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月岡芳年の多彩な作品から明治時代を視る「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」に行ってみた!
皆さんは、月岡芳年(1839年-1892年)という画家を知っていますか? もし、江戸時代の浮世絵を代表するのが「葛飾北斎」や「歌川広重」なら、明治を代表する浮世絵師としては、間違いなく「月岡芳年」の名が挙がるでしょう。 芳年は、残酷な戦場や戊辰戦争をテーマにした浮世絵を多く残しており、時には「血まみれ芳年」と呼ばれることも。 一方で、幅広いテーマで絵を描いており、幕末から明治期の浮世絵界をけん引した人物でもあるのです。 今回は、町田市立国際版画美術館で開催中の「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」を訪れ、芳年の作品世界と彼の生涯に迫ります。 「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」は町田市立国際版画美術館にて開催中 「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」は、町田市立国際版画美術館で開催されている展示会です。 町田市立幕末から明治期にかけて活動した浮世絵師・月岡芳年の作品に焦点を当て、彼の描いた「歴史」にまつわる浮世絵の世界を紹介しています。 この企画展では、明治政府の国家観や古事記に登場する神話の人物、忠義を尽くす賢臣たちを題材にした芳年の作品が多く見られます。 また、晩年の作品には、幽玄な雰囲気が漂う講談や謡曲を基にした描写が含まれ、静と動の表現を駆使し、多くの人々を魅了する芳年の画風が存分に堪能できるでしょう。 展示には芳年の弟子である水野年方や右田年英、また芳年に私淑した小林清親などの作品も展示され、芳年が後進に与えた影響も垣間見える内容となっています。 この展示は、2024/9/13~2024/12/1まで開催されており、明治時代の芸術と歴史の奥深さを堪能できる貴重な機会です。 今回の、企画展は町田市立国際版画美術館の2階「常設展示室」で行われているものになります。 なんと入場無料のため、どなたでも気軽に月岡芳年の作品を楽しめます! 普段、浮世絵を観る機会がないという方も、ぜひ気軽に足を運び、浮世絵のそして歴史絵画の魅力を味わってみましょう。 大充実の展示で、明治時代の作品を堪能 今回訪れた「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」は、なんといっても入場無料で鑑賞できるのが大きな魅力です。 また、展示室内の撮影も可能となっており、写真を撮影してあとから振り返りもできます。 鑑賞中のマナーについて書かれた案内をよく読み、大きなシャッター音やフラッシュ撮影、三脚を使用した撮影などは、ほかのお客さまの迷惑にもなるため控えましょう。 常設展示室は正方形の部屋で、壁一面に月岡芳年の作品がずらりと並ぶシンプルな作りの企画展でした。 シンプルであるからこそ、一つひとつの作品をじっくりと鑑賞できますね。 展示室内入ってすぐの壁面には、月岡芳年と今回の企画展を紹介する文章が展示されています。 こちらをしっかりと読み、一つひとつの作品を堪能していきましょう。 作品数は前期・後期それぞれ35点あり、すべて入れ替えとなるため時期をずらして2度訪れれば、70点もの作品を鑑賞できます。 無料の展示会でありながらもボリュームがあり、月岡芳年好きには堪らない展示会ですね。 テーマに沿って描かれた作品が勢ぞろい 今回の展示では、月岡芳年の代表的シリーズ「大日本名将鑑」「新形三十六怪撰」「月百姿」など、彼の多彩なテーマ作品がそろい、まさに芳年の創作の幅広さを実感させるものでした。 芳年は、生涯で約1万点の作品を手がけ、同じテーマでも多くの作品を生み出したことから、各テーマごとに描かれた絵を比較しながらの鑑賞も楽しめ、一つひとつの作品だけで見るときとはまた違った発見ができる魅力もあります。 芳年の作品テーマは500ほどあり、同じテーマ内において複数の作品を制作しており、中には同じテーマで100点の作品を描いているものもあるそうです。 江戸時代から続く浮世絵の美しさとともに、複数のテーマで繰り返し制作する芳年の姿勢から、歴史や物語に対する芳年の深い愛着と探究心がうかがえますね。 大日本名将鑑:武者絵シリーズ 大日本名将鑑は、1877年ごろに制作された全51図におよぶ通史的な武者絵シリーズです。天照大神から徳川家光まで、神話や歴史上の偉人たちが描かれ、源頼朝や足利尊氏などの中世武将、また織田信長や徳川家康といった近世の名将もテーマとなっています。 また、神武天皇や日本武尊といった古代皇族も含まれており、1872年に明治政府が尊皇愛国思想の教化を促進していたことが関係しているといわれています。 芳年は、天皇の正統性を視覚的に示す作品を通して教育的意図も込めたと考えられているのです。 また、画風においては写実性や陰影を生かした西洋画の影響が随所に表れています。 構図にも工夫が凝らされており、人物の斜めや背後からの姿勢を巧みに表現し、彼のデッサン力が光る作品に仕上がっています。 また、かつて「血みどろ絵」で知られた芳年ですが、このシリーズでは残酷表現が見られず、武将たちの壮麗さを前面に出している点が、また違った魅力です。 『天照皇大神』1882年/大判錦絵 『天照皇大神』は、1882年に制作された作品で、有名な天岩戸伝説をテーマにした大判錦絵です。 この作品では、太陽神である天照大神が弟の素戔嗚尊の横暴に怒り、天岩戸に隠れてしまった様子が描かれています。 天照大神が隠れたことで、世界は暗闇に包まれ、神々は困り果てます。 そこで、彼らは岩戸の前で宴を開き、天宇受売命が舞を踊って天照大神の興味を引きつけ、岩戸から顔を出した瞬間を見逃さず、天手力雄神は岩を動かして天照大神を外に出すのです。 この作品では、まさに天手力雄神が岩を動かして、天照大神の姿が外に出る瞬間を描いています。 岩戸の内側と外側のコントラストが強調されている点が目を引きます。 古代の神々の話ではありますが、感情やドラマがリアルに感じられるとともに、明暗のコントラストから天照大神の存在がいかに重要であるかが分かる作品ですね。 新形三十六怪撰:妖怪画シリーズ 新形三十六怪撰は、幕末から明治初期にかけて活躍した芳年による妖怪画の連作で、1889年に刊行が開始され、1892年に完結しました。 全36点から構成されるこの作品は、古来の妖怪を新しい感覚で描写した点が特徴です。「新形」という題名には、妖怪の新たな表現を意味するほか、「神経」に掛けているとも考えられています。 画面の枠が虫食い状にデザインされているのは、劣化を示すものではなく、芳年の神経異常を反映した幻覚を表しているという説が。 妖怪画であるにもかかわらず、多くの作品では妖怪そのものよりも、それらを見る人間の姿を中心に描いています。 たとえば、『仁田忠常洞中に奇異を見る図』や『業平』では、妖怪を見る人間だけが描かれていますね。 また、『清盛福原に数百の人頭を見るの図』では、襖の取っ手と月が重なり、髑髏のように見えるように描いており、隠し絵のような楽しみ方も。 妖怪や怪異を隠し絵のように表現することで、人間の妄想であるかのような解釈ができるよう意図されているのです。 『小早川隆景彦山ノ天狗問答之図』1892年/大判錦絵 『小早川隆景彦山ノ天狗問答之図』は、1892年に制作された作品で、天狗と対峙する小早川隆景を描いた大判錦絵です。 画面の左側には、緑の直垂姿で立つ隆景が描かれており、右側には山伏の姿をした天狗が堂々と立つ様子が描かれています。 作品全体に引かれた筋は、天狗が起こした突風を象徴しており、自然の力が表現されています。 この作品は、神木を伐採しようとする隆景と、それを戒める天狗との対話の様子を描写しています。 突風のすき間からしか姿は見えませんが、聡明であった隆景が一歩も引かず、天狗と対峙している姿勢は非常に印象的です。 彼の毅然とした態度は、無謀とも勇気とも捉えられる心情の狭間で揺れ動く人間の姿を象徴しているように感じられます。 この作品からは、自然との共存や神々の力の強大さについても深く考えさせられますね。 芳年の独特な画風が、天狗の堂々たる姿を強調しており、観る者に強いメッセージを与えてくれます。 月百姿:歴史画シリーズ 月百姿は、1885年から1891年にかけて発表された浮世絵の揃い物作品です。 このシリーズは、日本や中国の物語、伝承、歌舞伎をテーマにした「月」に関連する100の歴史的な絵です。 月岡芳年は、武将や美人、幽霊、怪物、動物など、さまざまな主題を描き出し、その多様性が大きな魅力となっています。 月百姿では、月の表現も満月や三日月、半月に加え、戦国武将の甲冑の前立としての三日月など、主題に応じて多彩に変化します。 写生に強いこだわりを持つ月岡芳年の作品は、写実性とともに幻想的な雰囲気を醸し出し、観る者を惹きつけているのです。 背景に関しても、シンプルな構図から月を主題と同じサイズで描く斬新な手法まで、さまざまなアプローチが見られ、100図それぞれが独特の個性を持っているのが見どころです。 月百姿は、月岡芳年の人生の集大成ともいえる作品であり、彼の浮世絵師としての技術が余すところなく表現されています。 『貞観殿月』1888年/大判錦絵 1888年に制作された『貞観殿月』は、弓の名手である源経基が一矢で鹿を仕留める瞬間を描いた大判錦絵です。 芳年の他の作品『大日本名将鑑』の六孫王経基と同様、経基の鹿退治をテーマにしています。 こちらの作品では、経基が後ろ姿で描かれ、彼が弓を放った一瞬を捉えることに重きを置いています。 後ろ姿ではありますが、弓を放った瞬間の躍動感ある佇まいから、経基の力強さや集中力の高さを感じさせてくれますね。 弓を引く瞬間の緊張感が際立っており、大きな絵ではありませんが迫力を感じました。 また、同じテーマを扱った『大日本名将鑑』の六孫王経基と見比べると、月岡芳年の異なる視点や技術の変化を楽しめます。 https://daruma3.jp/ukiyoe/433 門下の水野年方・右田年英・尾形月耕・小林清親らの作品も展示されている 「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」では、月岡芳年の作品だけではなく、明治時代に活躍した水野年方・右田年英・尾形月餅・小林清親らの作品も展示されています。 