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鑑定書がない骨董品も買い取ってくれる?
遺品の整理や倉庫の片付けをしているときに、先祖から受け継いだ家宝や骨董品が家の中から見つかることは少なくありません。 また、骨董品コレクターとして収集した骨董品を鑑賞して楽しむ方もいます。 しかし、骨董品の中には、鑑定書が付帯されていないものもしばしばあります。 骨董品における鑑定書の価値を知ることで、骨董品の価値がどのように決まるかが見えてくるでしょう。 この骨董品は本物?鑑定書が証明するもの 骨董品に置ける鑑定書は、骨董品が本物であることを証明するものと位置づけられています。 しかし、全ての骨董品に鑑定書がついているわけではなく、本物と証明する書類がない場合は、素人目で見分けるのは難しいでしょう。 骨董品の中でも、贋作の多いジャンルが存在します。鑑定書の重要性を知るとともに、骨董品の購入や買取時に贋作と疑える知識を身に付けることが大切です。 価値の高い骨董品には、偽物も多い… 骨董品を楽しむにあたって、良い品に贋作はつきものです。 日本画であれば、谷文晃や山下清、横山大観などは、贋作が多く出回っています。骨董品コレクターの間では、本物と贋作の見分け方が永遠の課題といわれています。しかし、素人の目では、精巧に作られた骨董品の真贋を見分けるのは難しいでしょう。 骨董品の中でも、高い確率で贋作の可能性があるジャンルは茶碗や徳利、盃などです。例えば、絵唐津茶碗や朝鮮唐津徳利、三島盃、粉引盃などが挙げられます。 骨董品の価値を証明する、鑑定書 鑑定書は、骨董品や古美術品に付随する鑑定書であり、作家の親族や専門の鑑定機関などが本物と判断した作品に付与されます。 別名「極書」と呼ばれており、鑑定書に記載される内容は、作者名、作品名、鑑定者名です。 紙や札に自筆で鑑定結果を記載し、最後に花押もしくは、印を押すのが一般的とされています。 鑑定書は、紙の書類として保管されているイメージがありますが、箱に直接記載されている場合もあります。 鑑定書や箱書があれば真贋を判断しやすくなりますが、鑑定書や箱書の証明書自体が偽物のパターンもあるため、骨董品の購入時には細心の注意を払わなければなりません。 鑑定書がないと骨董品に価値はない? 骨董品を購入したり楽しんだりする場合、鑑定書は必須なのでしょうか。 鑑定書が骨董品を本物であると証明する書類だとすると、鑑定書のついていない骨董品は、価値がないように感じてしまうでしょう。 しかし、骨董品を自宅で楽しむ分には、鑑定書がなくても問題ないでしょう。骨董品を売買せず鑑賞するだけであれば、偽物であったとしても特に不都合はなく、誰にも迷惑をかけないためです。 なお、骨董品に鑑定書がついていなくとも、売買に直接的な影響はありません。鑑定書がなくても、プロの鑑定士であれば作者の署名や作成時期から真贋を見極めることが可能です。 また、骨董品の状態から品質の評価を行い、査定額を導き出してくれます。しかし、ポイントをおさえていたとしても100%偽物を回避することは難しいといえます。十分な知識や経験を持ち合わせていなければ、専門家でも見極めが困難となる場合もあるでしょう。 そのため、もし取引や売買を検討しているのであれば、取り扱い実績や鑑定実績のある業者に必ず見積もり査定の依頼をお勧めします。 また、鑑定書がないと、買取できない、価値が付かないと判断するような業者は避けましょう。 骨董品には贋作による事件もあった 鑑定書がなくても、経験と知識が豊富な専門業者であれば、適切な買取価格を提示してくれる可能性があります。 しかし、プロでも真贋の見極めが難しいケースもあるため、鑑定書があるに越したことはありません。過去には、真贋の見極めが難しい精巧な贋作が市場に出回り、事件になったこともあります。 永仁の壺事件 1959年に発生した事件は、永仁の壺事件と呼ばれています。 1924年(永年2年)の銘を持つ瓶子が、鎌倉時代の古瀬戸の傑作であるとして、国の重要文化財に指定されました。しかし、その直後に瓶子が偽物であると疑いをかけられ、登録から2年後に重要文化財の指定が取り消されているのです。重要文化財に推薦した文部技官が引責辞任したり、美術史学会、古美術界、文化財保護行政を巻き込んだりと、大スキャンダルに至った事件といえます。 専門家をもってしても、真贋の見極めがいかに難しいかがわかるでしょう。 戦前戦中の陶芸家が制作したものであり、鎌倉時代の釉薬に用いられた素材の元素とは異なる釉薬が用いられていたことが、永仁の壺が贋作であると発覚した経緯です。 春峯庵事件 春峯庵事件とは、1934年に発生した肉筆浮世絵の大規模な偽造事件です。 1934年、東京美術倶楽部に峯庵なる旧家の所蔵品として、東洲斎写楽や喜多川歌麿などがオークションに出品され、入札会が開かれました。世紀の大発見と取り沙汰されましたが、のちに全てが贋作であるとわかります。画商や絵師が共謀して贋作を作成したことがはじまりで、美術史権威で推薦文を寄稿した笹川臨風までもが共謀したとして、拘留される騒ぎに発展しました。 こちらも専門家をもってしても本物か偽物かを判別できなかった事件です。 この事件の結果、研究者や画商、コレクターは肉筆浮世絵に対して積極性を失い、一時期浮世絵に関する研究も進まなくなりました。贋作に惑わされることで、社会に対する悪影響が甚大であるとわかります。 鑑定書は骨董品購入・売却の際の重要な判断基準 偽物が混ざりやすい骨董品の例や偽物にまつわる事件がわかったことで、見極めの難しさも伝わったことでしょう。 もし、自宅で骨董品をお持ちで、取り扱いに困っているのであれば、一度知識や経験が豊富なスタッフによる査定を受けてみてはいかがでしょうか。鑑定書があれば、その評価にも期待できることでしょう。
2024.10.28
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その石、実は骨董品かも?高価買取が期待できる銘石・鑑賞石とは
石の中には、鑑賞石やパワーストーンと呼ばれるものがあります。 骨董品としての価値が認められれば、高価買取も期待できるでしょう。 鑑賞石やパワーストーンは買取してもらえる? 日本には美しい石を愛でる文化があり、鑑賞用の石を鑑賞石と呼びます。 鑑賞石には鎌倉時代から歴史があり、現代でも多くのコレクターがいます。 自宅にある石…価値ある銘石・鑑賞石かもしれません 石は山や川などの自然の中から公園や道端などまであらゆるところにあるため、価値はないと思われがちです。 しかし、銘石や鑑賞石は違います。骨董品の一つとして、コレクターも多い銘石や鑑賞石は、専門業者に買取してもらうことも可能です。 鎌倉時代に生まれたといわれる銘石や鑑賞石を愛好する文化は、元は天皇や貴族、武士などの上流階級の人々に楽しまれていました。しかし、昭和時代には大衆の間にも広まり、1960年代ごろには「石ブーム」と名付けられるほど大流行しました。 自宅の蔵や庭にある石は、価値ある銘石や鑑賞石の可能性があります。処分を考えている方は、一度買取を依頼してみてはいかがでしょうか。 美しい天然石やパワーストーンも人気 水晶や翡翠などの美しい天然石には、古くから特別な力が宿っていると考えられています。 これらの石は、パワーストーンとも呼ばれています。天然石やパワーストーンを集めたり身につけたりするのは、日本だけでなく世界各地で見られる文化です。 人気の天然石やパワーストーンも、骨董品としての価値があります。 不要な場合は、買取を検討しましょう。 骨董品価値のある石の種類 天然石の種類によって、骨董品としての価値には違いがあります。 特に高い価値があるとされている石の種類を押さえておきましょう。 菊花石(きっかせき) 菊花石とは、菊の花のような模様が入った石のことです。鑑賞石の最高峰と呼ばれ、人気を集めてきました。 玄武岩などの石に何らかの理由で内部にヒビが入り、放射状の模様ができるといわれているものの、詳しいことは分かっていません。 日本では、岐阜県で採取できる根尾谷の菊花石が最も有名です。 しかし、1952年に天然記念物に指定され、この地域での石の採取は禁止されています。そのため、現在流通している菊花石は、天然記念物指定前に採取されたもの、もしくはほかの地域で採れたものです。 菊花石は希少性が高いため、石ブームの際には、1,000万円もの価格で取引されたこともあります。 梅花石(ばいかせき) 梅花石とは、梅の花のような小さな白い模様が表面についた石のことです。 その美しい見た目から、「菊花石」や「桜石」と合わせて日本三大奇石と呼ばれます。 梅の花のように見えるのは、3億年以上前の古代生物であるウミユリの化石です。ウミユリは深海に棲むため、梅花石は水辺で多く産出されます。 主な産地は、北九州の門司港付近や北海道の空知川周辺です。 梅花石は、学術的にも貴重とされているため、福岡県では天然記念物に指定し、採取を禁止しています。 碧玉 (へきぎょく) 碧玉とは、昔から勾玉やアクセサリーの材料として使われてきた宝石です。 「碧」とは、深い青を指す言葉であるものの、碧玉が青いとは限りません。赤や黄色、青緑などさまざまな色が入り混じっているのが一般的です。 碧玉の主な成分は石英です。 しかし、内部に酸化鉄やクレイ粘土などの不純物が混ざることで複雑な色合いが生まれたとされています。 碧玉は、現在でも宝石として価値があります。 特に、表面の模様が美しいものや、なめらかに磨きがかけられたものは、買取価格が高くなりやすいでしょう。 孔雀石(くじゃくいし) 孔雀石は、美しい緑色を特徴とする鉱石です。 表面のマーブル状の模様が、孔雀の羽のように見えることから日本語では孔雀石と呼ばれています。英語ではマラカイトといい、主にアクセサリーの材料として流通しています。 