目による査定が欠かせません。実物の骨董品を直接見てもらえれば、品物の細部まで観察が可能になり、より正確な判断ができます。 直接査定には、持ち込み査定や訪問査定のほか郵送による査定もありますが、骨董品を直接目で見て触れて査定する点は同じです。 持ち込み査定 持ち込み査定は、点数が多い場合は手間がかかり、事前予約が必要な場合もあるため、ある程度の時間と労力が必要です。 査定額に納得がいかなかったり、偽物であると判断されたりした場合に、持ってきた骨董品をまた持ち帰るのにも手間がかかるでしょう。 しかし、その場で査定のフィードバックを受けられる点に大きなメリットがあります。 今すぐ価値を知りたいという方に適している査定方法です。 また、査定の過程を直接確認できるため安心感があり、詳細な解説や判断の根拠をその場で聞くことが可能です。 訪問査定 訪問査定では、骨董品買取店の査定士が自宅に訪問して査定をしてくれます。 地域によっては、対応エリア外のケースがあり、誰でも訪問査定を受けられるわけではない点がデメリットといえるでしょう。 また、自宅や実家に訪問してもらうため、他人を家に入れることに抵抗がある方や、スケジュール調整がしにくい方には不向きです。 しかし、骨董品を移動させることなく査定が受けられるメリットは大きく、品物の点数が多い場合や重い品物があるときには非常に便利な査定方法でしょう。 郵送査定 郵送査定では、品物を買取業者に郵送することにより、専門家の直接査定を受けられます。 郵送中に骨董品が破損しないように配慮する必要があります。 また、査定結果がわかるまでにタイムラグが発生する点がデメリットです。 しかし、郵送査定は、品物を運ぶ手間やスケジュール調整が不要というメリットがあります。 写真査定と類似した点もありますが、郵送査定の場合は写真ではなく、直接骨董品を査定士に見てもらえるため、安心感があるでしょう。 悩んだらまずは骨董品の写真査定相談を活用してみよう 自宅や実家に骨董品が眠っており、売却を考えているがまだはっきりと決めていないのであれば、骨董品の写真査定相談を活用するのがお勧めです。 店舗に持ち込む方法や訪問してもらう方法、郵送により査定してもらう方法などには、それぞれにメリット・デメリットがあります。 自分に適した方法を選んで、買取をスムーズに進めましょう。 また、業者によって見積もりの方法や対応可能な内容が異なるため、事前に連絡を取って確認しておくと安心です。
2024.11.10
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骨董品の見積もり査定は無料でしてもらえる?売るかどうか悩んだら…
骨董品は、時間の経過とともに価値が増していくものも多く存在します。 しかし、骨董品が持つ本当の価値を正当に評価するには、深い知識と多くの経験が必要です。 自宅に眠っている骨董品があれば、専門の業者に依頼し、査定を受けることから始めてみてはいかがでしょうか。 見積もりだけでも大丈夫?骨董品を売るか悩んだら… 自宅や実家にある骨董品を処分しようか迷っている方は、骨董品買取業者への見積もり依頼を検討しましょう。 見積もりを依頼したからといって、必ず売却しなければいけないわけではありません。 複数業者で相見積もりを取り、比較検討してからゆっくり決断してもよいのです。 この骨董品は売れる?売れない? 自宅にある骨董品で、気に入っているけれども、値段次第では売却も検討したいというケースは、少なくありません。 保管されている骨董品が、実際にはどれほどの価値があるのか、まずはそれを知ることが大切です。 骨董品買取業者に査定を依頼し、高い価値があると認められた場合は、価値に見合った価格で売却ができます。 もし、価値がなかった場合は、手元に残したり処分したりといった判断も可能です。 売却するのか、保管・処分を検討するのか決めるためにも、まずは骨董品専門の買取業者による査定を受け、骨董品の価値を正確に見定めることが重要です。 無料査定だけでも本当に大丈夫? 骨董品買取業者の中には、無料査定を実施している業者が多数存在します。 出張査定無料の業者も珍しくありません。 しかし、無料査定を受けるだけで済むのかどうかを心配する声も耳にします。 多くの骨董品買取業者は、無料査定だけでも快く引き受けてくれますが、即断を迫ってくるような業者には注意が必要かもしれません。 ある日突然「無料査定しませんか」と電話してくる業者には、特に注意しましょう。 まずは、骨董品を売却したことのある友人・知人に紹介してもらうのがお勧めです。 インターネット上の口コミやレビューも調べ、安心できる業者に無料査定をお願いしましょう。 骨董品買取業者とほかの業者の違いは? 自宅や倉庫などに保管された古い物品を買取・回収する業者は、骨董品買取業者だけではありません。 骨董品買取業者以外にも、故人の遺品を分別し買取や処分・回収を行う「遺品整理業者」や、不用品の回収や買取を行う「不用品回収業者」などがあります。 それらの業者と骨董品回収業者では、サービスの内容や専門性に大きな違いがあります。 骨董品買取業者の大きな特徴は、骨董品に関する専門知識を持ち、古くて価値のある骨董品を適切に査定できる点です。 遺品整理業者や不用品回収業者では、骨董品の正確な査定が期待できない可能性が高いため、利用する際は事前に専門性をしっかりと確認する必要があります。 無料査定の方法は買取業者によって違う 骨董品の無料査定といっても、すべての業者が同じ方法で査定するとは限りません。 査定方法は、業者によって特徴が異なります。 無料査定の受付も、以前のように電話だけではなく、LINEやメール・SNSなどを利用できる業者も増えており、利便性が向上しています。 オンライン査定が可能な業者も多数あり、中には写真データのみで簡易的に見積もりをしてくれる業者も。 忙しい方や近くに店舗がない人にとって大変便利な査定方法です。 実物を見せて査定してもらう場合は、郵送や持ち込み・訪問査定などの方法があります。 自分の環境を考慮して、最適な方法を選びましょう。 査定後の骨董品を売るか悩んだら… 骨董品買取の査定を受けて価格を提示されたあと、実際にその価格での売却をためらうこともあるでしょう。 「もっと価格が上がるまで待ってから売りたい」「いま売らないと価格が下落するかも」などと、悩むこともあるかもしれません。 そのような場合には、市場価格の変動について、査定士にアドバイスをもらうことをお勧めします。 骨董品の価値は、市場の動向や経済の変動による影響を受け、大きく変動する場合があります。 骨董品の査定士は、市場の動向についての理解が深く、売却のタイミングを的確にアドバイスしてくれるでしょう。査定士とのやり取りを通じて最新の市場動向を知り、最適な売却時期を判断してください。 骨董品の査定額が予想より低かったら… 骨董品を査定に出したとしても、思ったよりも査定額が低いケースもあるでしょう。 骨董品としての価値がまったくないと査定された場合は、ほかの業者でも同様の評価となる場合が多い傾向です。 複数の骨董品買取業者で買取できないと判断されたものについては、遺品整理業者や不用品回収業者による引き取りを検討するのも一つの手段です。 骨董品としての価値が評価されない場合でも、フリマやオークションでは需要があるケースも考えられます。 フリマでは、売却価格を自分で設定できるため、希望の金額で購入したい人が現れるまで待つという手段も選択肢の一つです。 フリマアプリでは、意外なものが高値で売れることも珍しくないため、買取業者で値段がつかなくても諦めることはありません。 また、価値がない骨董品でも思い入れのある品であれば、処分はせず手元に残して大切にするのもよいでしょう。 骨董品の査定を無料相談してみよう 自宅や実家に眠っている骨董品を売却したいとき、まずは正確な価値を知る必要があります。 骨董品の価値を把握するために、骨董品買取業者が提供している無料査定のサービスを受けることをお勧めします。 買取業者を選ぶ際は、口コミや紹介を駆使して、信頼と実績のある業者を選択することが何よりも大切です。自分にあった買取業者を見つけ、納得のいく取引を実現させましょう。