水野年方の作品は、前期に『楠正行弁の内侍を救ふ図』、後期に『本多忠勝小牧山軍功図』が展示され、右田年英は英雄三十六撰シリーズ、尾形月耕は月耕随筆、小林清親は小学日本略史などの作品が展示されています。 月岡芳年の作品とともに鑑賞して、日本の歴史を眺めるとともに、浮世絵師ごとの特徴の違いに目を向けてみるのもよいですね。 共通点を見つけてみたり、違いを発見してみたりと、さまざまな楽しみ方ができます。 充実のグッズを見るのも楽しみの1つ:企画展限定のものも! 町田市立国際版画美術館のミュージアムショップでは、図録や美術関連書籍に加え、和雑貨や缶バッジ、町田のお菓子、創作絵本など、さまざまなアイテムを取り揃えています。 特に企画展に合わせた期間限定グッズも見逃せません。 おすすめは、ここでしか手に入らないオリジナルの絵葉書やメモ帳などのグッズです。 アートや文化に触れながら、特別なアイテムを見つけてください。 明治時代を盛り上げた浮世絵師・月岡芳年の作品を鑑賞できる「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」 今回、町田市立国際版画美術館で開催中の「明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に」を訪れた感想を紹介しました。 本企画展では、歌川国芳の弟子であり、血みどろ絵で有名な月岡芳年の浮世絵作品が楽しめます。 無残絵が有名な芳年ですが、実は妖怪画や歴史画、武者絵などもたくさん描いているのです! 今回の企画展では、無残絵の印象を強く持っている人たちにとっては、芳年の新たな一面を発見できるのではないでしょうか。 今回の展示を通して、芳年の多彩な才能に触れてみるのもよいでしょう。 また、町田市立国際版画美術館にはドリンクと軽食が楽しめる「喫茶けやき」があります。 日本橋に本店を持つ「ミカド」のコーヒーやケーキを楽しめるとともに、人気のグリルサンドや、季節ごとの旬の食材を使用したパフェ、企画展に合わせた期間限定メニューなど、手作りの豊富なメニューがそろっています。 店内から見える芹ヶ谷公園の緑は、季節ごとに変化し、訪れる人々に癒しを与えてくれるでしょう。 企画展鑑賞後は、月岡芳年が描いた作品の余韻を味わうとともに、おいしいコーヒーやケーキを楽しむのもおすすめです。 開催情報 『明治時代の歴史物語―月岡芳年を中心に』 場所:〒194-0013 東京都町田市原町田4-28-1 期間:2024/9/4~2024/12/1 公式ページ:https://hanga-museum.jp/ チケット:入場無料 ※詳細情報や最新情報は公式ページよりご確認ください https://daruma3.jp/kottouhin/708
2024.10.26
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絵巻の魅力を無料で体験!「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」を見に行ってみた
皆さんは、絵巻を鑑賞したり触れたりした経験はありますか? 絵巻物とは、古来より描かれてきた日本美術の一つで、紙や絹を横方向につないで端に巻軸をつけたものです。 くるくると広げながら展開していくストーリーを楽しむ独特なスタイルに惹かれる人も多くいます。 そんな日本独特の美術である絵巻物を無料で鑑賞できる企画展が、国立国会図書館で開催されています! 今回は、国立国会図書館の新館で開催されている、「ひろげてまいてあらわれる絵巻の世界」に行ってきました! 横長の巻物形式を活かし、時間の経過や物語の進行を絵で連続的に表現した独特の美術を楽しみたい方は、ぜひ訪れてみてください。 「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」は国立国会図書館 新館にて開催中 絵巻物の魅力に触れられる「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」は、国立国会図書館の新館で開催されています。 国会議事堂のすぐそばにある国立国会図書館は、本館と新館に分かれており、企画展が開催されているのは「新館」のため、間違えないよう注意しましょう。 また、国立国会図書館へ入場するためには、利用カードの発行が必要ですが、企画展への入場に利用カードは必要ありません。 どなたでも無料で鑑賞できるため、気軽に楽しめます。 雅な王朝貴族の世界や異界の物語などが描かれた絵巻物の世界を体感しましょう! なお、展示室内の撮影は許可されていますが、国立国会図書館内の撮影はできないため、展示室の外での撮影は控えてください。 いざ、時代を超えて、絵巻の世界へ! 「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」の展示は、大きく第1章と第2章に分かれています。 それぞれが絵巻物の異なる側面を紹介している点にも注目してみましょう。 第1章の「絵巻で楽しむ物語」では、平安時代から続く物語絵の世界が楽しめます。 右から左へと続く長い絵を広げると、貴族たちの優雅な日常や、異界との接触が描かれた幻想的なシーンが次々に現れます。 絵巻物の醍醐味は、時間の流れや場面の変化を一連の画面で体験できることです。 貴族社会で広がった物語絵の楽しみ方を、展示を通じて追体験していきましょう! 第2章の「模写された絵巻のみどころ」では、絵巻物が模写され伝わってきた歴史や、その複写から得られる新たな視点に焦点を当てています! 長い年月の中、原本が焼失や欠損により失われたものでも、模本(複製)に残る情報や、オリジナルとは異なる部分を持つ模写作品の魅力が紹介されています。 さらに、妖怪の行列や異界との接触を描いた「異界・異類」をテーマにした作品群も展示されており、絵巻物が持つ独特の空間表現を存分に楽しめる企画展です。 「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」の展示会を通して、時空を超えて受け継がれてきた絵巻物の魅力に、ぜひ触れてみましょう! なお、東京の国立国会図書館で開催される企画展は、3期に分かれており、10/1~10/12・10/15~10/26・10/28~11/9で展示品の入れ替えが行われるため、たくさんの絵巻物をみたい方は、ぜひ時期をずらして何度も訪れてみてください。 第1章:絵巻で楽しむ物語 第1節の「王朝を舞台とした絵巻」では、平安貴族たちの日常や心の動きを美しい詞書や和歌とともに描かいた絵巻を楽しめます。 注目すべき技法は、引目鉤鼻や吹抜屋台です! 引目鉤鼻は、目を細い線で描き、鼻を鉤のように「く」の字に描く独特な技法のことで、吹抜屋台は、斜め上の視点から見た室内の模様を描く技法のことです。 絵巻物には、感情のこもった一瞬が込められており、一つひとつのシーンのストーリーと登場人物の心情を思い浮かべながら鑑賞してみるのもよいでしょう。 代表的な作品には、『源氏物語絵巻』や『寝覚物語絵巻』などがあります。 第2節「説話を題材とした絵巻」では、民話や伝説など口承で伝わってきた物語を描いた作品が楽しめます。 第1節の絵巻とは少し雰囲気が異なり、登場人物たちの表情が豊かで、まるで彼らの喜怒哀楽が画面から飛び出してくるような印象があります。 また、異時同図法という技法により、一つの画面に複数の時間軸が描かれ、連続画面で展開されるストーリーは、まるでアニメーションのように動きを感じさせます! 民話や伝説が伝えられてきた「説話」の世界では、日常を超えた奇想天外な物語に触れ、臨場感のある物語を楽しめました。 第3節「合戦・寺社縁起絵巻」では、平安時代後期から鎌倉時代、南北朝時代にかけて長く続いた戦乱の時代に誕生した合戦絵巻が展示されています。 横長の絵巻の中で繰り広げられる合戦は、戦場の緊迫感が見事に描かれていて迫力がありました! 武将たちの勇ましい姿や、緻密に描かれた武器、甲冑の描写は、歴史の貴重な資料にもなっています。 一方で、動乱の中で、仏教が人々を救済する存在として描かれる寺社縁起絵巻も見逃せません。 戦乱の中で生きた人々が救いを求めた仏教の教えが、どのように絵巻に表現されているのか、ぜひ間近でご覧ください。 そしてここで、たくさんの絵巻を鑑賞していて一つ気になったことが。 絵巻に登場する人物や動物にメモ書きのような単語がいくつも書き込まれているのです。 鑑賞を進めていくとその答えが分かりました! 実は、人や動物に描かれている文字は、色指定のメモのようです。 よく見ると文字が書かれている人や動物には色が入っていませんね。 文字が書かれた絵巻は、鑑賞用ではなく手控えとして作成された模本ではないかと考えられています。 第4節「御伽草子を描いた絵巻」では、室町時代に生み出された「御伽草子」と呼ばれる短編物語が展示されています。 鳥や獣、さらには器物までもが主人公になるユーモアたっぷりの物語が描かれているのが印象的です。 時にコミカルでありながら、時に涙を誘うストーリーは、室町時代の庶民たちの生活や希望を映し出しています。 第2章:模写された絵巻のみどころ 第1節「模写のいろいろ」では、オリジナルの絵巻を忠実に写した「現状模写」や、欠損部分を復元して描き直す「復元模写」など、多様な模写の世界を楽しめます。 「模写」と聞くと、ただの複製と思うかもしれませんが、実はその過程には奥深い意味が込められているのです。 時代を超えた絵巻の保存と伝承は、模写の技術と情熱によって支えられてきました。 職人たちが時をかけて、消えゆく芸術を未来に繋ぐような作業が続けられているのです。 第2節「異界・異類の描かれ方」では、異界や異類を描いた絵巻が展示されています。 人間の言葉を話す動物や妖怪たちが登場する絵巻は、現実世界とは違った幻想的な風景を私たちに見せてくれます。 特に「境界」というテーマでは、橋や峠、水辺など、現実と異界を結ぶ曖昧な場所が舞台となり、不思議な出来事が起こる様子が描かれています。 これらの絵巻を見ていると、日常の風景の中に隠された異世界が存在するように感じ、想像力を掻き立てられますね。 第3節「奥書でわかること・わからないこと」では、絵巻の末尾に記された「奥書」に関する知識を学べます。 