また、鉱物の中では柔らかく加工しやすいことから、削って絵の具の材料とすることもありました。古代エジプトの女王クレオパトラが愛用したアイシャドウは、孔雀石を原料としていたといわれています。 高額買取されやすい孔雀石は、美しい模様を持つものです。 一方、傷があると価値が下がりやすくなります。 孔雀石は、特に柔らかく傷つきやすいため、保管の際は注意しましょう。 紫水晶(紫石英/アメジスト) 紫水晶は、名前の通り紫色を特徴とする水晶です。 紫石英やアメジストと呼ばれることもあります。 ライラックのような淡い色から、黒に近い紫までさまざまあり、一般的に色が濃いほど価値が高いとされています。 2月の誕生石であり、装飾用としてもよく使用される宝石です。 ブラジルの大規模な産地が有名で、日本国内では宮城県や鳥取県で産出されています。 翡翠(ひすい) 英語でジェイドとも呼ばれる翡翠は、日本や中国のほか、中南米などで人気のある宝石です。 特に中南米のアステカ文明では、金よりも価値があるとされ、主に支配階級に珍重されていました。 エメラルドグリーンのような神秘的な色合いから、日本や中国では成功と繁栄、不老不死などを象徴する石だと考えられてきました。日本では、約7000年前から翡翠を加工していたことが分かっており、縄文時代の遺跡から勾玉 といった製品として出土したことがあります。 2016年には、日本の国石に指定されました。また、中国では腕輪をはじめとする装飾品や器として加工されたり、彫刻を施した上で置物として使われたりしていました。 翡翠は、エメラルドと同様に5月の誕生石であり、パワーストーンとしても人気があります。 上記のほかにもオニキスやターコイズ、トパーズなどが人気の天然石です。 特に細工を施したものは、骨董品としての価値が期待できるでしょう。 鑑賞石にはどのくらいの骨董品価値がある? 鑑賞石の相場は、種類や大きさなどによって異なるものの、一般的に数万円〜数十万円といわれています。 高額で取引されることが珍しくなかった昭和の石ブームのころに比べると、現在の相場は落ち着いているといえるでしょう。 一方で、菊花石や梅花石のように過去数十年の間に採取が禁止され、現在では以前よりも希少価値の高くなった石もあります。 鑑賞石の中には、価値が分かりにくいものもあります。ただの石のように見えても、不用品として処分せずに査定を依頼するのがお勧めです。 骨董品価値のある石を査定してもらおう 銘石や鑑賞石、パワーストーンなどと呼ばれる石は、骨董品としての価値が高く、現代でも人気があります。 中には、現在新たに採取することが禁止されている石もあります。 そのような石は、希少性が高いため高価買取が期待できるでしょう。 実家の整理で出てきた石の処分に困っているという方は、骨董品買取業者に相談しましょう。 以下のランキングでは、お勧めの骨董買取業者を紹介しています。複数の業者にまとめて見積もりを依頼することもできるため、効率的です。 価値のある石を持っている方はもちろん、価値があるかどうか分からない石も、一度プロの査定士に相談してみてはいかがでしょうか。
2024.10.28
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骨董品をまとめて買取してほしい!コツやポイントを伝授します
骨董品をまとめて処分したい方は、買取してもらいましょう。 業者によっては、大量の骨董品をまとめて買取できます。多くの時間をかけずに、高く売れるかもしれません。 骨董品をまとめて買い取ってほしい 大量の骨董品を処分する方法として、ごみとして捨てる方法があります。 しかし、骨董品の中には大きいものや重いものもあるため、捨てるのに費用がかかるかもしれません。 また、一見ガラクタのように見えても、高い価値がある可能性も考えられます。そのため、まとめて捨てるのを躊躇する方も多いのではないでしょうか。 一方で、数多くの骨董品を一つひとつ整理するのは大変です。「骨董品をまとめて買い取ってほしい」というときには、骨董品専門の買取業者がお勧めです。 その骨董品には価値があるかも?! 実家の片づけや相続などで骨董品が出てくることがあります。必要なければ処分しようと思う方もいるでしょう。 骨董品を処分する際は、捨てるよりも買取がお勧めです。 プロに鑑定してもらうことで、思いがけない価値があると分かるかもしれません。 まとめて買取はラクだけど損するかも 骨董品を買取できる業者として、遺品整理業者や不用品回収業者などがあります。 これらの業者は、骨董品以外の不用品もまとめて引き取りしてくれるため、楽なのがメリットです。骨董品の中には、いくら思い入れがあっても値段がつかず、処分するしかないものもあります。 また、不用品の量が多くて、一つひとつ整理する時間が取れない方もいるでしょう。急いでいる方や手間をかけたくない方には、まとめて買取できる業者は魅力的といえます。 一方で、まとめて買取してもらうことで損する可能性に注意しましょう。まとめて買取する場合、一点ずつ査定するのに比べて買取価格が低くなることがあります。また、業者が骨董品について詳しくない場合、本来の価値を見落としてしまう可能性も考えられます。 不用品の中に価値が高い骨董品が含まれていることに気付かないで、手放してしまうおそれもあるのです。 遺品整理や実家の片づけは、時間をかけずに終わらせたい方が多いでしょう。しかし、楽だからといってまとめて買取してもらうと、知らないうちに価値の高い骨董品を低い価格で売却してしまい、損するかもしれません。特に骨董品は、プロの鑑定士でないと価値が分かりにくいものも少なくありません。 骨董品だけでも、専門知識を持つ買取業者に依頼するのがお勧めです。 どんな買取業者に相談すべき? 骨董品の買取は、信頼できる業者に依頼しましょう。 信頼できる業者を見分けるポイントは以下の3つです。 ・骨董品の価値が分かる、査定ができる ・実績がある ・見積もり無料、かつ相見積もりを嫌がらない 骨董品買取の実績の多い業者であれば、相場を踏まえた価格で買取してもらえるでしょう。 一方で、以下のような業者には注意が必要です。 ・骨董品専門でない遺品整理業者、不用品回収業者 ・買取を急かしてくる業者(相見積もりを嫌がる業者) 骨董品買取の知識がない業者は、相場よりも安い価格を提示してくる可能性が少なくありません。 また、引取費用がかかるケースもあります。相見積もりを嫌がり、契約を急ごうとする業者も信頼できないため注意が必要です。 まとめて買取依頼をする前に確認したいこと 急いでいる場合や、実家が遠方にあり時間が限られている場合などには、骨董品をまとめて買取してもらうこともあるでしょう。 まとめて買取してもらう際、少しでも高く買取してもらうコツがあります。 少しの工夫で、買取価格が大きく変わるかもしれません。 付属品や箱などは捨てないで! 骨董品に付属品や箱があれば、買取の際に一緒に査定してもらいましょう。 買取価格が高くなる可能性があります。 例えば、陶磁器は多くの場合、桐の箱に入っています。 この箱に作者名や作品名が刻印されていることがあるため、誤って捨てないように注意が必要です。箱自体に価値があるほか、刻印から中に入っている骨董品の作者名や作品名などが分かれば、高価買取につながると期待できます。 また、鑑定書や図録などの付属品も、一緒に査定してもらうことで買取価格アップが期待できるアイテムです。 特に鑑定書があれば、骨董品が本物だと証明できます。もし見つけたら、忘れずに査定士に見せましょう。 汚れやシミはそのままにして! 当然のことながら骨董品は古いものが多いため、汚れやシミがついていることがあります。少しでもきれいなほうが高く売れるのではないかと思う方もいるでしょう。 しかし、骨董品の汚れやシミをクリーニングするには、特殊な技術が必要になることもあります。もし汚れやシミが気になっても、自分で掃除することは避けてください。 骨董品は、少し触れるだけでも傷がついたり壊れたりする可能性があります。掃除しようとして傷がつけば、買取価格は下がってしまうかもしれません。あえて自分では触らず、そのままの状態で査定してもらうことが大切です。 骨董品を専門に買取している業者は、傷つけない取り扱い方法を熟知しています。骨董品を見つけたらできる限り触れずに、業者へ任せることをお勧めします。 高額買取が期待できる骨董品の例 骨董品と一口にいっても、さまざまな種類があります。 高額買取が期待できるのは以下の6種類です。 ・掛軸 ・茶道具 ・絵画 ・陶磁器 ・刀剣 ・香木 これらの種類は、買取できる業者も多いため高く売れる傾向にあります。 また、同じ種類の骨董品であれば、有名作家や人気作家の作品ほど高額買取してもらいやすくなります。 以下は、高額買取が期待できる有名作家・人気作家の例です。 掛軸:富岡鉄斎、棟方志功など 絵画:歌川広重、岸田劉生など 陶磁器:酒井田柿右衛門、河井寛次郎など なお、刀剣や香木は、最近海外でも注目されており、価格が高騰する傾向にあります。 買取価格も同様に上昇しているため、高額買取が期待できるでしょう。 クチコミやランキングからおすすめ業者を見つけてみよう 遺品整理や片づけで骨董品をまとめて処分する方には、買取がお勧めです。全国で多くの業者が骨董品の買取を行っています。 ただし、選択肢が多いため、どの業者を選ぶべきか、かえって迷ってしまう方もいるかもしれません。 業者選びに迷ったときは、骨董品買取業者ランキングやクチコミを参考にしてみましょう。 実績や買取方法を基準に希望に合う業者を選んだり、複数の業者にまとめて問い合わせしたりすることも可能です。急いでいる方でも、信頼できる業者を効率的に探せるでしょう。
2024.10.28
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大規模回顧展「田名網敬一 記憶の冒険」を見に行ってみた!