2024.11.10
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歴史ある甲冑や鎧は買取してもらえるか
実家の蔵を整理していて甲冑や鎧などが出てきた方や、コレクションを整理したい方もいるでしょう。 甲冑や鎧にも価値が付く可能性があるため、そのまま処分してしまうのはもったいないです。 甲冑や鎧を手放したいと感じた際は、買取も方法の一つ。歴史的価値がある甲冑や鎧は、高額買取も期待できます。 甲冑は骨董品買取してもらえる? 甲冑は、骨董品として買取が可能です。 甲冑や鎧の買取を検討している方は、専門知識が豊富な業者に相談しましょう。 蔵や実家に眠る甲冑・鎧を整理したい 蔵や実家を整理して出てきた甲冑や鎧が不要な方は、買取を検討しましょう。 甲冑や鎧のよい状態を保つためには、保管する環境に注意を払う必要があります。 手入れが難しい、または時間がかけられない場合には、早めに買取してもらい手放すことも考えてみてください。 甲冑や鎧は買取してもらえる? 甲冑や鎧の相場は数万円~数十万円です。 有名作家の作品や保存状態がよい場合は価値がつきやすく、価値の高いものは、数百万あるいはそれ以上になることもあるでしょう。 また、買取価格は下がってしまうことが多いものの、一式そろっていない場合でも買取は可能です。 甲冑や鎧を持っている方は、骨董品買取業者へ相談してみてください。 甲冑や鎧には歴史的価値がある 長い年月を経て現代に伝わっている甲冑や鎧には、歴史的価値があります。 特に、平安時代から南北朝時代に作られた甲冑や鎧のいくつかは、国宝にも指定されています。 また、有名な武将が使用したといわれる甲冑や鎧も有名です。 甲冑や鎧はいつからあった? 日本における甲冑や鎧の歴史は、弥生時代に始まったと考えられています。 弥生時代の遺跡からは、木製の短甲(胴体を守るための短い鎧)が出土しました。 一方、古墳時代の遺跡からは金属製の短甲の他、肩鎧や籠手など体の各部を守る防具が出土しています。 古墳時代は戦乱が多かったため、甲冑や鎧の需要が高かったと考えられています。 奈良時代から平安時代にも、日本で甲冑や鎧は生産されていました。 しかし、金属製がメインだった古墳時代と異なり、奈良時代や平安時代の甲冑や鎧は革製が多かったため、現存しているものはあまりありません。 平安時代後期になると武士が台頭し、後世につながる甲冑の基本形ができました。 大鎧や胴丸、兜が登場したのもこの時代です。 また、室町時代を経て安土桃山時代になると当世具足が誕生しました。 当世具足とは、槍による集団戦や鉄砲など新しい武器や戦い方に適応した、従来とは異なる様式の鎧のことです。 防御性能を高めるため、甲冑には主に鉄が使用されました。 また、それぞれの武将の嗜好を反映したさまざまなデザインのものが見られることも、当世具足の特徴です。 なお、江戸時代になると甲冑や鎧が戦乱で使われることはほとんどなくなったため、実用性よりも装飾性が重視されるようになりました。 各藩が、お抱えの「甲冑師」に美術工芸的価値の高い甲冑を作らせるようになったのです。 有名な甲冑や鎧 甲冑や鎧の中には、国宝に指定されたり、有名な武将が使用したと伝えられたりしているものがあります。 紺糸縅鎧 (国宝) 紺糸縅鎧は、平清盛の嫡男である平重盛によって、広島県の厳島神社に奉納されたと伝えられている鎧です。 兜や大鎧など一式がほぼそろっており、平安時代後期の作風が分かる貴重なものとされています。 黒漆塗の鉄と革でできた小札を交ぜ、紺色の糸で縅していることが名前の由来です。 歴史的価値の認められた国宝であり、日本三大大鎧の一つといわれています。 赤糸縅鎧 (国宝) 日本三大大鎧の一つに数えられる赤糸縅鎧は、本鎧に施された金物細工や赤い縅毛が特徴的な鎧です。 雀や藤、菊、蝶などをモチーフとした金物細工などは、現在でも制作当時の姿を残しており日本一豪華な本鎧とも呼ばれます。 源義経によって奈良県の春日大社に奉納されたという伝承があるものの、実際には鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて作られたと考えられています。 小桜韋縅鎧兜・大袖付 (国宝) 小桜韋縅鎧兜は、山梨県の菅田天神社に収められている国宝の一つです。 平安時代に制作された後、代々受け継がれていたものを武田信玄が奉納したと伝えられています。 ただし、何度も修復されているため制作当初の面影を残しつつ、鎌倉時代や南北朝の作風が加わっていることが特徴です。 楯が不要なほどの重厚感があるため、「楯無」と呼ばれることもあります。 伊達政宗 黒漆五枚胴具足 黒漆五枚胴具足は、戦国武将であり仙台藩の初代藩主として知られる伊達政宗が所有した甲冑です。 兜には、伊達政宗のトレードマークである大きな三日月がデザインされています。 また、5枚の鉄板をつなぎ合わせて強度を上げた胴は、雪下胴または仙台胴と呼ばれて戦国武将に愛好された様式です。 全体を黒漆で塗って漆黒に仕上げられているため、黒漆五枚胴具足と名付けられました。 現在は、仙台市博物館に所蔵されています。 直江兼続 直江兼続の甲冑は、兜につけられた「愛」の字をかたどった前立の金小札浅葱糸威二枚胴具足が有名です。 軍神である愛染明王または愛宕権現を意味しているといわれています。 また、赤や紫、萌黄などのカラフルな縅による装飾に用いられているのは、色々縅と呼ばれる技法で、それぞれの色には、魔除けなどの意味が込められています。 山形県にある上杉神社の宝物殿に所蔵されています。 徳川家康 江戸幕府を開いた徳川家康の有名な甲冑の一つが、静岡県の久能山東照宮に所蔵されている伊予札黒糸縅胴丸具足です。 軍神である大黒天をイメージした頭巾のような形の変わり兜が特徴です。 全体的に黒で統一されており、シダの葉を模した兜の前立がつけられています。 関ヶ原の戦いや大阪夏の陣で、徳川家康が使用した甲冑だと伝えられています。 本多忠勝 徳川家康が重用した本多忠勝の甲冑は、巨大な鹿の角をあしらった兜と、肩にかけられた金色の大きな数珠が特徴です。 巨大な前立と黒く塗られた甲冑には、重厚感や威圧感を覚えるでしょう。 しかし、本多忠勝は、桃山時代に作られたこの甲冑を実際に身につけて合戦に臨んだといわれています。 そのため、見た目よりも軽くて動きやすい作りであることも特徴です。 甲冑や鎧の価値が分かる買取業者へ相談しよう 甲冑や鎧には、歴史的価値があります。 甲冑や鎧を整理するのであれば、骨董買取業者に相談するのがお勧め。 古いものだからといって二束三文で処分してしまうのは、もったいない。 その価値について知見のある、実績ある買取業者へ相談をしてみましょう。
2024.11.10