絵巻の末尾に記された「奥書」は、その絵巻が辿ってきた歴史を教えてくれる貴重な手がかりです。 作者や模写者、所有者の情報が記されていることが多いのですが、時には誤った情報が書かれていることも。 例えば『結城合戦絵巻』には、複数の模写が存在し、奥書に書かれた内容と実際の絵が一致しないこともあるのです。 第4節「絵巻の周辺1 資料としての絵巻」では、日本の歴史をたどる貴重な資料としての絵巻が展示されています。 絵巻は単なる芸術作品としてだけでなく、資料としても重要な役割を果たしているのです。 絵巻はときに、日本の医学史を知る上で貴重な資料となっています。 第5節「絵巻の周辺2 絵巻の印刷」では、印刷技術を用いて作られた絵巻を鑑賞できます。 印刷技術の進化に伴い、多くの人々が絵巻を手に取れるようになった歴史も紹介され、絵巻がどのように広まり、人々の生活に根付いてきたかが理解できる展示です。 絵巻の世界は、私たちに歴史、物語、そして人間の想像力の力を感じさせてくれます。 この展示を通して、日本の絵巻文化に対する理解を深め、かつての人々が描いた世界に思いを馳せることができるでしょう。 ぜひ、ひろげて、まいて、あらわれる絵巻の魅力に浸ってみてください! 企画展の最後には、絵巻のレプリカを使ってひろげてまく体験ができるスペースが用意されていました! 説明書きに沿って絵巻を実際に広げていくと、絵巻が描かれた平安時代に戻って物語を楽しんでいるような感覚を味わえました。 いつか本物の絵巻に触れて鑑賞する日が来るかもしれません。 そのときにスムーズに絵巻を広げて鑑賞できるよう、こちらで練習しておくのもよいですね。 「ひろげてまいてあらわれる絵巻の世界」展で絵巻の世界に入り込もう 今回、国立国会図書館で日本の絵巻物鑑賞を楽しみました! 絵巻物は、巻物を少しずつ広げていく独特な鑑賞スタイルが特徴で、読んでいると別世界へと誘われているような感覚になります。 横長の絵巻物を広げていくと絵と物語が進んでいき、貴族の優雅な日常や、風変わりな姫君、空を飛ぶ米俵世界など、さまざまな物語の中に引き込まれてしまいます。 気がつけば、鬼や化け物が現れる異界へと引き込まれていることも。 絵巻物は、時代や場所を超えた幻想的な世界を私たちに見せてくれ、見る者を夢中にさせてくれる美術作品です。 不思議で魅力的な空間が、手元の巻物を通じて繰り広げられる瞬間は、まさに魔法のようでした! なお、図書館で開催されている企画展のため、特別グッズ販売などは行われていませんでした。 また、企画展を鑑賞してお腹がすいたら、国立国会図書館内にある喫茶や食堂を利用しましょう。 本館6階に食堂、4本館3階と新館1階に喫茶があります。 利用カードがないと入れませんが、この機会に作成して利用するとともに、気になった絵巻に関する情報を図書館内で調べてみるのもよいでしょう。 「ひろげてまいてあらわれる絵巻の世界」は、2024/10/1~2024/11/9の期間、国立国会図書館が所蔵する絵巻物の展示が無料で行われています。 また、2024/11/15~2024/11/29までは関西館でも開催されます。 どちらも入場無料で鑑賞できるため、この機会にぜひ絵巻物の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。 開催情報 『ひろげてまいてあらわれる絵巻の世界』 場所:〒100-8924 千代田区永田町1-10-1 期間:2024/10/1~2024/11/9 公式ページ:https://ndlsearch.ndl.go.jp/gallery/emaki チケット:入場無料 ※詳細情報や最新情報は公式ページよりご確認ください
2024.10.26
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相続した実家の蔵に眠る骨董品は買取してもらえる?
骨董品と聞くと、高価なものや希少なものを想像して、意外なほど身近にあるのに気が付かないことがあります。 例えば、実家の蔵に使われず保管されている家具や食器、絵画や掛け軸などの中に、先祖・家族から伝わる骨董品が眠っている可能性があるのです。 実家の蔵にある骨董品を買い取ってほしい 最近は実家に蔵がある家は少なくなってきました。 蔵がある場合には、先祖や家族によって大切にされていた骨董品が、再び日の目を見ることを待ち、眠っている可能性があります。骨董品とは、古いものの中で、特に希少性や芸術的・文化的な価値が高いものを指すのが一般的です。 もしも、遺品の整理や相続、物件売却などで蔵の整理が必要になった際に、価値が知られていない骨董品は、そのまま捨ててしまうかもしれません。 また、不用品もすべてまとめて買い取ってほしい場合もあるでしょう。 蔵にある品物が骨董品かどうか分からないとき、不用品の処分も兼ねて買い取ってほしい場合など、どう対応するべきなのでしょうか。 骨董品らしきものが出てきたとき 実家の蔵を整理していると、骨董品らしきものが出てくることがありますが、専門的な知識のない一般人には、価値のあるものかどうか判別できません。 骨董品は古いもの(一般的には100年以上前のもの)かつ、高い文化的・美術的価値を持つものとされ、その価値は作者や製作年代、保存状態などさまざまな要素によって決まります。しかし、蔵に眠っている骨董品らしき品物の価値を正確に見極めるのは困難です。 このような場合には、いくつかの方法が考えられます。 骨董品買取業者へ相談 何事も、困ったときにはまず専門家の意見が大切です。 骨董品らしきものを発見したら、骨董品買取業者に相談するのが良いでしょう。 骨董品買取業者には、骨董品の種類や価値に精通した専門家がおり、骨董品の適正な価値を査定してくれます。ただし、買取業者によって専門とする骨董品の種類が異なるため、適正な価格を見定めるためには、複数の業者への見積もり依頼がお勧めです。 また、出張査定や宅配買取のサービスを提供している業者もあり、蔵を整理したい場合に重宝します。 遺品整理・不用品回収業者へ相談 何らかの理由により、骨董品回収業者に相談するのが難しい場合や、骨董品以外の物品も一緒に処分したい場合などは、遺品整理・不用品回収業者へ相談する選択肢もあります。 遺品回収業者・不用品回収業者であれば、蔵や倉庫の中のものをまとめて引き取ってくれるため、処分が目的であれば非常に便利です。しかし、回収業者の中には、骨董品の査定や買取に対応してくれる業者もありますが、査定価格の理由などを詳しく教えてくれない場合もあります。 また、回収が専門の業者では、骨董品の価値を見逃すこともあり、価値の高い骨董品を安く買い取られてしまうリスクも考慮すべきです。 蔵の整理のために遺品整理・不用品回収業者に依頼する場合は、事前に費用や条件を詳細に確認しておくことをお勧めします。 ネットオークション、フリマなどで売却 自分である程度の価値を見極められるものを売る場合や、どうしても希望の金額以上で売りたい場合には、ネットオークションやフリマアプリ・フリーマーケットなどで自ら売却する方法もあります。 ネットオークションやフリマアプリでの売却は、査定のために業者に来てもらう手間が省けることや、自分で価格を設定できる点がメリットです。 買い手との条件がうまく合致すれば、買取業者に依頼するよりも高い値段で売れる場合があります。 しかし、実は高価な骨董品の価値を知らずに安く売ってしまったり、いつまでも売れなかったりといったリスクがあると理解しておかなければなりません。売却や発送など、対応に手間がかかることもデメリットです。 価値があるものがあるか全く分からないとき 実家の蔵の中には、ひょっとしたら値打ちの高い骨董品が眠っているかもしれませんが、その価値を的確に判断するのは非常に困難です。 蔵や倉庫の中にあるものの中に骨董品があるか分からない場合は、以下のような手順で対応してみてはいかがでしょうか。 02:骨董品の可能性がある場合、サイン・落款や付属品を確認してみる 明らかに骨董品ではないものを分別したら、骨董品の可能性があるものにサインや落款、箱や鑑定書などの付属品がないかどうかを確認します。 作家が作品に記した署名や印のことを落款といい、サインや鑑定書と同様に作品の年代や産地を判断する有効な手がかりとなります。 また、箱や袋、証明書、鑑定書などは、作品の真贋や保存状態を証明する役割を果たしてくれるでしょう。 03:骨董品買取業者へ相談してみる 蔵から出てきた骨董品と思われる品物が、本当に骨董品の可能性があれば、骨董品買取業者に持ち込んで相談してみましょう。 骨董品かもしれないと分かっただけでは、まだどの程度の価値があるものなのか分かりません。 実際にどれくらいの価値があるかは、専門知識と経験を持つ業者によって判断してもらうのがお勧めです。査定金額の根拠を尋ねられる点も利点といえるでしょう。 事前にどのような骨董品を査定してほしいのかを伝えておくと、査定がスムーズに進行します。また、複数の業者に相談して、おおよその相場を知っておくことも大切です。 04:ネットオークションなど自分で売却を試みる 骨董品買取業者で、骨董品としての価値はないと判断された場合や、自分で価格を設定して売却したい場合には、ネットオークションやフリマサイトなどを利用しましょう。 骨董市やフリーマーケットに参加できるのであれば、そこで売却するのもお勧めです。 オークションやフリマであれば、骨董品としての価値がないものでも、必要としている人がいる場合もあります。買取業者で価格がつかなかった品物が、意外にも高く売れることも珍しくありません。 ただし、売却にかかる手間や、値下げ交渉への対応など、それなりの労力がかかることを念頭におきましょう。 05:遺品整理・不用品買取業者へ引き取ってもらう 複数の買取業者で骨董品としての値打ちがないと判断され、それでも処分や売却を進めたい場合は、遺品整理・不用品買取業者へ引き取ってもらうことを検討しましょう。 遺品整理業者とは、亡くなった人の所有していた物品を、貴重品や形見・不用品などに分類・整理する専門業者を指します。 遺品を手早く分類して蔵のものをすべて持っていってくれるため、なるべく時間をかけず効率的に遺品を整理したい場合に便利です。 一方で、不用品回収業者は、家や倉庫にある不用品を処分する業者であり、品物の仕分けや分類は、依頼者側で行う必要があります。 すぐに蔵を整理したいときにはどうすればいい? 遺品整理や相続、物件売却などの理由で、すぐにでも蔵を整理したい場合には、どうすれば良いのでしょうか。 蔵や倉庫の中に骨董品らしきものがある場合は、まずは骨董品買取業者に相談するのがお勧め。骨董品の価値に詳しい専門家が、適正価値を査定し買い取ってくれます。 査定に来てもらう前に、骨董品の量や保存状態などを伝えておくと、スムーズに査定・買取作業を済ませられるでしょう。 業者によっては家具や食器、衣類、雑貨、家電などを買い取ってくれたり、買取業者を紹介してくれたりする場合もあります。処分したい物品が多い場合は、出張買取サービスを依頼することも可能です。 先祖・家族が大切にしてきた蔵だからこそ、整理は慎重に行いたい 蔵の中には、先祖・家族が大切にしてきた品物が保管されています。 遺品整理や相続・物件売却そのほかの理由で、蔵の中を整理する必要がある場合は、形見の品の選別をして、売却・処分できるものは、なるべく専門の業者にお願いしましょう。先祖・家族が大切にしてきたものが収められた蔵だからこそ、整理や処分は慎重に行いたいものです。