皆さんは、田名網敬一(1936年-2024年)という日本人アーティストを知っていますか? 彼の作品は、色鮮やかな独特の世界観と、戦争体験やアメリカ大衆文化からの影響が色濃く反映されていることが特徴です。 そんな田名網の60年以上にわたる創作活動をまとめた初の大規模回顧展「田名網敬一 記憶の冒険」が、現在、国立新美術館で開催されています。 今回、実際に国立新美術館へと足を運び、田名網敬一の膨大な作品群を堪能してきました! 「田名網敬一 記憶の冒険」は国立新美術館にて開催 「田名網敬一 記憶の冒険」では、田名網が武蔵野美術大学でキャリアをスタートさせたころから、1975年に日本版『PLAYBOY』の初代アートディレクターを務めた時代、そして現在に至るまでの多岐にわたる作品群が展示されています。 彼はデザイナーとして培った技術をもとに、絵画、コラージュ、アニメーション、立体作品、実験映像、インスタレーションなど、ジャンルやルールに縛られることなく活動を続け、美術史に重要な足跡を残してきました。 今回の企画展で注目すべきポイントは、初公開の最新作を含む膨大な作品の数々です! 「記憶」をテーマに掲げた今回の展示は、戦争の記憶とその後の文化的影響を追体験するような構成になっており、これまで包括的に触れられることのなかった田名網の創作の全貌が明らかにされています。 展示について 国立新美術館の敷地に入り、室内に入っていく手前のスペースに、さっそく田名網敬一の作品『金魚の大冒険』が展示されています! 巨大なバルーンで作られた金魚は、金・土曜日の夜になるとライトアップされ、ミュージアムナイトを照らしてくれるそうです。 昼間とは違った印象の『金魚の大冒険』を鑑賞したい方は、ぜひ金・土曜日の夜にも訪れてみてください。 国立新美術館内に入ると広々とした空間が広がっています。 ロッカールームが充実しているため、荷物が多い方はチケットを購入したあとにロッカーに荷物をしまって、身軽な格好で回るのがお勧めです! 大規模な企画展で展示会場も広いため、ストレスなく見て回るなら荷物は少ないほうがよいでしょう。 展示会場では、田名網の作品をより深く理解し、楽しむためのオーディオガイドが無料で提供されていました。 スマートフォンでQRコードを読み取るだけで、アーティストの背景や作品の解説を耳で聞きながら鑑賞できます! 作品を目で見て鑑賞しながら、オーディオガイドでその背景に迫ることで、創作意図やメッセージがより鮮明に伝わってくるため、彼の生み出した膨大な作品の世界観をより深く味わいたいなら、オーディオガイドを聞くことをお勧めします。 特に、戦争やアメリカ大衆文化の影響を受けた作品は、彼の記憶や経験が作品にどのように反映されているのかを再認識させてくれました。 田名網敬一の広大なアートの世界を体感し、耳でも楽しんでみましょう! 全11章で構成された膨大な創作変遷を堪能できる「田名網敬一 記憶の冒険」 展覧会の入り口では、田名網の幼少期のエピソードと、最新作のインスタレーション『百橋図』で構成された「プロローグ」から始まります。 戦争の記憶やアメリカ文化の影響を受けた色鮮やかな作品群に引き込まれつつ、11章にわたって彼の創作の変遷をたどります。 企画展会場に入ってすぐ目に飛び込んでくるのが、圧倒的な存在感を放つ『百橋図』の絵画とインスタレーションです。 絵画は、屏風のような形で展示されており、その背後にインスタレーションが展示されています。 いくつもの太鼓橋が重なりあってジャングルジムのようにそびえたつこの作品には、プロジェクションマッピングにより魚たちが橋をわたっていく様子が表現され、幻想的な光景を生み出していました。 田名網は、「橋」は俗世と聖なる世界をつなぐものであり、また死とも密接に結びついた象徴的なモチーフであると語っています。 このモチーフは、まさに展覧会全体に流れる死生観を象徴するテーマでもありますね。 展覧会のプロローグにふさわしい作品であると感じさせられました! 企画展示室内を進んでいくと、次に飛び込んできたのが天井から地上まで壁一面に飾られた数々の絵画です。 広い空間を埋め尽くす数と鮮やかさに圧倒されました! 壁一面に並べられた極彩色の絵画が目を引き、そのポップな色使いや力強い輪郭が特徴的であり、幼少期に経験した戦争の記憶が色濃く反映された作品の数々は、見る者に強烈な印象を残します。 フリーのグラフィックデザイナーとしても活躍していた田名網は、個人的な趣味としてコラージュ作品を多数制作していました。 国内外で活躍する著名人やキャラクターに加え、日本の歌舞伎役者も取り入れられた和洋折衷な作品たち。 今にもアニメーションのように動きだしそうなコラージュ作品に、思わず魅入ってしまいました。 田名網は、1980年に中国を旅行したときに見た自然の景観や、1981年に多忙な生活がたたり結核で4か月ほど入院した際に薬の副作用により見た幻覚を作品に取り入れていきました。 鮮やかな色使いはそのままに、病院から見た松の木がぐにゃぐにゃと曲がって見えた様子も作品に取り入れており、入院中の幻覚体験が彼に新しい創造を与えたともいえそうです。 企画展では、横幅3メートルを超える巨大な作品や、アニメーション、コラージュ、インスタレーションなど多彩なジャンルの作品が展示されています。 デザイナーからスタートし、多彩なアプローチで作品を生み出してきた田名網は、どの手法を用いても一貫してポップでおどろおどろしい世界観を展開しているのが印象的です。 まるで絵画や立体作品が今にも動き出しそうな感覚に襲われ、何度も田名網の世界観に入り込む感覚を味わえました! 終盤では、田名網が手がけたアーティストやブランドとのコラボレーション作品が並び、特に赤塚不二夫とのコラボ作品が印象的でした! 「シェー」のポーズでおなじみのイヤミやバカボンのパパ、ひみつのアッコちゃんなど、さまざまなキャラクターと田名網の独特な世界観が交じり合っていました。 赤塚不二夫が手がけた愛らしいキャラクターたちが、田名網の手によってモンスターに変貌し、キャンバスいっぱいに広がっているのが印象的ですね。 企画展の最後には、田名網のインタビュー映像が展示された「エピローグ」で締めくくられ、田名網敬一という人物の多面性を感じさせてくれる企画展でした。 「田名網敬一 記憶の冒険」のみどころ 「田名網敬一 記憶の冒険」では、田名網敬一の60年以上にわたる多彩な創作活動を余すところなく紹介しているのが魅力の一つです! その作品は、戦後の日本文化や個人の記憶、夢、死生観など、様々なテーマが絡み合い、ジャンルを超えた豊かな表現が展開されています。 彼の過去の重要な作品から最新作まで、田名網がこれまで追求してきたアートの世界にどっぷりと浸ることができるでしょう。 日本の戦後文化史と密接に結びついた作品 田名網が生み出してきた作品は、日本の戦後文化史と深い結びつきがあります。 企画展では、1960年代から1970年代にかけて制作された、日本最初期のポップアートの一つともいえる『ORDER MADE!!』シリーズや、アメリカの『Avant Garde』誌が主催したベトナム反戦ポスターコンテストで注目された『NO MORE WAR』シリーズが展示されています。 アンディ・ウォーホルの影響を受けつつも、田名網独自の視点で表現されたこれらの作品は、当時の社会的・政治的な動きに敏感に反応したものばかりです。 これらの作品は、企画展に訪れる人々を、日本の戦後アートシーンの中心へと引き込んでくれるでしょう。 増幅を続ける「記憶」 田名網は、ここ数年「記憶」というテーマを深く掘り下げた作品を数多く手がけていました。 幼少期に体験した戦争や、病による生死を彷徨った経験が、彼の創作活動に大きな影響を与えていたといいます。 人間が記憶を無意識に作り変えながら生きているという考えに基づき、増幅される記憶をモチーフに制作された作品が本展でも多く展示されています。 展示には未発表の新作に加え、彼が長年にわたって記録してきた夢日記やドローイングも並び、田名網の記憶と創造力の深淵に迫ることができます! これらの作品を通じて、彼がどのように自身の内面と向き合い、それをアートへと昇華させてきたのか、その過程が垣間見える展示内容となっています。 変幻自在なコラボレーション 田名網は、その長いキャリアの中で、多くのファッションブランドやミュージシャンとコラボレーションを行ってきました。 特に注目すべきは、adidasやJUNYA WATANABEとの協働や、EXILE TRIBEや八代亜紀、RADWIMPSとの音楽コラボレーションです。 また、ウルトラマンや赤塚不二夫とのコラボレーション作品も展示され、彼の幅広いクリエイティブな交流が紹介されています。 田名網の作品は、常に新たな視点や化学反応を生み出してきたため、こうしたコラボレーションの背景を知ることで、彼の多面的な魅力をより深く理解できることでしょう。 個性あふれる魅力的なグッズたち 展覧会を訪れた後は、ぜひ特設ショップにも立ち寄ってみましょう! グッズショップでは、田名網敬一の世界観が詰まったオリジナルグッズが勢揃いしています。 定番のポストカードやポスターだけでなく、Tシャツ、トートバッグ、マグカップ、刺繡ワッペンなどの商品も販売。 どのアイテムも田名網の奇想天外なモチーフと極彩色のデザインが施され、ファンならずとも手に取りたくなるような魅力的なグッズばかりです! 企画展の思い出として、また田名網アートの一部を自分の生活に取り入れるアイテムとして、ぜひお気に入りのグッズを見つけてください。 濃密な色彩と膨大な作品数に圧倒される展示 「田名網敬一 記憶の冒険」では、鮮やかで濃密な色彩と膨大な作品の数に圧倒されました! 大胆なモチーフやユニークなコラージュ技法が織り成す独特の世界観は、観る者の感覚を刺激し、思わず見入ってしまう魅力がありますね。 彼の作品は、見た瞬間に心に残る強烈なビジュアルでありながら、その背後には戦争や文化、個人の記憶という深いテーマが潜んでいます。 「田名網敬一 記憶の冒険」は、田名網敬一というアーティストの全貌を知る絶好の機会ではないでしょうか。 60年を超える彼の創作活動を通して、私たちが普段意識しない「記憶」の力や文化的影響を感じ取ることができるでしょう。 ぜひ、皆さんも「記憶の冒険」に足を運んで、田名網敬一の世界を体感してみてください! 国立新美術館内には、カフェやレストランがいくつか併設されています。 しっかりと食事をとりたいなら3Fのブラッスリーポールボキューズミュゼやカフェテリアカレがお勧めです! 軽食とドリンクを飲みながら、企画展の余韻に浸るならカフェコキーユもお勧めです。 図録を購入してお気に入りの作品を振り返ってみたり、友人と印象に残った作品について話したりするのもよいですね。 開催情報 『田名網敬一 記憶の冒険』 場所:国立新美術館 期間:2024/8/7 ~ 2024/11/11 ※休館日:毎週火曜日 公式ページ:https://www.nact.jp/exhibition_special/2024/keiichitanaami/ チケット:2000円(一般)、1400円(大学生)、1000円(高校生) ※詳細情報や最新情報は公式ページよりご確認ください
2024.10.27
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幼少期から最晩年までの作品を公開した「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」レポ