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迫力ある作品で見ごたえのある「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」レポ
皆さんは、現代美術といわれてどのような作品を思い浮かべますか? 絵画作品や彫刻作品を思い浮かべる人もいれば、さまざまな素材で作られたアート、映像作品などを想像する人もいるでしょう。 簡単にイメージを挙げただけでも多彩なアート作品が出てくるように、現代美術は一つのジャンルに捉われないアートなのです。 アーティスト一人ひとりが内に秘めていたメッセージを放出する方法は、人それぞれ。 枠にとらわれず自由な発想で作品を制作されているのが現代美術の醍醐味でもあります。 今回は、東京都現代美術館で開催されている「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」に行ってきました。 精神科医・高橋龍太郎が収集した100人以上の作家による作品を、広大な敷地を誇る東京都現代美術館にて堪能しましょう。 「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」は東京都現代美術館にて開催中 東京都現代美術館で開催されている「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」は、日本の現代美術の質と量ともに最高峰のコレクションで形成された企画展です。 この膨大な数の現代美術コレクションを収集したのが、精神科医の高橋龍太郎。 団塊世代の始まりに生まれた龍太郎は、1990年代半ば以降、3500点を超えるコレクションを一人で収集してきました。 今回の企画展では、その高橋龍太郎コレクションの中から選りすぐりの作品が紹介されています。 さっそく東京都現代美術館に入ると、正面左手側にチケットカウンターがあるため、まずは企画展のチケットを購入します。 館内にはロッカーが配置されているため、チケット購入後、不要な荷物がある方はロッカーを利用しましょう。 展示について 企画展では、総勢115組の作品が館内の1FとB2Fに分かれて展示されています。 また、展示は以下6つの章で構成されています。 1.胎内記憶 2.戦後の終わりとはじまり 3.新しい人類たち 4.崩壊と再生 5.「私」の再定義 6.路上に還る 1章の胎内記憶では、龍太郎が本格的に収集を開始する以前の1990年代半ばまで、いわゆる戦後50年間のコレクションを、龍太郎の「胎内記憶」として展示しています。 龍太郎はのちに、この時代のできごとや美術に思いを馳せながら現代美術を収集します。 1章では、龍太郎が若き日に影響を受けた芸術家たちの作品を辿っていきましょう。 2章の戦後の終わりとはじまりでは、1990年代半ばから本格的にコレクションを開始したあとの作品がメインです。 バブル崩壊や阪神大震災、オウム真理教事件など、社会全体を揺るがすような事件が起こったこの時代、日本の現代美術はグローバル化していきました。 会田誠や村上隆など、多くの新しい才能が世界に羽ばたいていきました。 3章の新しい人類たちでは、企画展全体を貫く最も重要なテーマとして、人間をメインに制作された作品に焦点があてられています。 芸術を通して人間の諸相に触れ、創造性の根源を探りたいという欲求は、精神科医でもある龍太郎のコレクションの真相に流れ続けているのです。 4章の崩壊と再生では、東北地方にルーツをもっている龍太郎は、東日本大震災や福島第一原発の事故により、大きな感覚の変化が起こりました。 この章では、一連のできごとがきっかけとなり生み出された作品群も多く展示しています。 5章の「私」の再定義では、自分自身を見つめなおしたり、問い直したりする作品が多く展示されています。 東日本大震災以降、強い主張にリアリティが感じられなくなり、不完全・未完成のもの、 自身の外側で起こる現象や環境そのものの流れにゆだねるような作品が多くなっていったのです。 6章の路上に還るでは、ストリートから世界を見る若きアーティストたちに焦点をあてた作品が多く展示されています。 ゼロから生み出すというよりは、環境が与えている現象やシステムなど、すでに存在している条件を編集して作品が生成されています。 高橋龍太郎コレクションは巨大で迫力のある作品も盛りだくさん 今回の企画展では、絵画や彫像などのジャンルに捉われることなく、自由な発想で制作された現代美術作品が多数展示されています。 全体的に大きな作品が多く迫力があり、現代美術が表すメッセージや芸術性に圧倒されながらの鑑賞となりました。 展示室には、必要に応じて注意書きの案内板が設置されています。 撮影のできない展示室では、撮影禁止の案内板が設置されているため、思い出として写真に収めたいと考えている方は、案内板を確認してから撮影をしましょう。 また、撮影可能となっている展示室内でも、作品の近くに禁止マークのある作品の撮影は禁止されています。 間違って写真を撮らないよう注意が必要です。 ここからは、気になった作品の一部を紹介していきます! 1章では、草間彌生が制作した有名な『かぼちゃ』の絵画が展示されていました。 黄色に黒の斑点模様が描かれたかぼちゃの絵やオブジェは、美術に興味あるなし関係なく、見かけたことがある人も多いでしょう。 正面より斜めから見ると立体的に見えるような感覚があるため、ぜひさまざまな角度から鑑賞してみてください。 そのほかにも、オブジェや映像作品など、さまざまな草間彌生コレクションが展示されており、草間彌生好きの方にもお勧めの企画展です。 2章の作品で気になったものをいくつか紹介します。 『當世おばか合戦』山口昇 1999年/油彩・キャンバス 油彩、やまと絵、浮世絵などの伝統美術を、過去・現在・未来、西洋・東洋、現実・空想などと融合させた独自の世界観が魅力の山口昇が描いた作品です。 この作品には、数多くのユーモアが隠されており、何度もじっくり鑑賞し、何が融合しているか探したくなってしまいます。 作品の中央より少し左側に巨大な骸骨が描かれており、合戦を迫力あるものにしています。 巨大な骸骨を見ると、歌川国芳の描いた『相馬の古内裏』の巨大骸骨を思い出す人もいるのではないでしょうか。 迫力ある合戦の後方では、洋式トイレで用を足しながらハンバーガーをむさぼる武士の姿が! なんとも滑稽ですが、それよりも違和感なく洋式トイレやハンバーガーが登場していることに、くすっと笑えてしまいます。 こちらには、馬にまたがった武士たちがすぐにでも突撃しそうな様子が描かれていますが、よく目を凝らしてみると右側の武士たちが乗っている馬に車輪がついています。 現在と過去を自然と融合させた構成に感動し、隅から隅までじっくりと作品を堪能しました。 このほかにも、まだまださまざまな融合やユーモアが描かれているため、ぜひ自分の目で新しい融合を発見してみてください。 『Crash セイラ・マス』西尾康之 2005年/陰刻鋳造・ファイバープラスター・鉄 展示会場を進んでいくと、突然巨大な彫刻が目の前に現れました。 西尾康之は、肉感的でスケールの大きな人物表現が注目を集めている作家で、陰刻鋳造を得意としています。 この作品は、機動戦士ガンダムの男性を鼓舞する登場人物をモチーフにしており、ヒロイズムに対する批判や戦闘に繰り出される者の脅迫的な心理状態が投影されています。 規模が大きくリアルな造形に圧倒されるとともに、ぐるっと360°回って鑑賞できる点も印象に残った作品です。 