2024.10.19
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骨董品の定義とは?アンティークやヴィンテージとの違いや共通点
古くに作られた価値ある美術品や工芸品などを、骨董品・アンティークと呼びます。 また、ヴィンテージと呼ばれることも。 似た意味で使われている言葉ですが、まったく同じ使われ方をしているわけではありません。 工芸品の購入や売却の際に、それぞれの呼び名の定義を知っておくと、役に立つでしょう。 骨董品の定義は?アンティークとヴィンテージは違うの? 古くに作られた美術品・芸術品・工芸品などを骨董品と呼ぶ場合があります。 また、同様にアンティークやヴィンテージと呼ばれているのを耳にしたことがある人も多いでしょう。 しかし、どのように言葉を使い分けているのかわからない人も多くいます。骨董品・アンティーク・ヴィンテージには、それぞれ定義があるため、違いを把握するとより美術品や芸術品を鑑賞するのが楽しくなるでしょう。 骨董品とは 骨董品とは、希少価値の高い工芸品や美術品を指しています。 1934年にアメリカで定められた通商関税法では、「製造から100年を経過した工芸品・手工芸品・美術品」を骨董品と区分。 また、骨董品とアンティークは、ほぼ同義であるとされています。 骨董品は主に、日本や中国、韓国などの東アジアで作られたものを指す場合が多いようです。 たとえば、日本の伝統工芸品である伊万里焼の器は、骨董品とは呼ばれてもアンティークとはなかなか呼ばれないのではないでしょうか。 日本の掛け軸や茶道具、刀、陶磁器などは骨董品と呼ばれている傾向があります。 明確な定義ではありませんが、明治時代以前に作られたものを「骨董」、明治時代以降に作られたものを「アンティーク」とする考え方もあります。 はっきりとした区別はありませんが、東アジアで作られているかつ製造から100年以上経っているものは、骨董品と呼ぶ傾向があると考えておきましょう。 アンティークとは アンティークと骨董品は、ほぼ同義であると先述しました。 そもそもアンティークは、フランス語で古美術や骨董品を指しているのです。そのため、アンティークもアメリカの通商関税法に基づくと製造から100年を経過したものが該当します。 しかし、100年を経過していないものをアンティークと呼ぶ場合もあります。 アンティークは、主にヨーロッパで作られた工芸品・手工芸品・美術品などを指している場合が多い傾向です。たとえば、ビスクドール、マイセン、ウェッジウッドなどのブランド食器をアンティークとは呼びますが、骨董品とは呼びません。 ヴィンテージとは 骨董品やアンティークと似た意味で使われる言葉に、ヴィンテージがあります。 ヴィンテージは、製造から100年を経過していない、骨董品やアンティークより新しいものを指している傾向があります。 なかでも、1950年~1970年代に作られた美術品・芸術品・工芸品などをヴィンテージと呼んでいるようです。多少アンティークとヴィンテージの年代が被っている場合もありますが、ヴィンテージの方がややカジュアルで新しいもののイメージがあり、アンティークの方がより古く年季が入っているようなイメージです。 たとえば、ペルシャ絨毯では、製造から100年以上経ったものをアンティークと表現しています。欧米では、100年に満たないものをヴィンテージと呼び区別しています。ペルシャ絨毯では、アンティークとヴィンテージで大きく価値が異なることもあるようです。 骨董品は古い方が希少性が高く、価値が高い 骨董品は、古ければ古いほど価値が高まるとされています。 その理由として希少性が挙げられます。たとえば、1800年代に作られた工芸品よりも1300年代に作られた工芸品の方が年月が経過しているため、きれいな状態で現存している可能性は低いといえるでしょう。 数が少ないと希少性が高いといえるため、骨董品としての価値も高まるのです。もちろん、当時の生産数や保管状態など、さまざまな条件によって価値は変動しますが、目安の一つとして作られた時代があると覚えておきましょう。 骨董品・アンティーク・ヴィンテージ、用語を適切に使い分けよう 骨董品・アンティーク・ヴィンテージは、みな昔に作られた美術品・芸術品・工芸品などを指していますが、用いられるタイミングやものが少しずつ異なります。 骨董品とアンティークはほぼ同じ意味を持っていますが、骨董品は東アジア周辺で作られたもの、アンティークはヨーロッパ周辺で作られたものを指す場合が多い傾向です。 ヴィンテージは、骨董品やアンティークよりもやや新しいものに対してよく使われています。 用語を知っておくことで、商品を買うときにも判断基準として使えるとともに、自身が所有しているものを手放すときにも、トラブルを防げるでしょう。
2024.10.19
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骨董品を高く売るコツ、教えます
骨董品は高く売れる場合があると知り、自宅にある骨董品を売りたいと考える方は多いかもしれません。 しかし、初めて骨董品を売る際には、どのようなものに価値があるのか、どうやったら高く売れるのかわからずに諦めてしまうこともあるでしょう。 高く売るためには、骨董品の価値がどのような要素によって決まるのかを知っておく必要があります。 骨董品を高く売りたい!売るためのコツやポイントとは 知人や親戚からもらったり、自宅の倉庫から出てきたり、骨董品は案外身近なところにあるものです。 忘れるほど昔に自分で買ったものが、実は値打ちものだったということもあるでしょう。しかし、実際に骨董品を売却したことがある方は、意外に少ないかもしれません。 骨董品をできるだけ高く売るために、どのようなコツやポイントがあるのでしょうか。 骨董品に価値はある? 骨董品とは、ただ単に古いものを指すのではなく、古くて希少価値のあるものを指します。古いだけで価値のないものは、骨董品ではなく古物やガラクタなどと呼ばれます。 骨董品の多くは工芸品や美術品であり、その価値は、作家や年代、素材、作品の状態などで決まるのが一般的です。 作家物かどうか 有名な作家による骨董品を作家物と呼び、作家の持つ技術や独自性・名声などにより、骨董品の価値が決まります。 骨董品が作家物であるかを判断するためには、作品に刻まれた落款(作者の署名や印)の有無や銘、サインなどの確認が必要です。ただし、落款やサインがあったとしても偽物の可能性があるため、しっかりとした知識と経験のある専門家の目利きを頼るのが良いでしょう。 作家物は、希少性が高いものほど価格が高くなるのが一般的で、需要が高いものほど高額な買取価格がつきます。例えば、焼物の場合、有田焼の名跡である柿右衛門の作品は、数十万円から数千万円の価格で取引されるものもあるのです。落款やサインは、作品に付属する箱や袋に記載されていることもあり、それらも大切に保管しておく必要があります。 いつ頃作られたものか 骨董品の価値を決定づける要素として「いつごろ制作された作品なのか」は、非常に重要です。 骨董品は、古ければ良いというものではありませんが、古いものほど価値が高くなる傾向はあります。 古いものには、歴史的価値があるということもありますが、もっと大きく影響するのは「希少性」です。骨董品は、希少なものほど価値があります。 古いものは、現存する数量が少なくなるため、より古いものの方が希少価値が高まる傾向があるのです。 作家や時代、骨董品の種類によって、制作された年代と流通量に違いがあるため、古ければ価値が高いと断定はできません。しかし、骨董品がいつ頃作られたかを知ることで、適正な価値を判断しやすくなるのは確かでしょう。 素材は何でできているか 骨董品の素材が何かということも、価値を決定づける大切な要素です。 作られたものの種類にもよりますが、骨董品の素材には金属や石・木・陶磁器・動物の骨など、実に多様なものが使われています。 希少性の高い素材が使われているものは、骨董品としての価値も高くなるのが一般的です。骨董品に使われている素材で価値の高いものとしては、象牙や翡翠、琥珀、金、真珠などさまざまなものが挙げられます。 希少性の高い素材があしらわれているものは、高い身分の者が作らせた作品であることも多く、歴史的価値や美術的価値が高いと考えられるのです。 保存状態は良いか 骨董品の価値は、保存状態の良し悪しにより大きく変動します。 骨董品は大半が数十年、数百年前のものであり、経年による劣化や保管状況による破損・汚損の程度は非常に重要です。 保存状態が良ければ、骨董品が本来持っている美しさや品質が保たれているため、価値が高まります。また、保存状態が良いほど、作品が作られた当時の文化や歴史をより正確に伝えてくれるでしょう。 骨董品を良い状態に保つには、骨董品の種類に合った保存方法を慎重に選択する必要があります。例えば、紙に書かれた作品である絵画や掛け軸は、湿気や紫外線が大敵で、不適切な環境で保管した場合には、著しい劣化は避けられません。 骨董品を高く売るためには、温度や湿度・紫外線・虫・衝撃などに注意し、良い状態を保つ工夫が不可欠です。 見積もり金額に納得がいかない… 遺品整理や不用品の回収のため、意を決して買取業者に相談したものの、提示された見積もり金額に納得がいかない。 そのようなときには、どう対処するのが良いのでしょうか。 