皆さんは、田中一村(1908年-1977年)という画家を知っていますか? 幼いころから卓越した画才を発揮していた人物で、神童とも称されていました。 しかし、東京美術学校に入学しながらも、わずか2か月で退学し、公募展も落選続きと、現役時代に才能を見出されていたわけではなかったのです。 今回は、東京都美術館で開催される「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」に行ってきました! 一村がまだ10歳にも満たない子ども時代に描いた作品から、奄美で過ごした最晩年の作品までを一堂に集めた大規模な回顧展。 神童と称された幼いころの才能あふれる作品から、終焉の地・奄美大島で描かれた生命力に満ちた絵画まで、一村の人生と芸術を追体験できる内容の企画展です! 「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は東京都美術館にて開催中 東京都美術館では、2024/9/19~2024/12/1まで「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」が開催されています。 企画展示室のLBF・1F・2Fと3つのフロアを使った大規模な企画展です! 作品をじっくり・ゆっくり見て回りたいと考えている方は、チケットを購入後にロッカーに荷物を預けておきましょう。 300点以上の作品が3フロアにわたって展示されていて、ボリューム満点のため身軽な格好で鑑賞するのがお勧めです! また、「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は展示室内の写真撮影が禁止されています。 展示室を抜けた後にフォトスポットがあり、そちらのみ撮影が可能となっていました! 「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」の入口では、音声ガイド機器の貸し出しが行われています。 俳優の小泉孝太郎さんがアンバサダー・音声ガイドナビゲーターに就任、声優・中村悠一さんも一村の言葉を力強い声で表現しています。 一村が描いた作品と、一村という人物を深く知りながら鑑賞を楽しみたいと考えている方は、音声ガイドを利用してみましょう! 企画展入口での貸出価格は650円(税込)です。 アプリ版の配信もあり、こちらは一度購入すれば展覧会開催期間中は、何度でも視聴が可能です。 展示について 「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は、一村の幼少期から最晩年までの作品を一堂に集め、その芸術的な軌跡をたどる大回顧展です。 会場は、「第1章 若き南画家の活躍 東京時代」「第2章 千葉時代」「第3章 己の道 奄美へ」という3つのテーマに分かれており、それぞれの時代における一村の進化と、彼が生きた風景や思想が豊かに表現されています。 第1章の東京時代では、神童と称された彼の幼きころからの作品が展示され、南画の伝統的な技法に基づきながらも、独自の視点で自然を描き出した若き一村の姿が浮かび上がります。 その筆使いは繊細で、南画の技法に洗練された感性を加え、すでに一村ならではの感覚がうかがえるものばかりです。 第2章の千葉時代は、一村が27歳で父を亡くし、30歳のときに親戚を頼り千葉に移住した後の作品を追うセクションです。 この時期は、千葉の風景を描いた丁寧な絵画や、季節を感じさせる掛け軸、デザイン的な仕事が多く、一村の誠実な芸術への姿勢が伝わってきます。 そして、展示の最終章である「己の道 奄美へ」では、奄美大島に渡り見つけた新たな芸術の可能性が展開されています。 奄美の光や自然、生き物たちが一村の筆によって生き生きと描かれ、その明るく鮮烈な色彩は彼の集大成と呼ぶにふさわしいものでした。 「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は、一村が「己の道」を見つけ、芸術にすべてを捧げたその魂の深さに触れることができる、感動的な展示です! また、真っ白な壁に一村の掛軸や絵画作品が飾ってあるというシンプルな造りの展示会場で、一村の作品そのものの魅力を存分に味わえます。 第1章:若き南画家の活躍 東京時代 第1章では、7~8歳の幼いころから20代にかけての制作活動が紹介されています。 10歳にも満たない年齢で描いた作品からも、力強い筆使いや卓越した色彩感覚がにじみ出ていました。 このころに描かれた作品をじっくり鑑賞していると、一村が神童と称されていた理由にすぐ納得がいきます。 『池亭聞蛙』紙本墨画淡彩/掛軸(仮巻)/1幅(1922年7月/個人蔵) 中学校に入学した翌年、14歳のころに描いた作品で、今回の展覧会が初公開です。 中国製の紙を用いて描かれたこの作品には、柳が枝垂れる池の情景や人々の営みが描かれています。 このころの一村は、南画や漢詩だけではなく山水画もしっかりと学んでいたことが、作品からうかがえます。 鑑賞する中で印象に残ったのが、葉や枝の細かい描写です。 木の枝先は葉が少ないため、墨の色も薄く表現されていますが、枝の中心にいくにつれて葉が密集し、濃い墨で力強く描かれています。 濃淡のコントラストが、木々に生命力を宿らせ、作品全体に深みを与えているように感じられました。 また、水面には点描のように小さなきらめきが巧みに描かれているのが特徴です。 まるで人々の営みの中で静かにゆっくりと広がる音の波のように感じられ、幻想的な雰囲気も体験できます。 『蘭竹図/富貴図 衝立』絹本金地墨画/絹本金地着色/衝立(両面)/1基(表裏)(1929年2月・3月/個人蔵) 一村が20歳のころに依頼を受けて描いた作品で、その圧倒的な存在感と技術の高さが際立っています。 衝立は両面に異なる画風で描かれており、表裏で対照的な世界を楽しめるのが魅力です。 墨画で描かれた『蘭竹図』は、幽玄さを感じられる作品でした。 金箔を貼り、薄墨を重ねた地に、竹の葉や蘭の花が生い茂る様子が力強い筆のタッチで描かれ、墨の濃淡が作り出す空気感に引き込まれます。 一方、裏面に描かれた『富貴図』は、鮮やかな色彩が目を引きます。 金の地に青い太湖石や赤、白、黄色の牡丹が咲き誇り、蝶や蜂が軽やかに飛ぶ様子が描かれていました。 蝶や蜂の模様が細かく表現されており、明るくカラフルで大胆さがあるように見えて、繊細な筆使いも感じられる素敵な作品です。 『椿図屏風』絹本金地着色/屏風/2曲1双(1931年/千葉市美術館蔵) この作品は、一村の創作活動における空白期とされていた20代半ばの時期に描かれた作品で、2013年に新たに発見されました。 また、この時期の彼のイメージを一新させる作品でもあります。 絢爛たる金屏風に広がる紅白の椿は、まるで生き生きとした生命力を宿しているかのようです。 濃密な絵具が幾重にも重ねられ、その厚みと質感が枝葉にリアルな存在感を与えています。 枝の重なりや葉の一枚一枚が細部まで緻密に描かれており、一村の自然への深い敬愛が感じられますね。 屏風の左側には白梅の枝が描かれ、屏風の右下に目をやると、梅と椿の幹が異なる質感で入念に描き分けられており、自然観察の鋭さと表現力の高さが感じられます。 第2章:千葉時代 第2章では、掛軸だけではなく小さな色紙に描かれた作品が多く展示されているのが印象的でした。 色紙だけではなく、色紙大に切り取られた画用紙に描かれている作品もあります。 発表の場が限られていた一村にとって、色紙という小さなキャンバスは、気軽に描ける大切な表現の場だったのでしょう。 また、千葉時代の一村は、江戸時代の文人画や古典的な山水画を学び、作品に昇華していきました。 このころの一村は、羅漢像や観音像など宗教的なテーマをモチーフにした作品も多く描いています。 作品によってさまざまなタッチで描かれており、筆を走らせるように大胆に描かれた絵から、観音像の装飾品を繊細に表現した作品まで、幅広い表現技法が印象に残っています。 また、公募展で唯一入選を果たした作品も展示されていました。 『白い花』紙本金砂子地着色/屏風/2曲1双(1947年9月/田中一村記念美術館蔵) 第19回青龍展で初入選を果たしており、画号を柳一村にあらためて挑戦した際の作品です。 ヤマボウシの白い花とその緑の葉で画面が覆いつくされており、花々の間に伸びる竹の枝には、ひときわ目を引くトラツグミがとまっています。 この作品は、多くの下書き線が残されているのが特徴です。 村が自らの構図の癖を少し整理し、新たな画面構成と描写に挑戦した姿勢がうかがえます。 『黄昏』紙本着色/額装/1面(1948年/株式会社ジャパンヘルスサミット蔵) 画面に夕陽は描かれていませんが、モチーフの後方に沈みゆく太陽があることを予感させるように、モチーフの縁が薄く輝いているのが印象的でした。 淡い色合いのグラデーションにより描かれた空は、黄昏時の儚さや静けさを繊細に表現しているように感じられます。 夕日の光を受けたモチーフの繊細な輝きが、画面に流れる時間の儚さと、瞬間の美を見事に捉えており、彼の芸術的な深さと感受性が感じられる作品でした。 ほかにも、鶏を描いた作品も多く見受けられました。 一村は、繊細な表現を実現するために、死んだ鳥を横たわらせ、その姿をさまざまな方向からスケッチしたとも伝えられています。 特に驚いたのが、鶏の足の表現です! 固い皮膚の模様が非常に細かく描かれており、そのディテールはまるで鶏が古代の恐竜から進化してきたことを思い起こさせてくれるほどでした。 第3章:己の道 奄美へ 第3章では、一村が50歳で単身奄美大島へと移住し、自然を題材にして独自の絵画世界を築き上げた時期の作品が展示されています。 奄美の自然に魅了され、生涯奄美の風景を描き続けたこの時代の作品は、彼の芸術の頂点ともいえるでしょう。 『奄美の海に蘇鉄とアダン』絹本墨画着色/額装/1面(1961年/田中一村記念美術館蔵) この作品は、一村が奄美から一度千葉に戻ったときに描いた作品です。 横長の画面に広がるのは、一村が奄美で目にした自然の光景が、まるで眼前に広がっているかのように描かれています。 奄美特有の珍しい植物が生き生きと描かれており、左上には木立朝鮮朝顔が、下には蘇鉄の雌花、右にはアダンが墨彩で描かれています。 画面に生い茂る葉の間からは、奄美の青い海と沖にそびえる立神の岩が。 立神は、遠くのネリヤカナヤから神が渡ってくるとされる神聖な島で、地元の信仰の対象となっています。 単なる奄美の自然だけではなく、神聖なモチーフを構成に盛り込んでいることから、奄美についてより深く理解しようとする一村の心が感じられます。 一村が奄美に強く惹かれていたことがうかがえますね。 ほかにも、一村が制作した晩年の作品が企画展のハイライトを飾っています。 今回の企画展のポスターにもなっている『アダンの海辺』や、代表作『不喰芋と蘇鐵』は、一村が奄美の植物や風景に寄せた深い愛情と洞察を感じさせる作品です。 一村が奄美の自然をどれほど深く見つめ、理解しようと努めたかが鮮明に表現されています。 さらに、未完の大作『白花と瑠璃懸巣』や『枇榔樹の森に赤翡翠』も展示されており、一村の芸術家としての情熱と意欲がいかに強かったかを物語っていますね。 また、企画展の締めくくりとして、約5分の映像が上映されており、一村が実際に目にした奄美の風景が映し出され、彼の作品の源となった美しい自然の姿がリアルに感じられます。 「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」のグッズについて 「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」を見終わったあとはオリジナルグッズもチェックしましょう! ショップには、一村の芸術を日常に取り入れられる素敵なグッズが揃っていました。 定番のポストカードやスマホショルダー、ミニ屏風などとともに、泥染めTシャツといったグッズも販売されています。 また、奄美に移住した一村が頻繁にモチーフとして取り上げた植物「アダン」をテーマにしたオリジナル商品が豊富で、どれも個性的かつ魅力的です。 本展会場でしか手に入らないオリジナルグッズもあり、どれも一村の芸術的な世界観を身近に感じさせてくれるアイテムばかりです。 ぜひ、「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」鑑賞後は、展覧会の余韻を楽しむためにお立ち寄りください。 グッズショップを出てすぐ左手側には、一村の作品が印刷された缶バッジとアクリルキーホルダーのガチャガチャが設置されていました。 1回300円と手ごろな価格のため、ちょっとしたお土産が欲しい方にお勧めです! 「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」のフォトスポット 企画展示室内は、すべて撮影禁止となっていますが、グッズショップを出た後の廊下に、フォトスポットが2ヶ所設置されています! 1つ目は、ポスターにもなっている『アダンの海辺』のフォトスポットです。 2つ目は、代表作の『不喰芋と蘇鉄』です。 展示室内は撮影ができませんが、2つもフォトスポットが用意されているため、企画展を楽しんだ後は、写真を撮って帰宅後も余韻に浸りましょう。 作品を通して田中一村の人生を辿る「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」 「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は、一村が全身全霊をかけて描き続けた作品群を通じて、彼の生涯と情熱の軌跡をたどることのできる企画展です。 彼の描いた風景や植物は、澄んだ光にあふれ、彼の内なる情熱と魂の輝きを静かに伝えているかのようです。 今回の企画展を通じて、一つひとつの作品だけではなく、幼いころから卓越した画才をもっていた一村が奄美に魅了され、晩年を奄美の豊かな自然をモチーフにした作品に全力を注ぐまでの物語を楽しめました! 東京都美術館は、上野駅から近い場所に位置しており、企画展鑑賞後は上野公園内をゆっくり散歩しながら、展示会や作品を振り返ってみるのもお勧めです。 また、上野公園内にはいくつかカフェがあります。 スターバックスにはテラス席があり、天気のよい日には外の席でコーヒーを飲みながら友人と企画展の感想を言い合うのもよいですね。 店舗情報 スターバックス 上野恩賜公園店 https://store.starbucks.co.jp/detail-1087/ 開催情報 『田中一村展 奄美の光 魂の絵画』 場所:東京都美術館 東京都台東区上野公園8-36 期間:前期展示2024/9/19~2024/10/24 後期展示2024/10/25~2024/12/1 公式ページ:https://www.tobikan.jp/ チケット:一般2,000円、大学生・専門学校生1,300円、65歳以上1,500円 ※詳細情報や最新情報は公式ページよりご確認ください
2024.10.27
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月岡芳年の多彩な作品から明治時代を視る「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」に行ってみた!