さまざまな角度から見て表情の違いや、細部まで作り込まれた様子を鑑賞できるのはうれしいポイントです。 作品の下に鏡が設置されており、覗いてみると作品の内部まで鑑賞できるようになっています! 細かく作り込まれた作品の内部まで見たり、また全体から見てみたりと、好きな視点を見つけて鑑賞を楽しみましょう。 『ネオ千手観音』天明屋尚 2002年-2003年/は、アクリル絵具・ブラックジェッソ・木 天明屋尚は、日本の伝統的な絵画を現代に転生させる「ネオ日本画」をテーマに作品を制作しています。 この作品では、描かれた人物がみな銃を持っています。 千手観音がすべての手に銃やナイフなどの武器を構える様子は、迫力がありました。 また、銃の色合いとそのほかの構成の色合いがマッチしているため、違和感なく日本画風の絵の中に銃が溶け込んでいます。 千手観音に銃を持たせたのは、信仰と暴力は対極に見えて紙一重であると考えているためだそうです。 3章でも、また大きな彫刻作品が展示されていました! 『Jamboree-EP』森靖 2014年/楠 この作品のモデルになっているのは、アメリカを代表するポップスターのエルビス・プレスリーです。 巨大な作品で、パーツごとにつぎはぎで組み合わされているのが印象的でした。 また、感情を込めて歌っていることが分かるような目をぎゅっとつむった表情が、リアルで魅入ってしまいました。 また、エルビスをモデルにしていますが、この作品の胸には膨らんだ乳房がついています。 これは、モニュメントのはらむ男性性からエルビスを解き放ち、記号性に捉われているわたしたちの潜在意識に問いを投げかけているそうです。 展示室は、1FとB2Fに分かれているため、エスカレーターを使ってB2Fに移動します。 すでに巨大な作品たちに圧倒されていましたが、地下にはさらに大規模な作品が待っていました! 絵画の企画展では味わえない、現代美術ならではの展示方法に感動しつつ、地下の作品も見て回っていきます。 大規模な作品が展示されている部屋の隅に、別の小部屋に入れる場所があり、そこを覗いてみると、真っ暗な部屋でスピーカーがキューブ状になったオブジェがライトで照らされていました。 また、この作品からは常に音が発せられていました。 『GHOST CUBE』KOMAKUS 2019年/音声・スピーカー この作品から発せられているのは、詩人である吉増剛造による詩の朗読音声や、日記のように録音してきた日々の呟きです。 大量生産された使用済みのスピーカー54台を組み立て、まるで一つの生命体から声が発せられているように感じられます。 ほかにも大きく奇抜な作品が多く展示されており、すべての展示室が見どころ満載でした。 B2Fの別の部屋では、映像を活用した作品が多く展示されているスペースもありました。 現代美術の形は常に進化し、新たな創造が生まれているのだなと感じさせられます。 ミュージアムショップには多彩なグッズも ボリューム満点の企画展を鑑賞し終わったら、ミュージアムショップを覗いてみましょう。 こちらでは、現代アートに関連する書籍や、多彩なアーティスト、クリエイターなどによるユニークなグッズを販売しています。 今回の企画展「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」の図録は、まだ販売されておらず、9月中旬刊行予定と案内が出ていました。 会場限定オリジナルしおり付きで先行予約も受付けているため、企画展を鑑賞してもっと魅力を知りたいと感じた方は、予約しておくのもよいでしょう。 有名作家から新たに頭角を見せる若手画家の作品まで楽しめる企画展 高橋龍太郎が集めた個人では世界最大級の現代美術コレクション。 今回の企画展では、膨大な現代美術作品から選りすぐりの作品を楽しめる魅力があります! 絵画の企画展とは異なり、規格外の大規模な作品も数多く存在し、迫力のある展示会を体験できます。 東京都現代美術館には、美術図書室があり、展示会を鑑賞した後は、気になった作家の作品を調べてみたり、作家自身について調べてみたりするのもお勧めです! 膨大なコレクションを鑑賞しながら、現代美術の移り変わりも楽しみましょう。 開催情報 『日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション』 場所:東京都江東区三好4丁目1−1 期間:2024/8/3~2024/11/10 公式ページ:https://www.mot-art-museum.jp/ チケット:一般2100円 大学生・専門学校生・65歳以上1350円 中高生840円 小学生以下無料 ※詳細情報や最新情報は公式ページよりご確認ください
2024.11.09
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東京都現代美術館[東京都江東区] へ行ってみよう
歴史ある作品から現代アートまで:東京都現代美術館 東京都現代美術館は、東京府美術館(現在の東京都美術館)の現代美術のコレクションを引き継いだ美術館で、1995年3月に開館しました。 緑あふれる木場公園の一角に建てられた東京都現代美術館は、美術館建築としては日本最大級の延床面積を誇っています。 展示 東京都現代美術館収蔵されている作品は、コレクション展示室にて「MOTコレクション」展と銘打って公開されています。 MOTコレクション展では、1年間を3~4期に分けて、会期ごとにユニークなテーマを設定し、多数の収蔵作品の中から100~200点ほどを選定して展示会を行っています。 コレクション 1926年、上野公園内に開館した東京府美術館から東京都美術館へと活動が引き継がれていくなかで、約3000点におよぶ美術作品が収集され、現在の東京都現代美術館が開館するとともに引き継がれることとなりました。 現在、東京都現代美術館が新たに収集している国内外の作品とともに、過去の作品も活用されています。 歴史的な観点から見て、戦後美術を体系的に収集するとともに、現在の美術界を表現している若手作家の作品収集にも努めており、現在の収蔵作品数は約5800点にもおよびます。 各時代で生み出されてきた革新的な芸術作品を中心に収蔵していることも、東京都現代美術館の魅力の一つです。 『1963』朝倉摂 『Book - tear』横内賢太郎 『Metropolitan Orpheum, L.A.』杉本博司 特徴/ここがオススメ 東京都現代美術館は、過去に活躍した歴史上の芸術家だけではなく、今後活躍が期待される若手アーティストの作品収集も積極的に行っているのが特徴です。 現代美術の復興と、芸術文化の基盤を充実させる大切な役割も担っているといえます。 美術館では、現代アート作家と共同で作品を制作するワークショップや講演会など、美術や芸術を広めるための活動も頻繁に行っています。 東京都現代美術館は、約3年間の休館を経て2019年3月にリニューアルオープンしました。 カフェ&ラウンジや美術図書室などのパブリックスペースを用意し、すべての館内施設を楽しめるよう新たなサインと一体的にデザインされた什器を導入しています。 まちに開かれたに美術館を目指している東京都現代美術館は、企画展やコレクション展を目的に訪れるのはもちろん、木場公園のお散歩ついでに覗いてみるのもよいでしょう。 