別の業者にも相談してみる 見積もり金額に不満があり、どうしても納得がいかないという場合は、思い切って別の業者にも相談を持ちかけてみるのがお勧めです。 骨董品の価値はさまざまな要素によって決まるため、買取業者によって提示してくる金額が異なる場合があります。その業者が専門とする分野や在庫の状況によっても買取価格に差が生じるため、複数の買取業者に見積もりを依頼して、おおよその相場を把握することが大切です。 相見積もりによって競争原理が働き、買取価格を上げる業者があるかもしれません。 査定理由を聞いてみる 見積もり金額に納得がいかない場合は、なぜその査定金額になるのか、理由をしっかりと尋ねてみるのも良いでしょう。 買取業者は、骨董品の買取価格を決定する際に、作家や年代、素材、保存状態、希少性など、さまざまな要素を判断材料としています。査定理由を聞くことで、骨董品の価値を決定する要素について知れるため、今後の参考にもなるはずです。査定理由を教えてもらえない場合や、査定理由にも納得できない場合は、相談する業者を変えた方が状況の改善につながるかもしれません。 時期を見直す・売却しない 提示された買取価格にどうしても納得がいかない場合、売却する時期を見直すか、売却しないという選択肢もあります。 時期により価格が変動するものだといわれた場合は、できるだけ高く売れる時期まで待つのが賢い選択といえます。 すぐにでも売却する必要がなければ、価格が上がるまで待つのも良いでしょう。 ただし、骨董品の価値は需要と供給のバランスによって決まり、現在は価値があるものでも将来的に価値が上昇または維持されるとは限りません。 経年による劣化も価格低下のリスクです。 価格の流動性が大きいものを売却する場合は、売却の時期を見極める必要があります。 自分の希望価格を優先させたい 自分の売りたい希望価格が明確にあり、その金額を優先させたい場合は、買取業者ではなく自ら価格を設定して売却することも可能です。自分で価格を決めて売るには、オークションサイトやフリーマーケットやフリマアプリ・骨董市などを利用するのが良いでしょう。 価格設定や需要によっては、買取業者に依頼するよりも高額で売れる可能性があります。 ただし、オークションで希望金額に達しなかったり、フリマで値切り交渉されたりする可能性があることも覚えておきましょう。 適正な価格設定と商品の陳列・売却まで、一切の作業を自らする手間がかかることもデメリットです。 骨董品は市場ニーズで決まるからこそ、実績多数の業者へ相談したい 骨董品の価格は、その品物をどれくらいたくさんの人が欲しいと思うのか、つまり市場ニーズによって決まります。 そして、市場のニーズを正確にキャッチするのは非常に難しいことです。 骨董品を売る場合には、自分の希望価格を優先させたいと考えて、フリマアプリやオークションサイトなどで売却するという場合もあるでしょう。 しかし、市場ニーズはさまざまな要因により変動するため、価格を自分で決めるのは難しく、売れないリスクも伴います。 そのため、骨董品の買取には、実績多数の買取業者に相談することをお勧めします。 経験と実績のある買取業者ならば、骨董品の専門知識を持ち市場価格も把握しているため、適正な査定額を提示してくれるでしょう。
2024.10.18
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骨董品は売れない?高値で買ってもらう方法とは
自宅や実家、祖父母の家に大昔の掛け軸や人形、食器類が放置されているケースは珍しくありません。 著名な骨董品なら高値で買い取ってもらえる可能性はありますが、実際にその品物にどれくらいの値がつくのか、一般的にはわかりづらいものです。 特に、骨董品は定価がある代物ではないため、似たようなデザインでも大きく価値が異なります。 骨董品の買取では「こんなに価値がある物だったの?!」と驚かれる場合もあれば「すごい価値があると思っていたのに……」とがっかりされるケースも珍しいことではありません。骨董品の買取や売却では、物の価値を精査する審美眼が必要なのです。 骨董品は売れない?骨董品の売り方とは 価値のある骨董品を安値で手放さないためには、売り方が重要です。 生活用品や家具家電なら、フリマアプリやリサイクルショップで売る方法が主流ですが、骨董品の場合は必ずしも同じ手段がベストとは限りません。 売る方法によってメリットデメリットがあるため、売りたい品物や処分の必要性に応じて最適な選択をしましょう。 ネットオークション・フリマアプリで売る ネットオークションやフリマアプリは、手軽に不要な品を出品して売れるのが魅力です。 商品に好きな金額を設定でき、購買意欲の高いユーザーの目にとまりやすいメリットもあります。しかし、価値がわからなければ値段をつけづらいため、価値のある品を相場より安い価格で売ってしまうかもしれません。サービスのマージン(手数料)にも注意しましょう。 また、出品・購入者への対応・発送など、一連の手順を自分で対応しなければなりません。トラブルが発生した場合は、返金や謝罪の対応も必要なため、ある程度リテラシーを持って取引に臨む必要があります。 ネットオークションやフリマアプリは、良くも悪くも自己責任で行う売却手段といえるでしょう。 骨董市・フリーマーケットで売る 定期的に催事場やショッピングモールで開催される骨董市やフリーマーケットは、不要な骨董品を売るチャンスです。 フリーマーケットなら骨董品だけでなく、不用な生活用品や手芸品を売ってもよいでしょう。商品を陳列して来店客と直接やりとりでき、商売する楽しさも味わえるのが魅力です。フリー出店は出店費用がかかるため、ある程度商品数が多い場合にお勧めの手段といえるでしょう。 ただし、商品を陳列する特性上、確実に売れる保証はありません。売れ残った分は持って帰らなければならないため、商品は選別するのをお勧めします。 また、価格交渉の可能性もあるため、設定価格にある程度幅を設けましょう。 リサイクルショップ・質屋へ売る リサイクルショップや質屋は全国に店舗があるため、お住まいの地域に関係なく誰でも気軽に利用できます。 質屋の場合は、骨董品に備わっている宝石や貴金属単体で査定してもらえるため、買取の可能性は高いといえるでしょう。 リサイクルショップなら、骨董品だけでなく不用な生活用品や家具家電もまとめて売れるのが魅力です。 ただし、場所によっては骨董品を鑑定するスキルがなく、正確な価値を見いだしてもらえない場合もあります。査定額も店舗によって異なるため、複数店舗での比較検討をお勧めします。 遺品整理業者・不用品買取業者へ売る 不要品や価値があるかわからない代物を売るには、遺品整理業者や不要品買取業者がお勧めです。 例えば、故人の持ち物を自分で処分しなければならないとき、家にある物を一つひとつリサイクルショップや質屋にだしていては、大変な手間がかかるでしょう。 遺品整理業者・不用品買取業者では、骨董品に限らず、家電やおもちゃなどジャンルを問わずまとめて査定してもらえるため、処分する手間がかかりません。 一方、買取にできない代物やゴミ・不用品の回収を兼ねている場合も多く、処分費用や出張費用がかかる点には注意が必要です。 また、遺品整理業者・不用品買取業者は、骨董品を専門に取り扱っているわけではないため、買取価格は低い傾向があります。 営業許可を得ていない悪質な業者も存在するため、利用の際は必ず営業許可をもらっている旨を確認しましょう。 骨董品買取専門店で売る 骨董品買取専門店は、骨董品専門の鑑定士による査定を受けられる場所です。 ほかの場所では価値を見いだしてもらえなかった骨董品も、鑑定によって価値がつく可能性があります。絵画や掛け軸など、傷や汚れに敏感な芸術品を売却する際にお勧めです。 正確に鑑定する分、細かい傷や汚れも正確に見抜かれますが、場合によっては高額買取も期待できるでしょう。ただし、悪質な業者だと価値のある代物を価値がないと偽って、安い価格で買いたたかれるかもしれません。 店舗を探す際は、信頼できるところを探しましょう。 骨董品が売れない理由 骨董品は、価値がないと思った物に値がついたり、価値があると思った物がただのガラクタだったりするものです。 売れない骨董品には、それ相応の理由があります。 あまり価値のないものだから 骨董品のなかには、ただ古いだけで価値のない物が多数存在します。 例えば、江戸時代に大衆が使っていた箸や衣類は、著名な人物の作った物でない限り値はつきにくいでしょう。 古いからといって、必ずしも価値があるとは限りません。 価値があるか判断できないから 骨董品の適切な価値を知るには、専門知識や鑑定スキルが必要です。 素人目で判断するのは難しいため、骨董品専門業者へ相談してみることを推奨します。骨董品が家にあるなら、共箱や落款など、作者を特定できる材料がないか探してみましょう。作者がわからないと価値がつかない可能性があります。 保存状態が悪いから 屋外で雨風や日光にさらされ続ける、湿度の高い場所でカビが生えているなど、保存状態が悪い骨董品は値がつかない場合もあります。 また、自分で掃除や修理をしたことで価値が下がるケースもあり得るため、基本的に骨董品に手をつけることはNGです。 骨董品の種類によって適切な保存方法は異なりますが、できるだけ状態が悪化しない環境で保管するのをお勧めします。 贋作(にせもの)だから 骨董品は著名な人物の作品ほど、多くの贋作が出回っています。これは現代で作られた物もあれば、当時の時代に作られた物も存在します。 贋作は素人目で判断が難しいため、骨董品専門の鑑定士へ相談するのがお勧めです。ただし、著名な作家による模写作品なら価値がつく場合もあり、思わぬ高額買取に発展するかもしれません。 骨董品をより高く売るには、実績ある買取業者へ相談 骨董品は価値の精査が難しいジャンルのため、悪い業者に引っかかってしまうと安い価格で売却してしまうリスクがあります。 そのため、骨董品を売るには信頼できる買取業者を選定することが大切です。 実績や評判のある業者なら、信頼できるといえるでしょう。 家で大切に保管されていた骨董品。売却するなら、正しい価値を見いだしてもらえる業者にお願いするのをお勧めします。
2024.10.18
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能面は買取してもらえる?骨董品価値があれば高額査定に期待!