皆さんは、月岡芳年(1839年-1892年)という画家を知っていますか? もし、江戸時代の浮世絵を代表するのが「葛飾北斎」や「歌川広重」なら、明治を代表する浮世絵師としては、間違いなく「月岡芳年」の名が挙がるでしょう。 芳年は、残酷な戦場や戊辰戦争をテーマにした浮世絵を多く残しており、時には「血まみれ芳年」と呼ばれることも。 一方で、幅広いテーマで絵を描いており、幕末から明治期の浮世絵界をけん引した人物でもあるのです。 今回は、町田市立国際版画美術館で開催中の「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」を訪れ、芳年の作品世界と彼の生涯に迫ります。 「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」は町田市立国際版画美術館にて開催中 「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」は、町田市立国際版画美術館で開催されている展示会です。 町田市立幕末から明治期にかけて活動した浮世絵師・月岡芳年の作品に焦点を当て、彼の描いた「歴史」にまつわる浮世絵の世界を紹介しています。 この企画展では、明治政府の国家観や古事記に登場する神話の人物、忠義を尽くす賢臣たちを題材にした芳年の作品が多く見られます。 また、晩年の作品には、幽玄な雰囲気が漂う講談や謡曲を基にした描写が含まれ、静と動の表現を駆使し、多くの人々を魅了する芳年の画風が存分に堪能できるでしょう。 展示には芳年の弟子である水野年方や右田年英、また芳年に私淑した小林清親などの作品も展示され、芳年が後進に与えた影響も垣間見える内容となっています。 この展示は、2024/9/13~2024/12/1まで開催されており、明治時代の芸術と歴史の奥深さを堪能できる貴重な機会です。 今回の、企画展は町田市立国際版画美術館の2階「常設展示室」で行われているものになります。 なんと入場無料のため、どなたでも気軽に月岡芳年の作品を楽しめます! 普段、浮世絵を観る機会がないという方も、ぜひ気軽に足を運び、浮世絵のそして歴史絵画の魅力を味わってみましょう。 大充実の展示で、明治時代の作品を堪能 今回訪れた「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」は、なんといっても入場無料で鑑賞できるのが大きな魅力です。 また、展示室内の撮影も可能となっており、写真を撮影してあとから振り返りもできます。 鑑賞中のマナーについて書かれた案内をよく読み、大きなシャッター音やフラッシュ撮影、三脚を使用した撮影などは、ほかのお客さまの迷惑にもなるため控えましょう。 常設展示室は正方形の部屋で、壁一面に月岡芳年の作品がずらりと並ぶシンプルな作りの企画展でした。 シンプルであるからこそ、一つひとつの作品をじっくりと鑑賞できますね。 展示室内入ってすぐの壁面には、月岡芳年と今回の企画展を紹介する文章が展示されています。 こちらをしっかりと読み、一つひとつの作品を堪能していきましょう。 作品数は前期・後期それぞれ35点あり、すべて入れ替えとなるため時期をずらして2度訪れれば、70点もの作品を鑑賞できます。 無料の展示会でありながらもボリュームがあり、月岡芳年好きには堪らない展示会ですね。 テーマに沿って描かれた作品が勢ぞろい 今回の展示では、月岡芳年の代表的シリーズ「大日本名将鑑」「新形三十六怪撰」「月百姿」など、彼の多彩なテーマ作品がそろい、まさに芳年の創作の幅広さを実感させるものでした。 芳年は、生涯で約1万点の作品を手がけ、同じテーマでも多くの作品を生み出したことから、各テーマごとに描かれた絵を比較しながらの鑑賞も楽しめ、一つひとつの作品だけで見るときとはまた違った発見ができる魅力もあります。 芳年の作品テーマは500ほどあり、同じテーマ内において複数の作品を制作しており、中には同じテーマで100点の作品を描いているものもあるそうです。 江戸時代から続く浮世絵の美しさとともに、複数のテーマで繰り返し制作する芳年の姿勢から、歴史や物語に対する芳年の深い愛着と探究心がうかがえますね。 大日本名将鑑:武者絵シリーズ 大日本名将鑑は、1877年ごろに制作された全51図におよぶ通史的な武者絵シリーズです。天照大神から徳川家光まで、神話や歴史上の偉人たちが描かれ、源頼朝や足利尊氏などの中世武将、また織田信長や徳川家康といった近世の名将もテーマとなっています。 また、神武天皇や日本武尊といった古代皇族も含まれており、1872年に明治政府が尊皇愛国思想の教化を促進していたことが関係しているといわれています。 芳年は、天皇の正統性を視覚的に示す作品を通して教育的意図も込めたと考えられているのです。 また、画風においては写実性や陰影を生かした西洋画の影響が随所に表れています。 構図にも工夫が凝らされており、人物の斜めや背後からの姿勢を巧みに表現し、彼のデッサン力が光る作品に仕上がっています。 また、かつて「血みどろ絵」で知られた芳年ですが、このシリーズでは残酷表現が見られず、武将たちの壮麗さを前面に出している点が、また違った魅力です。 『天照皇大神』1882年/大判錦絵 『天照皇大神』は、1882年に制作された作品で、有名な天岩戸伝説をテーマにした大判錦絵です。 この作品では、太陽神である天照大神が弟の素戔嗚尊の横暴に怒り、天岩戸に隠れてしまった様子が描かれています。 天照大神が隠れたことで、世界は暗闇に包まれ、神々は困り果てます。 そこで、彼らは岩戸の前で宴を開き、天宇受売命が舞を踊って天照大神の興味を引きつけ、岩戸から顔を出した瞬間を見逃さず、天手力雄神は岩を動かして天照大神を外に出すのです。 この作品では、まさに天手力雄神が岩を動かして、天照大神の姿が外に出る瞬間を描いています。 岩戸の内側と外側のコントラストが強調されている点が目を引きます。 古代の神々の話ではありますが、感情やドラマがリアルに感じられるとともに、明暗のコントラストから天照大神の存在がいかに重要であるかが分かる作品ですね。 新形三十六怪撰:妖怪画シリーズ 新形三十六怪撰は、幕末から明治初期にかけて活躍した芳年による妖怪画の連作で、1889年に刊行が開始され、1892年に完結しました。 全36点から構成されるこの作品は、古来の妖怪を新しい感覚で描写した点が特徴です。「新形」という題名には、妖怪の新たな表現を意味するほか、「神経」に掛けているとも考えられています。 画面の枠が虫食い状にデザインされているのは、劣化を示すものではなく、芳年の神経異常を反映した幻覚を表しているという説が。 妖怪画であるにもかかわらず、多くの作品では妖怪そのものよりも、それらを見る人間の姿を中心に描いています。 たとえば、『仁田忠常洞中に奇異を見る図』や『業平』では、妖怪を見る人間だけが描かれていますね。 また、『清盛福原に数百の人頭を見るの図』では、襖の取っ手と月が重なり、髑髏のように見えるように描いており、隠し絵のような楽しみ方も。 妖怪や怪異を隠し絵のように表現することで、人間の妄想であるかのような解釈ができるよう意図されているのです。 『小早川隆景彦山ノ天狗問答之図』1892年/大判錦絵 『小早川隆景彦山ノ天狗問答之図』は、1892年に制作された作品で、天狗と対峙する小早川隆景を描いた大判錦絵です。 画面の左側には、緑の直垂姿で立つ隆景が描かれており、右側には山伏の姿をした天狗が堂々と立つ様子が描かれています。 作品全体に引かれた筋は、天狗が起こした突風を象徴しており、自然の力が表現されています。 この作品は、神木を伐採しようとする隆景と、それを戒める天狗との対話の様子を描写しています。 突風のすき間からしか姿は見えませんが、聡明であった隆景が一歩も引かず、天狗と対峙している姿勢は非常に印象的です。 彼の毅然とした態度は、無謀とも勇気とも捉えられる心情の狭間で揺れ動く人間の姿を象徴しているように感じられます。 この作品からは、自然との共存や神々の力の強大さについても深く考えさせられますね。 芳年の独特な画風が、天狗の堂々たる姿を強調しており、観る者に強いメッセージを与えてくれます。 月百姿:歴史画シリーズ 月百姿は、1885年から1891年にかけて発表された浮世絵の揃い物作品です。 このシリーズは、日本や中国の物語、伝承、歌舞伎をテーマにした「月」に関連する100の歴史的な絵です。 月岡芳年は、武将や美人、幽霊、怪物、動物など、さまざまな主題を描き出し、その多様性が大きな魅力となっています。 月百姿では、月の表現も満月や三日月、半月に加え、戦国武将の甲冑の前立としての三日月など、主題に応じて多彩に変化します。 写生に強いこだわりを持つ月岡芳年の作品は、写実性とともに幻想的な雰囲気を醸し出し、観る者を惹きつけているのです。 背景に関しても、シンプルな構図から月を主題と同じサイズで描く斬新な手法まで、さまざまなアプローチが見られ、100図それぞれが独特の個性を持っているのが見どころです。 月百姿は、月岡芳年の人生の集大成ともいえる作品であり、彼の浮世絵師としての技術が余すところなく表現されています。 『貞観殿月』1888年/大判錦絵 1888年に制作された『貞観殿月』は、弓の名手である源経基が一矢で鹿を仕留める瞬間を描いた大判錦絵です。 芳年の他の作品『大日本名将鑑』の六孫王経基と同様、経基の鹿退治をテーマにしています。 こちらの作品では、経基が後ろ姿で描かれ、彼が弓を放った一瞬を捉えることに重きを置いています。 後ろ姿ではありますが、弓を放った瞬間の躍動感ある佇まいから、経基の力強さや集中力の高さを感じさせてくれますね。 弓を引く瞬間の緊張感が際立っており、大きな絵ではありませんが迫力を感じました。 また、同じテーマを扱った『大日本名将鑑』の六孫王経基と見比べると、月岡芳年の異なる視点や技術の変化を楽しめます。 https://daruma3.jp/ukiyoe/433 門下の水野年方・右田年英・尾形月耕・小林清親らの作品も展示されている 「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」では、月岡芳年の作品だけではなく、明治時代に活躍した水野年方・右田年英・尾形月餅・小林清親らの作品も展示されています。 水野年方の作品は、前期に『楠正行弁の内侍を救ふ図』、後期に『本多忠勝小牧山軍功図』が展示され、右田年英は英雄三十六撰シリーズ、尾形月耕は月耕随筆、小林清親は小学日本略史などの作品が展示されています。 月岡芳年の作品とともに鑑賞して、日本の歴史を眺めるとともに、浮世絵師ごとの特徴の違いに目を向けてみるのもよいですね。 共通点を見つけてみたり、違いを発見してみたりと、さまざまな楽しみ方ができます。 充実のグッズを見るのも楽しみの1つ:企画展限定のものも! 町田市立国際版画美術館のミュージアムショップでは、図録や美術関連書籍に加え、和雑貨や缶バッジ、町田のお菓子、創作絵本など、さまざまなアイテムを取り揃えています。 特に企画展に合わせた期間限定グッズも見逃せません。 おすすめは、ここでしか手に入らないオリジナルの絵葉書やメモ帳などのグッズです。 アートや文化に触れながら、特別なアイテムを見つけてください。 明治時代を盛り上げた浮世絵師・月岡芳年の作品を鑑賞できる「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」 今回、町田市立国際版画美術館で開催中の「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」を訪れた感想を紹介しました。 本企画展では、歌川国芳の弟子であり、血みどろ絵で有名な月岡芳年の浮世絵作品が楽しめます。 無残絵が有名な芳年ですが、実は妖怪画や歴史画、武者絵などもたくさん描いているのです! 今回の企画展では、無残絵の印象を強く持っている人たちにとっては、芳年の新たな一面を発見できるのではないでしょうか。 今回の展示を通して、芳年の多彩な才能に触れてみるのもよいでしょう。 また、町田市立国際版画美術館にはドリンクと軽食が楽しめる「喫茶けやき」があります。 日本橋に本店を持つ「ミカド」のコーヒーやケーキを楽しめるとともに、人気のグリルサンドや、季節ごとの旬の食材を使用したパフェ、企画展に合わせた期間限定メニューなど、手作りの豊富なメニューがそろっています。 店内から見える芹ヶ谷公園の緑は、季節ごとに変化し、訪れる人々に癒しを与えてくれるでしょう。 企画展鑑賞後は、月岡芳年が描いた作品の余韻を味わうとともに、おいしいコーヒーやケーキを楽しむのもおすすめです。 開催情報 『明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に』 場所:〒194-0013 東京都町田市原町田4-28-1 期間:2024/9/4~2024/12/1 公式ページ:https://hanga-museum.jp/ チケット:入場無料 ※詳細情報や最新情報は公式ページよりご確認ください https://daruma3.jp/kottouhin/708