美術館情報 東京都現代美術館 住所:〒135-0022 東京都江東区三好4丁目1−1 GoogleMap:https://maps.app.goo.gl/wwxe8qHqkNWpCeZVA アクセス:東京メトロ半蔵門線「清澄白河駅」B2番出口より徒歩9分 ほか 開館時間:10:00〜18:00 ※展示室入場は閉館の30分前まで 休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替え期間、年末年始 ※最新の情報は公式サイトをご覧ください 料金:展示によって異なります 公式サイト:https://www.mot-art-museum.jp/ 年間パスポート:4000円 ※限定枚数につき、なくなり次第販売を終了 近隣のおでかけスポット 東京都現代美術館のある清澄白河エリアは、下町情緒が残りつつも新しいおしゃれなスポットもたくさんある魅力満点な地域です。 深川江戸資料館 深川江戸資料館は、江戸時代末期の深川佐賀町の街並みを再現した実寸大ジオラマで、実際に歩きながら歴史上の街並みを体感できる施設です。 長屋の中まで正確に再現されており、当時使われていた一部の生活用具は実際に触れることが可能で、当時の暮らしを実際に体験できる魅力があります。 江戸時代にタイムスリップしたかのような気分が味わえる歴史体験スポットです。 清澄庭園 清澄庭園は、東京都指定名勝に選ばれている日本庭園で、泉水・築山・枯山水を主体にした園内を散策しながら鑑賞できる回遊式林泉庭園です。 園内の中心には池があり、つつじをはじめとした草花が楽しめる築山は富士山を模しています。 新宿御苑から移築された大正記念館もあり、関東大震災時には避難所としても活躍しました。 隅田川テラス 隅田川テラスは、隅田川に沿って整備された親水施設で、約32kmにもわたって続いています。 テラスには、散策コースや休憩所なども設置されており、人々の憩いの場となっています。 フォトスポットとしても人気の高い場所で、年間を通してイベントも開催されているのが魅力です。
2024.11.09
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塩田千春(1972年-)現代画家[日本]
ベルリン在住の現代美術家「塩田千春」とは 塩田千春は、1972年、大阪府岸和田市生まれ、ベルリン在住の現代美術家です。 生と死や、存在とは何か、など人間の根源的な問題をテーマに、糸を紡いだ大規模インスタレーションをメインに制作しています。 そのほか、立体や写真、映像など多彩な手法を用いて作品を制作しています。 空間に糸を張り巡らせた迫力のあるインスタレーションを、直接はなくともSNSで見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。 高校から美術系の学校へ進学した千春は、京都精華大学洋画科に進学します。 在学中に、オーストラリア国立大学キャンベラスクールオブアートへ留学。 その後、ブラウンシュバイク美術大学やベルリン芸術大学でもアートを学び、ベルリンを拠点に活動するようになりました。 2008年に芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞すると、2015年には第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館代表に選ばれています。 2008年に国立国際美術館、2012年に丸亀猪熊源一郎現代美術館、2013年に高知県立美術館、2018年に南オーストラリア美術館、ヨークシャー彫刻公園、2019年に森美術館と、国内外問わず数多くのギャラリーで個展を開催しており、国際的な活躍を見せています。 2001年の横浜トリエンナーレ、2010年の瀬戸内国際芸術祭、2012年のキエフ国際現代美術ビエンナーレ、2016年のシドニー・ビエンナーレにも参加しており、世界各国に活動の幅を広げているといえるでしょう。 塩田千春の思想と世界観 千春は、記憶や不安、沈黙、夢など、カタチのないものを表現したインスタレーションやパフォーマンスを行っています。 これらの作品は、個人的な体験を出発点にしているのが特徴です。 作品制作は足りない何かを埋めるための行動 ガンにより療養していた期間、千春は、自分に何かが足りていないという感覚を常に持っていました。 自身には足りないものばかりであり、その満たされない何かを埋めるために作品を制作しているのです。 そのため、千春の作品はちょっとした欠けやズレがきっかけで始まることが多いといいます。 ベルリンに3年ほど住み、久しぶりに日本へ帰ると、さまざまな違和感を覚えたそうです。 靴のサイズは、昔と変わらないはずなのに履き心地がしっくりこなかったり、昔の友人と会っても何かが違う感覚があったり、人や物、風景などすべてが3年離れている間に想像していたものとズレてしまっていました。 しかし、この想像と実際のギャップにより生まれた「なぜ」が、作品制作につながっていくのです。 千春は、想像したものをすぐにカタチにするのではなく、自分の中で温める期間があるといいます。 心で感じたことと向き合い、イメージを膨らませてからカタチにしていきます。 想像から制作までの間に、新しいアイディアが浮かんでも、スケッチはあえてしないそうです。 絵にしてしまうと、絵という作品になってしまうため、言葉だけで書きだすことが多くあります。 自由な時間がクリエイティブな発想を生む 数々の作品を生み出していく中で、千春が特に大切にしているのが自由な時間です。 ヨーロッパには、カフェ文化がありますが、何をして暮らしているのかわからないような人々が、昼間からカフェでお茶を飲んでいる姿をよく見かけていたそうです。 クリエイティブな発想を生み出すためには、何もない、何にもならない時間をただぼーっと過ごすことが大切だと考えています。 自由な空気のベルリンに惹かれる 千春は、ベルリンに住み制作活動を進めていますが、最初からベルリンに住もうと決めていたわけではありませんでした。 美大を卒業した後、すぐにギャラリーで個展を開催したり美術館で展覧会を開催したりするのは難しいため、さらにアートを学ぼうと留学を考えたそうです。 当時、ドイツに留学の受け入れ先があったこと、たまたま訪れたベルリンの街が魅力的だったことから、移住を決意しました。 ドイツを東西に分けるベルリンの壁が壊されたのは1989年、千春がドイツに留学したのは、その数年後のことでした。 さまざまな場所で改装工事が行われており、アーティストたちは次々と現場に入り、自由な空気が流れていたそうです。 世界中から集まったアーティストがアトリエを構え、多種多様な国々の芸術家が混じり合い、個性を主張しながら創造を広げている空間に魅了されたのでした。 国境のない現代美術を目指す 千春は、本来自由であるはずの現代美術の世界にも国境やナショナリズムの意識が残っていると感じているそうです。 たとえば、グローバリゼーションの展覧会として開催されていても、日本人作家、アフリカ人作家、アメリカ人作家など、数カ国の芸術を集めただけの展覧会が多く、ナショナリズムが残っていると感じたそうです。 千春が、ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館で展示を行った際「日本の代表としていかがでしょうか?」と質問され、違和感があったといいます。 千春は、日本の文化を伝える作品を制作しているわけではなく、国籍や性別などに関係なくわかりあえる現代美術を目指しています。 ガンにより死と向き合い個展を開催する 2017年、千春は2度目の卵巣がんを発病し、死と向き合いました。 