現代の一般家庭では、能面はあまりなじみがないかもしれません。 しかし、日本の伝統芸能で用いられているお面のため、一度は目にしたことがある人も多いでしょう。 能面は、舞台で活躍しているだけではなく、販売市場でも価値あるものとして扱われています。 能面の価値を知るためにも、どのような場所で利用されているのか、能面が作られた時代、著名な面打ち師などにも目を向けてみましょう。 自宅にある能面は処分するしかない? 能面とは、能楽や神楽の舞台で用いられる日本の伝統的なお面です。 舞台での利用はもちろん、部屋の雰囲気を作るインテリアとして用いられる場合もあります。 時代や制作者によっては、市場価値が高くついていることも。 しかし能面は、一般的にはあまりなじみのないものです。 自宅で所有していても価値を知らずに処分してしまう場合もあるでしょう。能面の処分に迷ったら、まずは捨てずに買取査定の依頼がお勧めです。 能面は貴重な骨董品!高額買取が期待できます 古くに作られた能面や銘の入った能面、著名な面打ち師によって作られた能面は美術品としての価値をもっており、高額買取が期待できる骨董品です。 相続を受けた品物の中に能面があり、自宅に飾らず倉庫で眠っているものがあれば、一度査定に出してみましょう。 利用する機会がない場合は、鑑定を依頼して買取してもらうのも一つの手です 高価買取が期待できる能面とは 高価買取が期待できる能面ですが、すべてのものを高価買取してもらえるわけではありません。 高価買取をしてもらうためには、著名な面打ち師である、年代物である、共箱が残っているなど、さまざまな条件があります。 能面師(面打ち師)とは 能面を制作する人を、能面師・面打ち師と呼びます。 著名な面打ち師が制作した能面は、高価買取が期待できます。有名な面打ち師は、小倉宗衛・堀安右衛門・長澤氏春・長澤浄春などです。とくに、人間国宝である長澤氏春の能面は高額査定が期待できるでしょう。 また、能面には流派が存在しており、来歴によって価値が変動するのが特徴です。能面の裏側には、印刻や焼き印が入れられているケースも多く、能面を査定する上での判断基準の一つでもあります。 室町・桃山・江戸時代などの年代物 能面の価値は、作られた時代によっても左右されます。 とくに、室町・桃山・江戸時代に作られた年代物の能面は、価値が高いとされています。 共箱や箱書きがあるもの 能面自体に銘のないものでも、著名な面打ち師が制作した作品の可能性もあります。 面打ち師が誰であるかを確認するために、共箱が役に立ちます。共箱には、制作者本人を示す箱書きがされている場合があるのです。共箱は、制作者が自分の作品であると証明するために仕立てた箱です。 能面の価値を知るためにも、共箱をチェックしましょう。 能楽・神楽とは?能面にはどんな種類がある? 能面が用いられる能楽や神楽とは、どのような舞台なのでしょうか。 また、それぞれに用いられる能面の種類にも違いがあります。 能や神楽の歴史を知るとともに、使われてきた能面の種類を把握し、知識を買取査定の際に役立てましょう。 能と神楽の違い 能とは、室町時代に確立された日本伝統の古典芸能です。 面と美しい装束を身にまとい、能舞台で歌舞劇を行います。 神楽は、神さまをまつるために演じられる日本伝統の舞を指します。能との違いは、神前への奉納を前提としているかどうかです。 能と神楽どちらにおいても、古代日本で演じられていた伎楽面や舞楽の影響を受けて、舞台では能面を用いて舞が行われます。 能面の種類 能面は、主に次の5つの面に分けられます。 ・翁(おきな) 白式尉(はくしきじょう)・黒式尉(くろしきじょう)を表現した面です。 白い翁面と黒い翁面の2種類があります。 ・尉(じょう) 小尉・邯鄲男・皺尉・悪尉などを表現した面です。 老人を表すために用いられています。 ・男 少年や青年、盲目の少年、武人、半僧半俗などを表現した面です。 童子を表すこともあり、 身の丈ほどもある長い黒頭を装着し、霊的な存在として表現されています。 ・女 若い女性や中年女性、老女、鬼女などを表現した面です。 年齢によって面の表情に違いがあり、たとえば中年女性の面は若い女性の面よりも、幼さがなく頬がこけた作りをしています。 ・鬼神 怪士・黒髭・大飛出・小飛出・大癋見・小癋見・獅子口・痩男・天神などを表現した面です。 邪悪・悪霊・穢れ・邪心を追い払う怒りの表情をしています。 能では、主役を「シテ」と呼びます。能面は主にシテ方がつける面です。 有名な能の演目 能には、さまざまな古典演目があります。 源氏物語を題材とした『葵上』や、蜘蛛の糸に模した和紙が投げられる『土蜘蛛』、源義経の幼少期である牛若丸時代を題材とした『鞍馬天狗』、歌舞伎の定番である『勧進帳』のもとになった『安宅』などが有名です。 骨董品価値のある能面は実績ある買取業者へ相談を 日本の伝統芸能に用いられるだけではなく、骨董品としての価値を秘めている能面。 さまざまな種類の能面がありますが、価値をチェックするためには、制作した面打ち師や作られた時代などに目を向けることが大切です。 自宅の倉庫で眠っている能面をそのままにしておくのはもったいありません。 能面をお持ちの方は、一度経験豊富な鑑定士へ査定を依頼してみましょう。
2024.10.18
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骨董品の壺は買取してもらえる?高額査定が期待できるポイントとは
自宅や実家に何気なく置いてある壺が、実は大変値打ちのある骨董品だったら。 誰しも一度は考えたことがあるかもしれません。 骨董品としての壺は、壺の作者や作られた年代・歴史、有名産地のものなど、さまざまな要素により価値が決まります。 専門の業者に相談することで、自宅に眠る壺が実は値打ちものだったことが判明する可能性もあるのです。 自宅に眠る壺…骨董品かもしれません 自宅に昔から何気なく飾られている壺や、倉庫にいつからあるのかわからない壺などはありませんか。 壺は伝統的な工芸品であり、美しい形や色彩で見る者を惹きつけ、美術品としての価値が高いものもあります。そして、あなたの自宅に眠る壺にも、骨董品としての価値があるかもしれません。 もしも、骨董品として高い価値を持つ壺であれば、高額で買取してもらえる可能性は高いでしょう。しかし、自宅にある壺に骨董品価値があるかは、素人目にはわかりません。 そのようなときは、専門の買取業者に査定を依頼し、適正価格を見積もりしてもらうのがおすすめです。無料での査定や出張買取を行ってくれる業者もあり、気軽に相談できるため、試しに自宅の壺を査定してもらってはいかがでしょうか。 高価買取が期待できる壺とは 骨董品店で高価買取してもらえる壺とは、どのような壺なのでしょうか。 壺は工芸品であり芸術品でもあるため、有名な産地や作者による壺は、高い買取価格がつく可能性があります。 また、特定の時期や場所で作られた作品のように、希少性によっても高値がつく場合があります。 作家物の壺 作家の知名度や評価が高いほど、その作品である壺の買取価格が高くなるのは間違いありません。 人間国宝に指定された作家や、人気の高い作家の作品は、ときに数百万円の値段がつくものもあります。 酒井田柿右衛門 酒井田柿右衛門は、有田焼の名門である酒井田家で江戸時代から350年もの間、代々受け継がれている名跡です。 磁器の素地に、色彩豊かな花鳥の絵柄を焼き付けるスタイルは、柿右衛門様式として誰もが知るところでしょう。 14代目の酒井田柿右衛門(1934年〜2013年)は、人間国宝に認定されています。現在は、14代目の長男が15代目酒井田柿右衛門を受け継ぎ、有田の柿右衛門窯は健在です。 酒井田柿右衛門の壺は、有田焼(佐賀県有田町で作られている磁器)の伝統が受け継がれており、江戸時代には中国やヨーロッパでも高い評価を受けました。 酒井田柿右衛門の名は、日本だけでなく海外でも有名で、特徴的な絵柄は時代とともに多様に変化しています。 徳田八十吉 徳田八十吉は、100年以上も受け継がれてきた九谷焼の名跡として有名です。 歴代の中でも、特に高い評価を受けた三代目徳田八十吉は、1997年に人間国宝に認定されています。 徳田八十吉の作る壺は、主に九谷焼という磁器で作られています。 九谷焼には、白磁や染付・色絵など多彩な技法が用いられますが、徳田八十吉はそれらの伝統を受け継ぎながらオリジナルの作風を完成させました。 三代目徳田八十吉の作品は、配色のみで作品に彩を与える「彩釉」の技法が特徴的です。また、一般的な九谷焼よりも高い温度で焼き上げているため、独特の色味が深い味わいを生み出しています。 三代目徳田八十吉の代表作である『黎明』では、三代目自ら「耀彩」と名付けた独自の技法で、朝日と夜空のグラデーションが見事に表現されています。 井上萬二 井上萬二は、1929年に有田焼で知られる佐賀県有田町の窯元に生まれ、若いころは酒井田柿右衛門の窯で働き、腕を磨きました。 その後、初代・奥川忠右衛門に師事して白磁の技法を高め、1958年には県立窯業試験場の技官になり、人間国宝認定や紫綬褒章を受けるなど目覚ましい活躍を遂げています。 井上萬二の壺は、白磁(純白の磁器)や染付・色絵などさまざまな技法が用いられた有田焼で作られていますが、有田焼の中でも井上萬二の作品は独特です。伝統的な有田焼の技法を受け継ぎながら、白磁の美しさを一層際立たせるために、一切の色や模様を使わない無色の仕上げを追求しています。 金城次郎 金城次郎は、1912年に沖縄県那覇市で生まれた著名な陶芸家であり、琉球陶器の分野で人間国宝に認定された人物です。 金城次郎は、13歳の頃に陶芸家・新垣栄徳に弟子入りし、そこで出会った陶芸家で人間国宝の濱田庄司から、日々の暮らしの中で使う物に潜在する美しさである「用の美」という着想を得ました。 金城次郎は、実用性と美的価値の両方を目指し、華美な装飾は好まず素朴で温かみのある美しい壺や食器を作り続けました。 金城次郎の作った壺は、沖縄の伝統的な陶器である「琉球陶器」であり、作品に描かれた海老や魚が笑っているかのようだとの評価も受けています。 魚や海老を作品によく取り入れた金城次郎は、2004年に亡くなるまでに沖縄県功労賞や勲四等瑞宝章などを受けました。 エミール・ガレ エミール・ガレ(1846年〜1904年)は、1890年頃から起こったアール・ヌーヴォー運動を象徴するフランスの工芸家です。 エミール・ガレは、ガラス製品や陶磁器・家具の設計で知られており、独特な美術スタイルと革新的な技術で高く評価されています。