2024.10.26
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絵巻の魅力を無料で体験!「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」を見に行ってみた
皆さんは、絵巻を鑑賞したり触れたりした経験はありますか? 絵巻物とは、古来より描かれてきた日本美術の一つで、紙や絹を横方向につないで端に巻軸をつけたものです。 くるくると広げながら展開していくストーリーを楽しむ独特なスタイルに惹かれる人も多くいます。 そんな日本独特の美術である絵巻物を無料で鑑賞できる企画展が、国立国会図書館で開催されています! 今回は、国立国会図書館の新館で開催されている、「ひろげてまいてあらわれる絵巻の世界」に行ってきました! 横長の巻物形式を活かし、時間の経過や物語の進行を絵で連続的に表現した独特の美術を楽しみたい方は、ぜひ訪れてみてください。 「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」は国立国会図書館 新館にて開催中 絵巻物の魅力に触れられる「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」は、国立国会図書館の新館で開催されています。 国会議事堂のすぐそばにある国立国会図書館は、本館と新館に分かれており、企画展が開催されているのは「新館」のため、間違えないよう注意しましょう。 また、国立国会図書館へ入場するためには、利用カードの発行が必要ですが、企画展への入場に利用カードは必要ありません。 どなたでも無料で鑑賞できるため、気軽に楽しめます。 雅な王朝貴族の世界や異界の物語などが描かれた絵巻物の世界を体感しましょう! なお、展示室内の撮影は許可されていますが、国立国会図書館内の撮影はできないため、展示室の外での撮影は控えてください。 いざ、時代を超えて、絵巻の世界へ! 「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」の展示は、大きく第1章と第2章に分かれています。 それぞれが絵巻物の異なる側面を紹介している点にも注目してみましょう。 第1章の「絵巻で楽しむ物語」では、平安時代から続く物語絵の世界が楽しめます。 右から左へと続く長い絵を広げると、貴族たちの優雅な日常や、異界との接触が描かれた幻想的なシーンが次々に現れます。 絵巻物の醍醐味は、時間の流れや場面の変化を一連の画面で体験できることです。 貴族社会で広がった物語絵の楽しみ方を、展示を通じて追体験していきましょう! 第2章の「模写された絵巻のみどころ」では、絵巻物が模写され伝わってきた歴史や、その複写から得られる新たな視点に焦点を当てています! 長い年月の中、原本が焼失や欠損により失われたものでも、模本(複製)に残る情報や、オリジナルとは異なる部分を持つ模写作品の魅力が紹介されています。 さらに、妖怪の行列や異界との接触を描いた「異界・異類」をテーマにした作品群も展示されており、絵巻物が持つ独特の空間表現を存分に楽しめる企画展です。 「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」の展示会を通して、時空を超えて受け継がれてきた絵巻物の魅力に、ぜひ触れてみましょう! なお、東京の国立国会図書館で開催される企画展は、3期に分かれており、10/1~10/12・10/15~10/26・10/28~11/9で展示品の入れ替えが行われるため、たくさんの絵巻物をみたい方は、ぜひ時期をずらして何度も訪れてみてください。 第1章:絵巻で楽しむ物語 第1節の「王朝を舞台とした絵巻」では、平安貴族たちの日常や心の動きを美しい詞書や和歌とともに描かいた絵巻を楽しめます。 注目すべき技法は、引目鉤鼻や吹抜屋台です! 引目鉤鼻は、目を細い線で描き、鼻を鉤のように「く」の字に描く独特な技法のことで、吹抜屋台は、斜め上の視点から見た室内の模様を描く技法のことです。 絵巻物には、感情のこもった一瞬が込められており、一つひとつのシーンのストーリーと登場人物の心情を思い浮かべながら鑑賞してみるのもよいでしょう。 代表的な作品には、『源氏物語絵巻』や『寝覚物語絵巻』などがあります。 第2節「説話を題材とした絵巻」では、民話や伝説など口承で伝わってきた物語を描いた作品が楽しめます。 第1節の絵巻とは少し雰囲気が異なり、登場人物たちの表情が豊かで、まるで彼らの喜怒哀楽が画面から飛び出してくるような印象があります。 また、異時同図法という技法により、一つの画面に複数の時間軸が描かれ、連続画面で展開されるストーリーは、まるでアニメーションのように動きを感じさせます! 民話や伝説が伝えられてきた「説話」の世界では、日常を超えた奇想天外な物語に触れ、臨場感のある物語を楽しめました。 第3節「合戦・寺社縁起絵巻」では、平安時代後期から鎌倉時代、南北朝時代にかけて長く続いた戦乱の時代に誕生した合戦絵巻が展示されています。 横長の絵巻の中で繰り広げられる合戦は、戦場の緊迫感が見事に描かれていて迫力がありました! 武将たちの勇ましい姿や、緻密に描かれた武器、甲冑の描写は、歴史の貴重な資料にもなっています。 一方で、動乱の中で、仏教が人々を救済する存在として描かれる寺社縁起絵巻も見逃せません。 戦乱の中で生きた人々が救いを求めた仏教の教えが、どのように絵巻に表現されているのか、ぜひ間近でご覧ください。 そしてここで、たくさんの絵巻を鑑賞していて一つ気になったことが。 絵巻に登場する人物や動物にメモ書きのような単語がいくつも書き込まれているのです。 鑑賞を進めていくとその答えが分かりました! 実は、人や動物に描かれている文字は、色指定のメモのようです。 よく見ると文字が書かれている人や動物には色が入っていませんね。 文字が書かれた絵巻は、鑑賞用ではなく手控えとして作成された模本ではないかと考えられています。 第4節「御伽草子を描いた絵巻」では、室町時代に生み出された「御伽草子」と呼ばれる短編物語が展示されています。 鳥や獣、さらには器物までもが主人公になるユーモアたっぷりの物語が描かれているのが印象的です。 時にコミカルでありながら、時に涙を誘うストーリーは、室町時代の庶民たちの生活や希望を映し出しています。 第2章:模写された絵巻のみどころ 第1節「模写のいろいろ」では、オリジナルの絵巻を忠実に写した「現状模写」や、欠損部分を復元して描き直す「復元模写」など、多様な模写の世界を楽しめます。 「模写」と聞くと、ただの複製と思うかもしれませんが、実はその過程には奥深い意味が込められているのです。 時代を超えた絵巻の保存と伝承は、模写の技術と情熱によって支えられてきました。 職人たちが時をかけて、消えゆく芸術を未来に繋ぐような作業が続けられているのです。 第2節「異界・異類の描かれ方」では、異界や異類を描いた絵巻が展示されています。 人間の言葉を話す動物や妖怪たちが登場する絵巻は、現実世界とは違った幻想的な風景を私たちに見せてくれます。 特に「境界」というテーマでは、橋や峠、水辺など、現実と異界を結ぶ曖昧な場所が舞台となり、不思議な出来事が起こる様子が描かれています。 これらの絵巻を見ていると、日常の風景の中に隠された異世界が存在するように感じ、想像力を掻き立てられますね。 第3節「奥書でわかること・わからないこと」では、絵巻の末尾に記された「奥書」に関する知識を学べます。 絵巻の末尾に記された「奥書」は、その絵巻が辿ってきた歴史を教えてくれる貴重な手がかりです。 作者や模写者、所有者の情報が記されていることが多いのですが、時には誤った情報が書かれていることも。 例えば『結城合戦絵巻』には、複数の模写が存在し、奥書に書かれた内容と実際の絵が一致しないこともあるのです。 第4節「絵巻の周辺1 資料としての絵巻」では、日本の歴史をたどる貴重な資料としての絵巻が展示されています。 絵巻は単なる芸術作品としてだけでなく、資料としても重要な役割を果たしているのです。 絵巻はときに、日本の医学史を知る上で貴重な資料となっています。 第5節「絵巻の周辺2 絵巻の印刷」では、印刷技術を用いて作られた絵巻を鑑賞できます。 印刷技術の進化に伴い、多くの人々が絵巻を手に取れるようになった歴史も紹介され、絵巻がどのように広まり、人々の生活に根付いてきたかが理解できる展示です。 絵巻の世界は、私たちに歴史、物語、そして人間の想像力の力を感じさせてくれます。 この展示を通して、日本の絵巻文化に対する理解を深め、かつての人々が描いた世界に思いを馳せることができるでしょう。 ぜひ、ひろげて、まいて、あらわれる絵巻の魅力に浸ってみてください! 企画展の最後には、絵巻のレプリカを使ってひろげてまく体験ができるスペースが用意されていました! 説明書きに沿って絵巻を実際に広げていくと、絵巻が描かれた平安時代に戻って物語を楽しんでいるような感覚を味わえました。 いつか本物の絵巻に触れて鑑賞する日が来るかもしれません。 そのときにスムーズに絵巻を広げて鑑賞できるよう、こちらで練習しておくのもよいですね。 「ひろげてまいてあらわれる絵巻の世界」展で絵巻の世界に入り込もう 今回、国立国会図書館で日本の絵巻物鑑賞を楽しみました! 絵巻物は、巻物を少しずつ広げていく独特な鑑賞スタイルが特徴で、読んでいると別世界へと誘われているような感覚になります。 横長の絵巻物を広げていくと絵と物語が進んでいき、貴族の優雅な日常や、風変わりな姫君、空を飛ぶ米俵世界など、さまざまな物語の中に引き込まれてしまいます。 気がつけば、鬼や化け物が現れる異界へと引き込まれていることも。 絵巻物は、時代や場所を超えた幻想的な世界を私たちに見せてくれ、見る者を夢中にさせてくれる美術作品です。 不思議で魅力的な空間が、手元の巻物を通じて繰り広げられる瞬間は、まさに魔法のようでした! なお、図書館で開催されている企画展のため、特別グッズ販売などは行われていませんでした。 また、企画展を鑑賞してお腹がすいたら、国立国会図書館内にある喫茶や食堂を利用しましょう。 本館6階に食堂、4本館3階と新館1階に喫茶があります。 利用カードがないと入れませんが、この機会に作成して利用するとともに、気になった絵巻に関する情報を図書館内で調べてみるのもよいでしょう。 「ひろげてまいてあらわれる絵巻の世界」は、2024/10/1~2024/11/9の期間、国立国会図書館が所蔵する絵巻物の展示が無料で行われています。 また、2024/11/15~2024/11/29までは関西館でも開催されます。 どちらも入場無料で鑑賞できるため、この機会にぜひ絵巻物の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。 開催情報 『ひろげてまいてあらわれる絵巻の世界』 場所:〒100-8924 千代田区永田町1-10-1 期間:2024/10/1~2024/11/9 公式ページ:https://ndlsearch.ndl.go.jp/gallery/emaki チケット:入場無料 ※詳細情報や最新情報は公式ページよりご確認ください
2024.10.26
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相続した実家の蔵に眠る骨董品は買取してもらえる?