6時間にもおよぶ大手術の末、卵巣を摘出し、5か月にわたり抗がん剤治療を続けることで、ガンを克服しました。 病に打ち勝った千春は、2019年に「魂がふるえる」という個展を森美術館にて開催します。 展示された『Cell』シリーズは、細胞をテーマにした作品群で、生と死を命題に作品を制作しました。 心と身体が引き裂かれるような苦しい体験をした千春が、人間としての尊厳や自我を、再び自分の身体へと取り戻すために作られたのが『Cell』です。 塩田千春が制作した作品たち 千春の作品は、作品の中を歩き回れるほど大規模なものも多く、そのインパクトに圧倒される人も多くいます。 『不確かな旅』 真っ赤な糸が展示室全体に広がる大規模なインスタレーション作品で、千春といえば「糸」シリーズを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。 もつれあったり、絡まりあったりしている赤い糸は、体内をめぐる血液を表現しているようでもあり、人と人とのつながりを表現しているとも捉えられます。 「舟」も千春がよく活用するモチーフの一つで、骨組みだけで作られた舟は、行く先がわからない不安や不確かさなどを象徴しているように感じられます。 『静けさのなかで』 黒い糸が張り巡らされた空間で、焼けたピアノと椅子が静かに佇んでいる様子が印象的な作品です。 空間とモチーフを覆いつくす黒い糸は、見る者に不穏な気持ちや不安を感じさせます。 『静けさのなかで』は、千春が幼いころに見た近所の火事と、焼け跡から見つかったピアノという実体験の記憶をもとに制作されています。 『内と外』 2004年ごろから制作を開始した「窓」シリーズの一つで、『内と外』には旧東ベルリンで使用されていた古い窓枠が約250枚も使われています。 すべての窓に歴史や生活感が残っていて、住んでいた人たちの記憶を覗き込んでいるかのような感覚を味わえます。 年表:塩田千春 西暦(和暦) 満年齢 できごと 1972(昭和47年) 0 大阪府岸和田市に生まれる。 1993(平成5年) 21 京都精華大学在学中、オーストラリア国立大学に交換留学。大規模ドローイングや糸を使った作品を制作。 1996(平成8年) 24 ハンブルク美術大学に入学。 1997(平成9年) 25 ブラウンシュヴァイク美術大学でマリーナ・アブラモヴィッチに師事。 2000(平成12年) 28 ベルリンを拠点に国際的な展示活動を開始。 2008(平成20年) 36 平成19年度芸術選奨新人賞、咲くやこの花賞美術部門を受賞。 2015(平成27年) 43 第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本代表として「掌の鍵」を展示。 2019(令和元年) 47 森美術館で個展「魂がふるえる」を開催。過去25年間の活動を回顧。
2024.11.09
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東京国立博物館 [東京都台東区]へ行ってみよう
東京国立博物館は、1872年に開館した歴史ある博物館です。 150年以上の歴史の中で受け継がれてきた収蔵品は約12万点で、そのうち国宝が89点、重要文化財が649点も保存されています。 東京国立博物館には、教科書でも見たことがあるような有名な作品が多く展示されています。 美術品に詳しくない人でも一度は見たことがあるようなものもたくさん展示されているため、子どもから大人まで鑑賞を楽しめるでしょう。 展示 東京国立博物館の敷地は広大で、展示施設もいくつかの建物に分かれています。 ・本館 ・平成館 ・東洋館 ・法隆寺宝物館 ・表慶館 ・資料館 など 日本だけではなく東洋の美術や考古を中心に、さまざまなジャンルの文化財が収蔵・展示されているため、特定のジャンルに偏らずまんべんなく歴史的価値のある展示品を鑑賞できます。 コレクション 東京国立博物館では、絵画から書跡、彫刻、工芸、考古などさまざまなジャンルの名品が約12万点も収蔵されています。 公式サイトでは、博物館が所蔵している優良品約500件のデータを閲覧可能です。 博物館を訪れて気になったものがあれば後から見直してみたり、先に所蔵品をチェックし展示中のものの下見として活用するのもよいでしょう。 所蔵されている国宝には以下のようなものがあります。 ・『銀象嵌銘大刀』熊本県和水町 江田船山古墳出土 ・『千手観音像 』 ・『秋冬山水図』雪舟等楊筆 特徴/ここがオススメ 東京国立博物館には、国宝や重要文化財に指定されている物品が多く収蔵・展示されているのが魅力の一つです。 国宝や重要文化財は歴史的・文化的価値の高い大変貴重なものであり、なかなか直接みれる機会は少ないといえます。 東京国立博物館には、多くの国宝や重要文化財が所蔵されているとともに、定期的に入れ替えを行いながら展示をしています。 いくつもの国宝や重要文化財をまとめて鑑賞できる機会はなかなかありません。 東京国立博物館を訪れたら、国宝や重要文化財に指定されているかにも注目して見てみるとよいでしょう。 美術館情報 東京国立博物館 住所:〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9 GoogleMap:https://maps.app.goo.gl/PqxJFp5TykHzKap97 アクセス:JR上野駅公園口、または鶯谷駅南口下車 徒歩10分 ほか 開館時間:9:30~17:00(金・土は19:00まで)※入館は閉館の30分前まで 休館日:月曜日・年末年始 ※最新の情報は公式サイトをご覧ください 料金:総合文化展(平常展)は一般1000円、大学生500円 ※特別展は展示によって異なります 公式サイト:https://www.tnm.jp/ 年間パスポート:友の会 年会費7000円、国立博物館メンバーズパス 一般2500円 学生1200円 近隣のおでかけスポット 上野公園の敷地内にある東京国立博物館。 建物の目の前には公園の噴水があり、噴水越しの博物館は涼し気で壮大な雰囲気があります。 上野動物園 上野公園内には、東京国立博物館から歩いて数分の距離に上野動物園があります。上野動物園では、約300種3000点の動物が飼育されており、東京都心でありながら自然の景観を再現しているのが特徴です。エリアは東園、西園の大きく2つに分けられており、上野動物園の名物であるジャイアントパンダが暮らすパンダもりは、西園にあります。 上野恩賜公園 東京台東区にある広大な敷地の上野恩賜公園には、さまざまな施設が併設されており、東京国立博物館もそのうちの一つです。 上野恩賜公園は、自然や噴水など散策を楽しめる空間があるとともに、数々の銅像や施設などもあり、見どころがたくさんあります。 散歩やアート鑑賞、寺社巡りと、自分の興味のある楽しみ方をみつけられる公園です。 春にはソメイヨシノが満開になり、お花見スポットとしても有名です。 上野アメ横商店街 上野公園がある上野駅からすぐの場所にアメ横と呼ばれるにぎやかな商店街があります。 約500mの道には、400店舗以上のお店が軒を連ねています。 アメ横では、珍品・貴品などを扱う専門店がたくさん集まっており、上野公園の観光ついでに寄ってみるのもおすすめです。
2024.11.09
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国宝や重要文化財はどうやって選ばれるのか?