その作品は、日本やほかのアジア文化から影響を受け、エミール・ガレ独特の「マルケトリ技法(異なる色・質感のガラスを組み合わせて複雑なパターンを形成する)」や「パチネ技法(ガラス表面に特殊な錆色や曇りを与える)」へとつながっていったのです。 エミール・ガレの作品は、日本での人気も高く、国内では長野県の北澤美術館で多くの作品を鑑賞できます。 河井寛次郎 河井寛次郎(1890年〜1966年)は、島根県で大工の家に生まれましたが、中学生時代に陶芸家を志し、東京工業大学の前身である東京高等工業学校で陶芸を学びました。 卒業後は京都市立陶器試験場にて、陶芸家・濱田庄司とともに釉薬の研究を重ね、1920年には自らの工房も構えます。 東洋の古い磁器の技法を用いた華麗な作品は、大いなる反響を呼びましたが、このころ河井寛次郎は、自分の作風へ疑問を感じはじめていました。 同時期に活躍していた柳宗悦の「用の美」という考えに触発された河井寛次郎は、日用の器に美を見出すこととなります。 河井寛次郎の作品は、日用の器としての機能美と、芸術的な美しさの両立が特徴です。 優れた作品を多数残しつつ、人間国宝や文化勲章などの栄誉をすべて辞退し続けた河井寛次郎は、無位無冠ながら非常に高い評価を受けています。 有名産地の壺 有名産地の壺は、その産地に特有の歴史や技法・希少性があり、高い価値が認められる場合も多いものです。 例として、「日本六古窯」と呼ばれる、越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前は、連携して日本遺産に認定されており、その産地の壺は、高価買取の対象となるケースがあります。 越前焼 越前焼は、福井県の越前地方、特に宮崎地区や織田地区で生産される陶器です。 越前焼の材料に用いられる土は鉄分を多く含み、暗めの色に黄緑色の釉薬が滴る美しさで知られています。 瀬戸焼 瀬戸焼は、愛知県瀬戸市を中心として生産される陶磁器の総称です。 瀬戸焼の歴史は古墳時代にまでさかのぼり、須恵器や埴輪を焼いた遠投窯が発祥とされています。 非常に多様な陶磁器が生産されており、焼物の代名詞として「せともの」の名称が広く浸透しているほどです。 常滑焼 常滑焼は、愛知県知多半島の常滑市を中心として作られている陶器です。 常滑焼が作られ始めた時代は古く、平安時代末期から約900年もの歴史があります。 常滑焼には鉄分を多く含んだ赤土を使い、焼成によって生じる独特の赤茶色が大きな特徴です。東京駅舎復元工事の際に、創建当時の赤レンガを再現するために、常滑焼のタイルが用いられました。 信楽焼 滋賀県甲賀市信楽を中心に作られる信楽焼は、たぬきの置物で有名です。 信楽焼に用いられる土は耐火性が高く、成形しやすい性質を持つため、大きな壺や置物を作るのに適しているとされています。 現代では、多様なデザインを取り入れた個性的な作品が多いのも特徴です。 丹波焼(丹波立杭焼) 丹波立杭焼は、丹波焼や立杭焼とも呼ばれ、主に兵庫県丹波篠山市の今田地区で作られています。 平安時代から続く伝統的な焼物であり、登り窯を用いて長時間高温で焼き上げることで、松の灰が自然釉となり、美しい色合いとなるのが特徴です。 備前焼 備前焼は、岡山県備前市周辺で主に生産されています。 同地域は、古墳時代から須恵器を焼いた歴史を持ち、伝統的な備前焼は釉薬を使用せず、一つとして同じ模様のない「窯変」と呼ばれる変化が特徴です。 窯変には、できあがる模様によって「胡麻」「桟切り」「牡丹餅」などさまざまな種類があります。 中国・朝鮮の壺 日本で作られた壺だけでなく、中国や朝鮮の壺にも高価買取を期待できるものがあります。 特に、李朝白磁や高麗青磁などは希少性が高く、骨董市場でも安定した人気を持つのが特徴です。 金属(金・銀・銅)の壺 金・銀・銅などの金属を材質として作られた壺には、骨董品としての価値だけでなく、金属そのものの価値があるため、高価買取の対象になるケースがあります。 金属の価格相場は、常に変動しているため、売りどきを見誤らないよう注意が必要です。 年代物の壺 年代物の壺は、古い方が希少価値が高く、買取価格も高額になる傾向があります。 特に、日本の六古窯や中国の唐代・宋代のものなど、高い骨董品価値を持つものが多く、高価買取が期待できるでしょう。 特定の年代に限って作られたものも、希少価値が高く、買取価格は上がる傾向にあります。 壺の骨董品価値は実績ある買取業者へ相談を 古くから工芸品・芸術品として扱われてきた壺には、骨董品や美術品としての高い価値があります。 自宅や実家に眠っている壺があれば、プロの買取業者に依頼して、適正な骨董品価値を見てもらってはいかがでしょうか。 実績ある買取業者へ相談し、プロによる査定を受けてみることで、思わぬ高価買取につながるかもしれません。
2024.10.18
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仏像は骨董品買取してもらえる?高額査定が期待できるポイントとは
仏像は仏の姿をかたどった像で、仏教の信仰の対象です。 仏像の姿形や材質には、多くのバリエーションがあります。もしも、自宅や実家に処分したい仏像がある場合はどうすれば良いのでしょうか。 仏像を捨てることに抵抗があるのならば、買取業者に査定してもらうのが良いでしょう。 自宅にある仏像は買取してもらえる? 仏教の信仰対象として作られた、美しい芸術品でもある仏像。 転居や遺品整理の際に処分しなければならない状況になるかもしれません。 自宅にある仏像を処分する場合、仏像は専門の買取業者で買い取ってもらったり、仏具店で引き取ってもらったりする方法があります。買取を希望するのであれば、もちろん高額で買い取ってほしいところですが、仏像の買取価格相場はどのように決まっているのかわからない人も多いでしょう。 仏像の買取価格は、仏像の種類(如来・菩薩・明王など)や保管状態、素材、作者、作られた時代など、さまざまな要素によって変動します。 買取価格には幅があり、数千円〜数百万円ほどです。作家物や珍しい素材のもの、古い時代のものなどは高く、無名で新しく一般的な仏像ほど安くなるのが一般的です。 しかし、残念ながら、買取価格がつかない仏像もあります。 仏像の一部が欠けていたり、汚れやカビにより状態が悪かったりすると、買取価格が著しく下がるか、買取不可になる可能性があるのです。買い取ってもらえない仏像は、修復やクリーニングを施した後に再び査定に出すか、ほかに処分の方法を考えなくてはなりません。 買取不可の仏像を処分する方法としてすぐに実行できるやり方は、粗大ゴミとして処分することです。ただし、仏像には魂が宿っていると考えられているため、そのままゴミに出すのは避けましょう。宗派による多少の違いはありますが、「開眼供養」や「お性根抜き」などと呼ばれる、仏像の魂を抜く儀式をしてから捨てなければなりません。魂を抜いていれば、捨てることに問題はありませんが、仏像を捨てることに抵抗があるならば、寺院で焼却処分(「お焚き上げ」と呼ばれる)してもらいましょう。 仏像に骨董品価値はある? 仏像は、仏教の歴史や文化を色濃く反映した芸術作品です。 宗教的な意味だけでなく美術品として評価されるケースも多く、高い骨董品価値があります。 仏像の骨董品価値を見極めるには、専門的な知識が必要ですが、どのような要素によって骨董品価値が決定されるのかを知っておくことが大切です。 仏像買取の査定ポイント 売却したい仏像がある場合、その仏像にどの程度の価値があるのか、事前に少しでも把握しておくことが大切です。 仏像買取には、主に以下4つの査定ポイントがあります。 作家物かどうか 「作家物」とは、有名な作家や師匠によって制作された仏像のことです。 仏像は、芸術作品としての側面が大きいため、誰によって作られたかが、作品の価値を大きく左右します。古い仏像の場合は、作者不明の作品も数多くありますが、比較的新しい仏像の場合は作者のサインが入ったものも珍しくありません。 現代の有名な仏像作家による作品であれば、人気があり買取価格も相応の高値がつくでしょう。 いつ頃作られたのか 仏像の価値は、その仏像がいつ作られたのかが、大きく影響します。 仏像が作られた年代や歴史的背景が希少性に関係するため、古い仏像ほど高値がつきやすいのが一般的です。 仏像が作られた年代を特定するには、専門的な知識が不可欠であり、プロの目利きに任せるのが良いでしょう。 素材、技法は何か 仏像に用いられる素材は主に金属や木材ですが、漆を塗り固めて作ったものや、粘土で作った塑像などもあります。 金属製のものは買取価格が高く、その次に漆や石、木製、粘土と考えて良いでしょう。 日本で作られた仏像のほとんどが木製で、「一木造り(一つの木から削り出して作る)」の技法と「寄木造り(いくつかの種類の木材を用いる)」の技法で作られています。 状態は良いか 仏像の保存状態の良し悪しは、買取価格に大きな影響を与えます。 古い仏像であるほど価値が高くつく傾向がありますが、素材の劣化や腐食、表面の剥離、細部の傷や破損など、仏像の状態も考慮しなくてはなりません。古い仏像は、長い年月が経っている分、劣化が進んでいる場合も多く、状態が悪ければ買取価格は下がってしまいます。 仏像の種類にはどんなものがある? 仏像は、仏をかたどった芸術作品です。 仏には種類があり、大きく「如来」「菩薩」「明王」「天部」の4つに分けられます。 仏像の種類としては「阿弥陀如来」や「弥勒菩薩」などが有名です。 如来(にょらい) 如来とは、悟りを開いて真理に到達したものを指し、仏教において最も位が高い存在です。 如来像は仏の慈悲や知恵を表すために、坐禅や半跏像などの姿勢が多く見られます。 仏教を開いた釈迦牟尼仏を意味する釈迦如来像が有名ですが、以下のように如来像にはいくつかの種類があります。 ・釈迦如来 お釈迦様の姿を表した仏像で、仏教を代表する仏像と言えるでしょう。 釈迦如来像の右手は5本の指を立てており、左手には鉢を持っている姿で表されています。 この姿は、釈迦が悟りを開いたときのポーズを表しているとされ、仏教で最も尊敬される存在です。 ・阿弥陀如来 迷いや苦しみから救いを求める人々を悟りへ導き、極楽浄土へと招いてくれるとされる存在です。 念仏を唱えると極楽に行けるという、阿弥陀信仰で広く知られています。 ・薬師如来 人々を病苦から救う力を持つとされ、万能薬の入った薬壺を持った姿で表される仏像です。 薬壺を持っているのが大きな特徴ですが、古い薬師如来像には、薬壺を持っていないものもあるようです。 