骨董品と聞くと、高価なものや希少なものを想像して、意外なほど身近にあるのに気が付かないことがあります。 例えば、実家の蔵に使われず保管されている家具や食器、絵画や掛け軸などの中に、先祖・家族から伝わる骨董品が眠っている可能性があるのです。 実家の蔵にある骨董品を買い取ってほしい 最近は実家に蔵がある家は少なくなってきました。 蔵がある場合には、先祖や家族によって大切にされていた骨董品が、再び日の目を見ることを待ち、眠っている可能性があります。骨董品とは、古いものの中で、特に希少性や芸術的・文化的な価値が高いものを指すのが一般的です。 もしも、遺品の整理や相続、物件売却などで蔵の整理が必要になった際に、価値が知られていない骨董品は、そのまま捨ててしまうかもしれません。 また、不用品もすべてまとめて買い取ってほしい場合もあるでしょう。 蔵にある品物が骨董品かどうか分からないとき、不用品の処分も兼ねて買い取ってほしい場合など、どう対応するべきなのでしょうか。 骨董品らしきものが出てきたとき 実家の蔵を整理していると、骨董品らしきものが出てくることがありますが、専門的な知識のない一般人には、価値のあるものかどうか判別できません。 骨董品は古いもの(一般的には100年以上前のもの)かつ、高い文化的・美術的価値を持つものとされ、その価値は作者や製作年代、保存状態などさまざまな要素によって決まります。しかし、蔵に眠っている骨董品らしき品物の価値を正確に見極めるのは困難です。 このような場合には、いくつかの方法が考えられます。 骨董品買取業者へ相談 何事も、困ったときにはまず専門家の意見が大切です。 骨董品らしきものを発見したら、骨董品買取業者に相談するのが良いでしょう。 骨董品買取業者には、骨董品の種類や価値に精通した専門家がおり、骨董品の適正な価値を査定してくれます。ただし、買取業者によって専門とする骨董品の種類が異なるため、適正な価格を見定めるためには、複数の業者への見積もり依頼がお勧めです。 また、出張査定や宅配買取のサービスを提供している業者もあり、蔵を整理したい場合に重宝します。 遺品整理・不用品回収業者へ相談 何らかの理由により、骨董品回収業者に相談するのが難しい場合や、骨董品以外の物品も一緒に処分したい場合などは、遺品整理・不用品回収業者へ相談する選択肢もあります。 遺品回収業者・不用品回収業者であれば、蔵や倉庫の中のものをまとめて引き取ってくれるため、処分が目的であれば非常に便利です。しかし、回収業者の中には、骨董品の査定や買取に対応してくれる業者もありますが、査定価格の理由などを詳しく教えてくれない場合もあります。 また、回収が専門の業者では、骨董品の価値を見逃すこともあり、価値の高い骨董品を安く買い取られてしまうリスクも考慮すべきです。 蔵の整理のために遺品整理・不用品回収業者に依頼する場合は、事前に費用や条件を詳細に確認しておくことをお勧めします。 ネットオークション、フリマなどで売却 自分である程度の価値を見極められるものを売る場合や、どうしても希望の金額以上で売りたい場合には、ネットオークションやフリマアプリ・フリーマーケットなどで自ら売却する方法もあります。 ネットオークションやフリマアプリでの売却は、査定のために業者に来てもらう手間が省けることや、自分で価格を設定できる点がメリットです。 買い手との条件がうまく合致すれば、買取業者に依頼するよりも高い値段で売れる場合があります。 しかし、実は高価な骨董品の価値を知らずに安く売ってしまったり、いつまでも売れなかったりといったリスクがあると理解しておかなければなりません。売却や発送など、対応に手間がかかることもデメリットです。 価値があるものがあるか全く分からないとき 実家の蔵の中には、ひょっとしたら値打ちの高い骨董品が眠っているかもしれませんが、その価値を的確に判断するのは非常に困難です。 蔵や倉庫の中にあるものの中に骨董品があるか分からない場合は、以下のような手順で対応してみてはいかがでしょうか。 02:骨董品の可能性がある場合、サイン・落款や付属品を確認してみる 明らかに骨董品ではないものを分別したら、骨董品の可能性があるものにサインや落款、箱や鑑定書などの付属品がないかどうかを確認します。 作家が作品に記した署名や印のことを落款といい、サインや鑑定書と同様に作品の年代や産地を判断する有効な手がかりとなります。 また、箱や袋、証明書、鑑定書などは、作品の真贋や保存状態を証明する役割を果たしてくれるでしょう。 03:骨董品買取業者へ相談してみる 蔵から出てきた骨董品と思われる品物が、本当に骨董品の可能性があれば、骨董品買取業者に持ち込んで相談してみましょう。 骨董品かもしれないと分かっただけでは、まだどの程度の価値があるものなのか分かりません。 実際にどれくらいの価値があるかは、専門知識と経験を持つ業者によって判断してもらうのがお勧めです。査定金額の根拠を尋ねられる点も利点といえるでしょう。 事前にどのような骨董品を査定してほしいのかを伝えておくと、査定がスムーズに進行します。また、複数の業者に相談して、おおよその相場を知っておくことも大切です。 04:ネットオークションなど自分で売却を試みる 骨董品買取業者で、骨董品としての価値はないと判断された場合や、自分で価格を設定して売却したい場合には、ネットオークションやフリマサイトなどを利用しましょう。 骨董市やフリーマーケットに参加できるのであれば、そこで売却するのもお勧めです。 オークションやフリマであれば、骨董品としての価値がないものでも、必要としている人がいる場合もあります。買取業者で価格がつかなかった品物が、意外にも高く売れることも珍しくありません。 ただし、売却にかかる手間や、値下げ交渉への対応など、それなりの労力がかかることを念頭におきましょう。 05:遺品整理・不用品買取業者へ引き取ってもらう 複数の買取業者で骨董品としての値打ちがないと判断され、それでも処分や売却を進めたい場合は、遺品整理・不用品買取業者へ引き取ってもらうことを検討しましょう。 遺品整理業者とは、亡くなった人の所有していた物品を、貴重品や形見・不用品などに分類・整理する専門業者を指します。 遺品を手早く分類して蔵のものをすべて持っていってくれるため、なるべく時間をかけず効率的に遺品を整理したい場合に便利です。 一方で、不用品回収業者は、家や倉庫にある不用品を処分する業者であり、品物の仕分けや分類は、依頼者側で行う必要があります。 すぐに蔵を整理したいときにはどうすればいい? 遺品整理や相続、物件売却などの理由で、すぐにでも蔵を整理したい場合には、どうすれば良いのでしょうか。 蔵や倉庫の中に骨董品らしきものがある場合は、まずは骨董品買取業者に相談するのがお勧め。骨董品の価値に詳しい専門家が、適正価値を査定し買い取ってくれます。 査定に来てもらう前に、骨董品の量や保存状態などを伝えておくと、スムーズに査定・買取作業を済ませられるでしょう。 業者によっては家具や食器、衣類、雑貨、家電などを買い取ってくれたり、買取業者を紹介してくれたりする場合もあります。処分したい物品が多い場合は、出張買取サービスを依頼することも可能です。 先祖・家族が大切にしてきた蔵だからこそ、整理は慎重に行いたい 蔵の中には、先祖・家族が大切にしてきた品物が保管されています。 遺品整理や相続・物件売却そのほかの理由で、蔵の中を整理する必要がある場合は、形見の品の選別をして、売却・処分できるものは、なるべく専門の業者にお願いしましょう。先祖・家族が大切にしてきたものが収められた蔵だからこそ、整理や処分は慎重に行いたいものです。
2024.10.19
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骨董品の定義とは?アンティークやヴィンテージとの違いや共通点
古くに作られた価値ある美術品や工芸品などを、骨董品・アンティークと呼びます。 また、ヴィンテージと呼ばれることも。 似た意味で使われている言葉ですが、まったく同じ使われ方をしているわけではありません。 工芸品の購入や売却の際に、それぞれの呼び名の定義を知っておくと、役に立つでしょう。 骨董品の定義は?アンティークとヴィンテージは違うの? 古くに作られた美術品・芸術品・工芸品などを骨董品と呼ぶ場合があります。 また、同様にアンティークやヴィンテージと呼ばれているのを耳にしたことがある人も多いでしょう。 しかし、どのように言葉を使い分けているのかわからない人も多くいます。骨董品・アンティーク・ヴィンテージには、それぞれ定義があるため、違いを把握するとより美術品や芸術品を鑑賞するのが楽しくなるでしょう。 骨董品とは 骨董品とは、希少価値の高い工芸品や美術品を指しています。 1934年にアメリカで定められた通商関税法では、「製造から100年を経過した工芸品・手工芸品・美術品」を骨董品と区分。 また、骨董品とアンティークは、ほぼ同義であるとされています。 骨董品は主に、日本や中国、韓国などの東アジアで作られたものを指す場合が多いようです。 たとえば、日本の伝統工芸品である伊万里焼の器は、骨董品とは呼ばれてもアンティークとはなかなか呼ばれないのではないでしょうか。 日本の掛け軸や茶道具、刀、陶磁器などは骨董品と呼ばれている傾向があります。 明確な定義ではありませんが、明治時代以前に作られたものを「骨董」、明治時代以降に作られたものを「アンティーク」とする考え方もあります。 はっきりとした区別はありませんが、東アジアで作られているかつ製造から100年以上経っているものは、骨董品と呼ぶ傾向があると考えておきましょう。 アンティークとは アンティークと骨董品は、ほぼ同義であると先述しました。 そもそもアンティークは、フランス語で古美術や骨董品を指しているのです。そのため、アンティークもアメリカの通商関税法に基づくと製造から100年を経過したものが該当します。 しかし、100年を経過していないものをアンティークと呼ぶ場合もあります。 アンティークは、主にヨーロッパで作られた工芸品・手工芸品・美術品などを指している場合が多い傾向です。たとえば、ビスクドール、マイセン、ウェッジウッドなどのブランド食器をアンティークとは呼びますが、骨董品とは呼びません。 