国宝や重要文化財が日本にとって大切なものであると漠然としたイメージはあっても、具体的にどのようなものを指しているのか、どのように指定されているのか知らない人も多いでしょう。 国宝や重要文化財がどのように指定されているのかを知ることで、歴史的・文化的な価値を理解したうえでの鑑賞を楽しめるようになります。 国宝とは 国宝とは、簡単にいうと「日本の宝」です。 古くは、1897年の「古社寺保存法」、1929年の「国宝保存法」により指定された6847件の物品を国宝と呼んでいました。 しかし、1950年に「文化財保護法」が新たに制定されると、過去に国宝と指定された物品は一度「重要文化財」と呼ばれるようになり、文部科学省が「重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いものかつ、国民の宝たるもの」と認めたものを国宝として指定しました。 そのため、現在国宝として認められている物品は、もともと国宝として扱われていたものの中からさらに価値が高いと判断された国宝中の国宝ともいえます。 国宝は、8つのジャンルに分けられており、項目は以下の通りです。 ・工芸品 ・絵画 ・彫刻 ・書跡、典籍 ・建造物 ・古文書 ・考古資料 ・歴史資料 国宝指定が最も多いジャンルは工芸品で、陶磁器や仏教の法具、刀剣などが該当します。 考古資料とは、土偶や青銅器などの出土品です。 国宝の選び方 国宝は、重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いものかつ、たぐいない国民の宝たるものと認められたものが指定を受けます。 また、国宝は重要文化財から指定されるため、まず重要文化財として指定される必要があります。 国宝は、文化財分科会が文部科学大臣に対して、該当の文化財を国宝に指定するよう答申し、それを受けた文部科学大臣が指定することで国宝と認められるようになるのです。 旧国宝もある 旧国宝とは、昔の法律により定められていた国宝を指します。 美術鑑賞をしているとき、「重要文化財(旧国宝)」の文字を見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。 旧国宝は、1929年に制定された「国宝保存法」によって指定されていた国宝で、1950年の「文化財保護法」により国宝が一度すべて重要文化財となり、その後国宝として指定されなかった物品です。 国宝から重要文化財に変更されたからといって歴史・文化的価値が下がったわけではありません。 制度上の変更であり、現在の精度では重要文化財も極めて重要な物品とされています。 重要文化財とは 重要文化財とは、過去に制定されていた「古社寺保存法」や「国宝保存法」にて国宝と指定されながらも、新たに制定された文化財保護法では国宝に指定されなかった物品です。 過去の法律により国宝とされていた時期があるため、旧国宝とも呼ばれています。 また、国宝や重要文化財は、毎年新たに指定が行われており、新たに重要文化財となるものもあれば、重要文化財から国宝に格上げされる物品も多くあるのです。 重要文化財の選び方 文部科学大臣が、有形文化財のうちさらに重要であると判断したものを重要文化財として指定します。 文化財保護法では、文部科学大臣が文化審議会に諮問し、答申を受けてから指定を行うよう定められています。 また、諮問前には文化庁や都道府県教育委員会が文化財の所在調査を行い、指定候補となる物品をピックアップし、さらに詳細な調査を行ってから諮問が実施されているのです。 文化庁では、所在調査のほか美術史や建築史、土木史など関連分野の学術研究の成果も情報収集し、指定の参考としています。 諮問後、文化審議会から答申が出された後は、文部科学大臣が重要文化財に指定、登録または選定を行い指定書を所有者に交付します。 国宝・重要文化財のジャンル 国宝・重要文化財の主なジャンルは以下の8つです。 ・工芸品 ・絵画 ・彫刻 ・書跡、典籍 ・建造物 ・古文書 ・考古資料 ・歴史資料 建造物では、城郭や神社、寺院、住宅などが該当します。 江戸時代までに建てられ、天守が保存されている天守閣のある城を現存天守と呼びます。 現存天守は現在12城あり、そのうち国宝に指定されているのは、松本城・松江城・姫路城・犬山城、彦根城の5つです。 絵画では、古墳壁画や密教曼荼羅、やまと絵、水墨画、絵巻、近代絵画などが該当します。 日本の絵画様式として有名なやまと絵の国宝としては『鳥獣戯画』や『源氏物語絵巻』などがあります。 彫刻では、仏像が該当し、特に京都や奈良に集中しているのが特徴です。 国宝第一号となった広隆寺の仏像『弥勒菩薩半跏像(宝冠弥勒)』は、1951年に指定されました。 国宝に指定されている仏像の中で最も大きいのが、神奈川県鎌倉市の高徳院にある『銅造阿弥陀如来坐像』で約15m、ついで奈良県の東大寺金堂にある『銅造盧舎那仏坐像』で約13mです。 工芸品の国宝として有名なのが『曜変天目茶碗』です。 茶碗の内側に大小さまざまな斑点模様が散らばっており、角度を変えて鑑賞すると玉虫色の鮮やかな輝きをみせ、宇宙の星のように鮮やかな輝きを放っているのが特徴で、藤田美術館・静嘉堂文庫・龍光院がそれぞれ所蔵している3点すべてが国宝に指定されています。
2024.11.09
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国宝や重要文化財の宝庫「東京国立博物館」の常設展を観に行ってみた!
東京の上野公園内にある大規模な博物館「東京国立博物館」を知っていますか? 東京国立博物館には、150年以上にわたり受け継がれてきた約12万点の収蔵品があります。 そのうち、国宝が89点、重要文化財が648点と、質と量ともに日本を代表するコレクションといえるでしょう。 総合文化展では、常に3000件以上の収蔵品や寄託品を展示しており、見どころがたくさんです! 今回は、国宝や重要文化財などの貴重な品を収蔵・展示している東京国立博物館の総合文化展を観に行ってきました。 東京国立博物館は5つの展示館からなる博物館 東京国立博物館は、上野駅からすぐの場所にある上野公園内に建設されている博物館です。 上野公園内の中でも開放感があり、噴水が涼しげな空気を作り出してくれている広場の奥に博物館があります。 平日の11時ごろに訪れましたが、すでにチケット売り場には行列ができていました。 また、上野公園内を歩いているときから感じていましたが、外国人観光客も多くチケット売り場に並んでいます。 体感では、日本人よりも外国人観光客のほうが多かったように感じます…! そのため、平日でもある程度の混雑が予想されます。 東京国立博物館自体、広く展示数も多いため、ゆっくりと見て回りたい方は、朝一の開館と同時に入館するのがおすすめです。 チケットを購入してさっそく敷地内に入ると、建物がいくつも建ち並んでいます。 どこから行けばよいか迷ってしまう方は、まずは本館の展示から鑑賞するのがおすすめです。 本館と平成館は建物内でつながっているため、本館の作品を鑑賞した後に外に出なくともそのまま平成館の鑑賞も楽しめます。 東京国立博物館の総合文化展では国宝・重要文化財がいくつも展示されている 東京国立博物館の特徴といえば、収蔵・展示されている国宝・重要文化財の数が多いこと! 現在は、国宝が89点、重要文化財が648点収蔵されています。 美術品の中でも、歴史的・文化的価値が高く大変貴重なものが指定される国宝と重要文化財。 国民的財産を一目見てみたいという方も多いでしょう。 東京国立博物館では、一つや二つだけでなく、数十点、数百点の国宝と重要文化財が展示されており、国の宝を一目見てみたい!という方にもおすすめの博物館です。 東京国立博物館には、本館・平成館・東洋館・法隆寺宝物館・黒田記念館・表慶館の6つの展示館があります。 黒田記念館では、洋画家の黒田清輝の作品が展示されており、表慶館は基本的に特別展やイベントが開催される建物です。 今回は、それ以外の4館に展示されている作品について紹介していきます。 本館:日本の美術 日本美術を取り扱っている本館の展示は、1階と2階に分かれています。 2階では、日本美術の移り変わりが分かるよう時代別に展示が行われており、日本美術のもつ独特で豊かな魅力を堪能できる展示になっています。 