菩薩(ぼさつ) 菩薩は、衆生の救済のために尽くす存在を表しています。 元来、涅槃の境地を目指して修行する釈迦を表していましたが、次第に慈悲の心で人々を救済する存在を表すものになりました。 菩薩の仏像は、王族であった釈迦が修行している姿を表現しているため、多くの菩薩像が宝飾品や冠などを身につけています。菩薩では、観音菩薩・弥勒菩薩・地蔵菩薩などが有名です。 明王(みょうおう) 怒りの形相で目を見開いた、恐ろしげな表情が、明王の特徴です。 明王は恐ろしい見た目をしています。これは、仏教の教えに背こうとする悪を排除するための厳しい表情であり、強烈な慈悲心の現れとも伝えられています。 明王の中で、最も有名な存在は不動明王でしょう。 不動明王は、最高位の明王であり、特に密教における不動明王は大日如来の化身とされ、熱く信仰されています。 京都府の東寺にある講堂には、五大明王が安置されていることで有名です。 中央を守護する不動明王、東を守護する降三世明王、西を守護する大威徳明王、南を守護する軍荼利明王、北を守護する金剛夜叉明王は、すべて国宝に指定されています。 天部(てんぶ) 天部は、天とも呼ばれ、仏教に取り入れられたインドの神々の総称です。 サンスクリット語でデーヴァと呼ばれる天部の神々は、元々はバラモン教やヒンドゥー教の神々で、次第に仏教を守護する神として定着していきました。 天部の神々は、日本では現世利益をもたらす神として信仰されており、帝釈天や阿修羅、弁財天などが有名です。 天部の仏像で思い浮かべるものといえば、東大寺戒壇院の四天王ではないでしょうか。 持国天・増長天・広目天・多聞天の四天王像は国宝に指定されている、奈良時代の仏像です。 これまで大切にしてきた仏像だからこそ、価値ある査定を 仏像は、仏教の信仰を具現化したものであり、芸術作品としての側面も持つ貴重な文化遺産です。しかし、大切にしてきた仏像を処分・売却するときがくるかもしれません。 仏像を処分する際には、仏像の魂を抜く儀式を済ませ、専門の買取業者に査定を依頼するのがおすすめです。プロの査定士が仏像の状態や真贋・年代・素材などを見極め、適正な買取価格をつけてくれます。 仏像と同様に深い歴史を持つ仏教美術品などもあれば、専門家の査定を受けてみてはいかがでしょうか。
2024.10.18
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骨董品の象牙を高額買取してもらおう
骨董品としての象牙は、古くから多くの愛好家がいるほど、工芸品としての価値が高いものでした。 現在では、ゾウの乱獲を防ぐために世界的に厳しく規制され、その希少価値が高まっています。 そのため、象牙製品は高値での買取が可能ですが、どうすれば買い取ってもらえるのか、どのような製品が高く売れるのかなど、正しい知識がなく不安だと感じる方もいるかもしれません。 希少な骨董品、象牙・象牙製品を買取してもらうには 象牙は、彫刻工芸品や扇子・義歯など、昔からさまざまなものに加工され重宝されており、多くのコレクターを魅了してきました。 現在では、動物保護の条約により規制されていますが、専門の買取業者に持ち込んで買取してもらうことが可能です。希少な骨董品である象牙および象牙製品は、どのようにすれば買い取ってもらえるのでしょうか。 象牙製品は人気が高く希少 象牙は、加工のしやすさや素材としての温もり・外見の美しさなどの理由で、昔から非常に重宝され、その歴史は、旧石器時代にまでさかのぼると言われています。象牙そのものを飾ることもありますが、チェスの駒やビリヤードの球などの遊戯用具、剣や銃の柄、楽器の部品、宗教的彫刻など、実に多様な工芸品に利用されてきました。日本で象牙は、印鑑や根付・置物などの工芸品に使用され、古くから人気が高く、世界でも有数の象牙取引市場があることでも知られています。 世界中で愛好されてきた象牙製品ですが、ゾウの乱獲が深刻化し希少価値が高まったため、人工の代替品としてセルロイドが登場し、多くのものはセルロイド製に変わったのです。さらに、アフリカ象の象牙国際取引は、1990年からワシントン条約により原則禁止となっています。 乱獲により入手困難になったことや、代替品の登場、ワシントン条約による規制などにより、新たな象牙製品が流通しにくくなったことで、象牙の価値は高騰しました。 人気の象牙製品 象牙とは、アフリカ象やアジアゾウの長く伸びた牙を指し、古い時代から芸術品や工芸品を作るための素材として活用されてきました。 象牙の色は、象牙色として知られる自然なアイボリー色で、経年変化により美しい飴色になることが特徴です。また、象牙は適度に吸湿性があり、弾力や粘りもあるため削りやすく、加工がしやすいことも人気の理由と言えるでしょう。 象牙が使用されている製品は意外に多く、特に日本人に馴染みの深い装飾品や遊戯用品には、以下のように多くの象牙製品があります。 ・置物(1本物、彫刻品、仏像など) ・印籠、印鑑 ・三味線のバチ ・ピアノ(白鍵部分) ・パイプ煙草 ・ビリヤード玉 ・麻雀牌 ・アクセサリー ・根付 ・数珠 ・香炉 ・茶道具 象牙の印鑑は、印鑑の中でも最高級の素材とされ、バブル期の日本では、ステータスシンボルとして象牙の印鑑を所有することが流行した時期もあります。 また、象牙の麻雀牌も高級な素材として大変人気で、数十万円以上で取引されることも珍しくありません。 加工しやすい上に見た目も美しい象牙は、希少価値もあり、買取市場でも非常に人気があります。 市場では取引を禁止しているところも ワシントン条約や種の保存法に基づき、通販サイトやフリマサイトでは象牙の取引を禁止しているところもあります。 象牙の買取を検討する場合は、象牙の取り扱いが禁止されていないことを確認するように注意が必要です。 象牙は骨董品市場でなぜ人気なのか 象牙は、見た目が美しく加工しやすいことで、古くから嗜好品や芸術品として世界中で愛好されてきました。 乳白色の独特の色合いや、柔らかく温かみのある手触りも魅力的で、使うほどに美しく経年変化していきます。 しかし、象牙は利用価値が高いことから、材料となるゾウの牙を求めて乱獲が行われました。 そのため、現在ではゾウを象牙目的の乱獲から保護するために、ワシントン条約により象牙の国際取引が原則禁止となっています。 現在、日本国内で合法に流通している象牙は、ワシントン条約締結以前のものであり、その希少性から象牙製品の価格は、今後も高騰していくでしょう。 また、象牙は高級素材として非常に人気が高く、象牙製品は贋作が多いことでも知られています。 象牙製品には、大きな需要があるため贋作・偽物が作られやすく、牛骨やプラスチック・樹脂など、用いられる素材もさまざまです。 見た目が似ていたとしても、偽物の象牙や象牙製品の贋作にはほとんど価値がないため、骨董品として収集する場合には、細心の注意を払う必要があります。 近年、象牙に酷似した素材が出現している上に加工技術も進歩して、素人目には本物と見分けがつかない贋作もあるため、買取の際はプロに依頼するのがお勧めです。 高額買取が期待できる象牙・象牙製品 象牙は、日本でも古くから装飾品・工芸品などに利用されてきました。しかし現在、市場に出回る象牙は限られており、希少価値が高くなっています。象牙・象牙製品の買取においては、大きさや重さ・希少性などが重要です。 大きさ・重量 基本的に、重量に比例して高くなるのが象牙の買取価格です。 特に、一本物の象牙は、重量が買取価格に大きく影響し、全重量が重いほど1kgあたりの価格も高くなる傾向があります。 例えば、重量約20kgの一本牙であれば、30万円〜40万円ほどの買取価格が期待できるでしょう。 彫りの精巧さ・緻密さ 象牙は加工しやすいため、彫刻や装飾品として大変重宝されてきました。 象牙製品の中でも、彫りが精巧かつ緻密であるものは、それだけ価値が高いと評価されます。 人気のある作家の手による彫刻であれば、より高い価格がつくこともあるでしょう。 詰め物が入っていないか 象牙の根元から3分の1程度は、中が空洞になっていますが、そこに鉛や木・樹脂などの詰め物が入れられている場合があります。 象牙を加工する際に作業をやり易くしたり、重さを増やしたりするために入れられていますが、詰め物が入っていない方が高額になるのが一般的です。 保存状態は良いか 象牙は脆い素材ではありませんが、保存状態によっては劣化している場合があります。 不適切な環境で長期間保管すると、変色したり傷ついたりすることがあり、象牙の価値を下げる要因となってしまうのです。 保存状態を良く保つには、直射日光や高温多湿・強い衝撃などを避けられる場所に保管するようにしましょう。 骨董品価値の高い作家物か 象牙製品の価値を決定するのは素材の希少性だけでなく、それを加工した作家の技術や芸術性も大きな要素となります。 象牙彫刻の第一人者である谷口珠峯や、黄綬褒章受賞者である櫻井廣明など、有名作家の手による作品は、高い骨董品価値があるため買取価格も高額になるでしょう。 インド象の象牙 象牙は、主にインド象とアフリカ象の2種類があり、それぞれに違いがあります。 インド象の象牙は、アフリカ象に比べて小さく密度が高いという特徴があり、特に、美しい乳白色のものは、希少で買取価格も高額です。 インド象の象牙取引は、ワシントン条約より14年も前から禁止されており、さらに希少価値を高める要因となっています。 アフリカ象の象牙 市場に流通している量が多いため、アフリカ象の象牙は、インド象の象牙と比較すると価格が低い傾向があります。 しかし、生息場所の環境により硬度が変わると言われているアフリカ象の象牙には、非常に希少価値の高いものも存在するのです。 主にアフリカ中央部で採集されていた硬度の高い象牙は、透明感のある光沢がかかっており、非常に価値が高いとされています。 象牙は処分ではなく買取査定をするべき! 象牙は古くから工芸品の素材として用いられ、現在でもその希少性や芸術性から非常に人気があります。 ご自宅や実家などに不要な象牙・象牙製品がある場合は、処分ではなく専門業者にて買取査定を依頼しましょう。 ワシントン条約や種の保存法で規制されている、大きな一本物の象牙を処分すると費用がかかる可能性があり、勝手に処分すると罪に問われるリスクもあります。 買取査定をすれば、高額な買取価格になる可能性もあるため、処分よりも買取査定がお勧めです。
2024.10.18
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