ヴィンテージとは 骨董品やアンティークと似た意味で使われる言葉に、ヴィンテージがあります。 ヴィンテージは、製造から100年を経過していない、骨董品やアンティークより新しいものを指している傾向があります。 なかでも、1950年~1970年代に作られた美術品・芸術品・工芸品などをヴィンテージと呼んでいるようです。多少アンティークとヴィンテージの年代が被っている場合もありますが、ヴィンテージの方がややカジュアルで新しいもののイメージがあり、アンティークの方がより古く年季が入っているようなイメージです。 たとえば、ペルシャ絨毯では、製造から100年以上経ったものをアンティークと表現しています。欧米では、100年に満たないものをヴィンテージと呼び区別しています。ペルシャ絨毯では、アンティークとヴィンテージで大きく価値が異なることもあるようです。 骨董品は古い方が希少性が高く、価値が高い 骨董品は、古ければ古いほど価値が高まるとされています。 その理由として希少性が挙げられます。たとえば、1800年代に作られた工芸品よりも1300年代に作られた工芸品の方が年月が経過しているため、きれいな状態で現存している可能性は低いといえるでしょう。 数が少ないと希少性が高いといえるため、骨董品としての価値も高まるのです。もちろん、当時の生産数や保管状態など、さまざまな条件によって価値は変動しますが、目安の一つとして作られた時代があると覚えておきましょう。 骨董品・アンティーク・ヴィンテージ、用語を適切に使い分けよう 骨董品・アンティーク・ヴィンテージは、みな昔に作られた美術品・芸術品・工芸品などを指していますが、用いられるタイミングやものが少しずつ異なります。 骨董品とアンティークはほぼ同じ意味を持っていますが、骨董品は東アジア周辺で作られたもの、アンティークはヨーロッパ周辺で作られたものを指す場合が多い傾向です。 ヴィンテージは、骨董品やアンティークよりもやや新しいものに対してよく使われています。 用語を知っておくことで、商品を買うときにも判断基準として使えるとともに、自身が所有しているものを手放すときにも、トラブルを防げるでしょう。
2024.10.19
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骨董品を高く売るコツ、教えます
骨董品は高く売れる場合があると知り、自宅にある骨董品を売りたいと考える方は多いかもしれません。 しかし、初めて骨董品を売る際には、どのようなものに価値があるのか、どうやったら高く売れるのかわからずに諦めてしまうこともあるでしょう。 高く売るためには、骨董品の価値がどのような要素によって決まるのかを知っておく必要があります。 骨董品を高く売りたい!売るためのコツやポイントとは 知人や親戚からもらったり、自宅の倉庫から出てきたり、骨董品は案外身近なところにあるものです。 忘れるほど昔に自分で買ったものが、実は値打ちものだったということもあるでしょう。しかし、実際に骨董品を売却したことがある方は、意外に少ないかもしれません。 骨董品をできるだけ高く売るために、どのようなコツやポイントがあるのでしょうか。 骨董品に価値はある? 骨董品とは、ただ単に古いものを指すのではなく、古くて希少価値のあるものを指します。古いだけで価値のないものは、骨董品ではなく古物やガラクタなどと呼ばれます。 骨董品の多くは工芸品や美術品であり、その価値は、作家や年代、素材、作品の状態などで決まるのが一般的です。 作家物かどうか 有名な作家による骨董品を作家物と呼び、作家の持つ技術や独自性・名声などにより、骨董品の価値が決まります。 骨董品が作家物であるかを判断するためには、作品に刻まれた落款(作者の署名や印)の有無や銘、サインなどの確認が必要です。ただし、落款やサインがあったとしても偽物の可能性があるため、しっかりとした知識と経験のある専門家の目利きを頼るのが良いでしょう。 作家物は、希少性が高いものほど価格が高くなるのが一般的で、需要が高いものほど高額な買取価格がつきます。例えば、焼物の場合、有田焼の名跡である柿右衛門の作品は、数十万円から数千万円の価格で取引されるものもあるのです。落款やサインは、作品に付属する箱や袋に記載されていることもあり、それらも大切に保管しておく必要があります。 いつ頃作られたものか 骨董品の価値を決定づける要素として「いつごろ制作された作品なのか」は、非常に重要です。 骨董品は、古ければ良いというものではありませんが、古いものほど価値が高くなる傾向はあります。 古いものには、歴史的価値があるということもありますが、もっと大きく影響するのは「希少性」です。骨董品は、希少なものほど価値があります。 古いものは、現存する数量が少なくなるため、より古いものの方が希少価値が高まる傾向があるのです。 作家や時代、骨董品の種類によって、制作された年代と流通量に違いがあるため、古ければ価値が高いと断定はできません。しかし、骨董品がいつ頃作られたかを知ることで、適正な価値を判断しやすくなるのは確かでしょう。 素材は何でできているか 骨董品の素材が何かということも、価値を決定づける大切な要素です。 作られたものの種類にもよりますが、骨董品の素材には金属や石・木・陶磁器・動物の骨など、実に多様なものが使われています。 希少性の高い素材が使われているものは、骨董品としての価値も高くなるのが一般的です。骨董品に使われている素材で価値の高いものとしては、象牙や翡翠、琥珀、金、真珠などさまざまなものが挙げられます。 希少性の高い素材があしらわれているものは、高い身分の者が作らせた作品であることも多く、歴史的価値や美術的価値が高いと考えられるのです。 保存状態は良いか 骨董品の価値は、保存状態の良し悪しにより大きく変動します。 骨董品は大半が数十年、数百年前のものであり、経年による劣化や保管状況による破損・汚損の程度は非常に重要です。 保存状態が良ければ、骨董品が本来持っている美しさや品質が保たれているため、価値が高まります。また、保存状態が良いほど、作品が作られた当時の文化や歴史をより正確に伝えてくれるでしょう。 骨董品を良い状態に保つには、骨董品の種類に合った保存方法を慎重に選択する必要があります。例えば、紙に書かれた作品である絵画や掛け軸は、湿気や紫外線が大敵で、不適切な環境で保管した場合には、著しい劣化は避けられません。 骨董品を高く売るためには、温度や湿度・紫外線・虫・衝撃などに注意し、良い状態を保つ工夫が不可欠です。 見積もり金額に納得がいかない… 遺品整理や不用品の回収のため、意を決して買取業者に相談したものの、提示された見積もり金額に納得がいかない。 そのようなときには、どう対処するのが良いのでしょうか。 別の業者にも相談してみる 見積もり金額に不満があり、どうしても納得がいかないという場合は、思い切って別の業者にも相談を持ちかけてみるのがお勧めです。 骨董品の価値はさまざまな要素によって決まるため、買取業者によって提示してくる金額が異なる場合があります。その業者が専門とする分野や在庫の状況によっても買取価格に差が生じるため、複数の買取業者に見積もりを依頼して、おおよその相場を把握することが大切です。 相見積もりによって競争原理が働き、買取価格を上げる業者があるかもしれません。 査定理由を聞いてみる 見積もり金額に納得がいかない場合は、なぜその査定金額になるのか、理由をしっかりと尋ねてみるのも良いでしょう。 買取業者は、骨董品の買取価格を決定する際に、作家や年代、素材、保存状態、希少性など、さまざまな要素を判断材料としています。査定理由を聞くことで、骨董品の価値を決定する要素について知れるため、今後の参考にもなるはずです。査定理由を教えてもらえない場合や、査定理由にも納得できない場合は、相談する業者を変えた方が状況の改善につながるかもしれません。 時期を見直す・売却しない 提示された買取価格にどうしても納得がいかない場合、売却する時期を見直すか、売却しないという選択肢もあります。 時期により価格が変動するものだといわれた場合は、できるだけ高く売れる時期まで待つのが賢い選択といえます。 すぐにでも売却する必要がなければ、価格が上がるまで待つのも良いでしょう。 ただし、骨董品の価値は需要と供給のバランスによって決まり、現在は価値があるものでも将来的に価値が上昇または維持されるとは限りません。 経年による劣化も価格低下のリスクです。 価格の流動性が大きいものを売却する場合は、売却の時期を見極める必要があります。 自分の希望価格を優先させたい 自分の売りたい希望価格が明確にあり、その金額を優先させたい場合は、買取業者ではなく自ら価格を設定して売却することも可能です。自分で価格を決めて売るには、オークションサイトやフリーマーケットやフリマアプリ・骨董市などを利用するのが良いでしょう。 価格設定や需要によっては、買取業者に依頼するよりも高額で売れる可能性があります。 ただし、オークションで希望金額に達しなかったり、フリマで値切り交渉されたりする可能性があることも覚えておきましょう。 適正な価格設定と商品の陳列・売却まで、一切の作業を自らする手間がかかることもデメリットです。 骨董品は市場ニーズで決まるからこそ、実績多数の業者へ相談したい 骨董品の価格は、その品物をどれくらいたくさんの人が欲しいと思うのか、つまり市場ニーズによって決まります。 そして、市場のニーズを正確にキャッチするのは非常に難しいことです。 骨董品を売る場合には、自分の希望価格を優先させたいと考えて、フリマアプリやオークションサイトなどで売却するという場合もあるでしょう。 しかし、市場ニーズはさまざまな要因により変動するため、価格を自分で決めるのは難しく、売れないリスクも伴います。 そのため、骨董品の買取には、実績多数の買取業者に相談することをお勧めします。 経験と実績のある買取業者ならば、骨董品の専門知識を持ち市場価格も把握しているため、適正な査定額を提示してくれるでしょう。
2024.10.18
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