1階の展示は、彫刻や近代美術、刀剣などジャンル別に深堀していけるような展示になっていました。 アイヌ文化や琉球文化に関連した歴史資料も多く展示しており、美術品の鑑賞を楽しむとともに歴史の勉強もできるため、子どもの学びにもぴったりです! 本館1階から2階に上がる大階段は、ドラマやミュージックビデオなどでもたびたび使われており、博物館に行ったことがない人でも見覚えがあるかもしれません。どこから見ればよいか迷ったら案内図に表示されている番号順にみていくとスムーズに進めます。 本館に設置されている案内板には、写真撮影禁止のマークがある作品のみ撮影ができないと案内が書かれています。 撮影OK作品と同じように間違えて撮影しないよう、作品の近くにマークが設置されていないか必ず確認してから写真を撮るようにしましょう。 十六羅漢像(第三尊者) 平安時代・11世紀 国宝(1952年指定) この作品は、滋賀の聖衆来迎寺に伝来した現存する最古の十六羅漢像の一幅です。 お堂の前に経机をおいてイスに座っているのが羅漢です。 羅漢とは仏教を開いた釈迦の教えを守り伝える聖者であるといわれています。 本館の国宝室に飾られていたこの作品は、鮮やかな色合いが今でも残っており、描かれた平安時代のころには、さらに色彩豊かな掛軸であったのだろうと感じられました。 服やものの輪郭ははっきりと描かれていますが、顔の輪郭は薄く柔らかな線で描かれているような印象を受けました。 この作品は、絹の裏側から絵具を塗って絹目を通して柔らかな彩色効果を生み出す裏彩式と呼ばれる技法が用いられています。 裏彩式と柔らかな輪郭線により、800年以上経った今でも温かみのある絵に見えるのでしょう。 康円作 鎌倉時代・1273年 木造/彩色/玉眼 重要文化財 真ん中の獅子に乗っているのが文殊菩薩、左端から大聖老人、于闐王、善財童子、仏陀波利三蔵です。 文殊菩薩と4人の従者が海を渡る「渡海文殊」の群像を表現した像です。 光背の細かなデザインや衣服のシワやヨレなども巧みに表現されている点に感心しました。 また、黒い床と背景に置かれた立像は、照明によって光り輝き、神々しさを演出している点も印象に残っています。 照明により背景に映し出されているシルエットの光背もとてもきれいでした! 平成館:日本の考古 平成館の1階にある考古展示室では、旧石器時代から江戸時代までの歴史をたどりながら考古資料を鑑賞できます。 縄文時代の土偶や弥生時代の銅鐸、古墳時代のはにわなど、教科書で見たことがある作品もたくさん見かけるかもしれません! 現在タイムリーで勉強中のお子さんとも一緒に学びながら楽しめる展示ですね! 扁平鈕式銅鐸 弥生時代(中期)・前2~前1世紀 伝香川県出土 青銅製 国宝 銅鐸とは、弥生時代に作られた釣鐘の形をした青銅器のことで、当時祭りに用いられていたといわれています。 扁平鈕式銅鐸は、弥生時代の中期に作られたとされており、描かれている模様をよく見てみると、魚をついばむ鳥や、イノシシ猟などが表現されています。 また、杵で臼をつく人や梯子がかけられた高床建物も描かれていることから、銅鐸が農耕祭祀と深いかかわりがあるのではと考えられるようになったそうです。 この銅鐸は、弥生時代に作られたものでかなり古い出土品ですが、照明の光があたり表面が輝いており、こんなにも状態のよいものが発掘されるのだと感動しました! 模様も細かい線で描かれていますが、はっきりと絵が残っており、タイムマシンで過去から現代に運んできたかのような印象を受けました。 東洋館:東洋の美術 東洋館では「東洋美術をめぐる旅」のコンセプトのもと、朝鮮半島や中国、東南アジア、インド、エジプトなどアジア各地の文化を展示しています。 各国で独自に発展していった東洋の美を堪能できる展示館です。 勢至菩薩立像 中国 隋時代・6世紀 重要文化財 国宝や重要文化財に指定されているのは、日本の美術品だけではありません。 こちらの勢至菩薩立像は中国で作られたものです。 丸顔でスラッとした細身の長身、繊細なデザインの装身具などは、隋時代に流行していた典型的な表現方法。 小さな立像ですが、装身具の模様が細かく表現されており、顔を近づけて何度もまじまじと眺めてしまいました。 法隆寺宝物館:法隆寺献納宝物 法隆寺宝物館には、1878年に奈良の法隆寺から皇室に献納され、戦後になって国に移管された宝物300点が収蔵・展示されています。 大変貴重な宝物の数々を間近で鑑賞できる機会はなかなかありません! 法隆寺宝物館には、金銅仏、伎楽面、押出仏、仏画、経典、仏具などが所蔵されており、そのうち国宝が11点、重要文化財が182点と価値のある美術品が数多く所蔵・展示されているのも見どころの一つです。 正倉院宝物は8世紀の作品がメインですが、法隆寺宝物館はそれよりも古い7世紀の宝物も含まれており、より歴史の古い宝物を拝めるかもしれません。 灌頂幡 飛鳥時代・7世紀 国宝 灌頂とは、頭に水を注いで仏の弟子として高位に昇ったことを照明する儀式のことです。 灌頂幡は、その儀式で使用する旗を指しています。 灌頂幡の全体には、透彫による仏や天人、雲、唐草などの模様があります。 最上部は、天蓋とその中央に吊り下げられた6枚の大幡からなっており、天蓋は4枚の金銅板を傘の形に組み合わせ、周囲に蛇舌と呼ばれる飾金具を設置し、その下に垂飾を垂らしているのが特徴です。 蛇舌の細かい模様に心惹かれ、飛鳥時代に使われていたころはさらに輝きを放ち、儀式の雰囲気を高めていてくれたのだろうなと感じました。 また、法隆寺宝物館では、ガラスのケースに入れられた立像が規則正しく並んでいる展示室があり、神々しさや厳かな雰囲気を感じられました。 神聖な空気感を味わいたい方は、ぜひ訪れてみてください。 デジタル法隆寺宝物館では法隆寺ゆかりの名宝を鑑賞できる 法隆寺宝物館内には、常時展示できない法隆寺ゆかりの名宝をデジタル技術を用いて鑑賞できる展示室があります! デジタル法隆寺宝物館では、国宝の「聖徳太子絵伝」「法隆寺金堂壁画」の2つのテーマを主軸に、グラフィックパネルと大型8Kモニターを使って絵の詳細まで自由に鑑賞できるデジタルコンテンツを展示しています。 国宝の中には、傷みがひどく展示ができないものや、肉眼で細部まで鑑賞できないものもたくさんあります。 そんな作品でも、高精細画像として大型8Kモニターに映し出すことで衣類の細部から人物の表情まで、見たい部分を大きく拡大して存分に鑑賞を楽しめます! 法隆寺宝物館に展示されている数々の名宝とあわせて、肉眼では拝むことのできない国宝や名宝もデジタル技術を駆使してあわせて鑑賞してみましょう。 数々の日本の宝を鑑賞できる貴重な博物館 東京国立博物館では、保護の観点から国宝や重要文化財などの美術工芸品の長期間の公開が難しいため、定期的に展示入れ替えを行っています。 そのため、展示の名称も常設展ではなく、総合文化展としているのです。 収蔵品と寄託品で構成されている約3000件の展示は、ほぼ毎週どこかの展示室で展示替えが行われており、その数はなんと年間300回以上といわれています! そのため、特別展やイベントではなくとも何度も訪れて新しい名宝を鑑賞したくなってしまいます。 いつ見ても必ず新しい美術工芸品と出会える東京国立博物館。 特別展やイベントも頻繁に開催されているため、あわせて鑑賞を楽しみましょう。 また、東京国立博物館近くには、EVERYONEs CAFEがあり、東京都を産地とする江戸前食材や、東京野菜および江戸野菜などを取り入れた料理が楽しめます。 開放感のあるオープンテラスもあるため、博物館鑑賞のあとに上野公園の自然を感じながら美味しい料理を味わいましょう! 店舗情報 EVERYONEs CAFE https://shop.create-restaurants.co.jp/0941/ 開催情報 『総合文化展』 場所:東京都台東区上野公園13-9 期間:常時 公式ページ:https://www.tnm.jp/ チケット:総合文化展(平常展)は一般1000円、大学生500円 ※詳細情報や最新情報は公式ページよりご確認ください
2024.11.09
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